2025/08/21 のログ
ご案内:「常世渋谷某所」にネームレスさんが現れました。
ご案内:「常世渋谷某所」に鶴博 波都さんが現れました。
ネームレス >  
――"いつかの事件のことで"。
そう呼び出した住所は、華やかな常世渋谷の一角にありながら、
どこか死角めいた場所にひっそりとしている中層ビルだった。
案内板はすべてが空欄で、下地の銀色を鈍く輝かせているばかり。
すべてのテナントが引き払った建物の亡骸は、
波都の学生証を登録済みとして、口を開いて歓待する。

昼過ぎの灯りが差し込む無人のエントランスは、
ロックが外れた自動ドアの向こうから、冷房の風を外へ轟と吹き抜けさせた。
その風にのって、

  ――彼女の瞳には黄昏が輝いて、
  その髪は夜が宿ったかのよう――

歌が聴こえてくる。
一聴して性別の判別できぬ、甘やかな美声が、優美な旋律を歌い上げる。
英語で綴られた音は、その歌声が常に歌っている激しく感情的なものではなくて、
どこか物淋しげに。

  まるで、恋を患った妖精の恋人(リャナン・シー)のように、

ふと、数ヶ月前に。
あなたが聞き知った単語が、間違いなく、その詩には載っていた。

ネームレス >  
  ボクをとらえて離さない――

場所として指定されたのは2階。
停止したエレベーター。上階に上がれば、元はオフィスだったらしい広い空間。
打ちっぱなしのコンクリートの、だだ広い空間の中央に、
カウチソファと、なにがしかの音響機材が並んでいる。
応接用ではないのだろう、ソファは背面をあなたのほうに向けていて、
そこに座っているものの血の色の髪が、窓からの陽光にぬめるように輝いている。

抱えたギターの乾いた音色は、近づかなければ聴こえない。

鶴博 波都 >  
 指定された中層ビルへと足を運ぶ。
 当たり前の様に登録されていた学生証でロックを外す。

 そのままぽちぽちとエレベーターのスイッチを乗せて、指定階へ。

 普段の制服ではなく、飾り気のないオフショルダーのワンピースドレス。
 "私服で"と記載されていた気がするので、その通りにした。
 一応の備えはしてあるが、概ね軽装だ。

「────こんにちは、お待たせしました。」

 演奏が一区切り付くことを待ってから、視線を合わせてぺこりとお辞儀をする。 
 

ネームレス >  
「マジで来るとはね」

白い肩が震えて、歌うような声が向けられた。
立ち上がり、どこか古めかしいギターをスタンドに休める。
こちらはなんともラフな姿だ。夏用の部屋着。
引き締まった白い腕と脚がむき出しで、サンダルにつっかけているのも素足だ。

「飲み物は買ってある?
 いちおう水回りは通ってるけど、水道の錆とかまんまだからな。
 飲み水にするのは薦めない」

いつも、すらすっぴんであるのか、飾り気のない格好でもその願望は変わらない。
気安い調子で、手近な白い箱に向かい、開けた。
冷蔵庫であるらしい。

鶴博 波都 >  
「今回は名前と理由もわかっていますから。
 ……その、クッキーの時と違って……。」

 ほんの少しの負い目を示すように、視線を逸らす。
 身元も理由も割れているし、立場としても禊を済ませた学徒のもの。
 胡散臭くはあっても放置する理由はない、と判断した。

「使われていない水道管に詰まった水も淀んだもので、中り易いですからね。その辺りは大丈夫です。」

 肩掛けのポーチを掲げて、もちものに抜かりがないことを動作で示す。

ネームレス >  
「仕方がないこととはいえ、手料理を拒否られたことがあんまりなかったからな~……
 それなりに傷ついちゃったのを覚えてる。ずいぶんまえのコトだな」

と、言いながらに愉快そうに笑っている。
指で示したのは、ちょこんとある、三本足の木の椅子。
ソファは自分が。彼女はそこに。いちおう、来客用の椅子らしい。
空っぽの空間に運び込まれっぱなしの家具と、人間。
奇怪な場所だった。廃墟のようで、そうでない。

