2025/08/11 のログ
ご案内:「裏常世渋谷 ????」にネームレスさんが現れました。
ご案内:「裏常世渋谷 ????」にシャンティさんが現れました。
■シャンティ >
「あ、ら……贋作、が……真に、迫、ること、だって……ある、わ……よ?
それ、にぃ……本物、なん、て……いわ、なけれ、ば……ね?」
くすくす、と女は笑う
本物か、偽物か。それは、相対する者が決めることだ。
たとえ虚構だろうと、満足するのであれば当人にとっては真実と同じである。
「冒涜、的……ね、ぇ……死者、に……対し、て……
敬意、は……ない、の……かし、らぁ?」
言っている当人がどこまで死者に敬意をもっているものだろうか。
もっていたとして、冒涜的な行為に忌避感をもっているのか
「そう、ねぇ……」
終わっているか、終わっていないか
その判断はなんとも言えない
ただ、今までとは違う、考えもしなかった方向での動きをし始めているのは確かだ
その意味では、終わっていない、のかもしれない
「余生……だと、思って、いる……けれ、どぉ……
ま、あ……いい、わ……」
それを議論しても仕方あるまい
「……」
相手が指し示す方向を"注視"する
しかし、浮かび上がる情報は"深い霧"という曖昧な単語のみ
「……興味……深い、わ……ね?
視覚、に……だけ、映る……もの……? それ、とも……人、によ、る……違い……?」
相性の問題、を話題にしたばかりだ。後者の可能性も十分にありえる。
なんにしても、傍らの存在と自分で見えている世界が違うことは確かだ
「……なに、が……"見え"……て、る……の、かし、ら?」
同じ方を指しながら問いかける
そして
「……部、活動……申、請書?」
内容を見れば、実にわかりやすい。芸能事務所のような代物だ。
「勧誘……? マネー、ジャー……でも、しろ……って、こと……か、しら?
でき、る……の、は……舞台、設営……とか、くら、い……よ」
興味なさげに言葉を紡ぐ
■ネームレス >
「敬意を払うに足る相手になら、払っているつもりさ。
それはそれとして、生ある者の強さを薄めるような風潮が嫌いなだけだよ」
大前提として、生きている者のほうが強いのだとのたまう。
いつか誰かが言っていた言葉は、確かに頷けるものである。
生者であるならばこそ、死者に敗けてはいられないし、過剰に美化するつもりもない。
死者であるからといって敬意を払う、というのはそれこそ不敬な思考停止だろう、とも。
「…………」
首を傾げる。
そのあと、考えるような仕草。
集合的無意識の具現であると仮定した場合、
視え方がちがう……というのは、有り得ない話ではなかった。
存在を実存ではなく、他者の認識に強く依存する空間。
――通常の五感と違うもので、空間を認識する彼女に異常事態が起こるのは自明である。
が、それはさておき、今は。
「設立するのに、ボクひとりじゃ色々足らなくってね。
ご存知かどうかはわからないケド、いまは学生ってことになってる。
正規の学籍、ひいては地球の住人としての権利を得るため……
そんなこんなで、いまは保護観察処分中。いろいろ制約があんだよ」
渡米にも、監視や制約が非常に多かったのだと語る。
とはいえ彼女は乗り気なようだ。眼を見開いて、猫のように上機嫌な笑顔を作る。
「ココ」
白く長い指先が、"部長"の空欄を示した。
「コ・コ♡」
ココ。
■シャンティ >
「ふふ……あなた、は……そう、いう……で、しょう……ね?」
くすくすと笑う
女にとっては、すべてが同じ地平にある
同様に価値があり、同様に価値がない
ただ、他者の価値観を知るのは面白い。理解もできる
むしろ、それを楽しむのである
「……」
見えているものの違い、というのは今、論ずることではないかも知れない
しかし、何かの影響であることも確か、だが
「……」
圧
「そう。制約……ねぇ。大変……ね、ぇ?
