2024/12/20 のログ
ご案内:「歓楽街」に泳夢さんが現れました。
泳夢 >  
賑わいを見せる夜の歓楽街を、似つかわしくない人影が通り過ぎていく。
年季の入った外観の車椅子。その上に乗るのは、黒のゴシックロリィタを纏う、白蝋じみた肌の少女。
手も足も、一目で作り物だとわからせてしまう精巧な義肢が、その姿をより際立たせていた。

蒼い瞳は歓楽街を通り過ぎながらも、そこかしろかに視線を向けている。
興味深げなそれではなく、何かを探しているようで。
しかして明確な目的があるようでもなく、歓楽街の中を彷徨する。

一見すれば、それはあまりにも無防備で、あまりにも不用心なものでしかない。
一目で作り物とわかる義肢も、いかにも高価そうな黒のドレスも、無用心な放浪を助長させるものでしかない。

泳夢 >  
そしてそうも成れば当然、厄介事というものは向こうから歩いてきて、勝手にぶつかってくるのもだ。
──だが、不可思議なほどに少女に関わろうとするものはいないのだ。

まるでそこには誰もいないかのように、人々は少なからぬ意識の隙間を彼女へ割いているというのに。
その視線が交わることがない。その意識に少女の存在が引っかかることがない。
そこにあるのは、空虚な幽霊でも相手にしているかのような、非現実的な違和感だけ。

車椅子で進む彼女にぶつかってくる人影すらない。関わろうとする存在は居ない。
まるで彼女がそこにいないかのように、彼女の車椅子の脇を通り過ぎていく。
或いは単にそう、その特異な姿だからこそ、避けられているのかもしれないが…それにしても不自然であった。