「そゆコトなら、ボクのほうでなんか冷やしてあげてても良かったかな。
 それくらいには警戒を解いてくれてるってコトで……イイの?」

冷蔵庫の冷凍スペースから引っ張り出したのは、
透明なビニールに包まれた、カラフルな長方形。
木の棒の先に固められた、市販品のアイスキャンディだ。
お好きなものをどうぞ――と言いたげにして、自分はオレンジ味を。

「飲み物は常温のほうが、かえってちょうどイイかもな、……」

はく、とそこに白い歯でかじりついたまま…
じっ、と彼女の装いに、炎の色の視線を注いだ。

鶴博 波都 >  
「もうだいぶ前、ですよね。半年ぐらいでしょうか?」

 振り返ってみれば結構前のこと。
 お互い、少しずつ立場も変わっている。改めて思い返しながら用意された椅子に座った。

 不相応な建物を個人で使う分だけ整備したらこうなるのだろうか。
 少し前に何かで見た、ポストアポカリプスもの(ゾンビと戦いながら資源を集める)のサバイバルクラフトゲームが脳裏を過った。

「そうですけれど……お世話になった方々の顔に泥を塗ることはしない人だと思うので。」

 不思議そうに小首を傾げる。
 警戒されるようなことはしていない様に見えている彼女にとっては、
 問われることそのものが意外だったのだろう。
 
「……どうしました?」

ネームレス >  
「ずっと昔のことみたいに感じるよ。
 悪いね、連絡が遅くなってしまって。こっちも立て込んでてさ」

日々の密度を思えば、たった半年――それくらい前のことが大昔にも。

「このビルの売買契約(ネゴシエーション)とかな。
 とはいえあの件にはいまんトコ進展ナシだ。何か動くかと思ってたんだケド」

ふぅ、と珍しく――どこか疲れの吐息とともに肩を落とす。
これから、色々とクラフトする予定であるらしい。

「すこし予想外のチョイスだったな。
 私服……それ着て、出かけているのかな……あ、撮ってイイ?」

学生手帳を構えて、ファインダーにその姿をとらえる……

鶴博 波都 >   
「構いませんけれど……」

 困惑の色を浮かべながらも、レンズへと目線を向けながら服を整える。
 表情やポーズを作ることまではしないものの、撮りやすい様にと気を払う。

 撮影の終わりを待って、改めて口を開く。

「お互いに大変みたいです。
 永遠に自由な年のまま……とはいきませんよね。」

 配属も変わり、ただの車掌としてではない活動も増えている。
 忙しくとも得意分野を存分に──と活動していた頃と比べると、どうしても煩わしい窮屈さはある。
 

ネームレス >  
「おや、自信アリかな?
 けっこう似合ってはいるケド、なぜ無地のワンピース(これ)をチョイスしたのか……」

それは気になる、とばかりにシャッターが押された。
が、それに続いた"気になる"に比べれば、それは横に置いてもいいことでもあった。

「ボクは、やることは変わらないよ。
 心が求めるまま餓えるままに、証明と実現のために生きている。
 毎度、時間制限つきのスタジオに通うのは、それまた煩雑でね。
 知り合いの大工に頼んで、地下に防音設備を整えてもらうつもりだ」

制作環境のためにひとつ、買い上げたらしい。
必要投資――すべてのことが、だった。
この存在は、なにひとつ迷いなく、ブレてもいない。

鉄道警備兵(レイルロード・コップ)になったんだろ。
 ……治安を預かる、厳しい制服を身にまとう……兵隊さんだ。
 そこでは――キミは快楽(よろこび)を得られていない、のかな?」

足を組みくみ、キャンディを噛んで、カウチに背もたれにぼすんを身を預ける。
餓え。満たされる感覚。波都が、わからない、と言っていた自認の部分。
そこに変化や気づきはなかったのかと、問うように。

