その名の通り歓楽街である。常世学園の夜の街。
所謂若者の街とでもいうような繁華な場所で、特に授業後の夕方から夜はかなりの賑わいを見せる。そして学園都市の不夜城とも呼ばれる。
酒場やカジノなど、やや不健全な店が立ち並んでおり、時折風紀委員による手入れなどがある。
そのため治安は学生街に比べると悪い。非公認の部活なども多い場所である。
歓楽街はそんな歓楽施設が所狭しと並んでいる地区である。行儀のいい場所ではない。
いくつもの通りが交差しており、迷いやすい。
※選択性の部屋です。行きたい場所を選択した上でご入室ください。
参加者(0):ROM(1)
Time:23:23:49 更新
ご案内:「歓楽街」からイヴリィさんが去りました。
ご案内:「歓楽街」から橘壱さんが去りました。
■イヴリィ > 「――――のがしたわね」
まぁ、いいわ、と呟いて。
それなりに楽しめた。
今宵はそれでよしとしよう。
燃え盛る炎の中、自身の影に潜れば。
その身はどこかにへと霞み消える。
影を使った転移魔術だ。
そうして逃げ去れば彼女がいた痕跡はすべて溶け落ちたように消えていき。
あとには火災現場と、機神が残した破壊痕のみが残る。
彼の残した報告とは奇妙な不一致が残されるであろう。
まるで童女がそこで彼と遊んだのだと、逆に刻み込むかのように。
■橘壱 >
ご推察の通り、此れは逃げの一手だ。
不死者と思わしき相手を、
此の装備と救助者込みでは迎撃は不可能だ。
幾ら戦いたいからと言って、職務は放棄できない。
『ふぅ……何とか撒いたか?』
雑居ビルの壁をブレードで切り飛ばし、ネオンライトに照らされる。
あれだけ周囲の委員会関係者が言っているのに、野次馬が減らない。
ある意味歓楽街らしいと言えばらしいのかもしれない。
地面に着地する頃には、周辺にはヘリや消火隊が到着している。
此れだけの数だ。彼女も外には簡単に出れないはずだ。
一息つくと同時に、コンテナを背から下ろした。
『しかし、あの子は一体何者なんだ?
あんな力を持っている奴が此処にいるなんて……』
此の島にはああ言う怪物がいることは知っている。
彼女だけじゃない。常々色んな者たちがいる。
だが、こんな場所にまでやってくることは滅多にない。
『次会う時は、もっとおもてなし出来ないとね』
徐々に消えていく炎。夜空に立ち上る黒い煙。
そんな光景を尻目にしながら今日も夜が明けていくのだった。
■イヴリィ > 「あら、そうなの。
それじゃあ一瞬で決めてくれるのかしら、ナイトさま?」
そう言った瞬間、閃光が視界を覆い尽くした。
同時に放出された電磁パルスが自身の身を焼いた。
だがそれはどうでもいい。
痛みは悦楽へ、傷はどうせすぐに戻る。
故に、その攻撃と防御の一撃は彼女にとっては無意味だ。
しかし、その覆い尽くす水蒸気はだめだ。
暗い場所でもよく見えて、熱を見通すその眼差し。
故に並大抵の目眩ましは通じない。
だが同時に膨大な熱量を吹き出したその目くらましは彼女の視界を覆った。
「――――小癪な真似をしてくれたわね」
魔力を圧として解き放ち、その水蒸気を放つ。
だが、逃げることに徹した鋼の機神にとってその数秒は逃げるに十分だったろう。
■橘壱 >
燃え盛る屋内は徐々に軋みを上げ崩れ始めている。
AFのパワーならこのまま振り切って問題なく屋外に出れる。
だが、避難自体が完了していない。外は野次馬だらけだ。
二次被害を出すわけにもいかない。モニターに表示される無数の状況。
救助者に耐えられるギリギリの軌道で活路を見出す。
『(崩落ならこのコンテナなら耐えられる。
この装備で出来ること……、……いや、もしかしたら……)』
一か八かだ。青白い炎をメインブースターが吹かし、急上昇。
そのまま天井を突き破り、少女とともに移動する形だ。
『(なんて無茶苦茶な軌道だ……!?どうなってる……!)』
『生憎と、エスコートはしてあげるけど遊ぶ時間は一瞬だ。キミこそ付いてこれるのかい?』
此方が最高速を出せないことを差し引いても凄い機動力だ。
だが、良い。付いてくれるのは凄くいい。
このまま目標ポイントまで一直線だ。
炎と瓦礫を鋼が風切、ポイントまで──────……。
『……!』
相手の行動のが速い。
燃え盛る火災とは違う、文字通り全方位から炎。
否、火槍と言うべき鋭い殺意が飛んでくる。
だが、この距離なら届くはずだ。蒼白の装甲が僅かに展開し、
電磁バリアの青緑のエネルギーが周辺に迸る。
『──────Reject armour、機動!!』
瞬間、全ての視界を光が埋め尽くす。
大部分のエネルギーを電磁バリアに宛てがい、
本来防御兵装としているエネルギーを全放出する大技だ。
