その名の通り歓楽街である。常世学園の夜の街。
所謂若者の街とでもいうような繁華な場所で、特に授業後の夕方から夜はかなりの賑わいを見せる。そして学園都市の不夜城とも呼ばれる。
酒場やカジノなど、やや不健全な店が立ち並んでおり、時折風紀委員による手入れなどがある。
そのため治安は学生街に比べると悪い。非公認の部活なども多い場所である。
歓楽街はそんな歓楽施設が所狭しと並んでいる地区である。行儀のいい場所ではない。
いくつもの通りが交差しており、迷いやすい。
※選択性の部屋です。行きたい場所を選択した上でご入室ください。
参加者(0):ROM(1)
Time:11:08:27 更新
ご案内:「歓楽街」から牛丸 瑞璃さんが去りました。
■牛丸 瑞璃 >
『牛丸、こちらも撤収だ。さっさと乗れ』
重武装の先輩隊員から促されれば、牛丸は救急車両に預けていた背を伸ばす。
「Listo(りょ~かい)、お疲れ様でーす」
ぴっと、敬礼の仕草を見せて、ウィンク。
そのまま救急車両に乗り込むだろう。
本日の仕事はここまでだ。
帰ったら気分転換に、久々に短めのゲーム実況動画を投稿するのも良いだろう。
『牛丸』
そんなことを考えていると、隣の席に座っていた同級生の隊員――山城が、こちらに声をかけてくる。
後頭部に両腕を回したまま、顔だけ少しそちらへと向ける牛丸。
『マンホールの蓋、見たか?
あんなバケモノとやり合うことになると思うと、正直こえーぜ。
風紀の青霧ってかなりのやり手なんだろ? それが、あんな状態になっちまうなんてよ……』
同級生の隊員――山城が、奥歯を噛みながらそのように口にする。
恐怖と、悔しさの入り混じった顔だった。
「んむ? まぁまぁ落ち着き給えよ。
風紀の話じゃ、彼は非番だったって話だし、十分な装備がなかったんじゃないかな。
それに、あたし達は一人じゃないから。
だから、心配することないよ、山城クン。
気は引き締めないとだけど、ね?」
それは子どもを宥めるように、柔らかく甘い声だった。
カタストロアという知性を持つ災害。無論、油断などできるものでは一切ない。
個では、対処が難しいかもしれない。
それでも、組織の力で立ち向かうことはできる。
「……青霧クン達、無事だと良いな。
じゃ、あたしちょっと眠るから。おやすみ~。
あんまり気、張りすぎないようにね~」
牛丸は柔らかな座席に背を預けて隣の同僚にそう告げると、同僚に手を振ってから、目を閉じるのだった。
■牛丸 瑞璃 >
辺りに散らばるライムグリーンの血。
そして、蹴り潰されたマンホール。
「カタストロア、かぁ――」
近頃、この常世学園を騒がせている有名な凶悪犯だ。
手の甲をすっぽり覆い隠している制服の袖から、細い人差し指を出して、
己の輪郭をなぞる。
視界の向こうでは、風紀委員達が忙しなく最新鋭のドローンの残骸を回収している。
搬送後の己の任務である緊急車両の護衛の任さえなければ、
近づいてもう少し様子を見ることもできようが。
「――やっぱり、興味……あるなぁ」
知性のある獣が折り畳んだ男子生徒の姿を思い浮かべながら、そんなことを漏らす。
カタストロアは獣の如き巨躯を持つが、
決して「食の飢え」のために人を襲う猛獣ではない。
だとしたら彼は、何故このような行為に及ぶのか。
己の力の誇示か、体制への反逆か、或いは――。
『暴力』は彼にとって、
かつての牛丸にとっての『芸術』と同じ――自己表現なのだろうか。
ある種の、同類かもしれない。
もしそうだとしたら、少しだけ興味が湧くのは自然なことだ。
もう少し思考を巡らせてみたいところだが――思考のモヤを感じて、頭を振る。
「んー。まっ、その辺りはいつも通り専門家に任せますか~」
風紀委員の現場検証もあらかた終わったようだ。
アスクレピオスもこれにて撤収となる。
■牛丸 瑞璃 >
風紀委員会特別攻撃課 青霧在の迅速な対応、そして通報。
それを受け、風紀委員と共に現場に駆けつけたのは、
特殊救急機動部隊『アスクレピオス』だ。
赤と白を基調とした救急車両から現場に降り立った武装集団は、
現場の安全を確保する為に散開していた。
『警戒しろ、まだ周囲に潜んでいる可能性がある!
