概要(クリックで展開/格納)
歓楽「街」・落第「街」・異邦人「街」か交わり合う境界線上に「発生」した「境界の街」。
通称、「常世渋谷」。
歓楽街より治安の悪い部分があり、かつ落第街ほどには闇・血に染まってはいない。
異邦人街の要素も多く含まれた「街」。
三つの街の融合体であるともいえる。
地球と異世界の文化がひっくり返した玩具箱の玩具のように無秩序に積み重なっている。
あらゆる都市文化が混淆し、あるいは独自に主張しあう混沌街。現代のバビロン。
常に変化を繰り返す生ける「街」。
歓楽街の誕生と広がりとともに「発生」した街である。
「日本国」のかつての「渋谷」に似ていると言われており、いつしか学園草創期の日本人学生から「常世渋谷」と呼ばれるようになり、それが今では通称となっている。
巨大な街頭スクリーンとスクランブル交差点、巨大なファッションビルが有名で、この景観が「渋谷」に酷似しているとされる。
「新宿」や「原宿」の要素もあるという。学生街のような綺麗に整理された街であるわけではなく、「闇」の部分も持っている。
常世島の都市行政区画では「歓楽街」の一部である。
「街」が一つの生き物であるかのように常に変化しており、ブームの流行り廃りも激しい。
「地球」と異世界の文化が混じり合い、独特のファッションが流行している。
常世島の最新モードを知りたければこの街に来るべきである。
一部の怪しげな店舗で販売されている異世界由来の服飾品(アクセサリー)などを身につける者たちも珍しくないが、そのために何かしらの問題に巻き込まれる場合も少なくない。
「夜の街」としての性格も強く、ホストクラブやキャバクラといった水商売系の部活・業種も多い。眠らない街としての側面も存在する。
これらの業種は必ずしも学園側から禁止されているわけではないものの、違法な行為を行った場合などは手入れが入ることもある。
悪質な店舗も一部存在し、その被害に遇う者もいる。
治安は上述したとおり必ずしもいいとは言えない。
しかし、日中であったり、人気の多い路地などであれば概ね安心して歩くことができるだろう。
もし危険や厄介事に遭遇したくなければ、入り組んだ街の奥や路地裏などには入らない方が懸命である。
常世渋谷には不良・違反学生グループ・ギャング等が存在しており、喧嘩などが起こることも珍しくない。
歓楽街・落第街・異邦人街という三つの街の境界に位置しており、微妙な問題も少なからず抱えていることから、風紀委員会や公安委員会も直接手を出すことがなかなか出来ない場所である。
この「街」は欲望の解放のためのある種の「必要悪」であるなど揶揄されることもある。
都市伝説の類が多く、特定の時間(黄昏時や朝焼け時の「境界的」な時間)に交差点などの「境界」の場所に赴くと、位相の異なる「裏常世渋谷」(「裏渋」などと略される)ともいえる空間に行くことができる、迷い込んでしまうとの噂がある。
あくまで都市伝説の類であり、現象の実態が全て解明されたわけではないが、少なからず行方不明者も出ている。
条件さえ知ることができればある程度自由な出入りが可能とも、一度迷い込めば出ることは難しいとも、様々な噂が流れている。
何かしらの道具(携帯端末であったり「本」であったりアクセサリーであったり)を用いることで「裏常世渋谷」に行くことも可能だとも言われている。
風紀委員会・公安委員会・生活委員会・祭祀局などはこの現象を把握してはいるものの、常世渋谷という「街」への人の流入を止めることはできていない。
この現象は不確かな点が多いため、この現象についての根本的な解決策は現在のところ存在しない。
元より、そういった現象が少なからず存在するのが常世島である。
「裏常世渋谷」への迷い込みは「街に呑まれる」などと表現されることが多い。
混乱や秩序壊乱を避けるため、「街に呑まれる」現象については一般に公開されてはいないが、一部の学生やSNS上では都市伝説としてこの情報が広まっている。
「街」という名の「怪異」とも表現される。
林立する建物群をジャングルの木々に例え、歓楽街の森などと呼ばれることもある。
「街に呑まれ」れば戻ることができないという警句は、「裏常世渋谷」にもそういった深い森のような側面があることを示しているという。
