2024/10/09 のログ
ご案内:「常世島共同墓地」に麝香 廬山さんが現れました。
ご案内:「常世島共同墓地」に崛葺 茉璃さんが現れました。
崛葺 茉璃 >  
今日もまた、お祈りのときです
あいも変わらず、この島では人が死にます
寿命であったり、事故であったり、事件であったり……
それは、異界からの隣人もまた同じこと

だから、祈るのです

「さて……お勤めです / 責務だ」

目をつぶって祈ります
正直なところ、どういうやり方であってもどうにかなるのですが、やはり形は大事です

「ぁ……」

小さく言葉が漏れる
ブツブツと ブツブツと
男の声 女の声 子供の声 老人の声 人ならざる声

立ち尽くしたままの女は、何事かをつぶやきながらそこに立っていた

麝香 廬山 >  
跳梁跋扈、老若男女。
(なにがし)の声音に"それ"は急に混ざった。
予めそこにいたかのような、極自然と少女の肩に指先が触れる。
温く、暖かく、確かな命の熱を持った指先。

「──────…茉璃ちゃん」

鼓膜を震わせるように、名を囁く。
それは無理矢理現実に引き戻すように、
少女の背後から肩に手をおいていた。

「お祈りの邪魔、しちゃったかな?」

男はあっけからんと、わざとらしく訪ねた。

崛葺 茉璃 > 誰かがいます
誰かが居ます

誰か?

「……ああ。いいえ、いいえ。
 大丈夫ですよ / 子細ない。」

ほんの一瞬、びくり、と体が震える。
しかし、何事もなかったかのように、首だけで相手を見る

「こんにちは。えぇと……
 お久しぶりです / 久しいな 
 ロダン様」

ぺこり、とお辞儀をするが後ろ向きなのでほんの少しだけの首の動き

「ロダン様も、お祈りですか? / 礼拝か?」

曖昧な女は、曖昧な顔で、曖昧な声で問いかけた
 

麝香 廬山 >  
青年はにこりと微笑んだ。

「そ、廬山(ロダン)だよ~。相変わらずだね、その呼び方」

敢えてその間違った名前で頷いた。
名前の価値など、廬山にとって然程意味はない。
ゆるり、ゆるり。肩をなぞる指先は首元へ。
さながら猫でもあやすように、指先コロコロ。

「何時ぶりだっけ?ボクが祭祀局に行ったきりか……それとも前に……。
 まぁ、皆自由だしねぇ~。あんまり監視対象同士で仲良しこよしってないかもねぇ」

どんな理由であれ、お互い監視され合うような身。
特に"クセ"の強い連中ばかりだと廬山は思っている。
現にこの通り、名前が覚えられないし声音が"ブレ"るのもいるわけだ。

