2024/07/03 のログ
ご案内:「違反部活群/違反組織群」に紫明 一彩さんが現れました。
ご案内:「違反部活群/違反組織群」にリョーガ・パレコルタさんが現れました。
■紫明 一彩 >
図書委員の2名は、落第街の大通りを訪れていた。
無論、仕事の為である。
大通りには、数多くの店がひしめき合うように立ち並んでいる。
小さな露店や、そこそこに大きな店。
どれもあまり良い店構えとは言えず、
間に合わせで作ったようなものも少なくない。
二人のすぐ横では、
朽ちかけた木の看板にミミズが這ったような文字が
刻まれている看板があり、その下で雑多な品々が乱雑に置かれている。
また別の方へと目をやれば、
すっかり色褪せた布を敷いた上に、
汚れた銀食器や古びた人形、見知らぬ言語で書かれた巻物などが
無造作に置かれていた。
そうしてその奥に、ぼろぼろの服をまとった子供が、つまらなそうに頬杖をつきながら、道行く人々を目で追っていた。
よく見られる、落第街の風景である。
「さて、到着と。
この辺りの店に、例の本が置いてあるって情報だったね~……」
例の本。
今回委員会の命令で動くこととなった図書委員が探し求めている、
門の外からやって来た魔導書だ。
遠目から見れば男性と見紛うスーツ姿の女、紫明。
彼女は今回の相棒へと、気だるげな声を投げかけた。
「ところで、この仕事終わったら本当にドーナツ買ってくれんだろうね~?」
頭を掻きながら、そんな風に付け加える。
■リョーガ・パレコルタ > 時と場を同じくして。
【彼】もまた彼女と共に落第街を訪れていた。
今回の仕事は魔導書の回収である。
『確かその通りなんだよねぃ。
まー探せばあるだろうよい。』
青年はそう今回の相棒に口を開きながら。
と、今回彼女に出てきてもらった対価については。
『勿論でい。
俺ぁきっちりしてるんでねい。』
■紫明 一彩 >
「景気が良い奴は嫌いじゃない。
それじゃ、事が起きた時は、頼りにしてるよ、相棒」
じっとりと重く、粘つくような空気。
多くの視線が向けられる中で、事もなげに、ふわあ、と欠伸を一つ。
この女なりの、信頼の証であろうか。
「で、所蔵前の魔導書を持ち逃げした男が居る店ってのは……
あぁ、あったあった。あそこだよあそこ」
そう口にして、ひしめく建物の中にひっそりと佇む小屋を指さした。
腐りかけの小屋のドアは半ば開いており、中からは腐った食べ物の放つ
異臭の中に、書庫に入ったことのある図書委員ならば誰もが
嗅いだことのあるであろう、臭いが漂っていた。
本、それも長年埃を被っているタイプの、古書の類だ。
「じゃ、まず私が入っていくけど……構えといて貰って良い~?
多分穏便には終わらない相手だろうからさ」
■リョーガ・パレコルタ > 『はは。
景気がよく見えるだけかもしれないでい?
まー、起きないわけはないよねい。』
良いよい、と。
そして小屋を同時に視認。
リョーガはゆるやかに構えつつ。
『わかったよい。
まーこれで穏便に終わったら苦労は…しないよねぃ。』
なんて呑気そうだが、目つきはもう臨戦に。
■紫明 一彩 >
「ま、そんな相手だったら私達が選ばれていないだろうからね~」
木製のドアを軋ませながら、まずは紫明が入っていく。
「ごめんくださーい」
調子は崩さぬまま、薄暗い店内へと足を踏み入れる。
外はまだまだ昼下がりといった時刻であったが、
薄暗い店内はまるで地下室の様であった。
店内には、薄汚れた紫色のランプがぶら下がり、
薄明かりの中で怪しげな輝きを放っていた。
『見ない顔、だな……』
店主と思われる壮年の男が、奥からぬう、と現れた。
眉の下に光る目は鋭く、こちらの心を見透かすようだった。
「いやぁ、良いお店ですね。
品揃えも良い。
ほらこれ、『エイタスの秘儀』のラテン語版じゃないですか~?
……レプリカだけど」
そんなことを言いながら、ひび割れた本棚の中から1冊を取り出して、
店主に見せる。
「こんな紛い物じゃなくて……
私達が探してるのは本物の魔導書なんだよね~」
好戦的な目を向けて、紫明は店主にそう問いかける。
■書店主 >
紫明の挑発的な言葉を聞いた壮年の男は、
二人の顔を静かに睨みつけた。
「……そうか、もう嗅ぎつけられていたか」
そう口にすれば、店主は慌ててカウンター奥の木箱に
手を伸ばして抱えると、店の奥へと向かって走り出した!
■リョーガ・パレコルタ > 『!』
話を聞いて、その瞬間が訪れるとリョーガは影を素早く伸ばしながら跳んで。
カウンターを身軽に乗越えてから着地し、店主を追跡し始める!!
『あーれだねぃ!
まー逃がすわけないんだが良い!』
適当にポケットから小石を取り出すと。
影に握らせながら牽制の投擲を!
これで止まる相手では無いだろうけれど。
■紫明 一彩 >
店内は、完全に暗闇に包まれている訳ではない
薄明かりがあれば、そこには影が発生する。
ならば、このリョーガ・パレコルタという男の異能は、
問題なくその効果を発揮する。
だからこそ、堂々と踏み込んだ訳である。
「ナイスだ、リョーガ君!」
リョーガが小石を投擲したのを見れば、近場にある適当な本を
何冊か拝借して、紫明も駆け出した!
