2024/12/06 のログ
ご案内:「歓楽街」にルーフラットさんが現れました。
ご案内:「歓楽街」に成海 鳴さんが現れました。
■ルーフラット >
20:37。歓楽街にて。
ハハハハハッ!!
夜だ!! ようやく僕の時間が来た!!
眠ることができない今、待つのは長かったぞ!!
今日は予告通り風紀委員を襲ってやる。
異能さえあれば単独でも大丈夫と勘違いしてる女風紀がいいな。
なにせ、僕は異能が3つもあるんだからな!!
見つけた……!
髪の長い女風紀ッ!!
お誂え向きにこの前、僕を撃ったヤツの一人じゃないか!!
殴り殺してやるっ!!
僕は音もなく屋根から飛び上がり、拳を振り上げた。
■成海 鳴 > 「させるか!!」
パン、パァン!!と小さな火薬音と共に足元に射撃が二発。
電極になっている特殊弾が、周囲に電磁網を張り巡らせて動きを阻害する。
襲われる役の同僚を守りながら飛び出すのは、新人の風紀委員。
バチバチと火花を出しながら、“盗人クマネズミ”ルーフラットの前に立ちはだかり。
「動くな、風紀委員だ!
連続窃盗、暴行犯の梶田 勝だな…!
お前が襲いに来ることは織り込み済みだ、大人しく連行されろっ!」
何度も犯行を繰り返している男に向かって、啖呵を切って大柄のハンドガンを構える。
相手は何度も風紀委員の手から逃げてきた連続暴行犯、油断はしない!
■ルーフラット >
「なにっ!?」
電磁網だって!!
この銃弾が出しているのか!!
襲撃の跳躍のまま電磁網に突っ込み、痺れながら後方に下がる。
こいつ……!!
「なにしてくれちゃってるんだ!!」
「梶田勝じゃない、僕は無敵のルーフラット様だぞ!!」
「お前なんかすぐにひき肉にしてやるんだからな!!」
電磁網の向こうで人差し指を向けて甲高い声でがなり立てた。
特殊装備型か。
僕が最強の異能者とはいえ、真っ直ぐ行くと危険だな。
騒ぎを聞いたのか歓楽街がにわかに騒々しくなる。
「その拳銃で僕をどうするって?」
「……風紀委員っ!!」
サイコキネシス能力、インビジブルアームで交通標識を引き抜く。
それを手に持って怪力で両端をざっと引き裂けば。
槍の完成だ。
■成海 鳴 > 「お前を捕まえるって言ってるんだよ!」
サイコキネシス、腕力強化は報告で聞いた通り。
標識を引っこ抜くくらい強いサイコキネシスなのは少し想定外だけど、こっちの異能なら外からいくらでも攻撃できる!
なにより、アタシの異能は”拘束”にはもってこいだ。
「静止の拒否を反応、交戦を開始!
これよりルーフラット捕獲作戦開始します!」
周囲にいた他の風紀委員たちに指示を出して、数人でルーフラットを囲む。
囲むのは全員、防護服に身を包んで特殊警棒を装備した今回の作戦のために用意されたメンバーたち。
今回の”指揮”はアタシ。この任務の要として抜擢された、初の大仕事だ。
「周囲に被害が及ばないように気を付けて!
攻撃来るよ!」
いつでも攻撃に対応できるように、距離はある程度離れておく。
サイコキネシスの有効射程距離も把握しなくちゃいけないし、腕力は強化されてる分攻撃されたら危険だ。
遠くから拘束してやるのが一番ベスト!
そのためにも、相手の動きをじっと見てうかがう事にした。
■ルーフラット >
「それが笑っちゃうほどヘンだって言ってるんだよっ!!」
周囲に武装した風紀委員が現れる。
クソっ罠か!!
ネズミ捕りにこんな劇を用意しちゃってさ!!
電磁網との直線上から離れるようにジリジリとすり足。
「こんなので僕を捕まえられるって思ってるのがさ!!」
「ムカつくんだよっ!! お前!!」
「僕の手で殴り殺してやるからな!!」
パッと逃げるにも。
まずは眼の前の女を始末してからが良い。
誰だって……仲間の死には動揺するだろうからな!!
ギザギザの女の足元に向けて標識の槍を投げ放つ。
真っ直ぐ投げたら避けられるかも知れない。
でも、僕のパワーなら。
直撃しなくても着弾点から石畳が周囲に飛び散る。
それはちょっとした攻撃にもなり得るのさ!!
