2024/09/27 のログ
魔法少女メニー・レインボー > 「ギフターさんにそういった一面があっても、あまり驚かないといったところですね。ギフターさんがギフト騒動の黒幕だと気づく前なら驚きましたが」

ギフト騒動は多くの死人を出してしまっている。
ギフターさん自身、どこか冷酷とも言える一面も感じられる。
人の命など問題ない、そんな発言をしても違和感はない……かな。

「マリアさんを救うために風紀委員である私を脅すぐらいの事はしてきましたね。しかしながら、冷たい一面もまたあります。私に捕まったマリアさんを見限る発言もありました」

マリアさんを捕まえたと報告したのは、イーリス。メニー・レインボーもマリアさんを捕まえた、と言っているので風紀委員で得られる情報を紐解けばイーリス=メニー・レインボーだと分かる発言。

「ユニークな方ではございますね。何を意図してギフト騒動を起こしているのか、今のところ本当に理解が及びません……」

多くの人が思っている疑問……。
ギフト騒動には不可解な点が多く見られる。
おそらく、真実を知るにはまだ情報が足りていないとは思う、多分。

「ギフターさんとお話してみたいのですね。それでは、ギフターさんと連絡を取ってみますね。あなたにギフターさんからの言づてを伝えますので連絡先を交換しましょうか」

実は、ギフターさんの連絡先を知る仲。
メニー・レインボーはスマホを取り出した。

「連絡先を交換するなら、もう正体を明かしてしまった方が都合が良いですね」

既に怪我人の治療や応急処置は済んでいる。
メニー・レインボーは、フィスティアさんの手を引いて路地裏に向かった。

Dr.イーリス > 路地裏で変身を解く。
ツインテールはツーサイドアップになり、袖のないセーラー服姿となった。

「改めまして、私は風紀委員会ゴミ処理係《フェイルド・スチューデント組》組長Dr.イーリスです」

そう改めて自己紹介して、微笑んでみせた。

フィスティア > 「見限る…少なくとも現状では言い表せる方ではないという事は分かりました」

助けて利用して見限る…所詮は駒の一つだった、という事なのでしょうか。
人情のある人というのも、打算ありきの話なきがしてきました。

「良いのですか?!ありがとうございます…
私だけではどうしようもないので本当に助かります」

思ってもいなかった申し出です。
まさかメニーレインボーさんがギフターさんの連絡先を持っているだなんて思いませんでした。
代わりに連絡を取っていただけるのであれば、本当に助かります。

正体を明かすというメニーレインボーさんに相槌を打ってついていきます。
同じ風紀委員ですから、今知るか後々知るかは早いか遅いかの違いしかありません。
治療は終わって殆どの方は散り散りになった後ですし、この場はもう大丈夫でしょう。

「イーリスさん、ですね。よろしくお願い致します」

ゴミ処理係…名前だけは見かけた事があります。
それよりも…どこかで聞いた名前…

「もしかして、シズメさんのお知り合いの方ですか?」

想い人だと言っていた方と同じ名前です。

Dr.イーリス > 「私も、ギフターさんの理解できていない一面いっぱいありますからね」

現状で言い表せる方ではない、その纏め方はとても適切だと感じて、こくんと頷いてみせた。

フィスティアさんとイーリスは路地裏の方に行ったが、イーリスが応援を要請した風紀委員も駆けつけてくる。
本日の魔法少女メニー・レインボーの活動は、これにて終了。

「改めてよろしくお願いしますね、フィスティアさん」

にこっ、とフィスティアさんに笑みを浮かべてみせる。

「フィスティアさんは、エルピスさんのお知り合いでございましたか。そうなのです。私、エルピスさんの恋人です。えへ」

頬をやや染めて、微笑んだ。

「では連絡先を交換しましょう」

イーリスは、スマホを取り出したままだった。

フィスティア > 「はい、先日落第街でお会いしました
少しですが、イーリスさんの事を嬉しそうにお話していましたよ」

私もつられて幸せな気持ちになった事を思い出します。
イーリスさんも幸せそうに笑っています。なんだかぽかぽかします。
今の私の表情はほどけてしまっているでしょう。

「はい。私の連絡先はこちらです」

端末を取り出してQRコードとIDを表示します。
これで交換出来る筈です。

「もし何かあればお力になりますので、何時でも呼んでください」

あれほどの人数を無傷で無力化出来るのであれば私の力が必要な場面は少ないとは思いますが。
誰も殺さずに事態を鎮めたイーリスさんの力になれるのなら、私も嬉しいです。

Dr.イーリス > 「そうなのですね、エルピスさんが私の事を嬉しそうに。ふふ。そうなのですよ、エルピスさんは女の子に見えますけど、とても素敵な殿方で、いつも私を優しく守ってくださるとてもかっこいい方なのです」

