2024/07/21 のログ
ご案内:「裏常世渋谷」にミア・コレットさんが現れました。
ミア・コレット >  
今日は裏に入るのがかなり夜遅くになってしまった。
それも緊急の案件だから、に他ならない。

常世渋谷にて神隠し事件発生。
恐らく、裏に迷い込んだ模様。
そういう情報が久那土会に来た。

拐われたのは16歳の少年。
神川大樹(カミカワ タイキ)くん。
裏の存在に喰われるか、裏の存在に成り果てる前に助けなければならない。

携帯デバイスで神川くんの写真を確認する。
必ず助ける!

ミア・コレット >  
夜の裏渋を駆け抜ける。
極彩色に狂う色彩が目に痛い。
歪んだパースの街並みは人を飲み込むように順路を荒れ狂わせる。

こんなところに常人がいていいはずがない。

走る最中、老婆の怪異を見つけて声をかけた。

「ごめんなさい、16歳の少年を探しているのだけれど」

おはぐろ婆 >  
「お歯黒べったりー!!」

叫びながら真っ黒な歯を見せつけた。
驚かすことで生き長らえて来た怪異の一種。

狸の怪異、おはぐろ婆だ。

ミア・コレット >  
「そう……なかなか格好いいよ」
「私もイカスミパスタ食べたらそうなるし」

肩を竦めて答えておく。

「それで、さっきの質問だけど」

おはぐろ婆 >  
「なんだいノリが悪いねぇ」
男子(おのこ)なら最近、キツネのヤツが表からさらってきたよ」

「だが気をつけな、あいつは二尾だ」

ダルそうに口元を隠して、また驚かす相手を待つ姿勢。

ミア・コレット >  
「ありがとうおばあちゃん!!」

キツネの怪異を探して再び街を駆け抜ける。
途中で何度か怪異を倒し、先に進む。

そして、2メートルほどの……
尻尾が二本生えたキツネを見つけて問いかける。

「ごめんね、16歳くらいの少年を探しているんだ」
「なにか知ってたら教えてくれないかな」

コロヘタ >  
「頭が高いねぇ、このコロヘタキツネに対して」
「子供なら拐ってきたよ、それがどうしたってんだ」

鷹揚な仕草で喉の辺りを掻いて。

「まだこの世界に馴染んだ肉になってないからね……」
「食べ頃まで置いておくつもりさ」

そう言い捨てて邪悪に笑った。

ミア・コレット >  
「それ……ウソでもホントでも気にしちゃうよ」
「私、その子を助けに潜ってきたから」

経験上、だが。
怪異はあまりウソをつかない。
ウソを口にするのも人間性なのかも知れない。

「いい? その子を連れてきて」
「今ならまだ黙っててあげるから」

拳銃を抜いて残弾を確認した。
大丈夫、まだマガジン1個分は余力がある。

コロヘタ >  
「黙るのはアンタのほうだ!!」
「このコロヘタキツネに指図なんてするもんじゃあないよ!!」

二尾のキツネは大きく体を撓ませると、狐火を作り出して放出した。
有機物に触れれば燃え上がる火の玉、その数3個。

「焼いた肉なんて好みじゃあないけどね……」
「アンタには似合いの末路さ」

ミア・コレット >  
狐火を確認。
拳銃を二発撃ってから横に跳ぶ。
微妙にホーミングしてくるな……!!

「エトランゼーッ!!」

真っ赤な肌をした老婆がその場に現れる。
さっきのおばあちゃんにイメージが引っ張られたかな…!

「汝の名は、オニババ!!」

オニババのエトランゼがその場で拳を振る。
拳圧で狐火は吹き散らされてしまった。

「やっちゃえ、オニババ!!」

その瞬間、オニババはガマクを入れる。
琉球空手で言う膝抜きだ。
丹田に集めたエネルギーを左右の股関節を使うことによって『力』に変化させるそれは。
片足の膝を抜いてもう片方の足に瞬間的に体重をかけることで、発生する反力を移動や打撃力に利用する技法だ。

要するに。
素早く動いて正拳突きを浴びせられるのだ!!

