2024/07/31 のログ
■Dr.イーリス > 「……さすが神様と言うべきかもしれませんが、傲慢とは酷い言いようですね。科学技術の結晶でございますよ。違法ですが……」
違法、という事で目をちょっと逸らした。
ギフターさんに迫るのは、あらゆるものを溶かすマグマ。
「……あなたが神様なので、強大な魔術の連続行使は驚きはするものの、納得するところはありましたが。ううっ…………」
話している間にも、体内コンピューターが熱や過激な演算処理でイーリスを苦しめ続けているのには変わりなかった。
そしてギフターさんが発動する氷の魔術に瞳を開く。
物体が停止した……。まるで時を止めるかのように……。
神と人、その差なのだろうか……。
イーリスは全力でこの試練に挑み、自分の身が傷つき崩壊していこうとも……魔術生成AIや違法改造異能を行使した。
だがギフターさんは難なくそれに対処してみせている。
あまりに強大すぎる相手。
「……はぁ……はぁ……。落第街に限らず、この島には未来ある人達が多くいるものですね……ぐっ……」
イーリスは右手で胸部を押さえる。先程、ギフターさんに傷つけられた箇所……。
■ギフタ― > 「神ではないのである。私はあくまで試練をもたらす人なのである。」
絶対的な存在として例えられる神
神であれば無限の力と全知によってどのような事でも解決するのだろう
しかし、ギフタ―は神などではない
欲深き人の身なのだ
「人の身でなぜここまで強大な力を振るえるのか…簡単である。
デメリットを他所に押し付け力を他から得ればいいのである。
イーリス嬢に分かりやすく言うならば、我が試練を超えられなかった者達をバッテリー代わりに使っているのであるな。
ここでは消えても大して騒がれない者達ばかりで実に助かっているのである。」
欲深い男はそう告げた
■Dr.イーリス > 「……神様ではなかったのですね」
出会いの日から凄く勘違いしていた事であった。
勇者に能力を授ける神様と解釈していた故。
「能力のデメリットを他人に押し付ける……? 試練を乗り越えられなかった者達を利用しているという事なのですか……!」
イーリスの目の色が変わる。
勇者に能力を授ける神様、そんな風に思っていた人が、実は試練を受けた者達を利用して自分の能力のデメリットを肩代わりさせていた。
「……試練と称して、自分のバッテリー代わりを集めていたのですか……!」
■ギフタ― > 「神なんてつまらない存在にはなりたくないのである。
欲深い人間として生を謳歌している方が余程愉快にいきれるであろう?」
少女の言葉に男は語る
愉快な道化師の如く
「試練を乗り越えた者に力を授けるのは本当である、ただし!
乗り越えられなかった者をどう扱うかは私の自由であろう?
弱者が強者の糧となる、自然の道理である。」
有効活用、リサイクル
どう言い繕うがやっていることは同じこと
弱者を食い物にしているという言葉に変わりはない
「イーリス嬢は体が殆どガラクタになっているので使えるのは頭ぐらいなのが残念である。
知識奴隷として使うにしても不便であるし、物好き相手の人形になるがいいだろう。
この程度の力であの王に挑んだ所で結果は同じ、どうせ死ぬなら私の役に立って死ぬと良いである。」
そう言って手をかざす
その声音は興味の無くなった者への…試練を超えられない者達への落胆の声
■Dr.イーリス > 「神様、研究対象としては魅力的ではありますけどね。敬意はありますけどね。愉快に生きる、という感覚は私には分かりません……。ただ生きていくだけで精一杯でしたから……」
視線を落とす。
これまで、明日をどう生きるか考えるのが精一杯な人生だった。
だから、生の謳歌なんてあまり考えた事はない。
「……力ある者が、力のない者から奪う。力なき者は、ただ奪われるしかない。その通りですね。あなたの言う通り、世の道理です」
こくん、と力なく頷いた。
スラムでの生活もそうだ。力ある者が奪い、力ないものが奪われていく……。
ギフターさんは力のある者で……イーリスは、メカに頼らなければどうにもできないただ弱い存在……。
「……しかし、私はあなたの言いなりになんてなりません。あなたの好き勝手にはさせません……。試練は、まだ終わっていません……。ぐ……うぁぁ……」
気丈に振る舞おうとしても、ギフターさんに傷つけられた左腕や胸部からは火花を散らしており、過剰な演算処理の反動がイーリスを蝕み、メカニカル・サイキッカーがイーリスを抱えてマグマに落ちないように飛んでいる、それだけの操作でも苦しい……。
ギフターさんは強力な能力をノーリスクで扱う事ができる。
そのような強敵にどう抗えばいいだろうか……。
イーリスは右手を伸ばし、モニターのタッチ操作を始める。
■ギフタ― > 「研究はたとえ神でもされるのはごめんであろうな。
ほう、理解が早いである。弱者は弱者らしくした方が可愛げがあるぞ。」
終わりか、と魔術を発動…させる前に少女胸元の火花に気が付く
何をせずとも勝手に自滅する
「最後の足搔きであるか?