風紀委員と協力して周囲の警戒を行いながら、
現場の検証をサポートしろ!』
そして勿論、此度の事件で負傷した怪我人達の搬送もその仕事だ。
救える命は救い、彼らが日常に戻れるようにする。
それが、アスクレピオスの杖を背負う者達の務めだ。
救急搬送のサポートを終えた牛丸は、小さく息を吐いて、
赤と白を基調とした救急車両に背を預けた。
もう一台の車両を使って、既に搬送は済んでいる。
残された仕事は、風紀のサポートだけだ。
「しかしまぁ、こんなトコで事件起こすだなんてね」
――あたしだって、流石に歓楽街じゃ自重してたんだけどなぁ。
重装の隊員達とは違い、身軽な服装――制服を身に纏った彼女は、
救急車両を背に、顎に手をやって現場を眺めていた。
ご案内:「歓楽街」に牛丸 瑞璃さんが現れました。
ご案内:「歓楽街」からカタストロアさんが去りました。
ご案内:「歓楽街」から青霧在さんが去りました。
■カタストロア >
シールドが拉げる。
理外の力を、上回る力で破壊する快感。
それこそ人が暴力を手放せぬ論理。
牙を露わにし、その場にいる。
風紀に。
噛み。
つこうとした瞬間、頭部が横にガクッと弾けるように衝撃を受けた。
狙撃。
それも殺意をここまで隠した。
怪人以外の何も、誰も殺めない。
流れ弾などあろうはずもない集中する射撃。
風紀委員の援護射撃。
「くっ……うおおおおおおおおおおおおおおおおおあああぁぁ!!」
破滅の咆哮。
身を捩り続く狙撃から逃れる。
「組織の力……というものを」
「侮っていた……風紀委員…」
「青霧在」
言葉の間にリザードマンの片目を狙撃弾が貫いた。
「また会おう」
マンホールを蹴り潰し。
その中に身を折りたたむように入り込むと。
歓楽街から脅威は去るのだった。
■青霧在 > ――傷口が再生した。
理想的な連撃が怪人にダメージを与えた。
腹部の傷口を抉り大量出血を狙い、更に脚部へのダメージで移動を阻害。
そこまで見届け、意識が緩んでいた。
言い訳をするならば、既にこの時限界だったのだ。
まともな武装も無い状況、防具どころかまともに使えそうな武器すらない。
その結果、左足への甚大なダメージ。
役割を果たしたと思っていた。
被害者を抑え、危険度の高い怪人をその場に留めながら時間を稼ぐ。
行動阻害に十分なダメージを与え、あとは他の委員に任せられる。
普段なら決してしないような油断と甘え。
だから、怪人の傷口が再生した時の衝撃はとてつもなかった。
鉄パイプは既に異能の操作を離れ、意識の外へと放逐。
出し切った出力は霧散し、力を籠める気力もどこへやら。
慌てて次の対策を講じようとするも、ダメージと油断のせいで考えがまとまらない。
立ち上がり、死を直感させるタックルに対して立ちすくむ。
割って入ろうとするシールド持ちの委員からシールドを異能で奪い取り、目の前に立てる。
異能の出力はまだ戻り切っていない。
地面に突き立てるように構えたシールドとタックルが衝突し、刹那の拮抗の後打ち破られる。
―――シールドごとのタックルが直撃する。
目前に迫るシールドと、覗き穴から見えるカタストロフの双眸。
それが意識を手放す直前の光景だった。
■カタストロア >
「通報し、仲間を呼ぶ」
「相手を逆上させ、その場に残すように時間を稼ぎながら戦い」
「異能とブラフを駆使し初撃を浴びせる」
鉄パイプが背中側に貫通する。
不可視の力、それが彼の異能の正体。
「理想的だ」
左足の膝下を振り抜くように叩く。
大凡、人間のフォームでは不可能な位置へのフルスイング。
そしてそれは右足の脛を打ち据え、骨が砕けるクラック音を響かせる。
「理想的であるが故に」
直後。
腹部の貫通した穴が塞がる。
足がバキバキと音を立てながら平常そうであった形に戻り。
「予想を超えない」
立ち上がる。
「次があるなら」
「殺す気で来るべきだな」
そのまま走り出す。
怪我などなかったかのように。
超パワーが200kgを超える剛重身を放つ。
青霧在へ向かう砲弾のようなタックルだった。
■青霧在 > 痛みのせいだろう。
応援の到着に全く気付いていなかった。
追撃の構えを解き、直立の姿勢に戻る。
姿勢の維持にも異能を用いている。
粉砕した左足では、流石に直立もままならない。
脳内にじんわりとした感覚が広まりつつあるが、カタストロアを直視し続ける。
テザーガンもゴム弾も通用しないように見える怪人の様を観察し、新たな追撃の最適解を探る。
「抜かせ……!」
これ以上ブラフをかける必要もないだろう。
鉄パイプは怪人から俺が使うように言われたものだ。
つまり、今は俺の武器だ。
鉄パイプを異能で操作する。