エルピスさんが、イーリスの事をフィスティアさんに嬉しそうに語っていた、と聞いてイーリスも嬉し気ににやけたりしていた。

「ありがとうございます。では何かあれば頼らせていただく事もあると思います。ギフターさんに立ち向かうには、やはりフィスティアさんが味方でいてくださるのは心強いですし、風紀委員内にメニー・レインボーの正体を知っている方がいるなら魔法少女としても立ち回りやすくなりますね。私も、ギフターさんとの連絡の仲介以外でも、あなたのお力になれる事があれば助力したいと思います。いつでもご連絡くださいね」

フィスティアさんは、ギフト騒動をとても真剣にどうにかしようとしてくれている。
ギフターさんとも知り合いのようだし、これから強力していきたい。

フィスティア > 「そうなのですね
…殿方…?シズメさんは…男性の方なのですか?」

女性の方だと思っていましたが…確かに一般的には恋愛は男女の間柄でのものではありますが…
失礼な勘違いをしてしまったかもしれません。

「ありがとうございます。そういっていただけますと心強いです。
私の方からも何かあったらその時は」

いざという時私から頼れる自信はあまりありませんが、選択肢が増えるのはとてもありがたいです。

「それでは、ギフターさんとの仲介をお願い致します」

そして最初に頼るのは今日です。

Dr.イーリス > 「そうですね、エルピスさんはもうとても可愛らしい女の子だと思ってしまいます。仕方がない事です。ああ見えて、可愛らしいだけではなくて、殿方らしいかっこいい一面もあったりするのですよ」

フィスティアさんが性別を勘違いして申し訳ない、と心に思っている事をなんとなく察して、間違うのも仕方がない事、とフォローをさりげなく入れる。
イーリスも初対面の時は、エルピスさんの事を男の子と思っていた。

「ギフターさんへの仲介お任せあれです。あなたの事、ギフターさんにお伝えしておきます」

微笑みながら頷いてみせた。

「それではそろそろ現場に戻って、駆けつけてくれた風紀委員と合流して状況報告しましょうか。現場から少し離れてしまっていた理由は、えっと、治療を終えて帰っていく怪我人に少し道案内をしていたという事にしましょう」

フィスティア > 「素敵な方なんですね」

少しイメージがつきませんが、いつもはもっと戦えると言っていた気がしますし、あの時は調子が悪かっただけでしょう。
これはただの予想ですが…もしかして、もう一人の魔法少女はシズメさんなのでしょうか。
もしそうなら、魔法少年ですね。

「ありがとうございます。お返事などありましたら連絡をお願い致します」

「あ、呼び忘れていました…呼んでいただきありがとうございます」

応援を呼ぶのを完全に忘れていました。
反省です。

「案内していた、ということにしておきましょう。
それなりの人数でしたからね、早く合流しましょう」

端末をしまって現場に戻ります。
そうです、鎮圧するだけが風紀委員会の仕事ではないですからね。
仮面の方々にはしばらく反省していただきましょう。

Dr.イーリス > 「えへ、それはもうとても素敵な殿方でして。もしあなたが会ったエルピスさんが私と同い年ぐらいに見えたなら、事情があってちょっと幼くなってしまっている状態のエルピスさんですね。二、三週間前あたりから先週まで、エルピスさんの体が小さくなっていました」

にやけている。
ちょっと前まで、エルピスさんは小さくなっていた。
あんまり戦えなくなっていて、落第街で不良さん達に絡まれていないかとても心配な日々だった……。

「私が初めに対峙していたので、職務を全うしたまででございますね」

イーリスは風紀委員の腕章をつけてから、フィスティアさんと共に現場へと戻っていく。

「応援を要請した風紀委員会ゴミ処理係《フェイルド・スチューデント組》組長Dr.イーリスです。ご報告からさせていただきますね」

魔法少女が仮面さんを拘束した、というご報告となった。
ともあれ、仮面さんは風紀委員達に連行されていくのだった。

ご案内:「落第街大通り」から魔法少女メニー・レインボーさんが去りました。
ご案内:「落第街大通り」からフィスティアさんが去りました。
ご案内:「落第街大通り」に比良坂 冥さんが現れました。
比良坂 冥 >  
──落第街大通り。

