異邦人街に設けられた、信仰のための地区。
異邦人たちが携えてきた信仰などを守るため、異邦人たちの信仰に合わせた宗教施設が立ち並んでいる。
また、この世界の宗教施設もここに多く並んでいる。
その宗教や信仰によって当然ながらその礼拝の仕方なども異なるため、施設は多種多様である。
祭祀の実行などは信仰を持つ者たちに任されている。
参加者(0):ROM(1)
Time:10:29:21 更新
ご案内:「常世島共同墓地」からサロゥさんが去りました。
■サロゥ > 女はただただそこに立ち続けていた。
3人組が去った後に墓地を訪れた人々の観察こそしていたが、それ以外ではこれといった動きもなく。
女が共同墓地を去ったのは、22時を過ぎた後だった。
様子を見に来た巡回の委員に促され、素直にその場を去って行った。
女が去った後には、怪しい痕が……なんてこともなく。
ただ、円形の擦れた痕だけが地面に残されていた。
■サロゥ > 静寂の中、学生と思わしき3人が共同墓地を訪れる。
3人は他愛ない会話をしつつ、穏やかな歩みである場所へ向かっている。
女は3人が視界に入ると、身体を僅かに動かし、そちらへと視線を向ける。
そしてそのまま、半分ほど閉じた瞳で3人を観察し始めた。
3人はそれに気づかぬままに風紀委員会の殉職者の名前が刻まれた慰霊碑に辿り着き、1人がそっと花束を添えた。
そしてそれぞれが礼や黙祷を捧げ始める。
それを終えると、何やら声をかけて来た道を戻るようにして去って行く。
女は、その様子を全て見ている。
じっと微動だにせず、3人が去るまで観察を続ける。
そして、3人が視界から消えると、微動だにしなかった姿勢を解いた。
その時、少しばかし女の周囲が歪んだように見えるだろう。
魔術でも異能でもないが、何らかの力が働いていたことは確かだった。
■サロゥ > 現在時刻は16時頃、冷たく乾燥した風が吹いている。
平時の平日ゆえか、訪問者はかなり少なく閑散としている。
落ち葉が地面に擦れる音すら聞こえてくるような静寂に包まれた墓地に、不審な女が居座っている。
小高い丘に築かれた共同墓地の特に高い場所、少し開けた空白地帯。
真っ黒な喪服に身を包んだ紫髪の女が直立の姿勢で佇んでいる。
女性らしい曲線的なラインの肉体、風になびく長髪。
生物らしい呼吸とまばらな瞬きを繰り返している。
前で組んでいた手を後ろで組んでみたり、左右でぶらつかせたりしながらも、その視線は共同墓地を見渡している。
女がここに来てから既に8時間ほど。
その間、そして今も、女はここに立って共同墓地を見渡している。
ご案内:「常世島共同墓地」にサロゥさんが現れました。
ご案内:「宗教施設群」から幣 美奈穂さんが去りました。
■幣 美奈穂 > 部屋の掃除も兼ねて、竹ぼうきで神様の周囲を払います。
ぺしぺしぺしっ、遠慮なく神様を叩き、頭の辺りではしつこく掃き叩きます。
繰り返すと、埃もあり、大きなくしゃみと共にうっすら目を開ける神様。その神様ににっこり美奈穂。
「神様。なんでまだいらっしゃるのですか?
この前、お伝えしましたわよね?
荷物も纏めましたわよね?
なんで葛籠が開けられているのですか?」
にっこり圧です。
身を起こして言い訳する神様を、だまらっしゃい、と何度も箒で叩きます。土下座する神様のお尻を箒で叩いて、身繕いに向かわせます。
その間、美奈穂は部屋を片付け、葛籠を確認。
乱雑にされた中身を整え直します。お土産のお酒は、もう買いに行く時間はありません。仕方がないので、自分のおやつのイモケンピを納めておきます。
身繕いをしてきた神様に、
「はい、これを首に巻いてくださいませ」
取り出したのは、どこにでもあるチョーカーリード付き。
しぶしぶと首に巻く神様、それを確認して、リードの先は神使の狛犬さんに。
「しっかり、飛行場までお願いしますわ。
筋斗雲便がすぐに来ますように、お伝えしておきます」
空港まで連れて行くのは神使さんにお願いします。
だってーー。
「――次は、どこの神様ですかしら?」
そう、後ろに浮いてきている、鶏さんな神使さんや、狐さんな神使さん。
他にも、まだ出雲に出発していない神様はいるようなのです。
美奈穂の戦いはこれからなのです。
■幣 美奈穂 > 毎年、出雲である神様の宴会。
そろそろ始まる神在月・神無月の時期。
そう、もう出かけてなくてはいけない時期であり、先日、毎年遅れる可能性が高い神様に、念には念をと口頭でも強く「もう時期です」と伝え、そして旅支度をさせ、荷物詰めも手伝ったのです。
ーーそれなのに、その神様の一部が、あろうことかまだお住いの神域の中に!