鶴博 波都 > 「店の人に勧められたので……。」

 特に他意はなく、薦められるがまま。
 畏まり過ぎずカジュアルなものと注文はしたが、
 それが動機になるとは思っていないので口にしない。

「意外と貯蓄してたんですね。」

 必要投資とはいえ、相当な額のはず。
 選択肢にできるだけの資産を持っていること、少々の驚きを見せた。

「あまりなじみのない分野で、責任の質が違うので……中々。
 お仕事だと割り切れる所もありますけれど……。」

 一つ、ため息を付く。
 基本的には学則(法律)と要請に基づく仕事とは言え、
 違反(罪)である、と、判断して執行することは慣れる気がせず、苦手だ。
 荷が重いし、気が重い。
 

ネームレス >  
「資産形成もしているケド……もっとわかりやすいコトさ。
 一作目の……印税が入ったんだよ。つい先日にね。
 それはもうどっさりと。じゃあ、まず必要なものから揃えようとね」

華々しいデビューを飾ったのなら、相応の収入が入ってくる。
欲しいもの、ではなく、必要なものから。
金で買えるものが、欲するものではないということだった。
事もなく言うのは自分がそうしたことに、さしたる興味がないからだろう。

「ボクの興味はね」

しゃく、とオレンジのアイスキャンディを噛み砕いて、嚥下する。
甘ったるさを、ミネラルウォーターのペットボトルで流し込んでから。

「キミの内面にある。
 その心がどんな形をしているのか、という部分。
 もっと言えば……キミの才能――随分優秀だそうじゃないか――が、
 どのように発揮されるのか、それを引き出すに足る、……」

とん、と、半分ほど減ったペットボトルを、小さいテーブルに置いて。

「キミの自我と、餓えを見てみたくて。
 あの事件の裏側を話すべきかどうか、を考えているんだ」

鶴博 波都 >  
「芸術は儲かるんですね。」

 いまいち想像も付かない世界。
 分からないものをそのままにする様に、興味がなさそうに話題を流す。

「……すこし、過大評価だとは思いますけれど……。」

 『なんて』と卑下出来ない程度には真剣な評であることは分かっている。
 けれども、どうしてもそのまま受け容れるには難いもの。

「と、言いますと……?」

 それはそれとして、このこととそのことがどう紐づくかも理解が及ばない。
 続きを促す様に、疑問符を声で示す。
  

ネームレス >  
「それはすこし違う」

首を横に振って、明朗に、

「ボクにそれだけの価値があるってだけの話さ」

静かに、端的に、自信に満ちた言葉を残す。
証明したろう、とでも言いたげだ。

「――価値を見出してくれた人が、お金を払ってくださるのさ。
 ボクの歌に、キミは、それだけの価値は見れないかな」

首を傾いで、詰問するわけでもなく。
究極的には商売だが、なされていることは事務的なものではないと。

「知りたいのは能力の多寡じゃないんだ。
 キミ自身もわかっていない、自我の形容(かたち)、何に餓えているかの本性(すがた)
 それを観てみたい……興味、それを満たしたる解決は、
 ボクの心を豊かにする。言ってしまえば、これは取材なんだよ」

音楽家としての、と。そう言って、

「この事件がキミの何かを暴き立てるかもしれない。
 それであれば、夏季休暇中も真面目にお仕事をこなす鉄道警備兵さんを……
 とんだ非日常に巻き込んだっていい、のかも……ってね」