可愛らしく折れたと思ったら見苦しい足掻きを…残念であるな。
どうせ何をしても無駄、せめて最後は笑える踊りでもするがいい!」
モニターを操作する少女の頭蓋目掛けて魔術を放つ
下らない抵抗を終わらせる為
■Dr.イーリス > 「……弱者なりに、今まで抗ってきましたからね。あなたがご期待する可愛げのある弱者のつもりはありません」
何かを仕掛けようとするイーリス。
だがそれを許してくれる程、ギフターさんは甘くはなかった。
弱者故なのだろうか……。
“王”に敗れて、失ったものが多かった。
それでも、エルピスさんに助けてもらって……『数ある事務所』で暮らす事になって、最近はナナさんも迎えて賑やかになった。
エルピスさんと、一緒に幸せを見つける、そう約束していたのに……。
果たせなくなってしまうのかな……。
そんなの嫌……。
失ってばかりの人生で、せっかくこれからだというのに……。
「……こんな所で、終わらせたくないです……!」
イーリスが求めたのは、試練の後に成長した自分。
試練の後で、さらに成長した自分だった。
このままではだめなんだ……。
ギフターさんにも、“王”にも、勝てない……。
途端に、イーリスの目つきが、まるで感情の込められていないものに変わった。
「……オーバーリミット・キャルキュレイト」
ギフターさんの魔術、それは本来なら回避できないものだった。
だがまるで完全にギフターさんの動きを読んでいたかのように、イーリスを抱くメカニカル・サイキッカーは避けてみせた。
メカニカル・サイキッカーは、飛行するカート型メカにイーリスを降ろす。
「違法改造異能。《紅蓮の炎巨人》」
底で蠢くマグマが、メカニカル・サイキッカーへと集まっていき、それがまるで小さな太陽のようになっていく。
■ギフタ― >
「可愛げのない人形の幕引きである!
っ!?」
放たれた魔術は空を切る
まだ避けるだけの気力があったかと再度魔術を…
「っ、また自爆であるか?」
少女をサポートしていたメカにマグマが集まり始める
どれ程丈夫に作ろうがあれでは早々に溶け落ちるだけ
ただの無駄な悪あがき…その考えはすぐに変わる
「空中で静止?今更マグマを操る位でどうするつもりだ?
