2024/10/12 のログ
■緋月 >
「神様と、ですか…。それは……難儀でしたね。
さっきの反応で、人によっては大変なものだとは分かったんですが…。」
と言いながら、「気配」を感じると驚愕の表情。
「――この、気配…「司書」!?
いや…「あのひと」に比べると、随分と、小さい…?」
目の前の人の手の上に現れた革張りの書物。
例え神器が手元から離れようと、継承者という資格は揺るがず。
それ故に、取り出したモノから感じた「気配」に、一度だけ顔を合わせた「司書」――「虚空蔵書」の
それと酷似したものを感じ取っていた。
「……成程、先輩に会って、あなたも「御神器」を預かる身となった、と。
しかし…私の知るモノと比べると、気配…みたいなものは、随分小さい、ような気がします。」
目の前のひとは、正直自分よりも遥かに頭が切れる、と思っている。
そのひとをして読むのに4時間かかった、という事は…。
「……明日が休日で助かりました。」
今晩と明日は、これを読み込む事に費やす事が確定だ。
回答を聞けば、小さくうなずく。
「……先生から教えて貰った事から、枝葉を取り除けば凡そそういう情報になりますね。
わかりました。
ここからが、録音・メモ禁止の情報の本番です。
最初の確認ですが、『アルカディア計画』について…第二方舟で、見つかりましたか?」
これが本筋。
これについて何処まで知るか、あるいはそもそも知っていないかで、話す内容が変わる。
■ノーフェイス >
「使徒ってガラじゃないしね。
神様ともしいちゃんとも、対等の業務提携を結ばせていただきました」
すべてを預かる継承者とは言えないが。
少なくとも、「神」になにがしかを認められたことは、確か。
「芸術品みたいな司書はぜひモノにしたかったんだケド……」
ちょっと嘆息。他の権能は別にいいが、惜しいものがあるとすればそれ。
「……………」
明日が休日。
そう聞くと、じーっと視線を向けた。なにを言うわけでもないが。
危ないところだった。
「キミが読んでる間はベッドで寝たり、ゴロゴロしてまーす」
拗ねたようにそう言ってから、あらためて頬杖。
「……名前だけ。
アルカディア計画と、主導者のK……が、謎。
……お互い、歯抜けの部分が埋められそうだね」
それは、緋月しか持ち得ない情報だった。パズルのピース。一幅の絵画が描けるか。
■緋月 >
「何と言うか、「らしい」関係ですね。
……私は、そういう関係を築くには…歪んだ「死」を、見てしまいましたから。」
小さく笑いながら、過去を思い出しつつ、少し郷愁。
時間が空いた時に、引っ越しの報せと一緒に「友」に会いに行こう、と小さく決心。
「アレは…人の手には収まらないモノ、というか方ですよ。
何と言うか……掴み処がないというか、うるさいというか。
……人の姿を取った時は驚きました。」
ちょっとげんなり。
難しい質問を投げられたので、実はあの司書には軽く苦手意識。
「…余計な事が出来る時間があるか、わからないですよ。
紅音が4時間かかったんです、私の頭じゃその倍以上かかってもおかしくないです。」
こめかみを押さえつつ、本題の話題になれば再び真剣に。
「成程…確かに、「噛み合う」情報にはなりそうです。」
小さく居住まいを正し、一度深呼吸。
「アルカディア計画主導者の『K』というのは、メビウス博士…紅音の情報では「メビウス・コアトリクエ」、でしたか。
その方の助手である、「クライン教授」という人物だそうです。
肝心の計画ですが――」
大きく息を吸いこみ、心身を冷静に保つ。
そうでなければ怒りで叫びたくなる情報だ。
■緋月 >
「――『人が管理出来る神さまを作る』、という目的の計画です。
その材料は…あーちゃん先生の首から上。
先生の首から下を、神さまの身体と取り替えて、その心臓にあらゆる権能を集約した宝石を埋め込んで。
そうして、『人が管理できる神さま』を作ろうとしている、んだそうです。
――だから、あーちゃん先生は利用され続ける、といってました。
先生より「最適な体」が見つかる日まで。
先生は…自分は「失敗作」だから、と、そう言ってました。
クライン教授は、これからも研究と実験を続ける、と。
その規模の広がりと、どれだけの人が巻き込まれるか…それは、あーちゃん先生にも分からない、そうです。」
其処までをはっきりと伝え、大きく息を吐き出す。