または「混沌」が極端に戯画された街とも呼ばれる。
上述した都市伝説を含め、「都市型」の亡霊・幽霊・怪異などの噂が多く、現実にそういった存在と出会ってしまう例も報告されている。
霊的な存在が原因での霊障事件も珍しくない。
そういった存在や事件が多く語られるのはこの街が「境界」上に存在しているからだとまことしやかに語る者もいる。
概要(クリックで展開/格納)
歓楽「街」・落第「街」・異邦人「街」か交わり合う境界線上に「発生」した「境界の街」。
通称、「常世渋谷」。
歓楽街より治安の悪い部分があり、かつ落第街ほどには闇・血に染まってはいない。
異邦人街の要素も多く含まれた「街」。
三つの街の融合体であるともいえる。
地球と異世界の文化がひっくり返した玩具箱の玩具のように無秩序に積み重なっている。
あらゆる都市文化が混淆し、あるいは独自に主張しあう混沌街。現代のバビロン。
常に変化を繰り返す生ける「街」。
歓楽街の誕生と広がりとともに「発生」した街である。
「日本国」のかつての「渋谷」に似ていると言われており、いつしか学園草創期の日本人学生から「常世渋谷」と呼ばれるようになり、それが今では通称となっている。
巨大な街頭スクリーンとスクランブル交差点、巨大なファッションビルが有名で、この景観が「渋谷」に酷似しているとされる。
「新宿」や「原宿」の要素もあるという。学生街のような綺麗に整理された街であるわけではなく、「闇」の部分も持っている。
常世島の都市行政区画では「歓楽街」の一部である。
「街」が一つの生き物であるかのように常に変化しており、ブームの流行り廃りも激しい。
「地球」と異世界の文化が混じり合い、独特のファッションが流行している。
常世島の最新モードを知りたければこの街に来るべきである。
一部の怪しげな店舗で販売されている異世界由来の服飾品(アクセサリー)などを身につける者たちも珍しくないが、そのために何かしらの問題に巻き込まれる場合も少なくない。
「夜の街」としての性格も強く、ホストクラブやキャバクラといった水商売系の部活・業種も多い。眠らない街としての側面も存在する。
これらの業種は必ずしも学園側から禁止されているわけではないものの、違法な行為を行った場合などは手入れが入ることもある。
悪質な店舗も一部存在し、その被害に遇う者もいる。
治安は上述したとおり必ずしもいいとは言えない。
しかし、日中であったり、人気の多い路地などであれば概ね安心して歩くことができるだろう。
もし危険や厄介事に遭遇したくなければ、入り組んだ街の奥や路地裏などには入らない方が懸命である。
常世渋谷には不良・違反学生グループ・ギャング等が存在しており、喧嘩などが起こることも珍しくない。
歓楽街・落第街・異邦人街という三つの街の境界に位置しており、微妙な問題も少なからず抱えていることから、風紀委員会や公安委員会も直接手を出すことがなかなか出来ない場所である。
この「街」は欲望の解放のためのある種の「必要悪」であるなど揶揄されることもある。
都市伝説の類が多く、特定の時間(黄昏時や朝焼け時の「境界的」な時間)に交差点などの「境界」の場所に赴くと、位相の異なる「裏常世渋谷」(「裏渋」などと略される)ともいえる空間に行くことができる、迷い込んでしまうとの噂がある。
あくまで都市伝説の類であり、現象の実態が全て解明されたわけではないが、少なからず行方不明者も出ている。
条件さえ知ることができればある程度自由な出入りが可能とも、一度迷い込めば出ることは難しいとも、様々な噂が流れている。
何かしらの道具(携帯端末であったり「本」であったりアクセサリーであったり)を用いることで「裏常世渋谷」に行くことも可能だとも言われている。
風紀委員会・公安委員会・生活委員会・祭祀局などはこの現象を把握してはいるものの、常世渋谷という「街」への人の流入を止めることはできていない。
この現象は不確かな点が多いため、この現象についての根本的な解決策は現在のところ存在しない。
元より、そういった現象が少なからず存在するのが常世島である。
「裏常世渋谷」への迷い込みは「街に呑まれる」などと表現されることが多い。