回避も迎撃も考える必要のない状況だ。全出力を以て鉄パイプを背中へと引き抜き、そのまま叩きつけようとするだろう。
まずは脚部、左足の膝下粉砕を試み、そのまま右足へと振り抜こうとするだろう。
行動さえ止めてしまえば、この数だ。応援も待って鎮圧・捕縛が可能だ。
とにかく、行動を止めないといけない。
■カタストロア >
尾撃。この距離で防ぐ人間は初めてだ。
胴体にパイプを刺したまま両手を広げる。
足元にビリベルジンを含み緑の血が滴り、染める。
「言葉も暴力も同じだ」
「相手に届かなければ意味を持たない」
「そして体制の正義が思想と防衛を掲げる以上」
「風紀委員の“武”は甲種不明犯の暴力や暴言に屈してはならない」
その時、駆けつけた風紀委員たちの放つゴム弾が体に突き刺さる。
暴動鎮圧のために開発され一撃で意識を奪い昏倒させるだけの威力を持った弾頭が。
撃ち込まれていく。
「そして」
テーザーガンを搭載したドローンがカタストロアに導体を突き刺す。
テーザーガンの射程の短さを克服するために作られたそれは。
秒間57パルスの電撃を楯鱗に守られぬ体内へ流す。
尻尾で無造作にドローンを刺し貫き、破壊する。
「そして反体制の暴力は“武”を上回ることで完成するッ!!」
「異能を超える力、魔術を上回る生命ッ!!」
体に刺さったテーザーガンの発射体を引き抜き、放り捨てる。
「運命とは流れであり、理不尽で偶発的なものッ!」
「多くは法則性を見出そうとする凡夫の必然を捻じ曲げるだけの破壊!!」
遠くで銃身を握ったままの風紀委員と青霧在を前に宣言する。
「感謝する……オレは確信した」
「オレの肉体は異能を凌駕した……と」
縦に裂けた瞳孔が月光を反射した。
■青霧在 > 所謂初見殺し。
一般的な人類相手には決して放てない必殺の類。
見た目も技量も関係ない。
単純な異能の力による暴力が強靭な鱗を貫いた。
しかしながら、それだけの出力を一点集中すれば当然他が疎かになる。
その反動は回避に影響を及ぼした。
反撃は当然想定していた。
しかしながら、それを完全に回避出来るかどうかは全くの別問題だ。
俺は目がいい。
だから、脚部でダメージを受けることが選択出来た。
突きの直後ソニックブームすら巻き起こす膂力による横薙ぎを躱す。
パイプから手を放し、高く跳ね肉体の制御に全神経を集中させる。
直後、左足のひざ下に直撃した薙ぎを目撃し、身体を回転させた。
衝撃を逃がす方向への回転が始まったのは、左足の骨をほぼ完全に断絶させたのち。
筋肉や神経へのダメージも甚大な状況ながら、右足へのダメージは何とか回避に成功した。
「言葉より暴力の方が得意だろう?無理をするな」
その回転のまま、先ほどより更に離れた場所に着地する。
追撃を警戒しながら何事も無かったように直立の姿勢を見せる。
無論、左足へのダメージは甚大だ。
アドレナリンが出ているのだろうが、それでも激痛と大ダメージへの警鐘が脳裏で響く。
だが、まだ動ける。
額に滲む脂汗の感触を意識の外へ追いやり、改めて手刀で突きの姿勢をとった。
■カタストロア >
「そういう君は野蛮な言葉を使う」
空振りした拳から一拍遅れて破裂音。
僅かに空気と塵が焦げる匂い。
拳を下ろす。
そして再びハンドポケットに両手を納めた。
仮に。風紀委員会特別攻撃課の青霧在が。
槍の達人であるとする。
それで鋭く引き千切られた鉄でオレの腹部の楯鱗を貫くことができるだろうか?
否。
ポケットに入れた手に力を入れる。
直後。
腹部を鉄パイプが貫いた。
ライムグリーンの血が流れた。
一切の反応をせずに靭尾を振るう。
骨を砕く威力の横薙ぎ超撃。
■青霧在 > 蹴りは問題なく当たる。
そして、返って来た感触に内心眉を顰める。
「シン人類とは大きく出たな。野蛮な怪人め」
放たれた拳を余裕の動きで回避する。
蹴った足の反動を利用したように振舞いつつ、実際は異能による強引な回避だ。
その勢いで鉄パイプ辺りまで下がりつつ、会話に応じる。
「確かに、思っていたよりは硬かったな」
「お望み通り、これを使うとしよう」
足裏の感触に、今日がこれ以上ない私服であることを思い出す。
武装が何もない。
靴底にも何も入っていないのだ。
回避前提で動いたとはいえ、あの拳を万が一喰らっていれば、先ほどへし折られた男子生徒と同じ末路を辿っただろう。
爪先で鉄パイプを跳ね上げ、右手で握る。
「改めて、始めようか」
膂力ならば、負けていない。
地面を強く踏みしめるフリ。
右手に握った鉄パイプをレイピアのように怪人に向ける。
その構えのまま突進し、カタストロアに向けて突く。
全力であれば大型車両でも動かし得る異能の大出力を込め、見た目をはるかに上回る重みを込めた突きで先ほどと同じ腹部に一撃を狙う。