――色々我慢したせいか、少しだけ頭痛がする。
■ノーフェイス >
「……メビウスに、クライン……。
シュレディンガーとかディラックも出てくるんじゃないだろうな……、
……クライン?クライン教授?神性医学のか」
すこし考えてふと思い立ち、自分のオモイカネ8を起動。
煩雑な操作ののち、表示されたのは医学会、および神性学会に発表されている論文。
「神性のための医療……新世界水準の研究やってた奴だよな。
関係者だったのか――……ああ、方舟が所属って小さく書いてある。
……大変容後の病理に興味があって、論文あさってた時期があったんだけど。
神性には興味がなかったから、記憶の隅に引っかかって終わってたんだ」
少なくとも、公になっている人間ではある。
そして、権威ある人間――権力を持つ者であり、それを相手取ろうとしているということ。
続く感情の膨張と制御を見た。相当なものであるらしい。
――黙して聴いた。
聴いて、
……ふ、と失笑した。
「いつの時代も似たようなこと考えるヤツは出てくるもんだな」
英語でぽつり、と何事かをごちた。
他人の気がしない。……だから、関わり続けなければいけない。
「……星護の心臓は摘出済み。
転送魔術かなんかで血液を供給しながら、離れたどっかで玩具にされてるワケだ。
出血多量ってのもそれだろうね。もしかしたら第二方舟にあったのかも。
そこらへん、心当たりがある関係者に当たってみるつもり」
あらためて、指先が神山舟を撫でて。
そして、頬杖ついて、視線を逸らす。
「でもさあ。
黒幕退治は望まない。ポーラの意向に従う、ポーラのため。
これけっきょく、Kとコトを構えるハメになるんじゃないのか」
苦笑した。避けたかった展開に、すべての線がつながっていく。
それは―――いい。
それは、いいのだ。乗りかかった舟だ。でも、問題は。
■ノーフェイス >
緋月の手首を掴んで、引き寄せる。顔を寄せる。
そういうつもり、ではない。真面目な顔だ。
求めるのは、求めてしまうのは、何がしかの不安や渇望があるとき。
欲望だけではない。いま、不安視しているもの。
安心したがる、そんな情動を、ふれること以外で伝える。
「あの女は、EV-00神山舟をボクにだけ託した。
……キミを巻き込むなって意向だと解釈できる。
人間としての信用はあっても、剣士としての信頼はない」
いつぞやかの、話の続き。
「ボクも、キミを連れて行きたくない。
ポーラがそれを望むなら考えたケド。
……それでも望むなら、キミには超克してもらわなければならない試練がある」
■緋月 >
「――でしょうね。
実際、あーちゃん先生にも危ない目に遭わないといい、と言われました。」
巻き込むなという解釈については、そう答えて置く。
敢えて主語を省いたのは、その主語には目の前のひとも含まれていた為。
割と狡い真似だと、自分でも思う。
「……まあ、そう言われるだろうな、と思ってはいました。
実際、私は「第二方舟」には全く関わってない訳ですし……。」
すい、と視線だけでちゃぶ台の上の本に目を向ける。
「――これを読まずに、今話した事を総て忘れてしまえば、あーちゃん先生や
あなたの意に沿う形になるんでしょうね。
………今更ですけど、」
ふぅ、と息を吐く。
「私が目の前で、知己が酷い目に遭っていたり、危険に向かおうとしているのを
指くわえて眺めているような人間に見えるとでも思ってますか?」
もしここで「YES」と答えられたなら、今後のお付き合い含めて正座してお話合いにならねばいけない。
そんな雰囲気で、そう返事を返す。
■ノーフェイス >
「自惚れるな」
むけた声は。
いつか路地裏でむけた、冷たく深い冬の声。
「キミがいままで成してきた結果が、すべて自分だけの実力だと言えるのか。
いまのキミを、じぶんの護衛に据えるとかんがえたとき。
根幹が同じ剣術を使う狼面を捜して雇うほうが合理的だ」
そこまで言ってから。
目を伏せて、溜め息をつく。
「キミの性格も、感情も、理解はしてる。
でも、それだけで連れてはいけない。
……キミは、特別なひとだ。だからって、それを理由にはできない。
仕事をするなら、ボクは能力と実績、そして導ける結果……信頼を見る」
危険なことをさせたくないとか、そういうのではなくて。
単純に――求める水準に足りていない、という、冷徹な判断があった。
