2024/11/29 のログ
ご案内:「裏常世渋谷 ギャラリー「The SEVEN SINS」」に龍 翠蓮さんが現れました。
ご案内:「裏常世渋谷 ギャラリー「The SEVEN SINS」」に能守重高さんが現れました。
裏常世渋谷の何処か >  
-常世学園を中心に流れる、謎めいた噂話、あるいは都市伝説-

曰く、裏常世渋谷の何処かには「七罪」を冠したギャラリーが立っており、
そのギャラリーのオーナーに金を支払えば、不思議な力を持つ
アーティファクトを手に入れることが出来るのだという。


そんな噂話が何処まで広がっているのか、そんな事は与り知る所ではない、といった雰囲気で、
「The SEVEN SINS」の看板を掲げた洋館は、裏常世渋谷の霧の中にひっそりと佇んでいるのであった。

能守重高 > 先日に改めて訪問すると告げてから半月ほど経過した。
色々と所用が積み重なり、時間を作る事もままならず気づけば半月。

裏常世渋谷の何処かにあると聞くとあるギャラリーの前にふらりと現れた小柄な人影。
8割ほど和装に身を包んだその存在はゆっくりととある洋館の扉に手をかけ中に入っていく。
霧深き中に佇む洋館は今日も健在でありました。

「今日も変わらずあったということに」

先日も見るだけ見て終わったが、今回はよい出会いがある事を望んできた。さて…。

龍 翠蓮 >  
「♪~~~……おや。」

扉を開けると、鼻歌を歌いながらフロアの埃を払っていた、白いチャイナドレスに赤いロングジャケットの姿。
微笑むように細められている目は、以前とはまるで変らない。

「これはこれは、お客様のお越しに気付かず失礼を。
ようこそ、ギャラリー「The SEVEN SINS」へ――――――おや。」

其処まで口にした所で、おや、と首を傾げる仕草。

「……ふむ、ふむふむ。
記憶に間違いがなければ、確かお客様のような御姿の方は初見の筈。
ですが、これまた記憶に間違いがなければ……以前に、ご来店頂いたような雰囲気が。

――はてはて。」

姿と気配の齟齬。
あるいは自分も若年性健忘症か、と少し困った雰囲気で首を傾げる店主。

姿が違うのである、ある意味無理もなしか。

能守重高 > 「……どうも。」

前回も扉開けて中に入ったらその場にいた、確かギャラリーオーナーの龍翠蓮氏。
他人の名前と外見を覚える方に長けているとは思えないので自信は今一ない。

前と姿が違うのだが気配や魔力の違いはないので、
気配など読む事に長けている者からしたら『外見が変わりましたか』と言われる程度。
このギャラリーオーナー氏は完全に看破する一歩手前までで首を傾げているようで、雰囲気で見破るとは。
流石 美術品かアーティファクトを取り扱う眼は誤魔化せないという事か。

「前に褐色のダークエルフの姿にて参りました。
 幾分か背が縮みましたが、名乗った記憶が若干ありますので改めて。
 能守重高で御座います。前に暴食の間と…いくつかの間を案内して頂いています。」

姿勢正しくしてから深々と店主に向けて首を垂れる少女。
頭を上げた後は じっと店主を見上げて。

「今回もですが、よき出会いに恵まれる事を望みます」

龍 翠蓮 >  
「――おや、おやおや、あの時の!」

名乗られれば、得心がいったとばかりにぱちん、とひとつ手を打つ。
たちまちその顔も笑顔に。

「ええ、ええ、覚えておりますとも!
言われましたら、確かにあの時の黒いお嬢様と同じ気配!

またご来訪頂けるとは、嬉しい限りです、はい!」

と、改めて居住まいを正し、こほんとひとつ咳払い。

「…いかなる理由で姿が、などと野暮な事は問いますまい。
再度のご来訪、感謝の限りで御座います。
心往くまで、お楽しみを頂けましたら幸い。

――あるいは、何某か…これ、と言うようなお求めやご要望などございましたら、
(ワタクシ)の方からご案内なども可能で御座いますが。」

と、提案をひとつ。
もしも何か、これと言うものが方向性位でもあれば、案内位は出来る、という事らしい。
 

能守重高 > 前は名と外見に違和感と齟齬が見受けられたものの、
今回は名と外見に違和感は微塵もない、日本人らしい?名を持つ風貌。

「はい。あの節は大変お世話になりました」

時々言葉遣いが濁るものの丁寧に努めているような感じを匂わせたまま
気配は意識をしてきちんと形造ろうとしている。
気配を殺しているとかはないが無意識だとそこにいるのに気配が消える。