決して治安が良いとは言えない場所だ。
けれど、どうしてかそこが居心地が良い。

学生通りや、学園は明るすぎて、眩しすぎて過ごしづらい。
……以前違反部活を介して売春を繰り返していた時から、今も、自分の居場所はどちらかといえば、此方だ。

ひび割れた建物の壁に背を預け、手元で手帳にじっと視線を落としている。
見ているのは、SNS。
──決して見るのが宜しくはない、アンダーなものだ。

ご案内:「落第街大通り」に九耀 湧梧さんが現れました。
チンピラ >  
――落第街は危険な場所。
そういう所に、見目やスタイルのよろしい少女が一人でいれば、当然ながら目を引くものである。
主に危険な意味で。

比較的治安のいい大通りとて例外ではない。
そもそもにして、裏通りなどに比べて「比較的」治安が良いのであって、他の街から
見れば到底治安のよい場所ではないのだ。

何人かのチンピラ連中が遠めに見ては何やらこそこそと話を交わしたり、
あるいはあからさますぎる視線を向ける者も出る始末だ。

少女がそれを意識しているかは、兎も角として。
事実としてはそんなものである。碌でもない。
 

比良坂 冥 >  
治安が悪いのも、そういった視線を向ける者がいるのも、承知していた。

学校だとむしろ誰も声をかけようとしないから、此方の空気のほうが良くすら感じる。
とはいえ、別段自分から声をかけるでもなく、視線を送るでもなく。

「………」

ぼんやりしていると、そのうち数人が近くにやってきたことに、気付いた。
……人影で陽光が遮られるまで、気づかなkったけど。

『一人?俺等と遊ぼーぜ』
『てか俺この子みたことあるわ。
 ウリやってんでしょ、いくら?』

「………」

ゆっくり、反応の遅い玩具のように自分より背の高い彼らを見上げる。

「……──じゃ、晩ごはん代くらいで」

ぼそ、聞き取りづらい小さな声。
あろうことか、チンピラ相手に普通についていこうとしていた。

九耀 湧梧 >  
声を掛けて来たチンピラが、ニヤつきながら少女の腰に手を回そうとした時。

ひゅ、と、軽い音を立てて、横合いから何かが飛んでくる。
飛んできた何かは――チンピラのこめかみにまともに衝突し、憐れにも
それを喰らったチンピラはぐるん、と白目を剥いて地面にぶっ倒れる事になった。

「……やれやれ。
こんな事はあまりガラじゃあないんだが。」

横合いからの声に視線を向ければ、左の手で軽く石礫を弄ぶ、黒いコートに赤いマフラーの男の姿。
ぽん、と左手から右手に石礫を一つ投げ渡し、

「其処のお嬢ちゃんを置いて帰れば、見逃してやる。
嫌なら――代わりと言っちゃ何だが、石礫でよければいくらでも払ってやるぜ。」

その言葉と同時に、ぴし、と指弾の要領で石礫を他のチンピラ…から少し狙いを外して撃ち出す。
ひゅん、と弾丸じみた速度で以て、頭部を掠めるように石礫の指弾が飛んでいく。
 