また同じ様に凍らせて終わりであろう!」
小太陽から距離を取ろうとする
魔術さえ発動すればそれで終わり、これ以上の抵抗は出来るはずもない
そう断定する
■Dr.イーリス > ギフターさんの魔術を回避できた事は、イーリスも驚いていた。
強敵との戦いで、成長が感じ取れる。
「……未来予測、でございますか。私の……新たな力……」
自分で、先程自分が行った事を自己分析している。
オーバーリミット・キャルキュレイト、それは発達した電子頭脳、演算による未来予測。少し先の未来を瞬時に予測するもの。
電子頭脳とは言えイーリスの脳に関連する能力なので、単に科学技術向上をさせるだけではこの境地に達する事は出来ず、イーリス自身の純粋な能力も必要とされるようでもある……。
未来をも予測する演算なのでやはり負荷が大きいが、今は倒れている場合じゃない。
メカニカル・サイキッカーに集まるマグマ、小さな太陽を形成したそれはやがて巨大な人型を模す。
全長は十メートル程はあるだろうか。灼熱を纏った紅き巨人の姿となる。
その姿はマグマが集まり禍々しくも、まるで炎を司りし神の如き神々しさも放つ。
違法なる改造の異能により、神へと少しは近づいた姿。ギフターさんがつまらない存在と言い張った存在に成り上がろうとした傲慢な存在。
「ギフターさん! 弱者の力、見せてあげます!」
灼熱の巨人は、炎による推進力を活かして瞬きする余裕すら与えない僅かな時間でギフターさんに迫っていた。
魔術を発動させるような余裕も与えない程の一瞬の出来事。
その巨大にして灼熱の拳が真っ直ぐギフターさんに振り下ろされようとしている。
■ギフタ― > 「未来予測?馬鹿な…」
未来を覗く技は現状存在していない
予知、予見、断片的な予測などは存在するがどれも意図的に見る事等できない運頼みなものばかり
そんなもの、化学でも魔術でも存在していない筈
「ばかっ……!」
未来を望んで見た、そう言い切った言葉に一瞬動きが止まる
あり得ない、だが自分の攻撃を避けたのは事実
その判断が動きを遅らせた
灼熱の一撃がギフタ―を捉える
物理的な衝撃、マグマの熱をうけギフタ―は黄金の絨毯を抜けマグマへと落ちていく
常人、と言うよりも尋常な生き物であれば助かる筈はない
■ギフタ― > 勝利を、安堵を少女が感じた瞬間
世界は弾ける
気が付けばマグマに燃えた布団の上、柔らかな枕が頭を支えている筈
■Dr.イーリス > どれほど正確に予測できているかは未知数……。
だが今この場においては、正確な予測をしてみせた。
その未来予測演算は、炎の巨人がギフターさんをマグマに叩き落とす事も予測してしまっていた。
イーリスの電子頭脳が予測したのはそこまでだった。
「はぁ……はぁ…………。ギフターさん……」
カート型メカの上部で両膝をつきつつ息を整えるイーリス。
勝利の安堵、それと共にギフターさんの命の心配もした。
ギフターさんの命を気遣って戦える状況ではなかった……。
■Dr.イーリス > 考えている間に世界が暗転。
はっ! と気が付いた。
「あ、あれ……?」
起き上がって、きょろきょろと見渡した。
どういう事だろう……と首を傾げてから、マグマに落ちたギフターさんを思い出す。
「ギフターさん! ギフターさん……!」
きょろきょろ、と心配げにギフターさんを探すように周囲を見渡している。
■ギフタ― > 「うむ、私はここである。」
少し離れた場所にギフタ―は居た
キャンプで使われる簡易的な椅子に座り、そちらに手を振る
立ち上がりそちらの方へ
「激闘であったな、イーリス嬢。
まさか科学技術で未来を予測するなんて想定外であった。
いくら私でもほぼロケットみたいな勢いでマグマに叩き付けられれば絶命は不可避であったぞ。」
南無南無とつぶやき合唱する
傷や汚れどころか闘技場そのものも戦い始める前の状態と変わらない
勿論メカニカル・サイキッカーも待機状態でピカピカである
■Dr.イーリス > ギフターさんが無事であった事に安堵している。
勝利の安堵よりも大きい。
「ギフターさん、ご無事でよかったです」
椅子に座って手を振っているギフターさんを見て、じわじわと潤む瞳。
なにせマグマに落ちていったから、殺害したものと思ってしまった。
イーリスの傷もなく左腕も元通り、加えて演算の負荷による苦しみも一切感じられない。周囲を見渡せば戦いの跡なんてなかったように思える。演算による負荷がかかっていたのはメカニカル・サイキッカーも同じだけど、そのメカニカル・サイキッカーはそんな事を感じさせないぐらいピカピカ。