「黒いお嬢様…ダークエルフは黒いでしょうか、あー黒いですね。
 強いて言えば、音楽に関するものか、料理に関するものかを考えています。
 どちらにするかは決めかねているのですが、音楽ならば撥弦楽器、弦楽器を、料理ならば包丁?」

二つほど考えている事を伝えたい。
方向性は変わらず迷走しているらしい。提案を受けてまだ心の迷いはある模様。

龍 翠蓮 >  
「いえいえ、久方ぶりのお客様、ワタクシとしましても大変嬉しゅうございました。」

そんな事を笑顔で答えつつ、要望を伝えられれば、ふむ、と思案に。

「ふむ……音楽、あるいは料理、ですか。」

ふむふむ、と顎に軽く手を当てて考え込み――少しばかりの間を置いて、その唇がゆるりと笑みに。

「撥弦楽器か弦楽器。
でしたらば――そうですね、いくつか候補はございますが、丁度、入れ替えで
先日表に出して来たヴァイオリンが、ひとつ。
お眼鏡に叶うかは…こればかりはお嬢様と「ソレ」との相性次第、でしょうが。

これもあるいは何かの巡り合わせかも知れませんが――如何いたします?」

興味があるならば案内する、といった様子である。
後はお客様次第、と言う所か。

能守重高 > ギャラリーにお邪魔している身と弁えて居るからこそ、
きちんと言葉遣いはさておき所作は全うにしようと努力は怠らない。

「方向性が迷走をしておりますが可能でしょうか」

音楽と料理は繋がりは薄い、何方かに絞ろうとしたが
何方も趣味で嗜んでいたのもありプロではないがアマチュアにしては腕はよい方とは思う。
店主が考えている間大人しく佇んでいたし、表情に変化が乏しく。

「バイオリンが御座いますと? では、その案内を是非」

興味は存分にある、どのような存在がいるのか。
バイオリンの構造や音色などが気になって仕方がない、という具合。

龍 翠蓮 >  
「かしこまりました、お嬢様。
では僭越ながら、ワタクシ、龍 翠蓮が案内を務めさせて頂きます。」

折り目正しく、しかしどこか優雅に。
案内を求められれば、ゆるりと一礼をしてから小さく微笑み、先導するようにこつりと一つ足音。

ゆるゆると、お客様を置き去りにする事なく、しかし遅すぎる事のない歩幅で向かった先は――
「Gula」の単語の下に、翼を広げる鳥…恐らくは鴉であろう意匠の金属板が掲げられた部屋。
「強欲の間」である。

「――お待たせしました。こちらに。」

と、以前に訪れた他の部屋同様、様々なアクセサリがケースの中で展示されている中、
部屋の真ん中近くに配置された、大きめの透明なケースへと脚を進め、オーナーはその傍らに立つ。

ケースの中には、木製のバイオリンスタンドに立てかけられた、一丁のバイオリン。
しかし、その姿はあまりにも異質であった。

まず、その色。
木目こそ分かるが、そのボディの色は真っ黒だ。
ニスが塗られている為、光沢はあるが、それがなければ闇夜にとけてしまいそうな色。

そして、ボディ全体に施された細工。象嵌細工である。
下品にならぬよう、しかし丹念に、黒いボディを乳白色の輝きが彩っている。
F字孔のある表板は然程でもないが、側板にもしっかりと細工がある。
スタンドが邪魔でよく見えないが、恐らく裏板には更に手の込んだ細工が施されている、と見て間違いないだろう。

通常、こんな細工をしたバイオリンは板の強度や重量などに難を抱える事が多い。
だが…このギャラリーにある品は「アーティファクト」である。
この黒いバイオリンも、実用に耐える代物と見て間違いはないだろう。
 

能守重高 > 「はい。」

優雅さはすぐに身につきそうにない、まぁ諦めた節はある。
彼女に遅れる事はないが足音は立てるように後ろをついていく形で追従していく。
前に足を踏み入れたことは記憶…しているがきちんと一つ一つ見たことは覚えていない。
「強欲の間」とは七つの大罪の一つ、とは何かの文献で眺めた程度の覚えであった。
宗教か何かの関連と記憶の片隅が囁くが真っ当な正しい知識とも思えないので一先ず由来については放置した。