混乱や秩序壊乱を避けるため、「街に呑まれる」現象については一般に公開されてはいないが、一部の学生やSNS上では都市伝説としてこの情報が広まっている。
「街」という名の「怪異」とも表現される。
林立する建物群をジャングルの木々に例え、歓楽街の森などと呼ばれることもある。
「街に呑まれ」れば戻ることができないという警句は、「裏常世渋谷」にもそういった深い森のような側面があることを示しているという。
または「混沌」が極端に戯画された街とも呼ばれる。
上述した都市伝説を含め、「都市型」の亡霊・幽霊・怪異などの噂が多く、現実にそういった存在と出会ってしまう例も報告されている。
霊的な存在が原因での霊障事件も珍しくない。
そういった存在や事件が多く語られるのはこの街が「境界」上に存在しているからだとまことしやかに語る者もいる。
参加者(0):ROM(1)
Time:20:49:43 更新
ご案内:「常世渋谷 中央街(センター・ストリート)」から緋月さんが去りました。
ご案内:「常世渋谷 中央街(センター・ストリート)」からネームレスさんが去りました。
■緋月 >
「「理想」で在り続けるというのも、大変ですね。
期待に応えられる存在であるよう、己を高め続けないといけない。
――他人事でないのが、より大変な所です。」
最後の言葉だけは、我が身を振り返るような調子で。
「義務感、なんてものじゃないですが。
それだけ、見て貰っている身の上としては、下手が出来ませんね。
あなたが、私を「視ている」だけの価値がある相手だと思ってくれるなら、
その期待を裏切らないよう、無窮に向かって走り続けなくては。」
例え、極みという果てが見えなくても、走った道程は、決して無駄にはならないと。
そう信じ続けて、走らなくては。
「……方向音痴だけには、気を付けないといけませんけどね。」
小さく冗談めかした雰囲気と、己を戒める雰囲気。
まるで別方向に向く、ふたつが入り混じった言葉。
「視られて恥ずかしくない、情けない事にならないよう。
お互い、これからも気が抜けませんね。」
暗に、「こちらも視ている」という事を匂わせる言葉。
視られているのならば、その期待を裏切らないように、己を高め続けようと。
そんな会話を交わしつつ、夕暮れの街を行くふたりの影。
■ネームレス >
「…………」
唇は柔らかく、微笑んでいるようだったが。
天才――そう、掛け値なしの評価を受けても、増長することはなかった。
ただ、そのことばを、感情を、しっかり受け止めたのは、確かで。
――天才とは、
「……成し遂げて、自己を証明した者」
と、口にした。
圧倒的な能力、類まれなる才能、余人に持ち得ぬ世界。
過ぎたる異能、望まざる性質は呪いになるだろう。変容後の時代では、特に多い。
だからこそ――謎多き紅の星は、天才は認識されてはじめて天才になると定義する。
それは、あるだけの力では――ない。
「どうにも、ボクを美化して視るヒトが一定数いる。
まあ、これだけ魅力的だと狂っちゃってもおかしかないケド。
……だから、キミもまた、ボクがキミにとって価値ある存在だと思ってくれているなら」
能力に、容貌に、人柄に――心を砕いているのなら。
「キミが命を賭して……身を挺して護った。
それだけの価値がある者でいようと思う。
……もっともっと磨きをかけて、ツヤ出してかなきゃなって思っただけ」
ごまかすように小さく笑った。
夕焼けがたとえ、闇に呑まれても。
みずからが星となって輝くのだと決めている。
成し遂げるための道は、理想の自己を実現する道は未だ――半ばだから。
「キミのコト、視てるよ。
ぜんぶはまるで見通せてはいないケド……ね」
牢のなかでは鬼であったのだとしても。
そうして恐れられた才と心は、みずからにとって価値あるものだと。
貨幣ほど確かでない、主観からのことばは――
少女にとっては、信用に足るものだろうか。
■緋月 >
「………天才というのは、」
同じように、歩を進める。
「主観的なもの、ですよね。
その人その人で、そう感じる相手が異なる、のかも。」
同じく、脈絡のなさそうな話。
「私にとっては、あなたこそ天才ですよ。
