2024/06/13 のログ
ご案内:「歓楽街」に狭間在処さんが現れました。
■狭間在処 > 学生通りや商店街と違い、常世学園の夜の街、というのが似あう街――歓楽街。
街の特性上、治安なども少々よろしくないがそれでも【表側】である事に変わりはない。
(……さて、結局こっち側に自分の意志で来てしまったか。)
久々に再会した知己の女性との会話が切欠で、本来一線を引いて自ら出向く事は無いこちら側に来た。
紛れもない己の意志で一歩踏み出したのは、成長や心境の変化と言えなくもないのだろうか。
それでも、いきなり学生通りや商店街はハードルが高すぎるので、まだ雰囲気があっち側に多少なり近い歓楽街に決めた。
(…とはいえ、具体的な目的は特に何も無いからな…どうせなら何か決めておくべきだったか?)
青年の肩に乗った三本足の鴉は、普段見ない街の光景にあちこちに視線を走らせている。
■狭間在処 > 普段着ない服装にサングラスを掛けて一応変装しているが、正直変装にも何にもなってない。
まぁ、風紀や公安の連中に面が割れたり指名手配や追跡調査されるような事もやらかしていない。
だから、これで十分といえば十分だ…懸念があるとすれば【祭祀局】の連中だが。
(たかが怪異もどきの俺に人員を割くほど暇でも無いだろうからな)
油断というより、実際この青年に構う暇があれば他の怪異などを何とかする方が時間的にも有意義な筈だ。
――例えば、己も交戦したあの【紅き屍骸】みたいな。
ご案内:「歓楽街」にアージェント・ルーフさんが現れました。
■アージェント・ルーフ > 歓楽街。色とりどりのネオン、彼方此方から漏れる照明、等間隔に配置された街灯、
それらの光をもってしても拭えない薄暗さがあるこの場所。
「~♪~♪」
―に、相応しくないであろう明るい鼻歌を鳴らしながら、道のど真ん中をボクは歩いていた。
因みに、今回の散歩のお供のお菓子は棒付きキャンディーである。味はブドウ味。
普段の真っ白な私服とは異なり、体全てが周りの薄暗さに紛れるような黒一色の服装。更にキャップ付きである。
以前にカジノにて一悶着あった際に、こうやって変装しなくちゃいけなくなってしまい、非常に…いや、ちょっとめんどくさい。別に服変えれば良いだけだし。
まぁいずれにせよ、今のようにカジノにて生活費を稼ぎ、帰路をスキップでも踏んでしまいそうな気持ちで
進めている訳だから、若かりし頃のボクの失態なぞもうチャラになっているようなものだろう。
そんなことを考えつつ、カジノの眩しい光が遠ざかっていくのを背に感じながら、キャンディーの棒を左右に動かし、歓楽街を闊歩する。
■狭間在処 > 落第街…とは雰囲気は似ている部分もあるが、それでも矢張り違う所も多々ある。
華やかさ…で、合っているかは分からない。それを表現して言葉にする甲斐性が彼には無い。
(黒街…とも違うか。しかし、色々な街があるものだな)
当たり前と言えば当たり前。ただ、落第街から殆ど自発的に出た事が無い身からすれば。
そんな当たり前の事も何処か新鮮味が感じられるもので。
先ほど、カジノらしき場所の前を通り掛かったが…青年はギャンブルの存在は知っていても疎い。
(そもそも、生活費くらいならまだ貯蓄もあるからな。)
それ以前に、青年の性格的に娯楽、というものはピンと来ないものがある。
歓楽街を歩いていて思うのは、中々派手な服装の男女を見かけたり、何より街全体が”眩しい”。
(…人の欲望を光にしたらこのくらいあちこち輝くのだろうか?)
