2024/08/27 のログ
ご案内:「常世島スパ洞天《桃源リゾート》 温泉エリア「蟠桃仙泉」」にラヴェータさんが現れました。
ご案内:「常世島スパ洞天《桃源リゾート》 温泉エリア「蟠桃仙泉」」に神代理央さんが現れました。
■ラヴェータ > 【前回8/15 継続】
「安心しろ。傍目に見ていてもそれほど重労働には見えん。
前と比べれば随分と落ち着いたからな。」
ゆっくりと頷いて答える。
前線に出ていた頃と比べて多方面で負担は軽減された。
今の少年ならば潰れる事は無いと言い切ってもよいぐらいだ。
のにも関わらず少年を誘った理由は。
「だがやはり、私からすれば働き過ぎだ。
それと、だな…」
それほど深刻には聞こえない、とってつけた様な軽快な言葉。
そして、続ける言葉に詰まる。
湯に浸かり紅潮した面で、視線を少し迷わせて続ける。
「癒してやろう、と思ってな…
結局は…出来ず仕舞いな訳だが…」
指同士を水面で絡めて遊ばせる。
のばしていた足を片方折りたたんで、少し俯いてちらりと少年の方を見やる。
明らかに落ち着かない様子で少年の反応を待つだろう。
■神代理央 >
「それと……?」
働き方については、まあ納得?して貰えたらしい。
となれば、そこで話題は一度途切れそうなものであったが…言葉を詰まらせた少女に不思議そうな視線を向ける事になる。
ちゃぽん、と。怪訝そうな瞳の先で、自分の毛先から零れ落ちた雫が落ちていく。
「…………」
そして、投げかけられた言葉に。
少年は素っ頓狂な顔をする訳でも無ければ、不思議そうな色を浮かべている訳でも無い。
言葉を発する前に僅かに漣が起こって、少年の躰が少しだけ少女に寄った事が分かるだろうか。
「……随分と、可愛らしい事を言うじゃないか。ラヴェータ。
そうか、癒してくれようとしていたのか。そうか……ふふ」
言葉こそ普段の様な軽口めいたものであっても、その口調と声色は穏やかで、決して揶揄う様な色は無い。
ちらり、と少女から向けられた視線には、にっこりと笑みを浮かべて。
「その言葉が、私にとって一番の癒しであり、慰めだよ。
ありがとう。嬉しいよ、ラヴェータ」
皮肉や尊大さが礼服を着て歩いている様な少年にしては実に珍しく。少女と同じ様に、身体を温める熱で紅く染まった頬と、同じ色の瞳で。
少女に感謝の言葉と笑みを向けるのだろうか。
■ラヴェータ > 「そ、そうか…なら、良かっ…た」
そう望んでいた訳ではないが、揶揄う訳でもなく軽口で応じるでもなく。
素直な感情を向けられた事に困惑と照れのまじりあった複雑な表情を見せ、お湯の中へとゆっくり沈んでいく。
鼻の下あたりまで沈んで、そこからそっと少年を見つめる。
普段の軽薄な態度からは想像もできない、狐ではなく少女の目つきだを見せていた。
そして、10秒ほど見つめたあとゆっくりと元の状態まで戻って。
「…また来てくれるか?」
控えめに問いかけた。
浴場の湿度が場を満たしている。
■神代理央 >
対して。少年の方はリラックス…という訳でも無いが、肩まで湯に身体を沈め、力を抜いた状態で少女を見つめ返している。
穏やかな笑みは変わらず、水分を吸って額に張り付いた前髪を、軽くかき上げて。
「お前が望むのならば、何度でも」
言葉は短い。気障な台詞も無く、気の利いた言葉も無く、唯少女の問い掛けに是、と答える短い言の葉。
とはいえ、それだけでは己の身を案じてくれた少女に対して応えきれぬか、と逡巡した少年は────
「……温泉でも何処でも、次はお前の行きたい所に付き合ってやるさ。ラヴェータ」
そのまま、水音と共に少年の右手が水面から持ち上がる。
湯で火照り、熱を帯びた掌が…其の儘、少女の髪を撫でようと。
■ラヴェータ > 「すまないな…
いや、ありがとう 理央」
言葉をより真意に近いものへの言い換えながら応える。
疑う余地は微塵もない。負い目だって一切ないと言えよう。
少年が向けてくれる感情に狐耳を畳む。
湯の中の尻尾が控えめに動き、少年の膝へと動こうとするだろう。
「…ん」
湿った髪を撫でる少年の手のひらを受け入れる。
瞼を閉じてされるがままの姿勢は、完璧な信頼そのもの。
濡れている為さらさらではないだろうが、濡れているのはそれはそれでよい湿度で艶々な髪である。
■神代理央 >
少女の髪を撫でる少年の掌も、似た様なもの。
だから手櫛の様に梳くのではなく、毛先を指先で弄んだり、まるで猫をあやす様に撫でてみたり。
そんな中で、湯気と同じ温度の吐息と共に、少年の唇が開かれる。
「礼を言われる様な事じゃ無い…寧ろ、私の方が気遣ってくれたお前に、もっと感謝の言葉を並べるべきなのだしな?」
なんて、触り心地の良い少女の髪を堪能しながら、クスリと微笑む少年。
少女の尻尾を感じれば、軽く膝を左右に動かして少女の尻尾と戯れる様に。その度に、ちゃぷちゃぷと水面が揺れる。
……とはいえ、少しばかり無防備が過ぎないだろうか?と。
あまりに無軽快な少女に、少しばかり心配になってしまうのも、まあ。信頼されて嬉しくはあるのだが、複雑な心境を覚える少年でもある。