――言葉に出来ないような、形容してしまったら陳腐になりそうな、得難いひとだと、思ってます。」
そんな言葉を、穏やかに返す。
ポニーテールと、それを結ぶリボンが軽く揺れた。
「……随分、突然に振ってきますよね。」
そんな事を、おまけにつけて。
■ネームレス >
「キミは」
歩を進める。
「天才だよ」
不意な――ともすれば、脈絡もなさそうな話。
「そして、価値ある人間だ。
すくなくとも、ボクはそう思ってる」
はっきりと、なめらかに。
ストールの奥から、白い吐息がふわりと零れながら。
決して負のニュアンスを含むわけでもないが、
強く賞賛したり、褒めたり……という色合いでもない声だった。
「報酬額の話じゃなくてな」
■緋月 >
「はい、一緒に。
それじゃ、その間までは時間を見て練習に励む事にします。
折角のお給金ですし、道具位は自分で揃えますよ。」
こういう時に使ってこその報酬だろう。
早速、何処へ買いに行くべきかを考え始める少女であった。
これからは、新たに彫刻の練習が日課にも加わるのだろう。
「しゃぶしゃぶですか…確かに、脂が落ちる分、お腹には優しいのかも。お寿司とかも頼めるみたいですし。
って、卑猥って何ですか卑猥って。」
と、突っ込みながら同じく道行く夕日の街中。
そこへ、唐突に声。
「……何ですか?」
返す言葉は、シンプルに、穏やかに。
■ネームレス >
「じゃ、一緒にやろうぜ。
キミと肩並べたのはなかなか刺激的な経験でもあった。
なんか面白いコト、起こせそうな気もするし」
勢い勇む彼女に、上機嫌にこちらは笑った。
首だけにされた女性の身体を創るのに面白さを持ち込もうとするが、
こういう存在なので諦めてもらうしかない。
「挽回の機会だ。逃す手はないぜ。
時が来たらまた伝える――材木と彫刻刀、用意しようか?練習にさ」
小さい刃物があれば、と言っていたし。
やらせたら案外すごいのかも、なんて期待もあったりする。
「それじゃあ、しゃぶしゃぶ……がいい。しゃぶしゃぶ。
なんかちょっと卑猥な響きなのがそれはそれでソソるし」
油滴る焼肉もいいものだが、なんかヘルシーな印象もある。
肉を食べたいという気持ちは揺るがないようだった。
そんなこんなで、暮れなずむ街。まだ夕日が照り、闇に呑まれきらない道を征く、
――なかで、
「……ねえ」
並んで歩くなか、不意に。
顔を見ないまま、出し抜けに声をかけた。
■緋月 >
「……えーと、」
かけられた言葉の意味をしっかり噛み砕いて、頭に馴染ませる。
この言葉はつまり――
「――わ、私が、その…「ソレ」を作る手伝いをしろ、と!?」
中々に突然の提案だった。思わず声が裏返りかける。
とはいえ――それは不安があるとか、そういったネガティブなものではなくて。
「……私の技で、力になるのであれば……やります! やってみせます!」
そう、突然の提案で、ちょっとばかり驚いただけ。
先生が元通りに動けるようになるための手伝いが出来るのならば――其処に否があろうものか。
ぐ、と腕に軽く力を込める。
「ですね……「大元」は解決したでしょうけど、細かい「後始末」はまだまだ残っている事でしょうし。
そちらの方が解決するまでに…頑張る事にします。」
「先輩」に相談した事で、幸いにも心の荒れは既に解消されていた。
それでも…心にまだ引っ掛かったものが残っている感は否めない。
それを取り除く機会を――当然、造形の腕を見込んでの事であろうが、
作ってくれたというのは、正直に言って有難いものだった。
「そうと決まれば…力を入れる為にも、沢山食べないといけませんね!
あなたも碌に食べてないなら、消化に良い所から慣らしていかないと、お腹がびっくりしますよ。」
一番いいのはお粥…と、それはあまりに病人扱い過ぎる。
兎も角、消化の良さげなものがメニューにありそうなお店が一番だろうか。
■ネームレス >
「ひとりでやるのはちょっと骨が折れそうだから、
いいカンジのパートナーを探してはいたんだケド」
技師の真似事をやろうとしているらしい。
人工骨格や臓器、筋肉や皮膚に至るまで。
医療技術は進歩してはいるものの、未だに肉体の欠損は重篤かつ深刻な負傷だ。
そんななかで見つけたアテは、やはり尋常な方法ではないのだが。
「ぜひ!