歓楽街、という場所だからなのかついついそんな戯言を心の中で呟いてしまう。
そんな青年は目立ちはしないが、それでも肩に鴉を乗せていれば周囲の何人かの目を引く事もあるかもしれない。
――ちょうど、前方から歩いてくる黒いキャップの人物も、もしかしたらこの青年の浮き具合に気付く…かもしれない。
■アージェント・ルーフ > 気分良く歩みを進めていた所、キャップの端から一際目立った人物、及び動物がフェードインしてきた。
容姿についてだが、ありきたりな私服ではあるものの…サングラスなどという変装上等のアクセサリを身に着けている。
…正直、サングラスだけで変装だと断定するのは早計ではあるが、そんな考えはもう一方、動物を見て捨て去られることとなった。
(……あれぇ?カラスって3本脚だっけなぁ…?)
そもそもカラスが人間に懐いているという時点で怪しいのだが、ボクの記憶の中に奇数本の脚を持つ生物は存在しないため、その怪しさにより拍車をかけることとなった。
さて、変装と言えば何をするためにあるのだろうと今一度考える。
大方自分の身分、素性を隠すためにするものであり、かく言うボクもそうだ。
だとすれば、対面の彼も同じような状況であろう。多分。
そう考えているうちに、いつの間にかボクは視線を彼の顔と肩に乗っているカラスを交互に移していた。
■狭間在処 > 正直、変装にも何にもなっていないお粗末さだろうか。
服装そのものは、一応最低限の着こなしは出来ているので露骨に浮くほどではなく。
ただ、サングラスなんて掛けていると何処かシュールなチグハグさが出てしまう。
そういう意味では、単純にサングラスが青年には似合わないだけかもしれないが。
「……?」
ふと視線を感じた。否、視線は先ほどから偶にちらちらと見られている気はした。
己の服装?…いや、答えは流石に分かっている。肩に堂々と鎮座した鴉だろう。
この三本足の鴉は知己の女性に召還して貰った使い魔だ。
この”相棒”が居てくれないと、青年は言葉で他者との円滑なコミュニケーションが取れない。
そういう意味では必須の存在であり、こうして表側の街に出向いても同行して貰わないといけない。
そして、感じる視線の気配を追いかければ、前方から歩いてくる黒い出で立ちの人物と目が合った、気がする。
(……黒ずくめの格好?)
…目立たないように見えて逆に目立つような。否、気のせいか?
青年もお粗末な変装だからどうこう言えたものでもないのであるが。
ともあれ、目線も合ったならば、何となく会釈はしてみる。ただし無言で。
何故なら、青年自身は肩の鴉の相棒の力添えが無ければ単独では喋れないからだ。
■アージェント・ルーフ > 瞬間、サングラスの奥の目がこちらを向いた…気がした。
視覚では分からないが、マジシャンという肩書がある以上、視線には敏感になるものだ。
そして返される、無言の会釈。
それも当然であろう。初対面で話しかける人は稀である。
「…!どうも~…」
それに呼応して、ボクも普段よりは大分小さい音量の声と共に、首を前に突き出すような会釈をする。
して、ここからはボクの悪癖ではあるのだが…ちょっと興味が湧いてきてしまった。
歓楽街という、多少なりとも治安は良くない場所において他人に興味を持つのは少し危険だと思いながらも、尚。
「えっとぉ…かっこいいカラス?さんですね~」
一先ず、僕が一番気になっている肩の動物についてのお話を聞くことにしてみよう。面白そうだし。
■狭間在処 > うっかり挨拶を初対面の人間にしてしまった。
いや、視線が合った気がしたのでつい…そういう所は律義なのか真面目なのか。
ともあれ、あちらも挨拶は返してくれたようで…まぁ、良かった、気まずくならなくて。
鴉について尋ねられれば、僅かに相棒がこちらに視線を寄越す。使い魔なので普通の鴉より知恵もかなり高い。
ともあれ、その視線を受けてから、口を開いた――ただし、鴉の方が、だが。
『…恰好良いかは分からないが、色々と助かってはいるかもしれない。』
その口から、鴉の鳴き声ではなく…青年らしき落ち着いた男の声が発せられる。
勿論、腹話術や奇術の類ではなく魔術的なものだ。正確には使い魔としての能力か。
■アージェント・ルーフ > 「へっ…!?」
ビックリして変な声が漏れ出る。
まさかカラスから返答を貰うとは…。
舞台に出ている身として、同じように動物に言葉を話させるという芸はある。
もっとも、その多くは腹話術や録音などのタネが仕掛けられていることが殆どである。
が、目の前の青年にそういった素振りは一切なかった。
と言う事は…カラスが意思を持って発した言葉?だとしても何故青年の代弁を?
