2024/06/30 のログ
ご案内:「裏常世渋谷」に先生 手紙さんが現れました。
先生 手紙 >  
アイェェェ!?裏常世渋谷!?裏常世渋谷ナンデ!?

時間か、経路か、偶然か、あるいは誘いか。当人には与り知らぬ要素で、とにかく一つ角を曲がったら人っ子一人いない、常世渋谷の影法師に足を踏み入れてしまっていた。後ろを見る――うん!後ろ向いても裏側だココ!!!

「……しまったな。表に用事はあるが裏側には無いぞ、今……」

鈍器っぽいフレーズのミュージックが流れる何でも屋で手巻煙草の葉を買おうと思っていただけだったのに。アーティファクトの類は間に合ってます。

先生 手紙 >  
【所有者の位置情報が消失しました。速やかに平常時空へお戻りください】
 
オモイカネ8の高性能なアドバイスがくっそありがたくて涙が出ちゃね。出ないけど。

いやまあ望んで突っ込む場所ではないが――だからこそ、消失している目的の設定は大事だ。幸いにも出方は知っている。

端末を操作する。【未踏】の位置情報に、自分の足跡が刻まれる。……所謂マッピング、というヤツである。

こうして、当座の『用』は出来た。影絵のような街を、開いているのにガラガラなテナントをひとつひとつ、空のショーケースを覗いて回るような、空虚でけれど意味はそれなりにあるウインドーショッピングと洒落こもうではないか。

先生 手紙 >  
「…………そういや、量産型の異能ってのがあったな」

迷い人は、迷ったからか。それとも『場』の常ならざる空気がそうさせたのか――ひとつの閃きを得た。

「誰にでも」「安易に」「壊れる」

零していくワード。途中、この発想は『届き得る』――そんな直感を信じ、煙草を銜えて、思索に耽った。

「隔離」「封印」「流行の衰退」「異常」「発生……ふーっ……」

引っかかる。

誰にでも簡素な異能が使えるようになるキット。今では初級魔術ツールが在れば事足りるような……大変容以前に『奇跡』の一に数えられた、現代の当たり前

器物に想いが宿ることはある。付喪神も実在する。あァ、こんなのは祭祀局の本業だ。『そも怪異とは』を、異界で考えている。

紫煙は空しく、影絵の街へ溶けて消えた。

先生 手紙 >  
「零落」

「――――――――――全回収には至って、いない」

記録ではそうだ。そもそも危険度の判定などいらないくらい、異能と奇跡に彩られたこの島での些末事。それらの末路はどこに流れ――何に携わった……?

「ふーっ……」

紫煙を吐く。不用品とはいえ商品。きちんと処分されたのならいい。ただ、この島の住人には一定数――能を持たず、けれどそれを欲するモノたちだっている。

その願いはいったい誰に――何に届いた……?

「表に戻ったら洗い出すか。妙な糸口だが……そういうのは、おれに合ってる」

華々しくも、輝かしくもない。多くが徒労に終わる、見当違いかもしれない情報の精査を――見当違いであったと結論付けるまでが本文と言って差し障りなく。

先生 手紙 >  
そうなると、この空間でさえ、第二の候補に挙がる。

異常が日常化している、人を誘い拒む反転世界。

そこに潜む怪異や稀人――開闢の光に曝され変容した世界の、それでも秘匿が住まう場所。

……知らず、『備え』をした。対穢礼装が光を帯びる。

出遭うモノが在るにせよ、孤独な踏破が待つにせよ。これは必要な動作だと、誰より手紙(じぶん)が知っている――

ご案内:「裏常世渋谷」から先生 手紙さんが去りました。
ご案内:「裏常世渋谷」に『単独捜査本部』さんが現れました。
『単独捜査本部』 >  
――では。この未踏の幽世の、ほんの一欠けらでも、暴いてしまおう。

『単独捜査本部』 >  
専用のデバイスが、その本分を発揮する。

「マッピング拡大。プロトコロル続行」

【諒解しました】

紫煙を引き連れて歩く。悠然と。

それは、秘するモノたちからすれば冒涜と取られ、襲い掛かられても仕方がない――未知を既知へと変える歩みだった。

【三番街・瘴気規定外――修正。現状況に於いて規定値

次。路地裏。

【残留思念、顕現閾値達成】

今は不問。成るなら成ったで、対処すれば良し。

『単独捜査本部』 >  
ディティールが『表』と大雑把に似ていても、差異は生まれる。

それがこの空間の個性なのか、それとも異常なのか。ひとつひとつ検分し、入力し、データ化する。

――例えば路地裏のゴミ箱。いま見えるソレのフタは開いているが、表に戻って同じ座標に行けばどうなっているか。

位相を共有していない、単独での捜査だ。手伝ってくれる人物がいない以上、手間は二倍に増える。

それでいい。

『単独捜査本部』 >  
――そうして、数々の無為を束ねた先。『止まれ』の標識が立つ十字路に辿り着いた。

この令に従う謂れはないが、とにかく進んで左に曲がれば――『表』の大通りに出るだろう。

通信は外部と断絶されている。多機能な学生手帳は健気にオフラインでの作業をこなしていた。

「ふーっ……」

二本目の煙草。少し笑う。そういえば、これを買いに出てきたっていうのに。気づけばこんなことをしている自分に。

『単独捜査本部』 >  
やがて。

十字路を曲がった先。踏み出すと同時に――

――夜を知らない、常世渋谷の喧騒と明かりが耳と目を叩いた。


現状の滞在時間で調べるところは調べた。次はこの、『表の渋谷』を洗い出そう――

ご案内:「裏常世渋谷」から『単独捜査本部』さんが去りました。