破壊の坩堝が火槍を薙ぎ払い、一瞬にして周囲を瓦礫や炎ごと吹き飛ばす。
雑居ビルのエリア一つ吹き飛ばすこと用意なパワーだ。そう、天井を抜くことも。
力の本流に合わせて、更に大量の蒸気が互いの姿を隠すことになった。
その正体は、抜けた天井から溢れてきた大量の水。
上部の店は『海鮮処「たみや」』。新鮮な魚介類を生簀から提供する店だ。
当然、店の大部分は水だ。それを見越し、攻撃と視界を遮る一手を打ったのだ。
■イヴリィ > 「あら、連れないわね。
もう少し付き合ってくれてもいいのよ」
壁を突き破り空に躍り出たのを追うように翼を羽ばたかせて。
そして空中に出たのをいいことに、その笑みは深まる。
「狭いところから広いところに出たのだもの。
めいっぱい遊んでくれるってことよね、ナイトさま?」
その翼が虚空を打てば、再度音の壁を飛び越えて。
それどころか、物理法則を無視して直角、鋭角にジグザグ軌道を描き。
人類がこんな動きをしたら慣性でイカレてしまうだろう。
なのに、この童女は涼しい顔をしたまま、ジグザグ軌道で少年の駆る鋼の機神に迫る。
「あら、おしゃべりでもいいじゃない。
言葉は人類の編み出した至宝だもの」
けれど、眼の前の童女は、至宝と言いながら。
訴えかけるのは暴風雨のような暴力ばかり。
周囲を包囲するように飛び回りながら無数の火槍が背負った火竜の威容から放たれる。
それは彼の360度、逃げる場所余さず残さずに計算し尽くした軌道で襲いかかる。
■橘壱 >
バリア越しでも衝撃は充分伝わった。
直感でもある。直撃?冗談じゃない。
生憎、戦いたいだけであって死にたがりではないんだ。
『救助者がいなければ受けて上げるんだけどね……!!』
が、軽口を叩くことは忘れない。
どんな時でも笑ってられるのが一流の装着者だ。
ニヤリと口元に笑みを作りながら、メインブースターを吹かし後退。
崩落時間を早めてしまうが仕方ない。無遠慮に壁を突き破り、
炎と瓦礫を撒き散らし店を飛び出した。戦うには、狭すぎる。
『(にしても、あのスピードにあの再生力……不死者の類か?
なんであんなのが此処にいるんだ?まったく、災害の裏にヘンなモノを釣れてきやがって……!)』
後で取り調べの時文句言ってやるぞ店主。
全く応えていない様子ですぐさま此方の動きに追従する少女。
燃え盛る炎の海を並行飛行と来ていたら、
足元から熱くて暗い槍の雨だ。
『痛くもなさそうなのによく言うよ!
そういうキミは、見た目以上におしゃべりなんだ…な!』
即座に旋回しながら影の槍をスレスレ回避。
電磁バリアが乱れ、装甲が僅かに揺らぐ。
後ろの救助コンテナから救助者達の悲鳴が漏れ聞こえた。
それもそうだ。こんな高速戦闘を続けていたら、彼等が持たない。
早く振り切るしか無い。右腕から伸びる青白いレーザーブレードを、躊躇なく少女へと振り切る────!
■イヴリィ > 「ええ、もちろん。
わかっててやったわ。
もうちょっと派手にしてくれると思っていたのだけれど」
想定の範囲内の出来事ね、と付け加えた。
ヂッ、と言う音をあげ、拳が電磁バリアをかすめた。
その白磁の肌がパルスに焼かれ表面が薄っすらと焦げる。
しかし、瞬きもせぬうちにまるで逆再生したかのようにその焼け跡は再生した。
「あら……避けられてしまったわね。
別に受け止めてくれてよかったのに。
そして、なるほど、機械だからこそのって感じの武装よね」
吐き出されたゲル液は足元から伸びた影が吸い込むように吸収した。
しかし、後に吐き出されたパルスミサイルは回避する様子も見せず。
着弾し、分子分解を発生させるそれを童女はまるっと受けた。
手足が消し飛び、血すらも漏れない。
ほぼ確実に行動不能に至るほどのダメージ。
しかし、それも表皮の焼け跡と同じように再生した。
否、それは元から定められた形しか保てぬような異常だ。
「ええ、痛いわね。痛くて泣いちゃいそうだわ。
男の子なのに優しくないわね、デリカシーがないとかよく言われない?」
火竜を背負ったまま、こんこん、とつま先が大地を叩く。
同時、鋼の機神に追従するもの。
すなわち――影が蠢き、鋭い槍となって射出された。
■橘壱 >
『そうかも知れないが、わかっててやったな?』
何事もそれは使用者に依存するとは言え、
ハッキリ言って見た目だけでも素行の良い人物とは言えない店主。
遅かれ早かれ、こうなることがわかっているものの口ぶりだった。
間髪入れずに、頭部内に鳴り響く<ALERT>音。
『(──────来る!)』
弾丸の如く突き出される拳。
炎を巻き上げ迫る少女の体を、瞬間加速で回避する。
電磁バリアが僅かに掠り、機体の衝撃が伝わった。