「ボクがお祈り?ハハ、誰に捧げたらいいかな?
 そのへんの神様に?それとも茉璃ちゃんに?」

崛葺 茉璃 >  
流石に後ろと前では話しづらいかも知れません
くるり、と後ろに向き直りましょう

ロダン様の手が、首元に触れます

「ん……」

触れた指先には、ざらりとした、つるりとした、曖昧な感触が伝わる
一体これはなんなのか

「何時ぶり、でしたか……記憶の中では……
 確か、祭祀局だったと思います / 祭祀局だったと思うが」

少し首を傾げます
そういえば、あまりそこは意識していませんでした

「そうでしょうか?
 流石(ナガメ)様などは、仲良くなさっているような? / 仲を保っていると思うが?
 切人(キリト)様なども……」

本人たちが聞いたら、おそらく否定するだろうことを口にする
少なくとも、彼女の認識の中ではそうなのだ

「墓地ですので、死者に対して。/死人に向けて
 神は……あえて此処でなくても良いとは思いますが、祈る神がいるのであれば / 祭神がいるのならば」

ふと、首を傾げる

「……祈りに来たのではないのですか?」

麝香 廬山 >  
ざらりとつるりと奇妙な感触だ。
人を触っているという気はしないが、
気にせず指先はコロコロ撫でていく。

「あー、そうだっけね。一緒に仕事したっぷり?
 いやー、大変だったよ。異能の許可申請だけで面倒だったなぁ~、ボク」

腐っても監視対象の一級クラス。自分の事はよく知っている。
お役所仕事みたいな対応だったのを覚えてる。
それすらも楽しい思い出だと、笑い飛ばした。

「ああ、ヌッキーね。うん、ヌッキー頑張り屋さんだからね。
 ついつい"便利"……もとい、頼りにしてるからねぇ~」

「切ちゃんとはそりゃー、勿論。ボク達親友(マブ)だし?」

彼らの扱いがよく見える。
頬を一通り撫でれば手を離し、眼の前でヒラヒラ。

「死者への祈りかぁ……ねぇ、茉璃ちゃん。
 キミにとって祈りって何だい?鎮魂?それとも、贖罪?」

「なんてこと無い話の延長線さ。気軽に答えてくれていい」

何も無い空間で腰を下ろす廬山。
固定された空間は、文字通り見えない椅子だ。
どうぞ、と彼女にも座るように促した。
腰を下ろせば、見えない椅子がそこにはある。

崛葺 茉璃 >  
「ロダン様は、お強いですから / 強者だからな。
 皆様が、気になさるのも仕方のないことかも知れませんね / やむなきことかもな」

そんな彼女も、許可は不要だけれど手間はかかる。
それだけの違い、というところはある。

「そうでしょう? お二方とも、よき方々ですよね。 / 良い人だろう?
 監視対象でも仲良く出来ます。ご安心ください」

また、どちらもが聞いたら勢いよく否定しそうなことを口にする
……いや、一人は肯定するかも知れない。

「座れるのですか? ロダン様のお力ですか?」

迷うこと無く、見えない椅子に座る
まるで疑っていない様子だ

「さて……不思議なご質問ですが / 奇妙な問だな
 そうですね」

少し、考えます
一口に言えるといえば言えますが、そうともいい切れないのがこの問いです

「鎮魂……が主です。 / 鎮魂、が主だった中身だな
 その中に、贖罪や、憐憫、歓喜、懊悩……様々なものが詰まっています / 無数のものが内包されている。」

曖昧な女は、曖昧に、しかしはっきりと答える

「……このような答えでいいでしょうか?」

麝香 廬山 >  
笑顔のまま、廬山は頷く。

「うん、ボク監視対象(ココ)じゃ最強だから」

勿論此れは自称だ。
監視対象同士が本気でやり合うのはご法度。
実際の力量差は子どもの妄想話程度にしか起こり得ない。
但し、自ら気軽に口に出すほどの自信はあるということ。

「でしょ~?特にヌッキーは便利だから茉璃ちゃんも使……頼ってあげなよ。
 茉璃ちゃんみたいな子なら大体のことは聞いてくれるから。コツは上目遣い」

平然と悪いことも教えるようだ。
人の困ることを率先する悪趣味は相変わらずだ。

「うん。ちょっと軽くね。因みにボクは、
 ただ茉璃ちゃんに会いに来ただけ。此の後空いてる?
 ちょっと遊びに行こうよ。ボク暇だし、夜までたっぷりね」

平然と笑顔で宣うのは、そういう事。
その場で頬杖を付きながら、彼女の話に耳を傾ける。
紅の双眸が、曖昧な輪郭を視線でなぞった。

「成る程ね。ある意味祭祀局(お家柄)って感じかなー。
 そういうのって、昔からやってるの?知りたいんだよね、キミの事」

「なんで祭祀局にいるのか、監視対象(ココ)にいるのかも、さ。
 そうそう、せっかくだから"おトモダチ"って感じで行こうよ」

「……監視対象同士でも、仲良く出来るんでしょ?」


崛葺 茉璃 >  
「すごいですねえ / やりおる」

強い、弱いということに特に興味はない
ただ、純粋に凄いものは凄い、と思うだけ

故に、自称であろうと他称であろうと、真偽すらも関係なく
女は感嘆の声とともに小さな拍手を送る

「ナガメ様は、お優しいですね。 / 心優しきことよ
 前も、小さな幽霊さんを大事になさっていて…… / 幼子の霊を大事にしておってな……
 確か、ロリパン様、とおっしゃいましたか / ロリパン、とかいったか?」

うっかり浄化しかけてしまったけれど、大事な相手だと知って自重したことを思い出す
少々流儀には反するが、管理がなされるのならば大目に見てもいいだろう

「特に、頼ることなどはありませんけれど / 頼みにすることはないが。
 お願いは確かに聞いてくださいますね / 願いは聞いてくれるな」

うんうん、と邪悪な誘導に頷く

「昔から? ええ、はい。
 昔から、やっていますね / 昔から、やっておるな」

事実、以前からやっている仕事だ
調べても簡単にわかる程度のこと

「はぁ……なるほど / そうか
 知りたいほどのことでしょうか? / 識るほどのことだろうか」

首を傾げる
その情報は必要なものでしょうか
けれど、仲良くする、というのはそういうことなのかもしれません
オトモダチ、というのはそういうものなのかもしれません
なるほど、勉強になります。流石は最強のロダン様です

「そうですね。わかりました。/承知した
 それでは、ロダン様のことも教えて下さいませ / 教えてくれ」 

麝香 廬山 >  
「でしょー?」

得意げな相槌。
中身はどうあれ称賛は気持ちがいいため。

「幼子の霊……あ、ふーん。
 多分ロリコンんってこと?いや、まぁ、そうだね。
 グローバルな時代だしねぇ~。ボクはヌッキーの趣味を尊重するよ」

明かされた事実に一瞬真顔。
自分の知らない内にそんな事があったらしい。
しかもなんというかこう、趣味が濃ゆい。
廬山の中で今、彼の評価がある意味変わってしまった。