がん、ばって……?」
空欄を強く押し出してくる相手に、涼しい顔で受け流す
まるで聞こえていない、見えていない、というように
実際に、現実として見えても聞こえてもいないのではある、が
■ネームレス >
「抵抗するじゃんか」
愉快げに笑う。そう読めるということは、事実としてそうなのだ。
「他に任せられるヒトが思いつかないというのもあるし、
キミがまだ生きてるなら、やらせたら面白いかなと思ってさ」
ボクがね、ときちんと前置きをした上で。
そっと褐色の手を取った。踊りに誘うようにだ。
そのまま画面に導ける状態だということは留意せねばならない。
「やってよ、部長。ねっ?」
今度は明確に、言葉としてその意を向けた。
あの陰の街での、一夜の主役に、ではなく。
陽のあたる舞台に、肌身を焼き焦がす世界に、その身を引きずり出そうとしている。
■シャンティ >
「やぁ……よぉ……あなた、の……手の、上……なん、て」
笑う
なにもかもが、相手の思い通り、なんて面白くもない
「私、に……利、は……ない、わ、ねぇ……?」
取られた手に精一杯の抵抗の意思は見せる
もっとも、非力なので大したことはない
「もっと……別、の……人……選、んだ、らぁ?」
■ネームレス >
「利?」
はた、とその言葉を聞いた黄金の瞳が、猫のように見開かれた。
抵抗する手を離す。合意形成なくして印を押させるつもりはなかったようだ。
「……そうだなァ、たとえば」
空になった手が、顔の横で、空中に掌を向けて。
次の瞬間、ずしりと重量のあるなにかが収まっていた。
古書、である。随分と古い時代の、象形文字が表題に描かれた…
それを、掌の上から、立てた指先一本で支える構図に変え、
視線をそちらに滑らせる。手品のように、書が次々と入れ替わった。
一様に、アラビア――エジプトの、それこそ遺物と喚ばれるレベルの書たち。
「これの閲覧権――……は、ボクの一存では決められないからな」
手を振るうと、書物は跡形もなく消える。
そうした異能は持ち合わせていなかった筈で、
その書からは、純然たる人間の魔力たるこの存在の力だけでなく、
別の存在の気配を色濃く残した。何の因果か、新たに得たものらしい。
思わせぶりな手品のあと、考えるように顎に手を当てて。
「それも考えたケド。
キミが頑迷になるというコトは、そこにまた新たな火が生まれる兆しというコト。
……あの舞台に立つまで、脚本が出来上がるまでも、ずいぶん渋ってたし。
そのために、キミがうなずくだけの"利"が要る、ワケだな?」
都合よく解釈して、そう笑うのだ。
■シャンティ >
「……!」
古書。それは、ただの古書ではない。
次々と入れ替わり立ち替わり出てくることが?
違う。ほんの一瞬でしかないが、現れたその本そのものの中身
「……ぁ」
結局引っ込められてしまった
割と本気で残念そうにする。本の魅力、本の魔力はすごい
閲覧権……という言葉が見えた
どうやら、なにか特異なナニカ、を手に入れたのだろうか
しかし、此処ではなさそうだ
「それ、は……流石、に……都合……よ、すぎ、る……と、思う……けれ、どぉ?」
やれやれ、と言わんばかりに口にする
元々気だるい口調なので、余計にだるく聞こえる
「私、が……あそこ、に……いた、から、と……いって……
芸事……に、なんで、も……首を、つっこむ……わけ、では……ない、わ、よぉ?」
■ネームレス >
「フフフ。 太古の叡智を閲覧する権利、これそのものが信用だからな。
それがほしけりゃキミ自身で、まずは管理者を探して乞うイイ。
そしたらいくらでも貸し出すよ。ボクは精々、アルバイトの司書、のようなもの――
又貸しは契約違反だからな」
こういうこともできる、と。
無地の革張りの書物を手に取ると、それをぱらぱらとめくってみせる。
そこに描かれているのは、画だ。シャンティ・シン。
今しがたの表情の変化がフレームごとに切り取られ、
豪華なパラパラ漫画が顕現した。
更にめくれば、今日ここでの会話の履歴が、五線譜つきで譜面のように。
「ちょっと面白いだろ?異能者の気分ってこんなかな、って思ってるトコだ」
そう笑うと、その書物も吹き消えた。
どこかに所蔵されているはずである。