キミの造形センスの冴えをみせてほしいトコだね。
いろいろ前準備はいるから、すぐじゃないケド、一緒にやろうぜ。
そうでなくったって、あの先生のコトなら、キミは立ち会うべきだろうし」
自分はもう、入学への書類処理などの義理は、第ニ方舟の調査で返したと思っているが。
少女からすれば、ずいぶんな恩人であるらしいので――
そんなふうに声を弾ませながら、またなにかの片棒を担がせようとしている。
「そうすれば、キミの胸のつかえもいっこ取れるだろ。
すぐに全部元通りとはいかないから、しばらく先生の面倒はみなきゃだろうケドな。
……そのときに、あの事件のこれからを、また相談しようぜ」
おそらく、火急の報告がない、ということは。
少なくとも事件に対応するにあたって必要な情報ではないのだろう。
星核の運搬を任せ、その先でなにを話したか――きっと、プライバシーに近いと見ている。
エデンが緋月をいかに信じて、なにを委ねたのかは。
しかし、緋月の動機のひとつが大きく進展するのは、確かだろう――うまくいけば。
■緋月 >
「うーん…そんなに私、危ない感じに見えますか?」
そしてそんな自身の危険性を、完全に認識し切っていない残念少女。
他者を理解しようとして斬ってしまう所はよくないと思うので、なるべく抑えるようにしてはいるが、
こういう「斬るのが困難」な存在に対する挑戦心は、無意識に滲み出てしまうのが分かっていない。
「大道芸の域ですけど、刀を使って木から何かを彫り出すというのはやった事がありますから。
本当に大雑把なので、細かい所は小回りの利く刃物を使ってやりたいんですけどね…。
しかし、今の世の歌というのは作るのが大変なのですね…。」
器用である。去年の夏、大会で氷を削って中に入った果物をゲットしたりもしていた。
そうして、現在の世で「歌を作る」事が彫刻などよりある意味大変な仕事なのだな、と改めて認識。
「成程、誰かさんが変な遊びを覚えてしまわないよう、見張っているのに必要な書類という訳ですね!」
ちくりと一言。書類、と言う程に大がかりなものでも…ないのだろうが。
「そう、ですか…それは――よかったです……
って、いきなり何ですかびっくりした!」
色々と大変な事になってしまった先生が、歩けるようになる可能性が現実的になってきた。
そこに感慨を感じた所に突然の声である。そりゃ驚くのも無理はない。
■ネームレス >
「ン。調子戻ってきたんじゃない?
やっぱそーゆー、ギラっとしてるトコがスキだな」
にひ、とこちらもいつものように笑った。
危険人物ではある、間違いなく。惹かれるのは、そんな相手にばかりだ。
「キミ、絵心はありそうだけど立体造形もいけるのか……?
気になるケド……うん、だいたいそんなカンジ。話がはやくて助かるね。
こっから詞を乗せて、調整して……
演奏者を募って、編曲に仮作成に……
やるコトたくさんだケド、苦しい時期は過ぎた、かな……たぶん」
彫刻や画工の没入と違うのは、仕上げにおいて多くの人間が関わるということ。
それはそれでまた別の苦労がありそうな話をしつつも、楽しげに。
「そのためにもパスポート!島から出るのに必要な証明書だよ。
島外に足運ぶのに、護衛なしで行ってもイイならいいケド……
ハリウッド女優とでもお近づきになるからさ」
しれっと言いつつ、足取りは軽やかに。
「――うん。 たぶんイケるとは思うから安心して――
……あ、そうだ。ソレじゃん!」
ぐるん、と振り向いて、声をあげた。
既に表通りに出てるので、なんだなんだと視線が集まる。
■緋月 >
「――――?」
何か、あまりよろしくないような表情。
そこに軽く首を傾げるが、直後の話に流されてしまう。
「…まあ、そう言われるとその通りなんですが。
あの星核みたいな無茶な生き物が、そうそう出て来るとは思えませんし…。」
目標は見えたが、其処に届くまで、そして「実証」自体がまだまだ暗中模索の真っただ中である。
「諦めろと言われたら、悪足掻きしたくなるのが性分なもので。
――あの御業をも斬れるに足る一太刀、今は無理でも必ずや。」
と、挑戦的な表情。
こと、何かを斬ろうとするとすぐ熱が入る。方向性を間違えば辻斬りまっしぐらで危なっかしい。
そうして、まず一つ目のお話を聞けば、