「……おともだちが出来て、親切な同居人がいて。
部活もはじめたんだったっけ。きっと、居心地いいんだろうな。
キミが得てきたもの……キミという人間が、
認められて、赦されて、愛されるばしょ」
柔らかく、つとめて柔らかく。
震えぬように、声を継ぐ。
「なにより……"私心で命を奪うべからず"、だったかな」
息を吸って、吐いて。
■ノーフェイス >
「――そうやって生きるために要らなくなった……
……鬼の鋭さをこそ、ボクは求める」
常に生きられぬ宿業を。
理想につながる、緋月という少女の非凡をこそ。
喪われてしまった熱と渇望をこそ。
「出会ったころにくらべて、いまのキミはまるでなまくらだ。
だから、叩き起こして、えぐり出して、鍛え上げる。
あの夜じゃ足りなかったんなら、この熱をいくらでもくべてやる」
――それが。
それこそが、自分と彼女のつながりだった。
ゆらぎ、うすらぐたびに、不安になって、確かめたもの。
修羅としての鋭さ。人間としての足りなさ。……ゆえにこそ。
理想を目指した、少女の在り方。
「後戻りできなくなってもいい覚悟があるなら、やろう」
語るは。
生き馬の目を抜く落第街で、王のひとつに数えられたもの。
未だ表にその実力を見せぬ闇の底で咲いた薔薇。
「……ないなら、おとなしくいいコで待ってて」
人間として周囲に認められるなら。
そう生きてもいいはずだ。それは、間違いではないはずだと。
■緋月 >
「……耳に痛い事を言ってきますね。」
ふぅ、とため息。
その眼に宿るは――昏い炎。
「確かに、仰る通り今の私は鈍ら同然でしょう。
随分と、日常に漬かり過ぎて、鈍ってしまいました。
――――居心地が良すぎて、忘れる所でした。
「己の魔剣を手に入れよ」。宗主様からの言葉。
……いずれは、「刃」に戻らねばならない事を、忘れる所でした。」
また、大きく息。
これは、事が起こる前に本格的に「最後の挨拶」に行かなくてはいけないかも知れない。
――それだけの、覚悟が要る。
「――分かりました。
今一度――「刃」に戻る事にしましょう。
その結果、後戻りが出来なくなったら…まぁ、一人生徒が行方不明になったという事で。」
まだまだ、かつてには及ばないが――その瞳には剣呑な光が…
「鬼子」と呼ばれた、剣だけに生きた頃の刃物の如き光が、甦りつつある。
■ノーフェイス >
きっと剣の腕前も。
まだ見ぬ異能の業前も。
出会ったときより、磨かれ、強くなったに違いなかった。
ただ置き去りにされてしまった、その鬼子に刃を向けられたとき。
――――こわい、と思った。
そこに惹かれた。だから関わろうと思った。
識られることになにより怯えたからこそ。
……堕とされたのは、そのあとで。だから、ややこしい。
そうでなければきっと、熱が失せた時点で離れることを選んだ筈だ。
それはきっと、自分の――……まあ、ワガママだ。
「……独りにはさせない」
わずかばかり、その片鱗が瞳に覗くなら。
ぞわりと粟立つ背、悪寒を受容する自分の感性を信じて。
目を伏せて、息を吐く。
「あのときのように、キミが願ったのではなくて。
今回は、ボクがキミに望んだんだんだから。
やるからには命も含めて全賭けだ。だから……」
まっすぐみつめる。焔の瞳で。
これは――あらためての、期待だ。信用だ。信頼の花の、未だ開かぬ種子だ。
「現在のキミの最高到達点で。
……キミがいいんだって、言わせてみせて」
戻るか、否か。
求めたるものは、選ばれし非凡が、さらなる高次へ駆け上がる瞬間。
人間の進化を願う獣は、そうしてひとつ、願いを託した。
■ノーフェイス >
「……じゃ、食べよっか?」
であれば獣は、喰らわねばならない。
最後の晩餐となるかもしれない血と肉を。
閉じられたこの部屋で交わされた約は、祝ぎか呪いか。
如何に掴むかは、少女の刃に懸かっている。
■緋月 >
「――そうですね。
まずは、ご飯にしましょうか。」
何はともあれ、お腹は空く。
己の命を繋ぐため、明日の為に、食べねば始まらないのだ。
片付けてから、ご飯の準備。
ふたりで頂きますをして、食事に入る。
――これが最後の日常になるかも知れない。
そんな事を考えながら。
ご案内:「万妖邸 霽月之室」からノーフェイスさんが去りました。
ご案内:「万妖邸 霽月之室」から緋月さんが去りました。