「キミに敵をあげよう」
こく、と喉を嚥下する。アダムの林檎のない白い首。
飴を舐め終えて、あらためて正対した。
■シャンティ >
「……」
察するところ、古代の秘宝の類といったところか。管理者、というのは言葉通りの意味だけではないだろう。
心当たりは、ないわけでもない。
そういえば、アレの中には本のようなものがあったか
「……」
示された能力は、自分の扱っているものに近い。
最も、意図的に出せるものかどうか。
また、視覚に訴えるものかどうか、という違いはある
「……敵?」
奇妙な言葉が相手の口から漏れた
"聞き間違え"などは起きようもない。自分の……否、本の力には信頼がある。
「……いら、ない……けれ、ど?」
自分の敵。元々求めていたものはあった。
それについては、今は少しだけ拘りが無くなった
そこに、新たなものをだそう、というのか
……しかし、この流れだとろくなことはなさそうだ。
■ネームレス >
「……なんだ。羨む対象がいたほうがアガるんじゃないのか?」
いつに増して気だるげな彼女を、不審に見やった。
――結局のところ。
彼女が舞台に立てないのは、その源泉がひとまず落ち着いたからと考える。
渇望がなければ、餓えなければ、何かをしようという気概すら沸かぬ。自明だ。
解き放たれた感情は、ひとつの決着や終局でもあったのかもしれない。
「あのあと、キミが"これで終わり"だと言えば、それでお終いだった物語だ」
そうではないと、彼女の言葉を受け取った者がいた。
「それに、なにもキミのように創り出してやろう、なんてハラじゃない。
続編に新たなる敵が……なんてのはエンタメの鉄板だが、
次から次に弾を込めるのはキミが望むようなものでもないだろうし」
そして、首を、視線を巡らす。
「裏常世渋谷にもそぐわない」
やがてふたたび、いつもの笑みを向ける。
「そいつはあの夜、あの劇場にいた役者だ」
誰だと思う?
そう言いたげに、眼を細めた。
■シャンティ >
「別、に……羨、む……必要、は……ない、わ……よ。
あれ……だって……」
そこまで言いかけて、口を閉じる
これも、ある種、載せられている、とも言える
危ういところだった。まったく、油断ならない相手だ
……腹を割る、のは趣味ではない
「はぁ……」
好き勝手に言葉を紡ぐ相手に小さいため息を付く
エンタメの鉄板、なんて言葉の通り……
「……それ、こそ……エンタメ、の……鉄板、じゃ……ない、のぉ……?
大女優、なん、て……いわ、ない……わ、よ……ねぇ?」
あの時いた役者、といえばまず思い当たる鉄板
そうだとしたら、本当に陳腐だが。やりかねない
■ネームレス >
おや?――そう声をあげそうな顔で、ちらりと盗み見たことも、
しっかり"本"には記述されているだろう。
いつになくお喋りであるなら、ちょっとくらい口を滑らせるかも、と思っていたのかも。
「魔王様は」
顎に手を当てたまま、視線を明後日へ泳がせた。
「……いまのキミじゃ応えられないんじゃない?」
その気なら、さっさとチケットを買って飛行機に乗り込んでいるだろう、と考える。
あれがシャンティ・シンの才気に寄せる期待に対して、
本人の腰が重いので、どうにもならない。
「あれを斃すなら、ファイナル・シーズン、劇場版かな。
そこまで辿り着く前に視聴率低迷、なんてのもあるある話だけど……」
ドラマや映画の話は、あまり通りが鈍そうではある。
床を軽くとんとんと叩きながら。
「確認するケド、気づいててとぼけてるワケじゃないんだよな?」
■シャンティ >
「……」
ろくなことはない。どうせ喋るなら、この相手よりはマシな相手に……
こういう思考が回る辺り、やはり自分は変わってしまったのだろう、とふと考える
「……陳腐、な……方向、じゃ……なく、て……よかった、わ」
概ね考えたくもない可能性しかない
その最悪の一つだったわけだが、流石に否定された
「そう、ねぇ……でき、れば……最初、から……お蔵、入り……を、期待……した、い……わ、ねぇ」
想像はある、あるが……口にする気がしない
「……さて、わから、ない……わ、ね?」
■ネームレス >
「なんだよ」
くく、と面白そうに肩を震わせた。
「自分の人生、陳腐な筋書きじゃイヤになったのか」