事件は事件であるが、要するところ――
それにふれて、どのような反応を示すかのほうを重視していた。

「あれからなにかを見つけたかと思ったケド、キミは、相変わらずだから」

鶴博 波都 >
「むう……。」

 回答に窮したのだろう。
 言い淀み、一旦は話題を流す。

「さすがに、能力のことではないことはわかってます。けれど……。」

 だからこそです、とは思えど、そう言い返すには自信がない。
 つまらないものだ、と、自分の口から言うことが如何にも出来なかった。

「でも……簡単に見つけました!みたいなものだったら、
 ここまで気に掛かるものではなかった──んじゃないかな、って言うのは、分かります。」

 絞り出した───あるいは、言わされたことば。
 適当に流すことの出来ない局面だからこそ、嫌でも踏み込まねばならぬもの。
 

ネームレス >  
「だって、必要がないから……」

簡単に見つからない理由の、ひとつとして。
静かな表情のまま、しかし、爛々と光るその瞳は波都に注がれている。
慈悲や思いやりで、それをやろうとしているわけではない。
動くものを見つけた猫よりは何か深くにあり、しかしそれと同等に衝動的に。

「それを見つけなくたって、キミは生きていけるから。
 正規の学籍がある。委員会にある程度顔は通ってる。
 相応に優秀な能力があり、それに価値(ねだん)をつけるひとたちによって、
 きっとこれからたくさん褒められて、もっと賞状がもらえるかもね。
 キミは頑張りやさんだ。その人生設計でなら、自我を探す必要なんてない」

組んだ足を、ぷらぷらと。
ストラップのゆるいサンダルが、白い足にしがみつくように、頼りなげに揺れている。

「だから、漠然とそういうのに向き合わずに、そして気づかずに……。
 生きていって、そして生涯を終える人のほうが一般的なのかもしれない。
 いわゆる、"ふつうのヒト"……的な、ね?」

白い指をちょんと立てて。

「でもキミは、なんだろう――はじめて会った時からそうだったケド。
 自我をもつコト、自分で判断するコトを、ひどく忌避していた。
 なんだかそれが"ふつう"じゃなくって、ボクは気になってる」

キミはどんなヒトなのでしょう、という。
他者への興味――というにはまるで、メスを構えたかのような空気ではあるが。

「ちなみに言うと、不幸な結末へ向かう可能性は高い(コース)だ」

事もなげに。

鶴博 波都 >   
「そうと言うには、この島には──超人──が多いです。」
 
 つついたものから反射的にでたことば。
 呼気のためや、語気の強さから───決して単一ではない意図を含むことは容易に想像が付く。

「あ、ごめんなさい。つい……。」
 
 間髪に入れずに詫びたのは、悪いものと思っているからだろう。
 間をおいてから、観念したかのよう俯いて、視線を外して口を開く。

「はぁ……。」

 溜息。ほんの少し、普段の彼女らしからぬ仕草。

「普通の人から外れた、異邦人のわたしが、この島のふつうの価値観を判断したら、
 ──たとえ法に則ったものでも、他人から視たら正しい、判断ではなくなります。」

 そう言い切ってから、視線を上げる。

「いったん、この話は置いといて……不幸になる覚悟がなかったら仕事はできません。
 委員(責任)とは、労働とは、そういうものだと思います。なので、続きを聞かせて貰えませんか?」 
 

ネームレス >  
超人、という言葉に、すこしだけ、気になったような反応をする。
不愉快とかではなくて、なにかを問い返そうとはしたものの。

「べつに」

それを詫びに遮られ、別にいいよ、と手をふった。
あとで問えばいいだけのことだと、肩をすくめる。
宿題は降り積もっていく。

「不幸とは、なんだろうね」

自分で言い出しておいて、そんなことを意味ありげに呟く。
そして、ペットボトルを手にして残りの水も飲み干した。
これだけ空調が効いていて、加湿器まで炊かれた過ごしやすさはしかし、
外気熱がそれでもわだかまるかのように、身体を火照らせる。

「そして幸福とはなにか

組んだ足をほどいて、身体を前に倒す。
肘を腿の上に。そして、うなだれるような姿勢からくるりと顔をそちらに向けた。

「……知ってしまえば、それまでのキミには戻れなくなる。
 言い変えれば、それまでのキミとは違うものになれる、かもしれない。
 それが、幸か不幸かはわからない――が……」