様々な疑問が頭に過ぎるも、答えに辿り着けそうにない。
ただひとつ、この場で出来る行動と言えば――
「ええっとぉ…あった!はい!」
カバンに常備してあるクッキーをカラスに向かって差し出す。
大層な芸を魅せられてウキウキした子供の様な笑顔と共に。
■狭間在処 > (…こういう反応をされるのはむしろ新鮮な気がするな。)
落第街では、割とそういうのに動じない連中ばかりだから尚更に。
まぁ、確かにいきなり鴉の口から青年の落ち着いた声が飛び出たら、面食らう人もそれなりに居るかもしれない。
むしろ、今まさに面食らっている黒キャップの人物が居る訳で…。
そして、彼が取り出したのは…クッキー、か?
鴉は喜んで遠慮なくクッキーを貪り始めているが、青年は不思議そうな表情。
彼がウキウキした子供のような表情を浮かべていたのもあるかもしれない。
『…一応、説明しておくとこの鴉はいわゆる使い魔、という魔術的に召喚された存在だ。
…俺は昔の怪我で喋れないので、この鴉の使い魔に俺の声を代替して貰っている。』
と、なるべく噛み砕いて腹話術ではないこの芸当の種明かしをしておこう。
まぁ、隠すことでもないし自分が言葉で人とコミュニケーションを取るのはこうするしかない。
『…あぁ、それとクッキーは有難う。ヤタ…この鴉も喜んでいる。』
と、相棒たる鴉の頭を軽く撫でる。実際、クッキーを食べて満足げにカァ!と一声無く鴉。
■アージェント・ルーフ > カラスが差し出したクッキーを美味しそうに食べた後、青年…の声を代弁するカラスから理由を説明される。
分かってはいるけど、なんだか不思議な感じ。
「へぇ~…まさか使い魔さんだったとは…。
というか、怪我の事に触れちゃって、なんか…ごめんねぇ」
一応、デリケートな話題ではあるため、少しばかり詫びを入れる。
まぁ、クッキーのお礼もされたし、クッキーを食い終えたカラスも嬉しそうに鳴き声を上げていることから、
そこまで重い問題ではないのだろう。勝手な憶測とはなってしまうが…。
「にしても、ボクが言えたことじゃないんだろうけど…
なんでこうも暗い所で、サングラスをしているのかなぁって、あっ、別に怪しんでるとかじゃなくって!
ちょっとした興味で…えへへ」
取り敢えず気になったことして、変装の件について尋ねてみようとしたものの、
ボクも同じようなことをしているため、言い回しを考えながら問いかけた。
…結果、どもった。おまけに変な言い訳も付いて。
■狭間在処 > 『問題ない。実際こうしないと人とまともに言葉で会話出来ないからな。俺自身が喋れない理由も話さないと誤解もされかねない。』
例えば腹話術だとかそういうのだ。まぁこれで腹話術だったらプロレベルかもしれない。
ともあれ、相手から見たら青年の”声”が鴉の口から飛び出るのは変な感じかもしれない。
まぁ、そこは慣れて貰いたい…と、いうかこうしないと本当に会話の手段が無いのだ。
それこそ、ジェスチャーとか手話くらいしか方法が無くなる。
『…あぁ、歓楽街に来るのは初めてでな。あちこち眩しすぎて、むしろサングラスの方が都合が良い。』
歓楽街が初めて、となるとまた違う憶測もされそうだが…。
ただ、見た感じこの青年は遊び慣れているようにはとても見えないだろうか。
実際、その通りだし割と真面目?なので遊びの類は本当に縁が無い。
しかし、彼との会話でこれは矢張り変装しないほうがマシだったな…と、内心で痛感する。
『…ああ、紹介が遅れたな。俺は狭間在処…アリカでいい。こっちの鴉はヤタと言う。』
こっち、のセリフで青年が鴉を指先で示すが、肝心の青年の声はその鴉から出ている変な光景。