2024/10/18 のログ
ご案内:「落第街大通り」に夜見河 劫さんが現れました。
■夜見河 劫 >
落第街の大通り。
治安の悪いこの街にも、飲食店の類はある。
治安に比べると、随分と小綺麗な…それでもやはり学生街などに比べると怪しげな…雰囲気の飲食店。
其処のオープンテーブルに陣取り、食事を摂る人影がひとつ。
包帯巻きの顔にグレーの髪が特徴的な、ほつれたブレザー姿の青年。
「………。」
無言で口にしているのは、ステーキサンドだ。
味はまあまあ、という所。使われているのは安物の成形肉。
だが、分量が多くて何より安い。
手っ取り早く空腹を満たすには充分過ぎる。
「……ふぅ。」
小さく息を吐くと、少し水分量が失われた口内の為に紙コップ入りのお茶を一口。
これまた安物だが、特にこだわりもないので充分だ。
そうして、もそもそと食事を摂り続ける。
傍目には刺々しい雰囲気に見えるかも知れないが、この青年にとってはこれが平常運転だ。
■夜見河 劫 >
「……。」
無言で食事を進めながら、働きのいまいちな頭で考え事。
といっても、灰色の髪の男にとって考える事は非常に限定的だ。
(……最近、殴り合いしてないな…。)
主に考える事はこれである。
事あるごとに浮かぶのは「殴っていい相手」を探す事と殴り合いについて。
最近、その機会がないので気が立っている…という事はないが、調子がよろしくないのは事実だ。
最も、殴り合いで調子が上がっても、ほぼ一時的なものに過ぎないが。
せめて、もう少し長続き位はしてくれてもいいのでは、とも思う。
(……相手が居ないと、それも出来ないけど。)
行き付く所は、結局そこになるのだが。
■夜見河 劫 >
「………。」
無言のまま、またステーキサンドを一口。
もしゃもしゃと咀嚼し、ごくりと飲み込めば、次の考え事。
(………元気に…は予想つかない……。
怪我したり、傷増やしていないで、いるといいけど。)
暫く前に出会った、昏い目をした少女の事。
落第街で姿を見てないし、自分の寝床にも訪ねて来た形跡はない。
前よりは頻繁に戻っているつもりだけど、あれ以来、会ってはいない。
(……行き違いになってたりしたら、ちょっと嫌だね。)
そんな事を考えたり。
――他人に対してそんな事を考えたりするのは、滅多になかった事だ。
(………次に会ったら……何話せばいいかな。)
これまた、前とは考えもつかない思考だった。
らしくないか、と自嘲気味にお茶をまた一口。
■夜見河 劫 >
「……。」
暫くそんな事を考えてから、また次の考え事に。
とはいえ、優先度的にはかなり低い。
(……次の出席、いつにすればいいかな…。)
とりあえず最低限の出席だけは確保しておく考え。
そうすれば、あまり風紀委員から煩く言われる回数も少なくなる。
監視対象とはいえ、自分の段階は高い方ではない。
5級に比べれば多少…といっても5級になった事がないので本当の所は不明だが…窮屈な位だ。
最も、これも飽くまで主観であるが。
(後は……下手に死なせちゃったり、殴ったらダメな相手に注意するくらいかな…。)
その二つが、自身にとってのライン。
殴ったらダメな相手を殴ってしまうか、殴っていい奴でも死なせたりしたら、
即座に段階が引き上げられると、結構前に警告を受けた覚えがある。
(……制限が強くなるのは、色々困るからな…。)
そんな漫然とした危機感…というには危機感が足りないものを感じながら、ステーキサンドを食べ進めて行く。
■夜見河 劫 >
其処から暫し。
特に何も考えず、食を進めていたが、
「……あ。」
気が付けば、ステーキサンドは綺麗になくなっていた。
そこそこ量はあった…と思うが、食べればなくなるのは世の常である。
「………帰ろう。」
相変わらず何も満たされない感覚が強いが、何となく今日は殴っていい相手を探しに出る気にはなれない。
代金は最初に支払ってあるので、ゴミを店内備え付けのゴミ箱に捨て、
食器類やトレイを返せば後始末はそれで終わる。
店員の「ありがとうございました~」の声に背中を押されながら、灰色の髪の男はふらりと歩き去っていく。
脚の向かう先は、寝床であるアパートの部屋。
ご案内:「落第街大通り」から夜見河 劫さんが去りました。