2024/10/13 のログ
ご案内:「歓楽街」に伊都波 悠薇さんが現れました。
伊都波 悠薇 >  
「……えっと」

夜の時間、歓楽街。
飲んだ、おしるコーラから数日。

口の中がバグってしまって、噂に聞いた夜限定! 激辛料理があると聞いてやってきた、のだが。

「……ここ、どこ、だろ?」

迷った。
ぼっち、だから誰かに道を聞くことも出来ず、目的のお店は見つからず。

そして、どんどん、人が増えてくる。

ーーど、どうしよう……

冷や汗を滴しながら、ちょっと道外れで。

ぽつーん、と立ち尽くしていた。

伊都波 悠薇 >  
どうしよう。
姉に連絡? それとも数少ない友人にへるぷの連絡をする?

……この年で迷子になったのを?
それは、こう、はず、か、しい。

「……ーー」

ふぅ。
ひとまず、だ。
建物の壁がある。そこに寄りかかって、本を読もう。
落ち着けばなんとかなるかもしれない。

なんか、いかにも端からみると待ち合わせしてるようにも見えるが、ただ、どうしたらいいか分からなくなって本を読んでいるだけである。

今日は、美女と野獣ーーを異世界転生っぽくした作品だ。
結構面白い。うん、読み進めて、みよう。

伊都波 悠薇 >  
何人かの男性に声をかけられる。
本をぱたむと、閉じて断り、首を横に振り抵抗。

そして、なんとか退散させる、が。

「困った」

ぽつり、出た。
本を読む気分ではなくなってしまった。

ご案内:「歓楽街」に夜見河 劫さんが現れました。
ゴロツキ >  
困った様子の制服姿の少女を目にして良からぬ企みでも思いついたのか、
はたまた単純なナンパ目的なのか。

数人の、ガタイが良いが身なりのよろしくないゴロツキ連中が、取り囲むように
少女の回りに歩み寄っていく。

――誰も彼もが下卑た薄ら笑いを浮かべており、正直関わって碌な事になる相手とは思えないだろう。

女子からすれば嫌な気持ちになりそうな視線が、周囲のゴロツキから一斉に投げられていく。
 

伊都波 悠薇 >  
流石に気付く。
視線に対して昔から何故か敏感だ。

ーー諦めて逃げよう

そう、思って。
本をしまう。お店にはまた今度いけばいいし。
こういうときの判断の遅れが良くないことはよく、知っているから。

その場から離れようとあゆみはじめた。

ゴロツキ >  
当然、それを逃す様なゴロツキ連中ではない。
こういう時に無駄に悪知恵が働く。
素早く逃げ道を塞ぐように回り込み、またもにやついた顔。

その内の一人、リーダー格らしい男が嫌らしい笑顔と視線を向けながら
制服姿の少女に手を伸ばし、何事か話しかけようとした、

まさに、その時。
 

視線 >  

     ――どす黒く燃え上がるような、怖気のする視線。

 

ゴロツキ >  
…このゴロツキ連中、自身に向けられる危険については敏感な方だったらしい。
視線の元を辿り、そこにまるで幽鬼のように佇む姿を目にして、
途端に恐ろしいモノを目にしたような表情へと変化していく。

『何でもない、人違いだった。』

そんな、取って付けたような言葉を残して、ゴロツキ共は顔を青くしながら一斉に走り去っていく。

――視線の元は、制服姿の少女の後ろ、5メートルほど離れた地点。

振り向けば、
 

夜見河 劫 >  
 
――其処に佇んでいるのは、ほつれたブレザーを着た、
顔に包帯を乱雑に巻き付けた、灰色の髪の男。

どす黒く燃えるような瞳が、つまらなさそうに揺れている。


 

伊都波 悠薇 >  
少女ひとり。
この場にいたのが姉であったならなんとかなったことだろう。
しかして、自分では抗うにも逃げること一択しか取れず、また、その摩手に肩を捕まれ、かけた瞬間。