唯々諾々と受け容れて、絶望らしいぬるま湯に浸っていた女が。
なんともえり好みをするようになったその様子が、可笑しくてたまらないらしい。
「それらは、もうそこに配置され、消えることのないミザンセーヌだ」
言葉にできないなら、詩人が語るのみだ。
「キミはずっとそいつに負けっぱなし」
うっすら笑う唇が、生きている限り歌を発し続ける。
「解釈次第では美しく彩られる事実ではある。
あるケド……それは、あまりに陳腐だ」
ひらひら、と点灯しっぱなしの学生手帳を振って。
そのままこつり、と階段を登り始めた。
「余生だなんて言えば、いくらか格好はつくよな。
まるでやり切ったみたいに振る舞ってりゃ、もう傷つくことも苦しむこともない。
一生そいつに頭を垂れて生きていくという事実を、誤魔化すことだってできる」
こつり、こつり。
前に進み始める。
「あの夜、キミは本当によくやった」
故に、
「キミ自身が創り出したものだろ?」
■シャンティ >
「……元々、よ」
陳腐な筋書きが、つまらない人生が
自分を取り巻いている、面白くもないものが
なにもかもがイヤだった
「……あぁ、もう……」
なんとなく想像はついていた。
なにしろ、あそこに上がっていた者など限られている。
あり得る可能性はほんの僅かしかない。
その中でも最低な可能性のもう一つが……それ、だった
「あな、た……本当、なにを……したい、わけ……?」
格好をつけるつもりはない
元々、植物のように生きていて本さえ読んでいれば良かった人生だ
それに火をつけたのは、かつての活動。かつての恩師
もう二度と会えない相手
「それ、こそ……陳腐……じゃ、ない」
ありふれた物語に、ありふれて見かけるような提示
■ネームレス >
「その、陳腐な筋書きさえ演じられないようでは……」
ひたり、その手が壁についた。
そこにはポスターが貼られている。一面に、連なるようにして同じ肖像が壁を成していた。
階段の段は、頭上の案内板は、すべて一様に、ひとつの場所を示している。
「どんな人生だって生きられはしないだろう。
人間は更新されなければならない。更新し続けなければならない。
時にうまくいきすぎたことを、自己の栄光として諾々と受け容れてしまえば……
……これも、他人の言葉を借りるケド、魂が腐り落ちてしまう、んだってさ」
敵を直視してしまえば、すべては実像を綾なす。
すべてがひとりの女優の晴れ舞台のために整えられていた。
「ボクがヒビを入れたのかもしれないけれど。
キミは、仮面をみずから砕いて舞台に立った。
すなわち、あれがキミの影となるのは自明だったな」
耐え難く受け容れがたきもの、仮面の下に潜む影、眼を背けたくなる己。
栄光に包まれ、誰より眩く輝く自分が、気怠げな仮面の奥に在るという事実。
霧の奥に隠され、今や詳らかにされた。
常世渋谷において竣工間もなく、こけら落としを待つ天球劇場。
その裏側が、この場所だった。一色に彩られた劇場のエントランスが、ネームレスが見ていた風景だった。
「何がしたいのか?」
今更それを聞くのかと、不思議そうに肩越しに見つめた。
「いまさら訊く?」
■シャンティ >
「栄光、なん……て」
栄光などとは思ってもいない
あんなものは一過性に過ぎない。確かに、あれで変わったことがないとは言わないが
それを頼りにする気もしない
「……それ、に……して、も……」
ようやっと見えてきた景色
語り部によって語られることによって結ばれる像
その群れに、小さく息をつく
「悪、趣味……」
一面のポスターはなんだ
挑発にしか見えない
「私、は……死に、たか、った……
消え、て……幕、を……下ろし、たかった……」
ため息を付く
「いま、さら……叶え、られ、ない……願い……だけ、れ、どぉ……」
時期を外してしまえば、意味もない
時期が外れてしまったので、甲斐もない
ゆえに、選べない先行き
「それ、を……引き、だした……の、は……間、違い……なく、あなた……よ。
それ、に……だか、ら……」
エントランスに背を向ける
「あなた……託生、よ? 此処、から……離れ、られ……ない。」
くるり、と相手を向く
「聞く、わよ……正気、と……本気、を……ね?」