2024/09/27 のログ
ご案内:「常世島共同墓地」に落花彩晴さんが現れました。
落花彩晴 > 常世島の共同墓地――その一角にある小綺麗だけれど小さな墓の前で。
一人、そっと花束を添えながら軽く手を合わせる少女が一人。祈り――いや慚愧か。

「――すいません、月に一度は足を運ぶつもりなのに少し間が空いてしまいました。」

小さく呟くように、墓の下に眠る人に謝罪を述べながらゆっくりと閉じていた双眸を開く。

「――先輩が私の身代わりで亡くなってから色々と考えました…けれど、まだ答えが出ません。」

自分は――どう生きてどう在りたいのか。怪異や悪霊、妖物や――呪いとどう向き合うのか。

落花彩晴 > ――己が祭祀局に正式に着任してからまだ間もない頃――そして、最初で最後の正式な任務の一幕を。

未だに夢に見る事もあるし、除籍だけで済んでいるのが奇跡的なほど己は失敗し(やらかし)た。

呪詛暴走1名―――私、落花彩晴。祭祀局祓除課を永久除籍。
異能消失1名―――■■先輩。今は何をしているのか知らない。
両目失明1名―――■■さん。今もまだ祭祀局で頑張っている。
両腕欠損1名―――■■君。祭祀局を離れて普通の学生として暮らしている。
重篤汚染1名―――■■先輩。意識不明で今も入院している。

――死亡1名――■■先輩。私の暴走した呪詛を身代わりに引き受けてしまった。


「――本当、何で私はのうのうと生きてるんでしょうね…。」

嗚呼、だから――私はあそこに所属しているかつての同僚や先輩達に”合わせる顔が無い”のだ。

ご案内:「常世島共同墓地」に崛葺 茉璃さんが現れました。
落花彩晴 > ――でも、それが私が一生これから死ぬまで背負い続ける”業”なのだろうと思っている。

「…先輩のご家族からは散々罵倒されましたよ…勿論、他に私の暴走の巻き添えになった方々の身内からも。
当然ですよね――それだけの事をやらかしたんですから。」

もっと最悪なのが――私は彼・彼女達から問答無用で奪い取ってしまった事だ。

■■先輩の異能を奪った。■■さんの視力を奪った。
■■君の腕力を奪った。■■先輩の精神を奪った。

――そして、■■先輩の生命を奪った。

そんな事は一度たりとて望んだ事なんて無かったのに…!!

「――――ッッ!!」

つい、気が昂ってしまい、右の拳を振り上げて地面を殴りつけそうになる。
…だが、ギリギリで振り上げた拳を打ち下ろすのを止めた。
ここは死者が静かに眠る場所だ。騒々しくしては罰が当たるし礼儀知らずにも程がある。

崛葺 茉璃 >  
常世は幽世。死とともに在る。
その名を冠した、この島も然り。

故に、墓地は当然にして其処に在る。
そして、それもまた……

「ああ……よかった / 善き哉
 それをしてしまうと、少し騒ぎになってしまいます / 少々騒ぎになるでな」

幽鬼のように、幻のようにそれは現れた。
拳を止めた少女に、虚ろな女が声を掛ける。

「とはいえ……騒ぐの自体は、そう悪いことでもないです / そう悪しきことでもない。
 要は、さじ加減、というやつですね / 程度の問題であるな。」

滔々と口にして

「……ん。おや?」

小さく首を傾げた

落花彩晴 > 「―――ひゃいっ…!?」

いきなり幻か幽鬼のように現れた”その人”に。
思わず、しゃっくりのような悲鳴を小さく漏らしてしまった。
慌ててまだ振り上げたままの拳を下ろしつつ、そちらを見れば。

「――――ぁ…。」


その”曖昧な姿”は忘れもしない。そしてまさかここで会うとは思わなかった。

(二級監視対象【不朽祭器】の――崛葺茉璃…先輩…)

一度だけ話した事はある。だが、その数日後に少女は”やらかした”のだ。
おそらく、この少女が除籍になった経緯は大まかに彼女の耳に届いていてもおかしくない。
――除籍されたのはもう1年くらい前になるが…それでも、あぁ、やっぱり。

(――怖い…。)