ーー鳥肌がたった。

男たち、にではない。
いや、きっと恐怖は感じただろう。
でもここまでではない。

息がしにくい。
立ち竦む。その視線はあまりに、『冷たい』。

いつの間にかカタカタ、震えていて。
側の壁に寄りかからなければ、横をゴロツキの男が全員、通りすぎるたび、座り込んでしまいそうだった。

夜見河 劫 >  
かつ、と、足音。
一歩、また、一歩。

どす黒い視線の主が、歩を詰めて来る。

ゆっくりと、動けなくなった少女(獲物)に歩み寄る捕食者の如く。

そして、手が届きそうな距離まで接近すれば、不意に足音は止み、


「――何やってんの。

見たとこ、学校の生徒みたいだけど……ここいら、ああいう性質の悪い奴らが
歩いてる事、偶にあるから。

長居するの、良くない。」

かけられた声は、決して優しいものではなかったが、恐ろしさはなかった。
何と言うか、気の抜けた…生気や闘気に欠けた、無気力そうな声。

……この男、声を掛けた相手が風紀委員だと全く気付いていない模様。
 

伊都波 悠薇 >  
ーー 二度、経験していてよかったと思う。

一度は不意の死に目。
二度目は、『蟻』との対峙。

おかげで、少しは慣れていた。
それでも、身体は震えているけど。
歩み寄る姿により身体を硬くする。

が、上からの言葉は、少し、拍子抜けする声で。

「あ、えと」

なかなか、余りの差に脳が追い付かず言葉がでてこなくて。
ようやく。

「あ、と。激辛料理のお店、探してまして。その、迷ってしまって」

絞りでた。

夜見河 劫 >  
「激辛料理。」

やはり生気のない声で、かけられた言葉を反復する。
相変わらずその眼はどす黒い炎のようなものだったが、勢いそのものは
燃え残った燃えさし程度の勢いのなさである。
視線の直撃を受けても、多少恐怖はあっても、危険を感じるレベルではないだろう。

「………知ってる分なら、いくらかあるけど。」

この辺りを活動拠点にしているのか、あるいは雰囲気からして落第街が拠点なのか。
ともあれ、いくらか思い出すような間を置いて、数件ほど店の名前を挙げる。
概ね、どれも辛そうな料理を扱っているだろうと直感的に分かる店の名前。
その中に、制服姿の少女のお目当ての店があればよいのだが。

――灰色の髪に、顔中を覆う包帯、そしてどす黒く燃え上がるような瞳。
その特徴を持つ監視対象について、彼女が知っているかは、また別の問題である。
 

伊都波 悠薇 >  
全てを拭うことはできないけれど、危険性が和らいでいることや、店名を口にしてくれているうち、落ち着きを取り戻してきて身体が動くようになる。

そして。

「あ、そこです」

ひとつの店名に、反応する。
それはおそらく、羅列されたお店の中でも屈指の激辛店だろう。

「場所、分かりますか?」

説明は受けている。
少しの知識も、出会いもある。

が、どうしてか『覚えていなかった』。

だから、気付かずに。

「……良ければ教えていただきたいのですが」

夜見河 劫 >  
「……あそこか。」

どうやら行った事があるようで、少しだけ眉根を寄せる。
恐らく試しに入ってみて、想定外の辛味に少し舌をやられたという所だろう。
場所が分かるか、という問いに対しては、ほんの少しだけ間をおいて、小さく頷く。

「…此処からだと、少し歩く。
ちょっと道が入り組んでるしナビの地図アプリが入った端末でも持ってれば、
住所の転送位は出来るけど。」

言いながら、ブレザーの裏ポケットを探り、身なりの割にはしっかりとした携帯端末を取り出して軽く弄る。

「……人目を気にしなくてもいいなら、直接案内位はするけど?」

端末を弄り終わると、ちらりと視線を向けながらそう問いかけてみる。
自分が目立つ存在だという自覚程度はある男。
少し乗り気ではない調子で、そう声をかける。
確かに、この男の後ろをついて歩くのは、少しばかり勇気が要るかもしれない。

