2024/06/05 のログ
ご案内:「常世渋谷 黒街(ブラック・ストリート)」に先生 手紙さんが現れました。
先生 手紙 >  
――たったったった。小走りでそこそこ後ろ暗い連中の住処を、違和感の無い不健全さを纏って抜けようとしているのが一人。

曲がり角。出会い頭に知らない誰かさんと、主街区朝の登校時だったらトキメく何かが始まりかねない衝突を――

「おっと失礼だいじょうぶ?おれはだいじょうぶ。ンじゃお互い気を付けて生きましょー」

くるりと躱して走り去る。

とととっ、とっとっとっとっとっと。

「ふぃー。撒けたかァ?」

耳を澄ます。喧騒怒号は遠かったり近かったり。それでも明確に『自分』へ向かう足音は聞こえなかった。

ので。ラインナップの怪しい自販機で、かなり無難なミネラルウォーターを一個買う。一口飲んで、今度は懐から煙草を取り出し銜えて、やっとこさっとこ一服です。

「……ふーっ」

先生 手紙 >  
「しっかし辛気臭ェわりに活気あるンだよなァ此処」

存外、自分のようなはみ出し加減な連中には居心地のいい場所なのかもしれない。とはいっても自分が此処を根城とするかはNoである。

「ふは」紫煙。

具体的には男子寮の足りている衣食住が有難すぎる。

先生 手紙 >  
やがて煙草を踏み消し、もう一度水を飲む。

自身に後ろ暗いことは(あんまり)ないが警邏中の風紀委員にでも見つかったら、えー。バツが悪い。

逃げていた理由、追手の詳細。路上喫煙。色々と厄介になりそうだ。顔見知りだったら文字通り煙に巻いてしまえばいいが――

追手と言えばそれもそう。諦めて打ち切ってくれてれば……或いは、落第街方面に間違って行ってくれてれば御の字である。

先生 手紙 >  
ぺこ、

水の飲み終わったペットボトルを――言い方が妙だが。丁寧に潰していく。ひしゃげる音は小さく……ペットボトルの体積は折りたたまれるようにもっと小さくなっていき――こんなものはただの手遊びだ。異能に数えるほどでもない――やがて掌に握り込めるサイズまで収縮した。蓋を絞める。

――投げることもなく、捨て場に転がし、捨てた。

「なァ~~~ンか来そうだったけど杞憂かな」

そうして二本目の煙草を銜え、火を点ける……


「ふーっ……さて、表通りの面構え、と」

変装・変身の類の能なぞ持ってはいない。心の問題だ。

先生 手紙 > 暗がりから明かりの方へ。何食わぬ顔で、ソレは雑踏に紛れ込んだのだった――
ご案内:「常世渋谷 黒街(ブラック・ストリート)」から先生 手紙さんが去りました。