彼女の存在が、ではない。面識のある祭祀局の人と接するのが怖い
無意識に体が震えるのをぐっと我慢する。――それでも、まともに視線を合わせられない。

崛葺 茉璃 >  
「えぇ、と……」

少し頭の中を探る。この引っ掛かりは、おそらく記録の何処かに彼女がいるということ。
あれでもない、これでもない……

「ああ」

照合する。確か、祭祀局にいたはずの少女だ。
それにしても……このなんとも言えない態度。
しかし、それも納得できる。

「その……怖い、ですか? / 怖い、か?」

自分は監視対象。すなわち、危険物
それをよく知るのであれば、それもまた已む無い

「人に害はないように、気を付けてはいるのですが…… / 人を害さぬように努めてはいるのだが」

頬を掻く。
曖昧な顔が、曖昧に。しかし、どことなく困ったような雰囲気を伝える

落花彩晴 > 「あ…えぇ、と…その…。」

ただでさえ人見知りの気があるのに加え、祭祀局の方となると挙動不審になりがちだ。
ただ、少女が”怖い”と思っているのは――…

「その…先輩が”怖い”訳では…ない…です…。」

途切れがちのぎこちない声だが、そこは否定しておく。
自分が怖いのは――自分の過去の”やらかし”を知るかもしれない現役の祭祀局の人と遭遇した事。

責められるのは良い――けど、仮に慰めたり励まされたら、そちらの方が惨めで暗鬱な気持ちになる。

ともあれ、ゆっくりと深呼吸をして胸に軽く手を当てる……大丈夫、大丈夫、大丈夫――…!!

「…すいません、お見苦しい所をお見せしました。
えぇと…崛葺茉璃…先輩ですよね。私は落花彩晴といいます。
…1年くらい前は祭祀局に新人として着任してまして…その、先輩とも一度だけお会いした事はあります。」

崛葺 茉璃 > 「なるほど / 然様か」

こちらが怖いわけではない。
それなのに、相手が示しているのは恐怖か、それに似通った態度。
自分の仕様上、見慣れるほどに見慣れた空気なので、間違えることはないはずだ。

であれば、この恐怖はどこから来ているのか

「ああーーやはり、イロリさんでしたか / イロリであったか。
 はい、私は茉璃です / 茉璃だ。」

記憶に間違いがないことを確認できた。
1年前の新人。そして、在る事件から局を去った。
そう、であったはずだ。

「……それにしても。
 それなら、なぜそんなに怯えていらっしゃるのですか? / そんなに怖れているのだ?
 貴方の、敵ではありませんよ」
 

落花彩晴 > 「い、イロリ…?」

「いえ、あの囲炉裏ではなく彩晴です」…と、訂正を小さな声でするが彼女に届いたかは怪しいもの。
彼女自身は怖くない――と、言い切っても、矢張り何処か挙動不審気味ではあり。

「はい、存じています。茉璃先輩は…その、何故か姿というか曖昧に見えるので印象的でしたから。」

白髪に赤い目の女性――かろうじてしっかり認識できるのはそれだけだ。
声も、髪型も、服装も、具体的な顔立ちも、全て曖昧ではっきりとしない。

「――その、私は最短記録且つ永久除籍された身なので…。
私がしでかしてしまった”事件”の事は、色んな人の耳に入っているでしょうし…。」

だから、怖かった。何か言われたりするかもしれないから。
単純にそれだけの話なのだが、だからこそ怖い――嫌だ。

――けど、罪は罪で業は業だ。逃げる事も捨てる事も出来ない。

崛葺 茉璃 > 「ああ、そういうことですか / ああ、そういうことか」

確かに、事件を起こして除籍になった、と聞いた。
事件としては、それなりに凄惨であった覚えがある。
後始末の類にも関わった記録がある。

「ううん……それは……」

女は考える。
不朽なる身の、祭器の心は心情を推し量ることが難しい。

「思うところが、あるのでしょうね / 思うところが、あるのだろうな。
 それを、わかる、とはいえません / 理解できる、とは言えぬな。」

素直に言葉にする。

「ただ、貴方の場所に、私が居た可能性もある……のは確かですね / 彼方の場に、我がいたという可能性もあるのは、違いない。
 私のことをご存知なら……わかりますでしょう? / 理解できるであろう?」

二級監視対象ーー
すなわち、それだけのなにかを起こした存在

「それを怖れないでいただいたのは、大変ありがたいことです / 稀有なことである。
 だから、私も多くは語りません / 故に、我も多くは語るまい」

小さく首を傾げて、後ろを見やる

「墓参りは、よきことです。 / 善き哉。
 生きるものは、何あろうと祀ることが大事です / どうあろうと祀ることが寛容だ」

小さく頷く

「と……失礼しました / 非礼だったな。
 ともあれ、久方の再会です。少しは語らいをさせていただければありがたいところですが……いかがですか?」

落花彩晴 > 祭祀局に所属する個人が引き起こした事件としては、それなりの被害を齎したソレ。
当時、除籍に至るまでの軟禁に近い待機辞令を受けている間は、【同胞殺し】や【仇花】などと揶揄されたものだ。

「――理解して貰おうとは…思いません。むしろ、理解されたら…私はどうしていいか分からないので。」

だから、貴女のその言葉は逆に”救われる”思いですらある。
そして、彼女が言いたい事も分かる――監視対象…つまり、監視されるに値する”何か”を持つ存在。
何人かその手の生徒が居るのは小耳に挟んだし、特に風紀に在籍している者が多いと聞いた事がある。

(――茉璃先輩は確か…えぇと、二重の監視体制…だった筈…?)

