2024/09/14 のログ
ご案内:「落第街大通り」にエルピス・シズメさんが現れました。
エルピス・シズメ >  
 
「結局ここになっちゃうね……。」

 少し時間があり、暇がある。
 と言っても遠出するだけの時間はなく、結局慣れ親しんだ落第街の大通りを歩いている。
 
「麺処たな香はまた今度。」

 大分治安の好くない通りではあるが、モノはあるし人も多い。
 今の自分は弱いから警戒しなきゃいけないこと多いけど、暇をつぶすならここになる。

 何をしようか。信頼のおけるケバブ屋でも行こうか。
 とくにあてもなく、空いた時間で気分を変えに来ている。
 

エルピス・シズメ >   
 露店や机と並べただけの露店を眺めていく。
 回収品から再生品になるはずを横流ししたらしい偽オモイカネ-8やら、
 ジャンク品と銘打たれた、不適合品となった機械部品の横流しであろう山を手に取って眺めている。

「僕もちょっとは分かるようになってきたけど……ううん、まだまだ。」

 どれが当たりでどれが外れか。何処を直せば動くか。
 そもそもこの役割は何か。

 少しずつ理解出来るようになったとはいえ、外れ前提のジャンクの山からの目利きはなかなか難しい。

 購入を諦めて、次の店へ。
 

エルピス・シズメ >  
「ミートパイ……」

 キッチンカーがミートパイを売り出している。
 原料がものすごく気になる所だが、ぱっと見で悪い感じはしない。

(たまにとんでもないもの使ってるけど……
 ……ここのは普通の家畜の屑肉かな。小さい魔物ぐらいはあるかも。
 ただ材料だしっぱだから衛生的にはちょっと怖いけど……)

 食べるべきか否か。
 キッチンカーの前で少し悩んで待機。
 

エルピス・シズメ >   
「……んー、今日は手堅く行こ……」

 悩んだ末に冒険はせず、いつものケバブ屋さんへ。
 この辺では割りがよく、食材もまともなケバブ屋さん。

 濃い顔の店主さんに何でこんな所で安全に商売が出来ているのか聞いたら、
 胃袋は掴んだから、と、はぐらかされた回答が帰ってきた。

 実際美味しく、害はなさそうな味なので気にしない。
 巻いたケバブサンド(ケバブラップ)を頼んで咥えて食べる。
 今日は大盛りじゃなくて普通の量。それでも、今の自分のお口には少し太くて大きい。

「あむ、はむ……ひょっほほほひい(ちょっとふとい)……」

 路傍に移動して、不良に目を付けられないように気を付けながらもゆっくり食べる。
 
 体感いつもより大きいので、少し時間が掛かりそう。太くも感じて咥えるのにも勝手が違う。
 

エルピス・シズメ >  
「……ギフト、かぁ。」

 巷を騒がせる騒動にして、先日の異業者である『魔法少女』が携えていたもの。
 今の所は代償すら見えない、与えられた力。

どうにも人格が歪んでた気がするけど……ううん。」

 イーリスに向かったマリアと呼ばれるものはもはやそう言う次元ではなかった。
 他のものについては多くは知らない。

 ただ、魔法少女に関しては洗脳のようなものがあり、心神喪失の可能性もあり、
 その場にいたものの信念で何とか捕縛した……は良いが、今はひどく自棄にも見え、精神の衰弱と諦観。

「何をさせたかったんだろう?」
 
 一度浮かんだこときっかけに、疑問が尽きない。
 そこに意味があるようにも思えれば、与えられた人数を考えれば、結果しか見てないようにも思える。
 

エルピス・シズメ >   
 外側から俯瞰して見ていると、ただの実験にしか見えない。
 目的も不明。仮面の形もバラバラ。下剋上を謳うにしたって弱者と強者の区別を付けないようなばら撒き方。

 強いと思っているものはその手を取らず、
 弱いと思うものがその手を取りたかっただけ。

 そうして与えられた力ですることは、概ね禄でもない方向に向いている。
 真っ当に使う人間は、そのまま集団を去ったとも考えられるけど。

「……混乱を見て、楽しんでいる……してはイーリスに通告したりちぐはぐ。」
「……本気で反乱を考えてばら撒いている。可能性はあるけど、目くらまし?」
「……実験と成功例の収穫。これは一番順当……。」
「……復讐。……指向性がなさすぎるから、なんか違う気がする……。」
 
 どうにも、猥雑な騒乱はそのままミスディレクションの様に思う。
 問題は何をしようとしているのか。あるいは既に何かした後なのか。

 調べる手段も、ぱっとは浮かばない。
 
 

エルピス・シズメ >   
「……欲しいのは、ギフトによる実験や可能性ではなくて、感情の方?」

 足をあげて、ぼんやり考える。
 反逆を煽る。無秩序に暴れさせる。

 因縁を作らせて、騒乱と呼べる程まで状況を広げる。
 そこまで考えた所で、その感情を収集する術がないことに気付き、首を振る。

「さすがにないか。そうだったら、もうちょっと何か仕掛けがありそうだし……。」

 感情と言えど、無形の資源を採取するにしても容れ物がいる、
 ギフト自体に仕掛けがあればともかく、少し違うと考えを改めた。

「うーん、わかんないや……考えたところで直ぐ分かるものでも、なさそう。」
 

エルピス・シズメ > 「とにもかくにも、手段がおかしい。」

 ぼんやりと月を見て、悩む。
 本来ならばここまで考えることはないのだけれど──独りだと考えてしまう。

 与えた後の事には、エルピス視点では目もくれないように見えている。
 それほどまでに白黒の仮面の数は多い。全部を管理している様には思えない。

(ぜんぶを見れているとしたら、もっとやばい。
 ……与えた異能を通じて、と言う可能性はなくはないけれど。)

 それが可能なら、怪人か狂人の類だ。
 狂気的な発想と倫理観を吹き飛ばした倫理で試行錯誤をするものだ。

 一度折れた結果なのか、もともとそのようなものであるのかは分からない。
 この妄想だって仮説と空想の上に成り立っているから、意味もない。

「赫さんはともかく……イーリスやナナに喧嘩を撃って、マリアがイーリスを死の淵にまで追い込んだのは事実。
 不眠不休で手当てして、それでもダメだから、時間まで跳んだ。……そうしても助かったイーリスも、
 やっぱりマリアの不殺を望んだ。……正義のロボットさんが見せた夢を、懸命に抱いている。」

 ……手で顔を覆う。
 覆い隠しているし、彼女の選択だし、心神喪失のものに殺意を抱くこともない。そもそも僕だって。

「ぼくも、それを支える。でも……。」

 ……でも、イーリスを死の淵に追いやったマリアに対し、何の責も問う事が出来ない。
 ギフターとやらも、その事実には目もくれないだろう。何を目的としようが、僕は彼らの認識外にある。

エルピス・シズメ >  
「僕の苦労は、いーりすが助かったから、この際どうでもいいけれど……」 
  
「……僕のこの、愛している人を傷付けられた怒りはどこに振り下ろせば、良いんだろう……?
 誰にも振り下ろせない、筋違いの……大事な人に危害を加えられた、怒り。」

「誰にも悟られず、アケローンの果てまでもっていけばいいのかな。」
 
 

エルピス・シズメ >    
  
 ……覆い隠した瞳から、誰にも見せられぬ涙が一筋、零れた。
 
 その涙が禊となったのか、事務所に戻った彼は至って平静であった。

  

ご案内:「落第街大通り」からエルピス・シズメさんが去りました。