2024/06/29 のログ
カエルム > 「ま、このあたりのニンゲンならそういうコトもあるだろうケド、見た感じ普通の学生ってトコロ、デショ?」
スラムで育って来た以上ある程度そういったことには敏感な筈だが、少なくとも不法者の持つ空気は感じ取れなかった。

「ま、そんなトコロ」
こんなトコをふらふら歩いてるアンタも似たようなもんデショ?といった視線をちらりと送る。

「はぁ……」
特大のため息。何よりもこういう交渉事が苦手な自分に対して。
「別に、そういうのいいから…って言ってもムダか」
再びのため息。お金はしっかりと頂く。

エルピス・シズメ >  
「うん。キミはちょっと違いそうだね……」

 否定せずに頷く。
 目の前の彼は少し違う気がして、つい感想が漏れる。

 更に、大きな溜息をつけば。

「一度聞いちゃうと、どうしても身体が勝手にね。
 ……余計なお世話だったら、なんというかごめんね。」

 "でも諦めて"と、冗談めかして苦笑する。
 そういう性分である自覚はあるらしい。

「じゃ、僕は行くね。せっかく包んでもらった食べ物もあるし……
 これ以上帰りが遅くなると、なんかヤな予感もする。」

 すん、と何かを嗅ぐ仕草の後、周囲を見渡す。
 "気のせいかもしれない、ほんの少し空気が違う気がした。"
 そんな不安感だ。

「またね。それと、気を付けて。」

ご案内:「落第街大通り」からエルピス・シズメさんが去りました。
カエルム > ちょっと違う、と言われて困惑する。
この世界の住人ではないので違うのは勿論そうだが。おそらくはそういった意味ではない。

詳しく訊き出すべきか、と思案しているうちに彼は行ってしまった。

「…はぁ。まぁ。いいか」
店主に客と談笑してた、なんて言いふらされても困る。
再び本を読みながら、棒読みの客引きへと戻ってゆく。

暫くそうしていると店主が戻って来たらしく、いくつかのやり取りの後、彼は夜の闇へと消えて行った。

ご案内:「落第街大通り」からカエルムさんが去りました。
ご案内:「落第街大通り」に九耀 湧梧さんが現れました。
九耀 湧梧 > 落第街の通り。
怪しげな屋台や呼び込み、不穏な喧騒が時折流れて来る中。
黒いロングコートに、赤いマフラーの男がゆらりゆらりと歩を進めている。

「……。」

時折周囲を眺めるように、視線だけを動かしながら、男は静かに、通りのあまり目立たぬ場所を選んで脚を進める。

先日訪れたスラムよりはまだ街としての体があるが、それでも此処は決して治安が良いとは言えない。
少し気を抜けば、簡単に何かしらの厄介事に巻き込まれるかも知れない。

だが、男にとってはそれが好都合だった。
此処を含めた「この街」にとって、自身は「余所者」である。
どうやら風紀を取り締まる組織もあるらしいが、今はあまりお世話になりたくはない。

であれば、此処は比較的隠れ易い場所だと言える。
樹を隠すなら森。訳ありの身を隠すなら、訳ありの場所がベターな選択だ。

男は静かに、ブーツの足音だけを立てる。

九耀 湧梧 > 大通りからいくつか伸びている路地の一つから、怒声が聞こえて来た。
続いてもう一つ、また別の怒声。
覗かなくても分かる。喧嘩だろう。
誰が喧嘩を売って、誰がそれを買ったのかは分からないし、其処まで興味もない。

「………。」

エスカレートしていく怒声の応酬を知らぬ振りして、男は歩き去っていく。
男は悪人ではないが、生憎と知らぬ喧嘩に仲裁に入る程お人好しでもなかった。
喧嘩荒事、大いに結構。こちらに飛び火しない程度に、適度にやると良い。

ふぅ、と息を吐き、男はゆらりと通りの目立たぬ場所を選んで、脚を進めていく。

九耀 湧梧 > しばらく歩けば、怒号のやり取りは聞こえなくなる。
気にした風もなく、男は通りを歩いていく。

「…さて、今日は何処で休むかな。」

目下、それが多少の問題であった。

怪しげな客引きや露店の誘い、呼び込みの声をするりするりとやり過ごしながら、男は落第街の奥へと歩き去っていく。
やがて、その姿は街の景色のひとつに紛れ込んで、見えなくなった。

ご案内:「落第街大通り」から九耀 湧梧さんが去りました。