風紀と祭祀局の共同監視か何かだったか…二重の管理下に置かれた監視対象は珍しい気もする。
何故そこまで知っているのかというと、着任当時に彼女については最低限の”説明”を受けたからだ。

「――助かります…正直、私は祭祀局の方とはなるべく会わないように過ごしてましたから…。」

理解されないのはむしろ安心だし、先輩自身を恐れるといった事も無い。
彼女が多くを語らないというのならば、勿論それで構わない…そう、少女は思う。

「――月に一度は顔を出すようにしているんですけど、最近忙しくて…反省です。」

僅かに苦笑を浮かべる。その程度には落ち着いてきたのだろうか。
語らいについては、この怖さを少しでも払拭したい気持ちもあるので是非に、と頷いて。

「…えぇと、そもそも茉璃先輩は何故この共同墓地にいらっしゃったんですか?」

自分と遭遇したのは偶然だとしても、個人的に何か用向きでもあったのだろうか?と。

崛葺 茉璃 >  
「共に悩むこともできる、という人もいるのでしょうが……私には難しいので。
 おそらく、それを理解できるのは……遠い先であることを祈ります / 遠い先になることを望もうぞ。
 それもまた、私の役目ですから / それもまた、我の仕事故に」

自分が関わるとしたら、凶事の方が多いのだから。
そうではないことを祈るくらいは許されるだろう。
ただ、自分が祈る先は……さて、なんだろうか。

「そこまで……なんですね / そこまで……なのだな。
 よほど祭祀局に思うところがあるわけですね / 祭祀局に思うところがあるのだな」

負の感情なのか、それとも正の感情の裏返しか。
いずれにしても思慕がある、ということだろう。

「忘れなければ、いいのです / 忘却せねば、よい。
 凶事に嘆くことも、慶事に笑うことも、本質は同じです。 / 本質は変わらぬ。
 ただ、そこに想いを寄せる。それさえ忘れなければ。
 墓、というのはそのための装置に過ぎません / そのための道具に過ぎぬ」

どこか遠い場所を見つめるような、直ぐ目の前を見つめるような眼差し。
曖昧なそれは、しかしはっきりと見ているようにも見える。
奇妙な様子であった。

「貴方に近い……でしょうか。お墓参りです。 / 墓参りだ。
 ただ、貴方と違うのは……個人の思いというよりは役目の方なのですが / 個人の思慮ではなく、公の任務であるが」

落花彩晴 > 「――いえ、私の悩みは私が自分で解決しないと意味が無いですので…。」

静かに、だがはっきりと。誰かに相談するより、自分自身でどうにか解決出来ないかと奔走する。
それは、偏に少女が誰かを頼る事を苦手としている証左でもあり、欠点でもあり。
――少なくとも、己が背負う事になった”業”に関しては自分自身で向き合うしかないのだから。

――だから、私は神様には祈らない、祈り戒めるのは己自身に
思う所がある、という言葉に小さく困ったように笑って。

「―――未練、ですよ。ただそれだけです。私が罪を犯した場所で、その贖罪の機会も奪われた場所ですから。」

それでも、当時の同僚や先輩達は尊敬している――目の前の曖昧な彼女も含めて。

「――思いを馳せる……。」

神様に祈ったりはしないけれど、忘れず思う事は心掛けていこうかと、そんなことを思う。
――気のせいか、曖昧なようでハッキリとした。そんな眼差しが垣間見えた気がする。

「――茉璃先輩の”お役目”は正直全然分からないですけれど…鎮魂の為なら良い事かな、と。」

崛葺 茉璃 >  
「ああ……いえ、お気になさらず。
 貴女の領分に足を踏み入れるつもりはありません / 汝の想いに踏み込むつもりはない。
 いずれ……遠い先の話をしているだけですので」

