2024/07/14 のログ
セレネ > 「私の憧れの人達ですよ。
そうなれるように、日々努力中なのです」

己は強いのかしら?
目の前の少女から強いと言われるくらいには腕は立つらしい。
ふむ、と少し考え込む。

「…もし良ければ訓練や稽古をつけましょうか?
とはいえ、私はそう暇がある訳ではないですけれど…」

強くなりたい彼女の意思を応援したい。
だから、己で良ければ一肌脱ごうかなんて。

「ふふ、何となくっていう勘みたいなものですよ」

彼女ももしかしたら、数をこなせばわかるようになるかもしれないし。

「まぁ、可愛らしい。
……でも油断は禁物ですよ、ミアさん。
いつ何時だって、何が襲ってくるか分からないのですし」

小さな怪異がぴょんと飛び出てきた。
それでも己は刀を収める事はなく、依然警戒したまま。
何が起こっても不思議ではない場所なのだ。
警戒をし過ぎるに越した事はなかろう。

何もないならそれが一番だけれど。

ミア・コレット >  
「へえー……憧れの人」

強くてキレイな人にもそういう存在はいるわけで。
そこは親しみやすくていいな、と思った。

「じゃあ、ここから生きて帰れたらお願いしようかな…」
「異界で“次”はあんまり考えたくないけど」

携帯デバイスを取り出して小さく振る。
連絡先を交換しよう、という合図で。

「勘がそのレベルで働くのはもう異能だよ」

苦笑いを浮かべて。
屈んですねこすりに指を差し出した。

「わかってはいるけど……」
「敵対的じゃない怪異とは仲良くしておきたいから」

すねこすりは指に体を擦り付けて、彼にとっての食事をしている。
鼻腔をつく甘い香り。

すねこすりは山に出る時に独特の芳香を出すという。

「お前、名前は? 喋れる?」

と、すねこすりに語りかけて微笑む。

セレネ > 「居ますよ、私にだって。
だってそういう事もきっと『生きる』って事でしょう」

己は人では無いから。
ふわふわと地に足を着いた心地をしていないから。
だから尚更、そういう事に拘るのかも。

「…ふふ、次もきっとありますよ。
少なくとも私が傍に居る限りは、ね」

ふるふると振られた端末。
己も携帯を取り出せば彼女と連絡先を交換しよう。
また一人増えました。

「…えっ、そうなのです…?!」

なんと。それは初耳だと言う様に驚いた。
己にとっては勘や、所謂第六感みたいな感じだったし。

「それは、そうですね。
全部が全部敵対するとは限りませんし」

己のローズの香りは判らないが。
この小さな怪異が発する甘い香りを嗅いだ。
へぇ。こんな香りがするのか。

「……」

すねこすりに構う彼女を横目に、己は周囲を警戒しておこう。

ミア・コレット >  
「それはそうかも」
「生きるということは単純にありがとうとさようならだけで成り立っていないから」

憧れとか。単純に追っている背中とか。嫉妬とか。
そういうものもあっていい。

「それは頼もしいね」
「久那土会やってると人死と向き合うこともあるから尚更」

救助依頼が間に合わないことも一度や二度じゃない。
その度に心がすり減る。
街並みで人の影がつながってはまた離れる美しさ。

その儚さに誰も気づくことはできない。

「喋れない、か……」
「他の怪異に気をつけろよー?」

笑ってすねこすりを逃がして。

「残余の銃弾も少ないので私はそろそろ行きます」
「表で連絡するので、また会ってくださいね、セレネさん」

小さく手を振ると。
再び銃把を握って街を歩きだしていった。

ご案内:「裏常世渋谷」からミア・コレットさんが去りました。
セレネ > 「私、こう見えて医者なんですよ。
異邦人なんです。元の世界でそんな職をしていたので
余計にそういう…生き死にに敏感になってしまって」

随分とブランクはある筈なのだけど。
そういう思想は相変わらず。

「頼もしいと思って下さっているなら幸いですよ」

護られるだけの存在が嫌だったから、
自分で身を守れるだけの力を持てるようにしたのだけど。
まさかこうなるなんて、過去の自分は思わなかったのだろうな。

「…えぇ。またお会いしましょうミアさん。
お気を付けて」

立ち去る彼女の小さな背中を見送れば。
一匹、月色の猟犬を喚び出して。
少女が異界から立ち去るまでひっそりこっそり、
後を付けさせるだろう。

これはただのお節介。

己もこの場を立ち去り、気が済むまでは怪異の討伐に勤しむとしよう。

ご案内:「裏常世渋谷」からセレネさんが去りました。