視線を少し外して、考える。

「二度目になるケド、これはボクの興味だ。
 キミのためなんかじゃないし、キミが不幸になってもイイとも思っている。
 だが、キミ自身も気になっている――かゆみのような感覚であっても――
 のであれば、掴むきっかけにもなるかもしれない、そんな事件に巻き込む所存だ」

そして、片手を差し出す。天井を上に向けて。

自分のためにでいいんだけど、巻き込まれたいかい?
 それとも、少し窮屈な制服(せきにん)を着て、日常を過ごすかな?
 キミの決断を聞きたいな――だって、キミは必要ではないから」

その事件に、欠けているピースではない。

「……もちろん、ボクもね。
 でも、そこに居る理由はあった。関わる理由もあった。
 そうしたい、という気持ちでボクはほんのつま先だけ、関わっている。
 キミはどうする……? いっしょに、鶴博波都(キミ)を見つけに行くかい?」

鶴博 波都 >
「……見つけにくいものだとは思います。」

 意思を示して問われれば、少し考えて答えを返す。
 簡単で普遍的ではあるが、何かに配慮しているようには見えない口ぶり。

 水や何かを口にせず、じっと見据えたまま続ける。

「そうですね。せっかくですから、付き合います。
 ここで言い淀むようなら、たぶん、この話は持ちかけていない……気がします。」

 目の前のものは自我と飢えを欲している。
 ならば、平凡で日和るようなものは求めていない。 
 同時に求めているものを自我なく供することも求めていない。

「……いちおう、求めていそうな答えを返している訳じゃないです。
 少なくとも、そう思ってくれないとこまります。」 

 何処か弁明するように。
 あるいは区別が難しいものを言い切って分けるために。
 自己への言及(論点先取の虚詐)を添えて告げた。

「でも……巻き込まれたいかどうかは、どちらでもないです。
 必要だから踏み込む。それはネームレスやノーフェイスのためではなく、
 また、鶴博波都のためでも、興味や芸術、混沌のためではない。」

「私の判断と執行はそうです。
 望むのでしたら、鶴博波都を見つけに行くと言ってもいいですけれど───。」

 言外に、回答を受け入れられないのならば自我は見せないと振舞う。
 胸を抑え、未熟さと幼さのぬぐい切れない行為からくる負い目から目を背けた。
  

ネームレス >  
「わかっているつもりだよ」

こちらの顔色を見ているのではなく、自分で思考しているのだと。
サトリの能力は持たない。だから、あくまで自分の認識から相手を解釈するしかない。
少なくとも、外付けの価値観、"ふつう"――そういったものに、基準を依存していないことは。
だから、彼女の言葉を信用することにした。その真如を試すのは自分ではないし、
もしかすれば否応なく試されるのは彼女のほう。

「………………」

果たして。
結論を口にした彼女に返ったのは、沈黙だった。

「……………………」

細められた瞳。闇の奥から睨む、野の狼の瞳。
閉ざされていた赤い唇は、すぐには言葉を紡がずに、
軽薄な笑顔を貼り付けている顔は、彫像のように静かな面差しを保っていた。
やがてそれを伏せると、長駆を立ち上がらせる。
その歩幅で、カウチから椅子までは数歩の距離だ。

「……波都(はと)

頭上から呼び声(call)が垂れる。
彼女の肩に、片手が置かれた。

鶴博 波都 >  
「……。」

 弁明を重ねて楽になりたいが、流石にそれは出来ない。話を区切る。
 どうしてこうなったのかは分からないが、ここではこの重荷のまま進むしかないらしい。

(私は・・徳な超人にも、無・・なな民群にもな・ないから。)

 悟られぬ心の中でそう吐き出す。
 言うべきことではないし、自分を戒めるべきでことであるから。
 とても言えることでもないから。

「はい。なんでしょう。」

 置かれた手を払い除けぬまま、視線を遣る。
 手に伝わる体温は、熱くも冷たくもない人並みの熱だ。
 

ご案内:「常世渋谷某所」から鶴博 波都さんが去りました。
ネームレス > 【中断いたします】
ご案内:「常世渋谷某所」からネームレスさんが去りました。