2025/09/18 のログ
■ネームレス >
「キミは、直すヒトだろ」
まずは、そうだった。
出会ったときは、そうだ。落第街の直し屋。酔狂な男。
その先にひとつの変化として、プラマイゼロでなくプラスワンを提案はしてみたけれど。
「それで、創る血筋の生まれ……だったよな。
たしか……新潟ってトコの。寺社が多いトコの」
一年前。一年も前のことだった。
この存在にとっては、時間の流れの速さからすると、大昔に感じている。
遠い追憶を掘り返していた。
「その――どんな愉快な事件があったか知らないケド。
折れたってことは、折れるだけのカタチが、キミのココロにはあるってコト」
他人の過去そのものには、てんで興味を示さない存在だった。
大事なのは現在、どうあるかでしかない。
新たな道筋を見つけるためのヒントとして、
過去という情報をたどるコトはあっても。
「どうして直すの。
どうして創るの。
キミは誰だ。その魂は、どんなカタチをしてる?
いったい何に餓えている人間なのか。
まずはそれをハッキリさせるトコロからだな」
ぐぐ、と伸びをしてから、ふぅ、と脱力した。
「出かけて、刺激を探しにいくといい。まずは、ボクがその切っ掛けになろう。
たとえば他人との摩擦は、自分を識るためのいい刺激になるだろ」
それら含めて、此処の修繕工事に携わる工期とすればよい。
色んな人に会ってみて、自分を確かめて来てくれと、押し付けたのはそんな命題であった。
■角鹿建悟 > 「…少なくとも、俺は俺なりにこの仕事に責任感を持ってやっているし、辛いと思った事は無いな。」
生物はどうしようもないので、物を直すだけ…それで歯がゆい思いもした事はあったが、それが一つの境界線。
「…神社仏閣を専門に作る大工…『宮大工』の血筋だな。
俺は12歳で家を出奔してこの島に来たから、もう絶縁してるが。」
そう答えつつ、挫折した時の事を思い出して…何かやや渋面になった。
自分にとってはある種のトラウマに近いので、振り払うように紅茶を飲み干し。
「…つまり、今一度改めて自分探しをしてみろって事か…。」
一度銀の双眸を閉じて沈黙する。…己がどういう人間で何に飢えているのか。
何者で何がしたいのか――諸々を見つめ返してこい、という訳か。
「――分かった…答えがきっちり出るかは分からんが。」
そもそも、知人友人とすら最近殆ど会っていない始末だ。
これは中々に難儀な命題とも言えるだろう。
■ネームレス >
「そんなコトしなくたって、この島では生きてけるケド」
だから、必須な事柄ではない。
「他人から与えられるものばっかアテにしてちゃ、
なんも創り出せないよ……造物主さま?」
そう名乗ったのは、紛れもなく彼自身なのだもの。
言いたいことは伝わったよう。こっちは、すべてを見通すことはできない。
彼に思うことがあるのなら、あとは彼に期するのみだった。
「深いトコまで任せるのは、その結果次第ってコトで。
ひとまずはさっき話した通りに――
基本的な修繕と、地下の防音はASAPでヨロシク……それで」
報酬は生活委員に。正規の、責任を伴う仕事だった。
「結果は、楽しみにしててイイ?」
自分探しについて、最後に悪戯っぽくそう問いかけてみる。
■角鹿建悟 > 「――それを言われるときついな…実際にそうなりかけているのだろうが。」
本当に僅かに苦笑じみたものを浮かべつつ、紅茶を飲み干して席を立つ。
あまり時間を掛けられないが、直ぐに”見つかる”とも思えない。
中々に難儀な命題だろう――自分をはっきりさせる為には必要な事だが。
「…それは、”命題”とは関係なく早めにやっておく。慣れた仕事だからだな。」
『深いトコロ』は兎も角、基本的な仕事ならばそちらは堅実に抜かりなくこなすまで。
「…正直自信は無いが――そうだな…手ぶらにはならないと思う。
そう、答えつつ「修繕と防音の方は委員会の仕事の合間を縫って早めにやっておく」と、言いつつ手をひらりと、挙げて一度辞する為に歩き出し。
ご案内:「常世渋谷某所」からネームレスさんが去りました。
ご案内:「常世渋谷某所」から角鹿建悟さんが去りました。