他の間もあながち普通はありえないのだが、強欲の間のひときわ目立つ大きなケースの中に収められた一挺の楽器。
一種の至高の芸術品が形造ってしまったバイオリンではないか。
まじまじと舐めるようにケースに近づきじっくりと見つめる様は素人のそれではなく一介の演奏家としての観察行動。

「漆黒のバイオリン、ですか。色は稀有ですね。
 闇が形を作り定着し、全てにおいて象嵌細工がされた…重量はどうにかしても強度が心配ですが…。
 引く音色は…魂を揺さぶる悪魔的な音色を紡ぐのでしょうか。
 見る分にも何というか…美しい芸術品ですね 素晴らしいです。」

これ売買している?交渉次第でものにできる?
信じられん、という顔でケースから店主へと視線を漸く戻した。

龍 翠蓮 >  
「お褒めに与り、恐悦至極に御座います。
……実を言いますと、こちらのヴァイオリン、楽器そのものはさる無名の職人の手になるものですが、
細工に関しては相談と了承の上、ワタクシが手掛けておりまして。」

評価に対して、流麗に一礼を返しつつ、意外とも思える告白。
この象嵌細工、嘘か真かチャイナドレス姿のオーナーの手によるものらしい。

「――手掛けた方は、腕こそ確かでしたものの、時の運と見られる目に恵まれぬ方でした。
手掛けた楽器は正当な評価を受けられずに買い叩かれ…無念の中で店を畳もうとしていた処に、
ワタクシが無理を言って「最後の一丁」の制作を依頼したのでございます。

「己の腕を認められたい」「己の楽器で、この世のモノと思えぬ曲を奏でて貰いたい」……。
その執念を限界まで込めて造って頂いた一丁に、ワタクシが「化粧」とエンチャントを施し――
斯くて、この一丁、『バズヴ・カタ』が出来上がったので御座います。」

言いながら、立ち位置を変えてジャケットから鍵を取り出し…開錠の音。
そっと透明なケースを取り払うと、黒いバイオリンが隔離から解き放たれる。
――何処か、只の楽器にはない、執念染みた気配を感じるかも知れない。

「…お嬢様がお望みでしたら、どうぞお手に。
試し弾きも、よろしゅうございますよ。」

誘うような、穏やかな声。

能守重高 > バイオリンの歴史は意外と長くはなく大変容以前の1500から1600年頃に大体の原型が出来たとされている。
数多の制作一族や演奏家が世に放たれ活躍をしたのが大変容前。今も制作家はいると思うが、
正直復元不可能な楽器が数多あり修復は出来ても復元が不可能な楽器がある中、
今ここにある楽器はそれとは別次元で存在していてよいのかと思うほど魅惑的な楽器。

「楽器の制作者は無名の職人。加工は…店主。
 え?製作者と相談であらば強度は大丈夫、と見てもよいのでしょうね。
 なんというか執念と得体のしれぬ気配を漂わせる楽器です。

 封印されていた空間から取り出され、てしまいましたね。」

バズヴ・カタと名のある黒いバイオリンがケースの外に出された。
空気が変わった、普通の人では耐え切れない、精神が持っていかれる。
大変容以前に悪魔と契約をしたのでは噂が髙かったとある演奏家がいたが、
その者のような風格がある楽器と店主を交互に見てから、誘うような声に対して。

「少しだけ試し弾きをしてもよろしいでしょうか。」

何というか意識はきちんと持たねば これは持っていかれる。

龍 翠蓮 >  
「かしこまりました。では先に弓を。
エンチャントはヴァイオリン本体にかけておりますから、弦については
消耗品として考えて頂いて大丈夫ですよ。」

と言いながら先に弓を。
こちらは普通の品のようだが…それでも随分と上質そうである。

「――試し弾きの前に、ご注意を。」

黒いバイオリンを手に取った店主が、少しばかり真剣そうな表情で口を開く。

「このヴァイオリン…『バズヴ・カタ』ですが、此処「強欲の間」に置かれるべき理由は当然ございます。
曲を奏でる者には、「この曲を他者に聞かせたい」「聞く者の心を奪い去りたい」という欲を、
聞く者には「もっと曲を聞きたい」「この楽器の曲がなくては正気でいられない」という「欲」を呼ぶのです。

――お嬢様も、気を確りとお持ちに。
くれぐれも、心を奪われませぬよう。」

言いながら、黒いバイオリンが差し出される。
ちらりと見えた裏面には、象嵌細工で以て描かれている、三羽の鴉。
気のせいだろうか、その鴉の象嵌細工の眼が、一瞬不自然に光った――様な気がしたかも知れない。
 

