2024/12/21 のログ
■泳夢 >
「……やっぱり、その辺でみつかるもんじゃないかぁ」
そんな折に、少女は寒空の中に白煙を吐いてぼやく。
興味深げな色を持っていた瞳はつまらなそうな色に澱んで、どこか退屈そうでもある。
感情の起伏が平坦な声色は、奇妙な幼さがありながら、何処までも無気力で無関心だ。
やがて少女は車椅子を止めると、その背に体重を預けた。
その視線の先には、歓楽街の通りから少し外れた裏路地がある。
少女の目的はその何処かにあるのか。或いは何かを待っているのか。
魔のモノの鼻腔を擽る甘露のような甘い香りだけが、少女の在処を示すように、漂っていた。
■泳夢 >
……結局、少女がその場にいたのは、一時間にも満たない。
歓楽街の賑わいがその色を濃くしはじめた頃、少女は再び動き始めた。
「くしゅんっ」
ぶるり、と少女は身を震わせた。
流石に冬の夜気の中を車椅子で進むには、温度が足りなかったのだろう。
それを不満に思うわけでもなく、少女は身を縮こませて車椅子を進ませる。
「流石にそろそろ戻んないと、風邪ひいちゃうな」
誰にともなくそうぼやいて、少女は目線を歓楽街から外した。
車椅子の進む先は、歓楽街から離れ行く道。
登下校にも使われるその道は、今はもう人気もほとんどない。
■泳夢 >
そんな人影もない道を、車椅子の車輪は回っていく。
歓楽街を離れ、帰路につく人影のない路地へと。
ご案内:「歓楽街」から泳夢さんが去りました。