■成海 鳴 > 標識を簡単に投げつけるパワー。当たったら普通の身体のアタシなんかひとたまりもないそれを、できるだけ思いっきり走って避ける。
着弾と同時に瓦礫が飛んでくるのをほかのメンバーたちが盾で守ってくれながら、こっちは一騎打ちの準備のために銃のマガジンを別のものに入れ替えて。
くそっ、なんてパワーだよ!
盾で守ってくれるメンバーがいなかったらあんなの、普通に死んじゃうじゃないか!
連続暴行犯なんてレベルじゃない、一端のヴィランの仲間入りを果たしてるじゃないか!
でも、だからこそ捕まえれたら手柄は大きいはず…!
マガジンに入れたのは特殊針弾頭。
所謂テーザーガンと言われる、ワイヤーでつながった針を飛ばして暴徒をスタンさせるための銃の機能を模したもの。
もちろん通常のテーザー銃と違って、小さいマガジンの中にスタン用の発電装置までは組み込めない。
だからこれはワイヤーと針を飛ばす事しかできない。普通なら。
でも、アタシの異能を組み込みさえすれば…!
「捕獲開始!!」
まずは一射、胴体を狙ってBANG!
暴徒鎮圧用の弾丸は通常の弾丸よりも火薬量が少ない。その分スピードもそこまではやくないけれど。
ワイヤー同志でつながった二つの針弾を避けるのは難しいはず…!
■ルーフラット >
石の散弾は盾で防がれた。
連携で来るのか!!
生意気なんだよ、オマエら!!
みんな僕の手で殺してやるからな!!
そして女が銃を構えた。
ニヤリと笑う。
「その口径の銃じゃ僕は殺せないぞ」
「何発撃ったって無駄だ」
昨日までの異能のテストでわかった。
僕は一定までの銃弾なら例え急所に当たろうと死なない。
「無駄を悟ったら僕の」
言い終わる前に僕の腹の辺りにそれは着弾していた。
なんだ……?
銃弾からワイヤーが、伸び───
■成海 鳴 > 「銃弾じゃ致命傷は入らないって? 報告書に書いてあったよ!
だからアタシが抜擢されたんだから!」
そう、それは知っている。
だから、銃のダメージは考えられてない。
そもそもこの銃が当たった所でちょっとした傷ができるだけで死ぬことなんてないのだから。
「すぅ……バチバチバチ!!!」
着弾と同時に、声でアタシの中の異能に”合図”を送る。
送ると共に放たれるのは……バチバチバチという声の通りの音を鳴らしながら、音速以上の速度で流れる”電撃”だ。
確かに、報告書であったルーフラットとの交戦記録では、銃による攻撃は何等かの異能によって効果薄と描かれていた。
だからこそ。銃じゃなく、”異能”の能力で捕獲に適任とされたのが、アタシだ。
アタシの異能、来来電来。
これはアタシから周囲に対して強い放電を行うことができる異能!
銃弾が効かなくても、電気ショックなら…動物の身体なら絶対にしびれ続けて動けなくなる!
「痺れて止まれ!
逃げようとするともっとビリビリさせるよ!」
■ルーフラット >
「な……!!」
まずい、こいつは。
特殊装備だけでなく、異能を。
思考の結実と共に咄嗟に針弾に手が伸びた瞬間。
それは放たれた。
電流が奔り、体を駆け回る!!
体をビクビクと跳ねさせる!!
「あ、が………!!」
再生能力以前の問題だ、このまま痺れたら捕まえられてしまう!!
そうしたら僕は眠れないしすぐお腹が空く状態で地下に入れられるのか!?
嫌だ!! 嫌だ!! 嫌だ!!
嫌だ!! 嫌だ!! 嫌だ!!
嫌だ!! 嫌だ!! 嫌だ!!
そして針弾は素手では抜けない!!
どうする、どうする!?
「殺して……やる…」
ふと、見えた。
近くの飲食店は、随分と古い。
ガスのボンベを外に置いてある。
ニヤリと笑って僕はその管を不可視の力で引きちぎり。
ガスの栓を思い切り捻った。
「どう、だ……」
「ガスが流れてるぞ………」
「オマエが電気で爆発させたら……僕以外みんな大怪我だ…」
■成海 鳴 > 「よ、よし…!うまくいっ…!?」
あとは捕獲するだけ、と、考えていた瞬間。
鼻孔を刺激する不愉快な匂いがガスのものだと気づくのに時間はいらなかった。
まずい…!
「っ…!」
血の気がサァー…っと引く。
咄嗟に電気の放出をやめて、引火を防ぐ。
でもそうしたら?
ルーフラットを止める方法がなくなる?