追及などもされないので、ますます相手が一般生徒だろうと思い始めている男だった。
 

伊都波 悠薇 >  
「ありがとうございます」

ひっひっふー、と深呼吸して自分も端末を取り出す。

「連れていっていただくのは、ご迷惑かと思いますので、場所の共有お願いできますか」

特段姿がどうとかは気にしていない。
コスプレイヤーが街を歩いたりする世の中だし、と本人は思っているくらい。
ただ、手間をかけさせるのは気が引けた。

乗り気、でもなさそうなのも察して。

「ご親切にありがとうございます」

お辞儀。風紀委員、だからといって、この妹は一般生徒と、ほぼ変わらない。
なんなら、ちょっと下くらいなのだから、認識に間違いはないのだ。

夜見河 劫 >  
「わかった。」

場所の共有を願われれば、シンプルに一言返事。
少しばかり操作に時間をかけて、相手の側の用意が出来れば、タッチ一つで速やかに転送が完了。
件のお店の住所と所在がばっちり分かるようになるだろう。

「……少し分かり難い所にあるから、見落としても仕方ない。
近い所に、目印になるビルがあるから、もし次に行くつもりがあるなら、
そこを目印にしていくと良い。

一番いいのは、さっきみたいなのに引っ掛からないように、誰かと一緒に来る事だけど。」

目印を教えるのは良いが、その直後にデリカシーの無い発言。
更に言うなら遅い時間に年頃の女子が一人で歩く理由を考えない、中々ひどい発言でもある。

「……まあ、あそこは一度行ったけど、よっぽど辛いのが好きじゃないと断られるとは思うけど。」

軽く視線を外しながら、そう一言。
経験者の発言。人を選ぶレベルの辛さの模様。
これは同行者がいなくても仕方ないだろう、という雰囲気。

「――気にしなくていい。
まっとうな生徒を、厄介事に巻き込まなくてよかった。

…此処は落第街じゃないから、あまり派手な事はできないけど。」

お辞儀とお礼に返す言葉は相変わらず無気力な上、何処となく物騒な内容。
 

伊都波 悠薇 >  
ぐさ。

言葉のナイフが刺さった。

「はい。丁寧にアリガトウゴザイマス」

つい片言になりながらも、細かい説明をしてくれて助かった。

「辛いのは得意なので、多分大丈夫です」

今のところ食べれないとか、辛くて無理とかはなったことがない。
だから、平気だと思っている。

「えっと」

なんと答えたら良いか言葉に詰まり……

「その、怪我には気を付けて、くださいね」

それくらいしか、いえなかった。

夜見河 劫 >  
「そ。
ならいいけど。…遅くなるから帰りの時間にも、気を付けた方がいい。」

己の発言が目の前の少女の心にぐさっと突き刺さったなどとは微塵も考えない男。
大丈夫という返事に最後の忠告をしてから、手にしていた携帯端末をしまい込む。

怪我には気を付けて、という言葉に、ほんの少し首を傾げたが、ああ、と納得がいった雰囲気。
恐らく顔の包帯辺りで誤解させたのだろうか、と。

「……大した事ない。異能のせいで、治りは早いし。
面倒だから放っておいてるだけ。」

当たり障りのない返答を返しながら、ふらり、と足を踏み出す。

「――じゃ。
食事…食べ終わったら、寄り道しないで急いで帰った方がいい。」

再度の忠告。
経験者故か、下手をすると割と時間が遅くなる事が分かっているようだ。

そのまま、少女の名前を訊ねようともせず、歩き始める。
足の向く先は、落第街の方角。
 

伊都波 悠薇 >  
ーー……せい? 『おかげ』、じゃなく?

浮かんだ疑問は、投げることは出来ず。
向かう方向は落第街。

止める、ことができるほど、親密でもなく。『無力』であるから。

「それでも、痛いでしょうから。お気をつけて」

それだけ、背中に投げ掛けて。
反対方向へと歩きだし。

ーー無事激辛料理を食べることができた。

そんな、一人の『少年』との邂逅。

ご案内:「歓楽街」から伊都波 悠薇さんが去りました。
ご案内:「歓楽街」から夜見河 劫さんが去りました。