能守重高 > 「はい。弓は流石に…木と弦は馬毛でしょうから…消耗品ですね。
 色々な施しは楽器本体にですか…ほう。これは中々お高い」

弓が先に差し出された。保管用に緩められている弦を慣れたように螺子を回し適度な張りを仕立てよう。
試し弾きといってもきちんとしないと楽器を痛める恐れがあるから気を付けているのだった。

説明を聞いていた時に楽器の裏面に彫られた鴉の目付近が光った気がしたが、気のせいかと思って見過ごした。

楽器を恭しく受け取り、肩当ては流石に持参していなかったので試し弾きなのでどうにか乗り切ろうとしていた。
何処からか取り出したる手拭いを折り畳んで肩に乗せると
その上にバイオリンの裏面の端を乗せ構え、弦の上に弓をあてがい軽く一音鳴らす。

弾く瀬戸際に楽器本体から『欲』を囁くような声が聞こえてきた。
これは持っていかれるだろうなと思い、意識を高く持ち軽やかに重音奏法や左手ピッツィカート等を駆使し、
素人のそれではないバイオリン奏法をもって一曲弾き切って見せた。

「『欲』深きバイオリンでありました。
 普通の人には持つにも苦労は絶えません、常時囁いておりますね。
 演奏家にとっては数多ある伝説級のバイオリンに勝る楽器です」

試し弾きなので楽器をまずは店主にお返しをし、弦を緩めてから弓を遅れて差し出す。

龍 翠蓮 >  
「――――確かに。」

感想と、返された黒いバイオリンを静かに受け取り、店主はそれを一度スタンドにそっと戻す。
続いて弓を受け取り、其処で一呼吸。

「………黒いお嬢様、見事な業前で御座いました。
試しとはいえ、初で以て、其処まで己を保ったまま、この子を此処まで弾きこなされるとは。

今までこの子に対面した方々は、多くが囁きに屈してワタクシが演奏を止める事になり、
それ以外は本能的にこの子の「欲」を怖れ、尻込みなさる方々でした。」

同時に、その顔がにっこりと笑顔に。
スタンドに置かれたバイオリンの側板を、延ばされた指が軽く撫ぜる。

――同時に、触れてもいないのに、バイオリンの弦が震え、幽かに泣くような、しかし歓喜するようにも思える音。

「…この通り、この子も歓んでおります。
ええ、お褒め頂いただけでなく、「呑まれる」事なく弾きこなされた事を。

お嬢様さえよろしければ、是非にもこの子をお持ち頂きたい所でありますとも。
この子も、然るべき奏者の手にあるなら本望でしょう、ええ。」

にっこりと、そう、躊躇う事も無く、買い手となって貰いたいと一言。

能守重高 > 「いえまだ精進せねばならぬ身です。
 試しでよかった、私めは種族上メンタルだけは強いと思います。
 他がお座成りになっている節が若干ありますがこれは日々心身ともに鍛え続けていかねばと思う次第。

 欲を恐れるのではなく…歓んでおりますか。それはそれはうれしい限りです。
 私でよろしければ、お出迎えに値するかが…図りかねておりますが、
 幾らほどお包みすれば宜しいでしょうか?」

言葉をあえて選ぶ様にモノではなく一つの存在として大事に使おうと思うからこそ、
直接的な表現は極力避けたような言い様であった。

龍 翠蓮 >  
「お嬢様は謙虚でございますね。しかし同時に向上心も強い。
ええ、善き事です。」

笑顔でそう語りつつ、「包む内容」については軽く指を顎に当てて。

「そうですね――お嬢様がご自由になる懐具合のうちで、この子に対しどれ程の価値を見て頂けるか。
それを以て、譲渡を行いたく。」

出て来た言葉は、意外と思えるかもしれないもの。
オーナーの裁量による価格付けではなく、「客がどれだけの価値を出すか」という、ある意味客任せ。

「意外、と思われますか?
――ですが、お嬢様ならばどれだけ悩んで出した結論であっても、必ずやそれが
相応しいものになると、ワタクシ個人は思いますので。

もし「自由になる分」全てを出しても足りない…と感じられましたら、その全てで以てお渡しを。
不足分は――将来性豊かな奏者への、ワタクシからの先行投資とでも思ってくださいまし。」

にこり、と穏やかな笑顔を添えて。