どこか曖昧に、どこかふんわりと気にするな、と語る。
いずれ、それを識ることもあるだろう。

「未練ーーなるほど。
 人は、己の業すら捨てられます / 自らの業すら忘れることができる。
 
 あえてそれを抱えようというのなら、それこそが人であり、それこそが人の苦難です。」

その苦を抱えることこそが、人の人生である……のだが、そこまでは口にせず。

「ええ。想いを寄せる。忘れないようにする。
 私の仕事は、そのようなものです。よいこと……だと思っていただけるなら、幸いです。」

曖昧な顔は、薄く笑う

「ああ……いけない。またお仕事の話になってしまいました。
 いけません。仕事以外での、人との話というのはまだ慣れませんね。」

なんとも言えない笑いが漏れた

落花彩晴 > 「領分…と、言える程の大した拘りや矜持ではありませんけどね…単に、私が不器用なだけかなぁ…と、思います。」

自身が不器用なタイプなのは自覚がある。だからといって、器用に生きようとする気は無く。
何故なら、己を殺した生き方をしても長続きしないと思っているから。
…そう思う少女自身が、もっとも彼女自身を殺しているようなものだけれど。

「――私は背負ったこの”業”を捨てる気も手放す気もありません。
それは許されない――…いえ、違いますね。他の誰が許しても私自身が一番己を許せないので。」

既に過去になりつつある事件。起こった結果は覆しようが無く、禍根は残り今も悪夢を見る程に。
だけど、そこから逃げるつもりはないし逃げる事は絶対に許されない。

敢えて抱える――単純に、捨てる気が無いのだ。己自身への強い戒めとして。

「少なくとも…そういう事をしてくれる方々が居るから、霊障なども大規模なものは発生してないと言えます。」

勿論、他にも様々な要因があろうが。殴って祓うくらいしか出来ない己には無理な芸当だ。

「…あぁ…その、私も結構、人見知りといいますか緊張しぃなので、何となく…その、会話が偏ったり続かなかったりぎこちなくなるのは分かる気がします。」

何とも言えない笑みを浮かべる姿が”感じ取れた”。思わずこちらも同じような笑顔を。

「――でも、茉璃先輩とこうして再会できたのは僥倖でした。
…ずっと避けたり向かい合おうとしなかった報い…もあるのかもしれませんが。」

崛葺 茉璃 >  
「器用が正しい、不器用が不正解、ということもありません。
 溺死しない程度に、想いに浸るのであれば、よいのではないでしょうか。 / よかろうさ」

自分もどちらかといえば不器用であるがゆえに、思うことはある。
そうでなかったとしても、正解など結局誰にもわかりはしない、そういう思いはある。
この仕事をすればするほど……だから、普段は考えることもない。

「そのための祭祀、ですからね。 / であるからな。
 特にーー常世の名を持つ島ですから……死が、身近すぎます / 身近すぎるのだ。
 祀りでもしないと、よくありません / いいことはない。」

それゆえに、監視で済んでいる、とも言えるかもしれない。
時と場合によれば、此処にはもう居ないかったかもしれない。

「報い……というのはまた自罰的ですね / 自虐的であるな。
 せいぜい、一年程度遅くなったくらいでしょう? 一年ほどのんびりしただけだろう?
 これから向かえばいいでしょう / これから向かえばよかろう」

励ますでもなんでもなく。ただ、それが実態だろう、と口にする。
曖昧な存在はしかし、言葉だけがはっきりしていた。

「それで……ええと……手始めに……できれば、お友達、になど……ですね?」

人馴れしていないこと、このうえなかった

落花彩晴 > 「――浸り過ぎて溺死、なんて笑い話にもなりませんからね…。」

そこは肝に銘じておくべき事だろう。小さく頷きながらちらりと傍らの小さな墓を見る。
――彼女の死に浸らず、自分なりに消化して何とかやっていける日が来るだろうか?

――自分は考えない、という事は出来ない。どうしても考えて悩んでしまう。
そして、それを誰かに話す事も出来ない悪循環。それでも、自分自身で解決しなければ、というある種の強迫観念。

「――死が身近であるという意味では、すぐそこはもう根の国なのかもしれませんね、なんて。」

この島だとそれも笑い話にはならない所はあるのだけど。
彼女の、曖昧な姿とは裏腹のはっきりとした指摘に、「うっ!」と唸る。
図星というか、指摘されてそういうリアクションを取る程度に思う所はあったらしい。

「――友達……友達!?…あ、いえ、その、わ、私なんかでよろしければ…!!」

そして、この日一番の動揺。まさかのお友達二人目が出来る…のか…!?
基本ぼっちな少女としては、先ほどまでのシリアスな空気が吹き飛ぶほどに挙動不審だった。