2026/02/02 のログ
ご案内:「歓楽街」に牛丸 瑞璃さんが現れました。
牛丸 瑞璃 >  
風紀委員会特別攻撃課 青霧在の迅速な対応、そして通報。
それを受け、風紀委員と共に現場に駆けつけたのは、
特殊救急機動部隊『アスクレピオス』だ。

赤と白を基調とした救急車両から現場に降り立った武装集団は、
現場の安全を確保する為に散開していた。

『警戒しろ、まだ周囲に潜んでいる可能性がある!
 風紀委員と協力して周囲の警戒を行いながら、
 現場の検証をサポートしろ!』

そして勿論、此度の事件で負傷した怪我人達の搬送もその仕事だ。
救える命は救い、彼らが日常に戻れるようにする。
それが、アスクレピオスの杖を背負う者達の務めだ。

救急搬送のサポートを終えた牛丸は、小さく息を吐いて、
赤と白を基調とした救急車両に背を預けた。
もう一台の車両を使って、既に搬送は済んでいる。
残された仕事は、風紀のサポートだけだ。

「しかしまぁ、こんなトコで事件起こすだなんてね」

――あたしだって、流石に歓楽街じゃ自重してたんだけどなぁ。
 
重装の隊員達とは違い、身軽な服装――制服を身に纏った彼女は、
救急車両を背に、顎に手をやって現場を眺めていた。

牛丸 瑞璃 >  
辺りに散らばるライムグリーンの血。
そして、蹴り潰されたマンホール。

「カタストロア、かぁ――」

近頃、この常世学園を騒がせている有名な凶悪犯だ。
手の甲をすっぽり覆い隠している制服の袖から、細い人差し指を出して、
己の輪郭をなぞる。

視界の向こうでは、風紀委員達が忙しなく最新鋭のドローンの残骸を回収している。
搬送後の己の任務である緊急車両の護衛の任さえなければ、
近づいてもう少し様子を見ることもできようが。

「――やっぱり、興味……あるなぁ」

知性のある獣が折り畳んだ男子生徒の姿を思い浮かべながら、そんなことを漏らす。
カタストロアは獣の如き巨躯を持つが、
決して「食の飢え」のために人を襲う猛獣ではない。

だとしたら彼は、何故このような行為に及ぶのか。

己の力の誇示か、体制への反逆か、或いは――。

『暴力』は彼にとって、
かつての牛丸にとっての『芸術』と同じ――自己表現なのだろうか。

ある種の、同類かもしれない。
もしそうだとしたら、少しだけ興味が湧くのは自然なことだ。
もう少し思考を巡らせてみたいところだが――思考のモヤを感じて、頭を振る。

「んー。まっ、その辺りはいつも通り専門家に任せますか~」

風紀委員の現場検証もあらかた終わったようだ。
アスクレピオスもこれにて撤収となる。

牛丸 瑞璃 >  
『牛丸、こちらも撤収だ。さっさと乗れ』

重武装の先輩隊員から促されれば、牛丸は救急車両に預けていた背を伸ばす。

「Listo(りょ~かい)、お疲れ様でーす」

ぴっと、敬礼の仕草を見せて、ウィンク。

そのまま救急車両に乗り込むだろう。

本日の仕事はここまでだ。
帰ったら気分転換に、久々に短めのゲーム実況動画を投稿するのも良いだろう。

『牛丸』

そんなことを考えていると、隣の席に座っていた同級生の隊員――山城が、こちらに声をかけてくる。
後頭部に両腕を回したまま、顔だけ少しそちらへと向ける牛丸。

『マンホールの蓋、見たか?
 あんなバケモノとやり合うことになると思うと、正直こえーぜ。
 風紀の青霧ってかなりのやり手なんだろ? それが、あんな状態になっちまうなんてよ……』

同級生の隊員――山城が、奥歯を噛みながらそのように口にする。
恐怖と、悔しさの入り混じった顔だった。

「んむ? まぁまぁ落ち着き給えよ。
 風紀の話じゃ、彼は非番だったって話だし、十分な装備がなかったんじゃないかな。
 
 それに、あたし達は一人じゃないから。
 だから、心配することないよ、山城クン。
 気は引き締めないとだけど、ね?」

それは子どもを宥めるように、柔らかく甘い声だった。

カタストロアという知性を持つ災害。無論、油断などできるものでは一切ない。
個では、対処が難しいかもしれない。
それでも、組織の力で立ち向かうことはできる。

「……青霧クン達、無事だと良いな。
 じゃ、あたしちょっと眠るから。おやすみ~。
 あんまり気、張りすぎないようにね~」

牛丸は柔らかな座席に背を預けて隣の同僚にそう告げると、同僚に手を振ってから、目を閉じるのだった。

ご案内:「歓楽街」から牛丸 瑞璃さんが去りました。