ちゃぶ台に茶碗、そしてお供えされた一升瓶!
そしてだらしなく酔いつぶれている神様!
お土産にと詰めてあげた、島の名産日本酒。出掛ける前に飲み始めてしまったようです。
きりりっと眉が上がる……気はしていますがへにょりとしたまま迫力がない美奈穂。ため息を付く狛犬さんに力強く?頷きますと。
手にした竹ぼうきを構えまして。
「もう出雲行かないとだめなのでしょう!
早く着替えてっ、荷物纏めておきますから!
起きてくださいませっ!」
竹ぼうきでぺしぺし神様を叩きます。
これが、美奈穂に力があれば痛いのでしょうが、所詮は美奈穂の振るう竹ぼうき。それでも素手でべしべし(ぺちぺち)するよりは威力があります。
邪の力だとそれでもよく払えるのですが。
煩わしそうに寝たまま手を払う神様。
流石、現役神様。手を振るだけで強い神聖な風が生まれますが、神使の鶏さんが飛ばされそうになりますが、ぐっと美奈穂は耐えます。
ここで頑張らなければ、"常世島の神がまた遅刻した"なんて言われてしまうのです!
■幣 美奈穂 > 今日のお仕事は、宗教的なものです。
きりりとしたお顔つき、頭には鉢巻きで気合を入れています。そして手には武器を携えます。
今日の美奈穂は本気なのです。
「もうっ、まだぐずぐずしてる方がおられますの?」
ぷくっと少し膨れるほっぺ、先週に回覧板でお知らせをきっちり回したのに、まだ居座っている輩がいるそうです。そんな美奈穂の斜め前歩むお供は、少し怖い顔のおっきな狗さん。美奈穂が小柄なだけに余計に大きく見えます。
もしかしたら乗れるかもしれません。
その頭にはノラ猫さんが乗っています。
後ろには狐さんや鶏さんも付いてきています。
「こっちですの? あれ? もう出発した方ではないのですか?」
宗教施設群、その建物、の少しずれているところ。
どう見ても何もない所。そこで美奈穂を見上げる狗さんが頷きます。
首を傾げさせて、それから改めて呼吸を整えますと。二礼二拍一礼をしまして――空間に手を伸ばせば、横にずらします。
そうすると、空間がずらされて入り口が。
神聖特化な美奈穂、運動神経などはまるでないのですが、気軽に結界に入り口を作ってしまうのです。
「おじゃましますー……あ~っ!?」
ご案内:「宗教施設群」に幣 美奈穂さんが現れました。
ご案内:「新トリニティ教会 - 全世界大変容追悼式」からネームレスさんが去りました。
ご案内:「新トリニティ教会 - 全世界大変容追悼式」から藤白 真夜さんが去りました。
■藤白 真夜 >
「……そっか」
問い掛けが正解しただとか。
はじめて見るやられ顔にしてやったりだとか。
それでもやっぱり挑むことを続ける精神性だとか。
そのどれも、ヨかったけれど。
一番は、やっぱり……ここにはもう無いなにかを、想う姿。
それが誰かとか、なにかとか、聞こうとはしない。知ろうとも。
ひょっとしたら……世界と時をも飛び越えた先の、だれか。
その想いは……決して、永遠に、届くことはない。
……だから、綺麗に思えるのだ。
少し、羨ましいくらいに。
真夜ならともかく、わたしじゃこうはいかない。
交わらない認識。だからこそ見えるキレイなものを、わたしは信仰しているのだけれど。
「……へ?
うわぁ~……それ結構タイヘンだ……。この島に閉じ込められてるから、なんだけどなぁ。
……まぁ、いいや。鎖を外す──とはいかないけど。いざとなったら悪いコトするから」
そっちのほうが大事……とは言わないけど。それくらい、魅力的な罪のりんごであることにはまちがいなかったから。
「……ん。
よく生きてて、えらい。……次の一年も、ね?