だからといって、少女と戯れる指先や膝の動きが止まる訳でも無いのだが。
■ラヴェータ > 「そうかもしれんな…ならその分しっかり撫でてもらうとしようか…」
少年の心配をよそに、少年との距離を少し詰める。
瞼は閉じたまま、この湿度に溶けるように広がる少年の声と指先や手のひらの感覚に口元が緩み、笑顔を見せる。
瞼は閉じたまま、少年の手のひらに頭を押し付けたり擦るように動くだろう。
少年が膝を動かせば、それに応じる様にゆらゆらと尻尾を揺らす。
水面に別軸の波を生み、それが少年の作った波と混ざり合う。
「…そうだ、私が癒されてどうする。
むむむ…理央、何かして欲しいことはあるか?」
すっかりこの状況と少年の手のひらに酔っていたが、ハッとしたように目を開く。
こちらが癒されてばかりであることを気にして少年に思いついたばかりの問いを投げかける。
…こんな質問をしながらも、頭も尻尾もひっこめたりはしない。
撫でられる姿勢は継続である。
■神代理央 >
…少年の杞憂は、取り敢えず少女が心地良さそうなので良いか、と水ならぬお湯に流してしまう事にした。
そういう無粋な事を言葉にするのもな、とぼんやり思考していたところで────
「…して欲しい事?ふむ……私は別に今の状態で十分満足しているんだが…」
愛玩、と言うと多少穿った物言いかもしれないが、こうして湯船で疲れを癒しながら少女を撫でているだけで割と少年は満足していた。
強いて言うなれば湯あたりに気を付けなければ…と思うくらい。
「癒し、というものには相乗効果もあるだろう。お前がリラックスしていれば、私も満足。それでは駄目かな、ラヴェータ」
するり、と少女の髪を撫でていた掌が少女の頬に伸びる。
拒絶されなければ、其の儘水気を帯びた掌が、少女の頬を撫でるのだろうか。
■ラヴェータ > 「そ、そうか。満足しているなら…それでいいんだ」
絆されるとはこのことを言うのだろうか。
少年の言葉と手つきにすっかり懐柔されたようで、リラックスした表情で瞼を閉じる。
尻尾は揺れるだけではなく、少年の膝を優しく撫でるように動く。波は控えめになったが、その分じっくりと少年と触れ合おうと動く。
少年の手のひらが頬に触れる。
温度はそれほど変わらない筈なのに、芯が温まるような感覚がじんわりと浸透していく。
少年が撫でる前に、こちらから頭を動かしてすりつける。
そして、更に距離を詰める。そして、拒絶されなければそのままもたれかかるだろう。
■神代理央 >
勿論、そんな少女を拒絶する筈も無い。
凭れかかった少女を受け止め、二人分の体温でじんわりと身体を包むお湯が少しだけ熱くなった…様に、感じる。
「…私は、甘やかすのが得意、と言う訳では無いが……」
不意に紡がれる言葉に、脈絡があった訳では無い。
少女を支え、その頬や髪を撫でながら…何気ない、独り言の様な声色の言葉は続く。
「誰かを甘やかすのは、嫌いというわけでは無いからな」
普段ならば「今日は随分と甘えん坊じゃないか」くらいの軽口になるのだろう。
しかし今日…いや、此の時間は、そんな軽口を飛ばし合う様なものでもない。
故に、少女を撫で、慈しむ様な此の時間は嫌いではないのだ…と、告げるのだ。
少年らしい、勿体ぶった回りくどい言葉で以て。
■ラヴェータ > 「そうだな…私は甘やかされるのは好きだが…」
少年の声色が心地よい。
聞きなれた声の筈なのだが、今日は妙によく染みる。
温泉の効果だろうか…ふしぎなものだ。
少年の方に顔を向けて続ける。
「それは理央、お前だからだ。」
フフと微笑み、それだけ言って再び前を向きなおす。
普段ならもっと軽口で…いや、普段ならこんなことは軽口でも言わない。
なんなら、”貴様”とすら言わないのは…かなり稀だ。
■神代理央 >
「…………」
沈黙。少女を撫でていた掌も、一瞬固まった。
今更照れてみせる程初心な訳でも無いが、此処まで少女が素直な事は珍しい。
まして、名前で呼ばれるのは本当に稀な事だ。故、一瞬反応が遅れて…少しだけ、湯船に身体が沈む。肩まで浸かっていた身体が、顎先まで沈みそうになる。
「…其処まで信頼されるのは、監視役として光栄だよ。全く」
少女は、何時もの様に揶揄ってきた訳では無い。
だから此方も別に軽口で返す事はない。言葉こそ普段通りではあるが、信頼されている事が嬉しい、と言うのは素直な本心でもあるのだから。
「………」
「…普段からそれくらい素直であれば、もう少しお前のファンも増えそうなもの、だがな?」
いや、これは少年の方の負け、だった。根負けかもしれない。
少しだけ、軽口を混ぜる。普段の様に。何時もの様に。
思考が湯船の熱以外で茹る前に、白旗代わりの軽口を先に投げたのは少年の方だった。
■ラヴェータ > 「そうかそうか…」
少年の一連の動作から得られる多幸感に耳を揺らす。
撫でる指先も、こすりつける手のひらも、尻尾の毛が触れる感触も、少年が固まる様も。
何れも、この一時でえるには過多とも言えよう幸福だ。
少年が浴槽に沈む様子を薄く片目を開けて優しく眺める。
「なに、そんなものはいらん。貴様がいるだろう?