案の定、思っていた通り受けるのは拙い。
救助は背にしたままだが、守るためになりふり構っていられない。
『仕方ない……!』
本来風紀委員の本懐は殺してはないが、やむを得ない。
消火用のゲル液を牽制として噴射し、両肩部が開けば光弾が発射される。
内蔵兵器のパルスミサイル。エネルギーの塊だ。
着弾すれば爆発を起こし、周囲の物を分解する破壊が巻きおこる。
■イヴリィ > 「あら。火霊を欲しがったのは彼ら。
扱いを間違えたのも彼ら。
元凶は私だけれど、原因は私じゃないわよ」
火霊は童女の下にやっていけば霧散していく。
否、違う。
これは――――本来の主の下に帰って元の力を得たと言うべきだ。
その背に火竜の如き威容を背負い、童女は黒き翼を広げる。
「じゃあまずは弾力の確認からね」
その言葉ひとつ、つま先が大地を蹴る。
ただの一足、けれどそれは物理法則を超越し、一瞬で音の壁を突破し、弾丸の如く飛来する。
ただの拳一つ、染みのない白い柔肌。
けれど、何故だろうか。
ああ、一撃もらえばそれだけで装甲は陥没し、えぐられ、臓腑ごと引きちぎられるかもしれないと言う恐怖感。
それは歴戦の勇士である少年だからこそ感じた直感、それに紛れもない。
■橘壱 >
くるる、と鳴き声を上げると火の精霊が離れて、少女の下へ。
精霊自体に罪はないが、成る程。何処から仕入れたと思えば彼女か。
気配や雰囲気からして、普通の島民という感じはない。
モニターに照らされる壱の表情も、自然と険しくなった。
『その口ぶり、初めからこうなる事がわかっていたみたいだな。
彼等は怯えていたぞ。店主が何かしたと思ったけどまさかキミが……』
そう口にした矢先、少女の気配が変わる。
獲物を刈り取る、獣のよう気配。背筋に嫌な悪寒が走る。
『よくもまぁイヤなタイミングで……!』
こういう相手は、正直言って嫌いじゃない。
だが、今は救助活動中だ。状況が違う。
即座に外の委員会に避難信号、風紀委員会へ救助信号を送る。
科学の力はあっという間だ。漫画だったら燃える展開だと言うのに、
自分で遭遇するとこうも厄介なのか。嫌になるな。
背中の救助コンテナも……外すわけにはいかないな。
『さぁね、少なくとも退屈はしないだろうさ……!』
青白い一つ目が光り輝き、無機質な光が少女を睨む。
■イヴリィ > 「あら? 私は私の貸してあげた火の精霊を回収しにきたのだけれど」
す、と指先を回収されたであろう精霊に向けて。
けれど、と面白そうに童女は笑う。
「思ったよりは派手に暴れてくれたわ。けれどもう少しおもしろくなった方がよかったのだけれど」
とん、と言う音をあげて、大地につま先をつける。
緋色の瞳は細められる。
「機械……だったかしら。無骨に過ぎて好みではないのだけれど」
けれど、けれど、その緋色の瞳は。
まるで……否、これは正しく。
獲物を狙う狩人の眼差しであった。
「少しは楽しませてくれるかしら人間(ヒューマン)。」
■橘壱 >
無論飲食店を出すというのはそれなりの手続きが必要だ。
地形や場所によって出せない店も使えない道具も存在する。
この変容した世界では、こういった魔術やそれに値するものを使う際も、
当然ある程度の認可が必要になってくる場合もある。
古来より火は、生活の助けになるが、使い方を間違えれば、御覧の通りだ。
鋼鉄の足音を響かせながら、火の精霊に手を伸ばす。
『……もう大丈夫。助けに来たよ』
穏やかなノイズ混じりの声音。
疲弊した様子の火の精霊も壱の様子を悟ったらしい。
おずおずと数匹の黒い体色をした蜥蜴がその手元に集まった。
瞬間、モニターが赤く染まる"DANGER ZONE"。
表面温度が一気に危険域に到達したようだ。
鳴り響く<ALERT>の音に、思わず苦笑い。
『流石は火の精霊って事か。流石に長くは持ってられないなぁ。
……此方Fluegel。要求対象全員保護。此れより帰投します』
任務完了。建物が倒壊する前に脱出だ。
そう思った矢先、"新たな反応"が突如現れた。
サブカメラが映したのは、金髪の少女。
要救助者……の、雰囲気はしていない。妙な異質さだ。
『この火災に巻き込まれた人……って、雰囲気じゃないな。誰だ?』
振り返り、一つ目が少女を見据える。
■イヴリィ > 「あらあら、盛大に燃えているわね」
その背後から響くのは聞き慣れぬ、耳慣れぬ童女の声。
火の海の中でも涼し気に佇む童女が一人。
金色の髪を炎が孕んだ風になびかせながら立っていた。
その緋色の眼は鋼の機神と弱々しい炎の精霊に向けられており。
「ちょっと貸してあげたけれどまさか扱いそこねるなんてね。あーあ、もったいないじゃないの」
その声は裏腹に愉しげに弾んでいて。