比良坂 冥 >  
『なんだアイツ。横取りする気か?!』
『──やめとけよ。女くらい他にもそこらにいるだろ』

ぶっ倒れた一人を、二人で抱えながら退散するチンピラ達。
実に鮮やか、この街の住人は引き際も弁えている者が多いのだろう。

「………」

今日の晩ごはん代が浮いたかな、ぐらいにしか思ってなかった少女。
じ……と石礫を投擲したらしい黒コートの男へと視線を向けていた。

…あらゆる光を吸収して逃さない、溝色のような濁った昏さ。
そして梅雨の只中にいるようなじとりとした気配の漂う少女だった。

九耀 湧梧 >  
「はい、帰った帰った。」

退散していくチンピラ連中にヒラヒラと手を振ると、左手に残っていた石礫を
適当に地面に放り、黒いコートの男は軽く距離を詰めながら
濁った瞳の少女に視線を向ける。

「――で。
見た所、学生のようだが。」

流れて固まった血のような、赤黒い瞳が濁った瞳に向く。
先程の連中よりはまっとうそうだが、それでも何処か剣呑そうな雰囲気が見え隠れする、赤黒い瞳。

「こんな所で何してるんだ、お嬢ちゃん。
まさか此処らが家って訳でもないだろうが。」

似合わない真似をしている、という自覚はあったが、とりあえず事情聴取。
雰囲気のみだが、何処か訳ありといった感じは覚える。
なので、あまり積極的に家に帰そうとは考えなかった。
 

比良坂 冥 >  
「……別に一緒にでも良かったと思うけど」

ぽつり、男に向けて零すのはこんな言葉。

「……一対一がいいならそれでもいいけど」

「……どこでする?…ここでもいいけど。少しお金は弾んでもらうかも」

だらしなく着崩した制服の胸元のボタンを一つ、外してみせながら──

「……………」

「……?」

おや?と
ここでなんだかそんな雰囲気ではないことに気づいたらしい。

「……風紀委員?」

なんか、チンピラを退散させる理由がそれくらいしか思い当たらなかったようだ。

「……別に、暇潰し」

漸く問いかけに応えたと思えば、そんな返しだ。
いまいち生気…というか、エネルギーが足りていない若者である。

九耀 湧梧 >  
「冗談。」

軽く肩を竦め、風紀委員かという問いは一蹴。

「こんなガラの悪いオッサンが風紀委員な訳あるか。
寧ろ目を付けられてる方――ああ、その件は風紀じゃなくて公安だったか。」

惚けたような口ぶりでそんな事を返しつつ、ボタンを外されれば軽くため息。

そういう事は個人の意志嗜好ってのもあるし、あまりとやかくは言わんが、
せめて場所位は選べ。それこそ路上じゃ風紀の方々に見つかった時が気まずいだろ。

暇潰しにしても、歓楽街位の方がまだマシだろ。
……そっちにも居辛かったなら、悪い事言った。」

貞操観念云々は本当に個人の問題なので、そこは口出ししない事にした。
無理やりなら兎も角、合意の上ならそういう事もあろう。

それにした所で、さすがに場所位は選ぶべきだと思うが。
「そういう真似」に口出しはしないのに、其処は注意するのか、と言われたら、まあその時はその時。

「……暇潰しに愚痴でもあるなら、聞く用意はあるが?」

要らぬ節介を焼いたのだ、その位の責任は持つ。
 

比良坂 冥 >  
「……風紀委員、色んな人いるから。…変な人も」

ガラの悪いおっさんでも、風紀委員だったりするかもしれない。
くたびれたおっさんのような風紀委員だか公安委員だかいたような気がするし。

「……悪いことは言ってないけど」

「……おじさんのせいで暇にはなったかも?」

首を傾げて、そんな言葉。
開けた胸元は直そうともしない。

「……あと見つかった時は、無理やりさせられてたことにすれば済むし」

繊細さの欠片もない答え、実際それで済みそうなのがイヤな話だ──。

「……愚痴…」

「……いらぬおじさんのお世話で、今晩のご飯のお金がもらえなかった、とか…?」

九耀 湧梧 >  
「そりゃまた申し訳ない事で。」

ご飯について突かれれば、あまり申し訳ないと思っていなさそうな謝罪の言葉。

「最近の若い子は強かだね。
…それとも、そういうのが慣れてるのか?」

軽くそんな事を訊いてみる。
あまり回答については期待しないし、したくはない所だが。

「……それで、最初に戻るが。

お前さん、普通に学生に見えるが。
何だってこんな所で誘拐待ちみたいな事してるんだ?
学生街(あっち)の方には、居辛い理由でもあるのか?」

偶然遭遇した相手である。
その位は話し易かろうか、と、質問。
 

比良坂 冥 >  
「……慣れてる…かも?」

反対方向へ首を傾げた

「……ホテル代も浮くし、丁度いいからよく利用はしてるけど…。
 最近は、帰る場所が一応あるから…少し減ったかな……」

手に持ちっぱなしだった手帳を、懐へと仕舞って。

「……ちょっと前まではそういう"部活"(違反部活)にいたから、こっちのほうが過ごしやすいからかな…」

「……あっち(学生街)だと、変な目で見られるし」

そう言って、首元の黒いチョーカーを、指で少し引っ張って。

「……コレ。つけてると変わった人以外は寄ってこないから」

──異能抑制装置。一部の要監視対象が着用させられているものだ。
本来一般生徒が知るものではないが、SNSなどを通じてそういうモノであることはある程度知られている。