一応、異能を解除すればマグマに関しては元に戻るものであったけど、それと関係なく、本当に何事もなかったかのように。
「……あれ……? ……あれ……?」
首を傾げて、クエスチョンマークを頭上に描いてしまっている。
「まさしく激闘でしたよね。私も、これまで出来なかった事が出来て成長を感じていました。そうです、ギフターさんは凄い勢いでマグマに叩き落とされて……」
何がどうなっているのだろう……という風に、事情を把握できてない様子のイーリス。
■ギフタ― > 「うーむ、あそこまで悪辣な事を言ってきた相手の無事に安堵するのは最早欠点にもなる気がするのである。
優しければいい物ではないと思うぞイーリス嬢。」
なぜ生きている!とまでは言わなくとも恨み言の一つでも言ってもらわないと将来が心配になる
別の意味であの王と戦えるのか不安を感じるのであった
「うむ、混乱しているので先に結論から言えば先程までの戦いはイーリス嬢の夢の中、頭の中での話である。
最初に頭を撫でたであろう?現実ではイーリス嬢はあそこから眠り姫の状態だったのである。」
そして少女を持参していた布団に寝かせ、自身も魔術で夢を繋げた
これが今までの戦いの全容である
はたから見れば少し離れて2人で眠っている様にしか見えない状況
「加えて、哀れなバッテリー達の話しも嘘である。
そんなえぐい趣味は持ち合わせていないので安心するといい。」
■Dr.イーリス > 「ギフターさんの思惑と、あなたの無事を願う事はまた別ですよ。強い者が弱い者から奪うというのは納得できるところもありますし、意図はどうであれ約束通り試練を行ってくれたあなたの死なんて願いませんよ。本当に、生きてて安心しましたよ」
生きててよかった、笑みを浮かべた。
試練中は必死だった。ギフターさんに勝つ事を考えて、あらゆる手を尽くした。
だけど試練が終わった後は、ギフターさんもイーリスもお互い生きている事を望んでいた。
「夢……。全部、夢だったのでございますか……!? 頭を撫でたのもそういった意図だったのですね。あれ……なら私が目覚めたあの演算能力も……夢……」
危機的状況で発揮した未来を予測する程の演算能力。
夢の世界で発現したあの力は、今の現実のイーリスが自在に使えるものではなかった。
だが、夢での発現が現実に全く影響されないわけがなく、ちゃんと新たな能力が開化しはじめた状態になっていた。
夢を見せていたギフターさんならそこに気づいているかもしれない。
「バッテリーになっている人達がいるというのも嘘だったのですね!? とても親切なギフターさんがとんでもない意図を話すものだから驚きましたよ! という事はやはり、ギフターさんが神様ではないというのも嘘だったのですね」
ギフターさんに尊敬の眼差しを向ける。
夢で見せてくれた戦い。
それは確実にイーリスの経験になっていた。
ふと、思い出す。
「……試練に失敗したら永遠に眠らなければいけないというのは、夢から覚めなくなるという事だったのですね」
青ざめた。
夢から覚めなければ、ずっと眠ったままなのも道理。
■ギフタ― > 「良い子過ぎるであるなぁ。
演算能力に関しては、まぁきっかけにはなると思うのである。
一度壁を越えてしまえば後は慣れでだいたいどうにかなるのが殆どなので、そこはイーリス嬢の努力次第であるな。」
逆上がりとおなじである!
なんて言うが難易度の次元が違うのは理解している
けれど土壇場で成功したのであればそれをモノにするのは遠くない話だろう
「バッテリー云々は嘘であるが私は正真正銘人間である。
神ならこんなめんどくさい事はせず気に入ったら望む力を好きなだけ授けられるのである。」
流行りの小説みたいに、と付け足すが勿論そんな神業は出来ない
逆に、神だったらと思う事もない
人の足掻き、試練を超える姿を見たいなんて強欲は人の身だからこそ持ち得るのだ
「そうであるな、仮にあそこでイーリス嬢が折れていればこのままずっと眠る所であった。
そうなればもちろん私もイーリス嬢を放置してこの場を去っていたぞ。」
そうなればここに来た誰かが気付くのか、保護するのか
どちらにせよ外から少女を目覚めさせようとしても徒労に終わっただろう
■Dr.イーリス > 「私、不良少女ですよ? そんなにいい子のつもりもないですよ」
夢で目覚めた未来予測の演算能力に関する話を聞けば、イーリスは双眸をきらきらさせていた。
「ちゃんと、あの演算能力が開化しそうな状態なのですね。ありがとうございます、私、頑張ります」
ギフターさんのお陰で、一つ目標ができた。
未来予測の演算能力、“王”と戦うにはきっと便利だ。