コロヘタ >  
「おっと」

尻尾を素早く振って拳銃弾を弾き飛ばす。
狐は年を経ると尻尾が増える。
そうして怪異として強大になっていく。

オニババが接近すると拳打を受けて怯み。

「厄介な!!」

前足で鋭爪を使い、オニババに反撃した。

ミア・コレット >  
「!!」

オニババのエトランゼが黄色い血を噴出して後方に弾かれた。
相手は接近戦も相当やる相手らしい。

「もういいよ、オニババ! 戻って!!」

拳銃弾を撃ちながらエトランゼを影の中に戻す。
コロヘタの左側に回り込むように走る。
さて、次はどういう一手で攻めるか……

戦うイメージを全身に巡らせる。

コロヘタ >  
拳銃弾を尻尾で防ぎながら吠える。

「死ねぇッ!! 人間が!!」

毛並みを逆立たせると、金色の毛を針として射出した。
その太い針弾は当たれば致命的だ。

ミア・コレット >  
「ヤバ……!」

放たれた毛針の弾丸を太ももに受けて蹲る。
痛いな、もう!!

「あー……私、かなり傷の治りが早いほうだけどさ…」
「痛みには一切慣れないな……」

軽口を叩け! 戦う意識を保て!!
相手に必殺の一撃を浴びせるエトランゼを作り出すために!!

コロヘタ >  
「そうだ、お前ら人間は痛みに弱い」
「昨日拐ってきたガキも数回引っ叩いたら泣き喚いておったわ」

「脆弱な存在がこのコロヘタに楯突くからそうなるのだ!!」

ミア・コレット >  
「あの子に……」

顔を上げると、その瞳が金色に染まっている。

「何をしたって、怪異」

怒りが戦う心を作り出す。
今ならなんだって呼べる。

この狐を討伐する力を!!

「エトランゼー!!」

拳を振り上げると、長い髪を振り乱した女の怪異が姿を表す。

「汝の名は、肉吸い!! 生命力を吸い上げ、己が力とする者なり!!」

エトランゼが素早く動いてコロヘタの狐に襲いかかる!!

コロヘタ >  
「きッ! 貴様……黄金瞳の…!」
「今更何を……ぬるいわ!!」

尻尾を横薙ぎに振り払い、肉吸いを蹴散らさんと。

ミア・コレット >  
肉吸いは相手の尾撃を、壁に指を引っ掛けてヴォルト。
クライムアップ(登り)からのPKロールでコロヘタの後方に着地した。

この肉吸い、かなり動ける!!

コロヘタ >  
「鬱陶しいわ!!」

毛針と狐火を連続で速射して。

ミア・コレット >  
肉吸いはウォールラン(壁走り)からのティックタック(三角跳び)。
そのままコロヘタの頭部にプレシジョン(着地、掴まる)。

「やっちゃえ、肉吸い!!」

女の怪異は相手の生命力を。
頭部に突き立てた両手の指から吸い上げていく。

コロヘタ >  
「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

叫びながら暴れ、振り払おうとするも。
その余力さえも肉吸いに喰らい尽くされて。

「このコロヘタキツネが……何故…」

その場に轟音を立てて倒れ込み。
しゅるしゅると縮むと一匹の狐の死体に転じていた。

ミア・コレット >  
「はぁ……はぁ…」

荒い呼吸をする間に瞳の金は色が失われていく。
太ももの出血を応急手当すると。

立ち上がって少年を探しに行く。


見つけた少年は衰弱していたものの。
連れて帰って手当を受ければ数日で会話できるようになったらしい。

私は思う。
あの狐の怪異が言った黄金瞳とはなんだろう、と。

そんな思考も忙しい毎日の中で埋没していった。
(主にバイトで)

ご案内:「裏常世渋谷」からミア・コレットさんが去りました。