ファンが増えればこうして触れる機会が減るやもしれんぞ?」
それは望ましくないだろう?と応じる。
先ほどまでのリラックスして落ち着いた表情の中にいつもの嘲るような笑みが僅かに混じる。
いつものスイッチのような物が入ったのかもしれない。
■神代理央 >
「……ほう?」
ちゃぷん、と水音。
少女の言葉を否定はしない。しかし、黙って頷く程可愛げが無いのもまた…神代理央、という少年だった。
「それは寧ろ、私の方が尋ねたいものだな。ラヴェータ。
お前が多くの交友関係を得る事は、兎にも角にも良い事だとは思っている。しかし、その結果私とお前が言葉を交わす時間が減ったとして…」
少女を撫でる掌が、一度止まる。
「お前は、それをどう思ってくれるのかな。ラヴェータ」
クスリ、と少女の耳元で少年が笑う音がする。
それは揶揄うでも無く可笑しいでもなく、立ち上る湯気の様な、仄かな熱を帯びた笑み。
■ラヴェータ > 「ふむ、そうだな」
耳をぴくぴくと動かしながらにんまりと笑みを浮かべる。
「その時は折角だ。新しい交友関係に熱をあげてしまうかもしれん。
それで貴様と話す時間が減るのは、確かにそうかもしれんな」
顎に手を添える。すっかりいつもの調子か。
「だが、その分貴様と話す機会が楽しみになるというものだろう?
それもまた良いではないか。話す機会が減るのなら、むしろそういった楽しみ方も出来よう。
ついでに普段とは一味違う話題…他の人間の話題をたっぷり貴様に話してやろう」
斜め後ろ、少年の方を振り向いて挑戦的に笑ってみせた。
他の人間との楽しかった話ばかりされても貴様はよいのか?と
■神代理央 >
「……ふむ…」
少しばかり意外だった。挑発的な言葉が返ってくること自体は、まあ、そうだろうなとは思っていたのだが。
その材料として、他者との交流を好意的に捉えている事が少年にとっては新鮮な驚きでもあった。
元より少女のコミュニケーション能力を考えれば、驚愕する程の事でも無いのだが…その出自と現在の立場を考慮すれば、それは喜ばしい事なのだから。
「…他者との話に花を咲かせるお前を観てみたくもある。それに、お前が色んな人間と交流する事は、私個人としても喜ばしい事だ」
だから、最初の反応はもしかしたら少女が望んだものではないかもしれない。
良くも悪くも『風紀委員』として…というより何だか保護者めいた言葉だ。何だかしみじみしているかもしれない。
しかし────
「なればこそ、語らう時間は長く取って欲しいものだな。お前なら、私の暇な時間など…幾らでも、分かっているだろう?」
ふと、指先が少女の髪から離れて湯の中に沈み…揺れる尻尾の先端を軽く撫でる。それだけ、だった。
■ラヴェータ > 「…ああ、そうだな。その時はじっくりと聞かせてやろう」
こちらとしては冗談のつもりだったのだが、少年はかなり肯定的に受け取ってくれたようだった。
おかげで期待した道筋からはすっかりそれてしまったが、これはこれで…
少年の想いが、尻尾に触れる指先を通じて伝わってくる。
軽口をたたき合ういつもの関係性に馴染みかけていた脳みそにとっては少しばかし強く効いたやもしれない。
「そうだな。私も少しは新たな交友関係を築くべく努力するとするか
せっかく聞き手が期待してくれているのだからな。
特等席を用意しておくとしよう」
尻尾を撫でる手に尻尾を巻き付ける。
少年の想いに、狐の少女なりに応えたつもりだ。