踏み外したくなったら、いつでも待ってるから」
あれだけの熱量で、死を覚えている。ずっと、意識してる。じゃあ、あるはず。まだ、その願いが。
永遠に届かない別離。それを終わらせる唯一の方法は──
……まあ、目下島を出る方法を慌てて考えるくらいには、その線は望み薄なんだけど。
「ちょっと早いんだけどなあ。
でも、ぼんやりふんわりなつもりだったのに……すごく、綺麗なものが見れたきもち。
……ありがとう」
手と手を重ねる。ほんのすこしの、熱。でも、もっと熱いものを確かに感じた。
「──おやすみなさい。
あかい川の底まで、夢が届きますように」
一年も、あとすこし。
でも、そんなお目出度いものはわたしの中に無かった。
いつか見れる、その夢を……心待ちにして。
■ネームレス >
問われてみると。
「……………………」
眉根を寄せて、瞼をさげて、黄金瞳がじっとりとその顔をみつめる。
端的にいえば……ものすごくいやそうな顔をした。はじめて見せる顔だ。
そして、肩をわかりやすく上下させて……ふん、と鼻を鳴らしてそっぽを向いた。
正解だと、このうえなく正直にその顔が語っていた。
美味しくいただかれると考えると、ちょっとおもしろくない。ふんだ。
「いまのボクならと思うケド、その反面。
まだ、理想には届いていないだろうから――どうだろうね」
あのとき。
はじめて歌った、路地裏の記憶。
そのとき問いかけたこと。求めたもの。この存在の根幹ともいえる餓え。
「けっきょく、ずっと埋まらない空白だ。
後悔と痛み――絶望もまた、ボクを形作る構成要素なんだ。水のように。
その大切なひとたちのかたちをした虚から、ボクは力を引きずり出してる。
……なにせ、キミが尊ぶ死に様すら、ボクは知らないままなんだから」
気づかぬうちに、離れているうちに、死んだという事実ばかり。
慰霊碑に刻まれた他人事のように、事実が伝えられただけ。
交わしたい言葉も、聴かせたい歌も、問いたい疑問も、もう届かない。
死は永遠の別離であり、剥奪だった。
決着などつけられようはずも、ぬぐえようはずもなかった。
傷口から血が流れ続けて、停まらない。生きているから。血はめぐるのだ。
殺し甲斐のある人間でありたい。そのために磨き続けられた魂だった。
ずるいよ。
そう、誰かに向かって、叫ぶような。
ずっと、ずっと木霊している。
その有り様が、より愉しませてしまうのか。
食まれるばかりのリンゴであるのは、悔しくもあった。
「………そういえば。あっちで一位獲ったから。
死に様を観るためには、海を超える覚悟が要るよ」
さらりと。まぁ別に不安はなかったけど?当然の結果ですけど?みたいな顔をして、
差し出された手に対しては、どこか得意げな様を見せるものの。
それを問うのは、殺人鬼にだけ。
どこまでも追いかけてきてね、という我が儘だ。鎖に繋がれている相手に。
「うん、また会おうね。
あれからいつでも死を感じてはいるけれど……
やっぱり、ホンモノには敵わない」
手を、――重ねた。
手のひら同士をあわせる。ぐっと押しやって、指と指を組む。
いまはそれをつなぐナイフはない。サイコなシュミは、ちょっと場違いだから。
「おわかれの言葉は、あれがいいな」
とても優しい、あの言葉。
この殺人鬼をみて生まれた歌。
きっとそろそろ、おねむの時間だろう。
■藤白 真夜 >
「……ふふ。わたし、少食だから。
メインだけあれば十分なの」
叫ぶような沈黙。聞こえない怒り。照れ隠しみたいな微笑。
その全部、立派にメインディッシュだった。
「……そっかぁ。ちょっと意外だったの。
嫌な言い方だけど……あなたに、そんな余裕あるのかな、って。
死者を悼むような、余白」
もっと……前だけを見て、進んでいく存在に成れている。
ノーフェイスの、……名前を捨てた彼女を、そう信じていた。……強いところばかりではないことくらい、わかっているつもりだけれど。それを押しやる完全性を、身につけていると。
でも、違った。
「でも、違ったんだね。
……当てよっか?
──『ボクのうたを識る前に死ぬな』……じゃない?」
想像よりも、もっと前を向いているからこそ、その喪失を悔やむことが出来る人間。
ただ、過去を振り返るような追悼ではなくて。前を向きながら、どうしようもなく切実に、自分の世界だけをみれるひと。
死を、終わりではなくて、機会の損失と捉えられる強かさ。それだけならただの冷血漢だけれど、あの怒りがそれを否定する。
「…………あ」
一瞬、きょとんとした。──今、別の女のこと考えなかった? なんて、詰め寄りそうになるくらい、硬直してから。
……酷く、親しんだ感情に触れた、気がする。
やわらかい微笑みと、全く別のもの。でも、ちがう。……わたしにそれは、酷く甘いものとして届くから。
「……ほんとぉ? 葬式で再会を祝うなんて。ほんとにホラー映画みたい。サイコパスが出てくるやつ~」
だから、ちょっと拗ねた。
だって、それ別の女宛てだから。ふくざつなきもち。
素直に嬉しいのと、露骨にうれしいのと。
なのにわたしに届いてないのも、それをカンジれることも。……ぜんぶ。
──だから、見つめ返した。
優しさとか甘さとか、どこにもない。す、と目を細めて。
あの微笑みは、ただの“煽り”。さっきの意趣返しだもん。
「ううん。また会おう、よ。
……でしょ?」
それは、ただ求める瞳。
自分の知らないものを、自分の求めるものを。
……私に無いものを、与えてくれるものへの感情。
「……ほら。やくそく。
再会の」
そんな感情は、す、と引っ込めて、……代わりに、握手を求めるように手を出した。
……にっこり。受けてくれるでしょ? って。