「デモ…というと、大まかな形にはなってきた、って奴ですか。
そこからまた、細やかに形とかを整えて、そして完成、でしたっけ。
整える前の形も是非聴いてみたいものです。」
作曲、というものがどのようなものかは、大まかだが分かって来た少女。
最も、一番近い理解の解釈が「彫刻」である辺り、やはり和の人間である。
そうしてもうひとつのお話を聞けば、
「――先生が、歩けるように。」
呆けたような口調で、そう口に出して、
「…えっと、それは…新しい身体のアテが出来たって事、ですか…!?」
歓喜と驚きの混じった声が出て来る。
■ネームレス >
「キミもたいがい浮気性だからなぁ」
からかい混じりに話しつつも――、……。
彼女の天才性と、その一族の特異性。"宿命"が導いた理想形の具現。
話を聞けば聞くほどに、"できてしまうのだろう"という感覚が湧く。
「それは、」
だが。
輪廻を斬ると言われたときに、ふと――脳裏になにかが過ぎった。
決して良くない予感だろうことは表情が語ったが、しかし、
「………いや。とにかく、そんな生まれ変わる生き物が出てこないコトには、だね」
言語化できるほど確かなものではなく、曖昧に濁してはしまったが。
「アレはボクの手札のなかでもとっておきの部類だからなァ。
撃てる状況が整った時点で諦めてもらうしかない」
肩を竦める。市街地であんなもんぶっ放したら大変なことになるのだ。
荒野かつ防護結界が敷いてあるからこそ、常世島でも撃てたのだ、が。
そうしれっと語ってから、悪戯っ子の笑みで首を傾ぐ。
「――で、納得できたら世話ないよな。
期待してるよ。どんな風に、あの最終定理をキミが覆してくれるのか」
でないと、また斬らせてあげられないから。
だからこそ、彼女の目標のひとつ、明け明けと照らす紅の星でありたい。
そこでようやく、ビルの隙間から再び戻ろうとしながら。
「曲は――まだほんとに試作段階だけど、いちおう!
それもそうなんだ!聴いて欲しいよ!でも、それじゃなくって……」
できたけど!とぐっと拳を見せた。骨組みはできてきたと。
そう熱弁をふるいながらも、前をみながら。
「―――先生を……ああ、ポーラ先生のコトね。
また、歩けるようにしてあげられるかもしれない」
■緋月 >
「うーん…そこを説明しろと言われると、どう説明すればいいのかが私にも…。
子供の頃から稽古を積んで、その間に「出来る」ようになっていたので。」
例えるなら、よちよち歩きしか出来なかった赤ん坊がいつの間にか「立って歩く」事が出来るような。
補助輪を付けた自転車でないと乗れなかった筈が、いつの間にかそんなものが無くても乗れるようになったような。
あるいは「血」、あるいは「才能」、もしくはその両方。
兎も角、生まれながらに持っていた「機能」を、稽古という形で開き、「使える」ようにする。
そんな捉え方も出来るのかもしれない。
「むう…そう言われると、言い返せない気もしますね…。
まあ、聞いた話だと『浮生』の特性は例え死んでも生まれ変わる…「甦生不滅」の力だとの事で。
単純に「不死」を斬っても甦ってしまうんだそうです。
完全に滅するには…それこそ、「輪廻」でも斬れる実力がないと。」
流転し、生まれ変わる、その理を断つ。
恐らくは郷の者でさえ、挑んだかどうかも分からぬ境地。
それはそれは、超えるのが難しく……同時に、超える甲斐のある目標だろう。
「まあ、確かに素手でも使えますけどね…それでも、刀みたいなものを持ってた方が
扱い易いですし、制御の効き方も違いますし。
それに、私の使える術は身体強化系に偏ってしまっていますし。
今まではそれでも充分かと思ってはいましたけど…あんな派手な花火を見せられると…。」
簡単な話、あの汚染区画で見せられた最後の一撃を見て、同格の技を使う相手に敵うかどうか。
そこの所に、少し考える所がある、と言う所らしい。
身体強化だけで充分でしょ、と言われたら返す言葉もないのだが。
「…しっかりしたご飯とまでは言いませんから、せめておにぎりとかパンくらいでも食べて下さい。
コンビニで売ってるのでいいですから。」
とりあえずの妥協点。あまり深くお叱りするつもりはない模様。
「――それで、良いニュースというのは?
また新しい曲が出来てきたんですか?」