そんな事を考えてるときにはもう遅く―――
■ルーフラット >
「へへ……僕のほうが一枚上手だったな…!」
痺れる体を無理やり起こして前に出る。
畜生、どんだけ電流を流したんだ!!
「予告通り、風紀委員を殺してやるっ!!」
サイコキネシスの力でギザギザの女の首を絞めにかかる。
その時、僕は初めて見た。
ガスで揺れる空気の中を、二本の腕が前に進むのを。
ガスで輪郭がわかるのか…!!
■成海 鳴 > どうしよう?
ガスがある中で引火は不味い。けどルーフラットをこれ以上野放しにはできない。
こいつはもう何人も傷つけてきたんだ!それに、どんどん強くずる賢くなってる!
でも電気を使えなかったらアタシはただの…!
ふと、見えたのは不可視の腕。
ガスのせいで輪郭が見えたそれは、きっとサイコキネシスといわれてる異能のものか。
「っ…!」
首を絞めようとする透明な腕を、咄嗟に引き剥がして後ろに逃げる!
「全員後方に退避、作戦失敗!
本部に応援を要請して頂戴!」
テーザー銃も普通の銃も使えない以上、これ以上交戦はできない…
追いかけるにしてもほかの作戦を取らなきゃいけない!
でもそれは、あまりにも時間がかかる。
襲ってきたら、もしくは、逃げの一手をとられたら。
対処しようがない状況には変わりなくて。
■ルーフラット >
「待てっ!」
前に出る。痺れは残っているものの、強く一歩を踏み出す。
「お前は僕の手で殺すぞっ!!」
「僕の体に電気を流してくれちゃってさ!!」
殺す!! 殺す!! 殺す!!
殺す!! 殺す!! 殺す!!
殺す!! 殺す!! 殺す!!
逃げるギザギザの女を追い回す。
さぁ、鬼ごっこの始まりだ!!
捕まったら死ぬけどな!!
腹の周囲の肉ごと指先で針弾を引き抜いて放り捨てる。
「さぁ、死………!!」
その時。僕は気付いた。
ガスの結界からとっくに抜け出している距離だということを。
振り返ると、店員と思しき存在が大慌ててでガスの栓を閉めていた。
■成海 鳴 > 「ぃ……!」
襲い掛かってきた、不味い!
近づかれたらこっちに勝ち目なんてないのに、ガスで躊躇ってたせいで距離を詰められてる!
このままじゃ本当にやられ…!
咄嗟の出来事。
引火を考える余裕はなくて、でも偶然にもガスが止まっていたからなんとかなったこと。
「ば、バリバリバリ……ッ!!!」
自己防衛。
体中からできる限りの出力の放電、自分もまきこんだ自爆技だ。
浅ましい、己可愛さの雷電が周囲に迸る―――
■ルーフラット >
「バ………っ」
バカと声に出す暇もない。
過電圧、放電。
全身を痺れさせて倒れ込む。
「ぐ、ううう……こいつ…殺してや…」
その時、盾を持っていた風紀委員が僕に手錠をかけた。
こいつ、判断が早い……!!
「こ、こんな手錠で……僕が…!」
……合金製の手錠か!?
千切れない!!
「クソっ!! お前……顔を覚えたからな…」
「絶対に脱獄して殺してやる……」
痺れながら、僕は拘束された。
■成海 鳴 > 「はぁ、はぁ、はぁ…!
運がよかった…」
どうやら、ガスの発生源からは外れていたようで。
爆発沙汰なんてことにはならずに済んだのにほっとして。
「…連続暴行犯ルーフラット、捕獲成功!
大人しく刑の執行をうけるんだよ!」
なんて言いながらも。
直前に我が身可愛さに周囲を気にせず放電した事に、うしろめたさを感じてるのを悟られたのか、仲間の一人に肩をぽんとされ。
はぁ…とため息一つ漏らし。
「まだ終わってないか…
アンタには聞きたいことが山ほどあるんだからな!
特にその異能に関してとか、署でじっくり話を聞かせてもらうから覚悟しなよ!」
恨み言にはろくに返事もせずに、そのままやってきた護送車に男をのせる事だろう。
■ルーフラット >
「僕が……刑罰を…?」
「くそう……くそう…」
「常世神の信徒であるこの僕が……」
痺れたままその言葉を口にするのが精一杯だった。
僕は護送中に麻痺から回復し、フルパワーで手錠と拘束衣を引きちぎって逃げた。
それでも、風紀の警戒レベルとギザギザ女との愛称の悪さを痛感し。
僕は空腹を抱えたまま闇の中を走って逃げていた。
ご案内:「歓楽街」からルーフラットさんが去りました。
ご案内:「歓楽街」から成海 鳴さんが去りました。