「茉璃ちゃんもヌッキーには気をつけてね」

何がとは言わない。

「そういうものだよ。お友達って、わかり合う事から始めるらしいしね。
 いいよ。ボクだって色々教えてあげるよ。キミが興味を引くかは知らないけれどね」

面白い人生を辿ってきたかはさておき、
それなりに歩いてきた道のりは長いほうだ。
ニコニコと笑みを浮かべながら、
何処からともなく取り出したのは、緑茶の缶。

「はいこれ。喋ると喉乾くからね。
 ……じゃあ、まずボクから。茉璃ちゃんは何処から学園に?どんな理由で入学したの?」

崛葺 茉璃 >  
「?」

首を傾げる
女の中にはロリコンという概念が存在していなかった
それゆえに、廬山が語ることの意味もあまり理解していなかった

「なるほど、わかりあうですか / 相互理解か。
 それは重要そうですね / それは肝要そうだ」

どうしましょう。友人、というものをまだわかっていなかったようです。
これはいけません。今を機会によく学ばないとですね。
心のなかで気合を入れます

「ありがとうございます / 感謝する
 ええ、と……それでは」

お茶を受け取って、一口
それから、改めて口を開く

「私は、日本から / 日ノ本の国から
 ですから、近くですね / 近在だな」

至極真面目に応える。
ただし、声も顔も曖昧なままだが

「理由……理由と言えるほどのことかはわかりませんが / 理由と定めるほどのことではないかも知れぬが
 祭祀……この島の鎮魂を助けるために参りました / この島の鎮守の一助のために馳せ参じた。」

自分が此処にいる意味も、それしかない。
それだけでしかない。

「では、私も。 ロダン様は、なぜこの学園に?
 様々な道もあったと推察いたしますが / とりどりの行く末もあったであろうに。
 何を楽しみになさっているのですか?」

飄々として、楽しげなこの人物は何を考えているのだろう
改めて問、と考えたときに思いついたのはそれ

麝香 廬山 >  
楽しそうに目を細めて彼女を見ている。
その光は、何処か曖昧な輪郭を捉えるようで、
自ら話を振っておいて全く以て二の次のようで。

「結構いい子ちゃんだね、キミ。
 勤勉というか、そんな曖昧なのに、他人を気にするんだ」

楽しげな声音にでろりと交じる僅かな悪意。
当人がどう思っているかはさておき、
そんな有り様で鎮魂がどう、とは面白い事をいう。

さて、互いに盤上で決めたルールだ。
廬山は嘘はつかない。自らの受ける質問には僅かに間を置き、

捕まったから

さも当然。
それこそ雑談のように話す。

「この監視対象の枠組み、更生目的だってのは知ってる?
 ボクはね、それに選ばれた。島の外で悪いことしててね。
 ボクは丁度いい実験体(モルモット)だったってワケさ」

犯罪者更生プログラム。
この混沌とした時代の安寧期に目をつけられた存在の一つ。
あらゆるモデルケースとして扱われるこの学園都市において、
丁度良かっただけの存在の一つに過ぎない。
ふぅ、とため息混じりに人差し指で叩く制御装置(首輪)は鬱陶しそうだ。

「楽しみかぁ……それこそ、こういう瞬間?
 どうにも、人が嫌がることとか、忌避する事が好きなんだよね」

人が悪と想定する凡そを好んでしまう。
普通の人のように談笑それは、一般的に見れば薄気味悪い。

「そういう茉璃ちゃんはどうなんだい?皆の役に立ててる?
 キミは……何を楽しみにこの学園にいるのかな?」

じぃ、と紅の瞳は彼女を捉えて離さない。

崛葺 茉璃 >  
「? 不思議なことをおっしゃいます / これは異なことを。
 他人はすなわち隣人であり、隣人とはすなわち明日の死人です。
 気にしないはずがありません / 気になるだろう」

いつ 何時 人は死ぬかわかりません
定められたそれは、いつかは到達するものです
どのような方がいらっしゃるのか、知らずにはおけません

「なるほど / そうか
 捕まってしまったのですね / 捕縛されたか
 それでは、先輩に当たるのでしょうか。」

犯罪者更生プログラム、確かそのような名前でした。
わざわざ外から連れてこられたということは、大先輩なのでは?
そして、それにふさわしい悪だった、ということでしょうか

「そうですか。
 嫌がってはいないつもりですが…… / 忌避してはおらぬが……
 嫌がったほうがいいのでしょうか」

女は、薄気味悪いそれを忌避することもなく言葉を紡ぐ
女もまた、薄気味悪く見えるかも知れない

「お役に立ててるか、はわかりません / 不明瞭であるな
 ただ、お祈りは欠かさず。それでお役目はできている、とは思います」

やるべき職務をやっているだけ、ともいえる
それが役に立っているというのなら、立っているのだろう
呼吸のようなものなので実感があまりわかないだけである

「楽しみ、ですか? あえて言うなら。
 人との出会い……でしょうか / 人との邂逅、であろうな」

何時終わるとも知れない儚きもの、
それを多く識ることはまた、理解に、浄化に生きてくる