2024/10/24 のログ
ご案内:「裏常世渋谷 ギャラリー「The SEVEN SINS」」に龍 翠蓮さんが現れました。
龍 翠蓮 >  
「さて、と……。」

ギャラリーの入口近くににいくつかのカボチャを置き終えて、白いチャイナドレスのオーナーは
ぱんぱん、と手を鳴らしてひと作業終了。
例えお客様が来なかろうと、現在世間は万聖節の前夜祭(ハロウィン・ナイト)の時分。
ならば、少しばかりは乗って置く遊び心も大切である。

「出来ればランタンにしたかったですが…流石に火事になったら事ですからね。」

ちょっと困ったように眉根を寄せつつ、小さくぼやく。
顔型にくり抜いたカボチャ、といえばジャック・オ・ランタン。
それらしく、中に蝋燭あたりでも仕込みたかったが、もしも火事になったらちょっと困る。
その辺りはしっかりしているオーナーだった。

「後で何か別の、危険のない発光源でも考えてみましょうかね。」

そうぼやきながら、ギャラリーの整理と軽いお掃除に戻っていく。

霧の中のギャラリーも、今ばかりは少しだけハロウィンの姿だった。
 

龍 翠蓮 >  
尚、ハロウィンの姿なのは玄関口ばかり。
ギャラリーの中はいつもの姿である。
こればかりはオーナーの意向ゆえ、致し方なし。

「行事の流行り廃りで流行っても、面白くないですからね。」

だいたいそんな理由。
兎も角、オーナーの一存で行事に合わせた飾り付けなどという媚びたものはギャラリー内にはない。
「本当に美しいものは、余計な呼び込みなどせずとも人を惹きつけるもの」。
それが、このギャラリーのオーナーの信条であった。

「さて、掃除掃除…と。」

そうして、今日もオーナーは掃除に勤しむのであった。
埃が積もっては折角の美も埋もれてしまう。
こればかりは手間をかけておかなくてはいけない事項であった。
 

龍 翠蓮 >  
「――よし、今日はここまで、と。」

ふぅ、と掃除を終えて一息。
ささやかながら、毎度欠かさぬ掃除のお陰で洋館を思わせるギャラリーはいつも美しく保たれている。

「後は――そうですね、偶にはあちらの様子を見なくては。」

小さく首を傾げるような仕草を見せながら、掃除用具を綺麗に片付け――向かう先は、
七つの星が描かれたような、名の無い金属板が掲げられた両開きの扉。

「偶には…こちらも綺麗にしなくては。
相応しい「お客様」が現れた時に、埃が溜まっていては、聊か興醒めでしょうからね――。」

くす、くすくす、と小さな笑い声。
その声と共に、重そうな両開きの扉に手を掛け、ゆっくりと押し開く。

――その中へとゆっくり足を踏み入れ、白い後ろ姿を残して、
扉は重々しい音を立て、ゆっくりと閉じられた。
 

ご案内:「裏常世渋谷 ギャラリー「The SEVEN SINS」」から龍 翠蓮さんが去りました。