「神様ではないが故に、能力を授けるにしても条件があるのですね。それで試練、となってくるわけでございますか。ふふ、私もあなたに能力を授かったと言えるところはあるのかもしれませんね」
ギフターさんの試練をきっかけにして、新たな能力が開化しはじめ、それに気づけた。
「……うぐ。目覚めなくなるとは事前に聞いてはいましたが、その試練が夢で行われるからとは……」
ギフターさん、親切な方とは思っているけど眠ってしまった人を放置するところは容赦ない。
ずっと目を覚まさない人相手に何をやっても無駄という割り切りもあるのだろうけど。
「ともあれ、あなたのお陰で私は新たな可能性に気づく事ができました。あなたのお陰で、弱い私でも強くなる道があるんだと思えるようになりました。ありがとうございます、ギフターさん」
にこっ、とギフターさんに笑いかけた。
試練は、夢の中とは言え厳しいものだった。だからこそ、イーリスは未熟だった自分を乗り越える事ができたと思う。
ギフターさんに感謝の気持ちを込めて、一礼した。
■ギフタ― > 「なら、ただのいい子ではなくいい子ちゃん。である。因みにこれは褒めてないのである。
今回イーリス嬢が得た力は自分で生み出した力である、私は元のポテンシャルにそこにストレスをかけただけ。
自身でつかみ取った力、大いに誇ると良い。」
自分が与えた訳でもない、あくまで自身で掴ん立ちから
目標に対して助けの一つにはなる筈
試練としては上々の結果にはなった
「全部説明してもらえるなんて考えはチョコよりも甘すぎるのである。
相手の言葉の裏まで考えてこそ一流と言えるので、そっちはこれからの努力に期待であるな。」
今は素直すぎる少女という評価が適正に思える
試練を超えられなかった未来については、考えても意味はない
げんにこうして少女は現実へと戻ったのだから
「イーリス嬢、安心するのである。
自分を弱いというが生まれた瞬間から弱さの欠片もない者など存在しないのである。」
その弱さを克服する、古来より傲慢たる人類はそうしてきたのだ
「弱さを恥じるな、誇るがいい。
今宵やってのけたように強者を下し引きずり下ろすのだ。
それができるのも、弱さを持つ者の特権である。」
■Dr.イーリス > 「褒められていないのは、言葉のニュアンスからなんとなく感じ取りましたよ」
むくれている。
「ありがとうございます。私の得た力、誇る事にします。私のこの新たな力を誇れるのも、あなたのお陰ではありますよ」
イーリスが望んだ事は、試練を乗り越えた先の自分。
ギフターさんはその望みを叶えてくれた。
その望み通り、イーリスは今、試練を乗り越え、自分の力で新たな可能性を切り開けた。
「……うぅ。……精進します。仰る通り、相手の言葉の裏を考えなければ、騙されたりする可能性もありますよね……」
厳しい一言。だけど、ためになるお言葉。
そういったアドバイスをくださる事に、ギフターさんを尊敬したくなる。
イーリスの足りないものをギフターさんは教えてくれるから。
「弱くても……強い人達に飲み込まれないよう、抗えばいいのですね。ギフターさんの仰る通り、生まれながらに強い人なんて、確かにいないかもしれません。弱さを克服するために、頑張ればいいのですね……! 分かりました、ギフターさん! ありがとうございます!」
弱さの特権を説いてくれたギフターさんに力強く頷いた。
弱い事が罪じゃない。
弱くても、強い人を引きずり下ろす方法を考えればいい。
「弱くても……その誇れる弱さがあるからこそ、“王”をも滅する可能性があるのですね……! ギフターさん、今日は本当にありがとうございました。試練の間、私は随分と眠っていたようですし、そろそろ帰路につこうと思います」
スマホを取り出してスマホを確認し、メカニカル・サイキッカーやカートメカと共に帰路につこうとしていた。
ご案内:「落第街 地下闘技場」からDr.イーリスさんが去りました。
■ギフタ― > 「小さいながらも成長の第一歩であるな。
うむ、誇って鍛えて磨くと良いのである。王を倒すほどに。」
新たな可能性を得た少女
諦めず、強きに折れず足掻く姿はかくも美しい
帰路につく少女をギフタ―は最後まで見送る
願わくば少女の行く道に幸の多からんことを
「さて、私も帰って…次の挑戦者を探しに行くのである。」
そう言ってギフタ―は消える
残ったのは小さな椅子
今日ここで行われた激選はだれの目にも触れない
だが、少女と王の物語に大きな影響を与える…かもしれない
ご案内:「落第街 地下闘技場」からギフタ―さんが去りました。