九耀 湧梧 >  
「……ああ、」

少女が首元のチョーカーを引っ張って見せれば、少し考える様子。
記憶から該当する情報を引っ張って来るのにちょっと時間がかかった。

「抑制装置…だったか?
話には幾らか聞いてたが、見るのは初めてだ。」

噂話と「そんなものがあるらしい」位にしか、聞いていなかったので、実際これが初見である。
だからといって、特に気になる物でもなかったが。
実際はそれで抑制される異能の危険度などを気にするべきなのだろうが、
こちらに害が向かなければ特に深く気にする必要がない気もする。

「帰る場所はあるにはある訳か。
それでも、こんな所に来るって事は…アレか、同居してる相手と喧嘩でもしたのか。」

一番思いつく所がそこ。年頃の少女は繊細な場合が多い。
そうでなくても、何かの拍子に喧嘩になって戻り辛くなることがある、という可能性はある。

「――詳しい事情は知らんし訊かないが、やっぱり帰り辛いとか、あるか?」

何とはなしに、そう訊ねてみる。
 

比良坂 冥 >  
抑制装置、と言葉が返ってくれば小さく頷く。

「……それで怖がる人もいれば、いじめる人もいる」

「……そういうくだらない人が多いから、居辛いね」

言葉の割には表情には然程苦痛を感じている様子も見せない。
表情筋が死んでいるのではないかと思える程、淡々と少女は言葉を返していた。

「……?
 ……別に、喧嘩なんかしないけど。
 今日はお仕事で帰ってこれないらしいから、外に来ただけ」

なんでそんなことを思ったの?
とでも言いたげにじっと昏い瞳が見上げて。

「……そういうのはないけど、お金が勿体ないし。
 セックスしてる時は相手に必要とされてるから穏やかでいれるってだけ」

擦れたような言葉選び。
どこか、その歪みのようなものを口の端には滲ませるが──覗くにはことさらに深く、昏い。

九耀 湧梧 >  
「そうか。」

抑制装置の事でのあれこれが語られれば、流れて固まった血の色の瞳が
少しだけ遠くを見るような雰囲気。

「そうだな、くだらない。
そんな事で上に立っているつもりになってるんなら…本当に、くだらない事だ。」

同情ではなく、ただ淡々と、事実を確かめるような言葉。
男も大概、表情が変わらない。

「………留守番してるって選択肢はないのな。
一人で待ってるよりか、行きずりの相手と「そういう事」に耽ってた方が寂しくなくて良い、って性質か?」

固まった血の色の眼が、少女を見返しながら割と遠慮のない物言いでかかる。
これは、色々と重傷かもしれない。
最もそれを矯正する気もなければ、咎める気も無い黒いコートの男だった。

「……まあ、アレだ。どうでもいいなら聞き流してもいいが、」

軽く息を吐き、赤黒い血の色が、溝のような濁った色を見返す。

「行くアテないなら、今晩位はウチにでも来るか?」

出て来たのは、そんなとんでもない提案。
 

比良坂 冥 >  
「……行くアテは、さっきおじさんが逃がしちゃったからね」

じぃ、陰湿な空気感。
表情は変わらないのに、妙に湿気を感じる。
快晴、見事な秋晴れなのにこのあたりあだけ薄暗く湿っぽい。

留守番は苦手だった。
一人でいると、この世に自分が独りに思えてくる。
陰鬱としているのに外に出たがる理由はそれだ。
閉じこもって独りの世界がいいなんて、そんな人種がいるのが考えられない。
寂しくないのだろうか。誰にも必要とされなくて。

「……おじさんとえっちすればいいってこと?」

ナチュラルに普通の音量でそう言葉を返す。
まぁこんな場所だ、そんな言葉が聞こえてきても気にする誰かも居ないだろうけど。

「……晩ごはんもつけてくれるなら考えようかな」