■書店主 >
ローブに身を包んだその男は、逃げ辛そうに見えたが、
意外と俊敏なようであった。
急ぎ小箱を抱えて走っていくその背後に、投げつけられた小石。
その小石は的確に店主の足に直撃をする。
「な、何だ……腕……!? 影の呪術の使い手か……!?
クソッ!」
吐き捨てるように叫びながら、店主はそのまま裏口へと向かった
かと思えば、掌に魔力を収束させ――紫色の衝撃波を放つ。
衝撃波は、大気を喰らいながら凄まじい速度で
リョーガへと向かう――!
■リョーガ・パレコルタ > 『おーっと!!』
魔導の衝撃波を耐えるために脚を止め、影を盾代わりにしながら踏ん張る。
フィジカルは相棒には及ばない。
だからこそ。
『かずさん、頼んだよい!!』
彼女も、その異能も頼りにしている。
■紫明 一彩 >
「任され~ッ!」
小脇に古書を抱えながら、全力ダッシュ。
咄嗟の魔術行使。能力の発動までタイムラグのある紫明であれば、
太刀打ちできない一撃だったことだろう。
では紫明はと言えば――リョーガが頼みにしている通り――
総合的な戦闘力はさておき、単純なフィジカル面のみであれば優れている。
リョーガが衝撃波を食い止めている間に、脚に力を込めて、
弾けるように地を蹴った。
そうして店主に掴みかかり、馬乗りになる――!
■書店主 > そうして争っている内に、木箱から魔導書が飛び出て
床に投げ出された。
それこそが、今回の目標、傀儡秘録。
術を行使した対象を、完全な操り人形とし、
使役する術が書かれた本だ。
「舐めるなッ……!」
店主は本を手に取り、
紫明の首を掴んで何事か呪文を呟き始めた――!
■リョーガ・パレコルタ > 『…使わせないよい。』
リョーガは踏ん張りから走り出し。
店主に素早く接近する。
─────だからこういう時に駆り出されるのだ、自分は。
────影踏み(シャドウ・ポイント)!!
リョーガの脚は店主の影に踏みかかりに行く!
踏んでしまえば、後の祭りなのだが…果たして。
■紫明 一彩 >
「……ッ!」
赤い光を受けて、
思考がかき乱される。
かき乱されて、溶けて、消えて――
店主が、勝ち誇った笑みを浮かべているのが、
最後に、見た――
駆け出したリョーガが、店主の影を踏む。
彼の異能は、影を操ることが主ではない。
寧ろこの、影踏みこそが、彼の本領。
「さんきゅー! 助かった!」
あらゆる魔術・異能を消滅せしめる対神秘の極地。
本人が動けなくなる代償は大きいが――バディによるなら、その弱みも消しされる。
同時に。
「赫焉たる夢幻書架!
『こうして悪者は鎖で囚われましたとさ、めでたしめでたし!』」
先程まで小脇に抱えていた数冊の本――その一冊を紫明は手に取る。
それはすっかり汚れて、ボロボロになった絵本だった。
表紙には、王城に向かう泥棒が描かれているそれが、手袋を外した彼女の手に触れて、燃えていく――。それは、紫明が幼い頃に読んだことのあるものだった。
同時に、幾本もの鎖が虚空から現われて、店主を縛り付けたのだった。
「リョーガ君、魔導書を頼む!」
■リョーガ・パレコルタ > 『─────こうやって相手を勝ちから落とすのも一興だよねい。』
────踏んだ。
これでこの店主は自分が影を踏まれない限りは暫く魔術を行使できないだろう。
即座に相棒の異能が発揮される。
『…ふぅ、流石だねい、かずさん。
まあこれで魔導書は確保出来た、と。』
捕縛した店主を横目に、魔導書を手に取ろうと。
だから今回の仕事は彼女と来たのだ。
影踏み(シャドウ・ポイント)は誰かと組んで、効果は最大限発揮される。
■書店主 >
確かに、魔術は発動した。
この眼の前の女――おそらく図書委員――は、
完全にこちらの制御下に置かれた筈だった。
意識の喪失も確認した。
それなのに。
「バカなっ、術が失敗するなどと……!?」
店主は、その身で扱える術をあれやこれやと行使せんと、
鎖に縛られてのたうち回りながら、何事か呪文を唱え続ける。
しかし、何事も起きはしない。
店主が、リョーガに影を踏まれている、この状況下。
あらゆる奇跡は、リョーガの下では
起きはしないのだ。
■紫明 一彩 >
「正直、組み付くのは大分リスキーだった」
紫明はゆらりと立ち上がりながら、リョーガの方を見る。
そうして、ふっと笑って見せた。
「君が居なきゃ、とれなかった選択肢だ」
それは、リョーガの持つ能力と、何より彼自身への信頼の眼差しだ。
「さて、図書委員と風紀委員に連絡しないとね~……」
そう口にして、オモイカネを取り出す。
ささっと端末を操作すれば。
「風紀委員、すぐ来るってさ。
魔導書は、こっちで図書館まで運ぶ必要がある。
リョーガ君、持つのを頼めるかい?
私は下手すると魔導書、ぱーっと景気よく燃やしちゃうからね~」
そう口にして、店主が抱えていた木箱をリョーガに手渡す。
■リョーガ・パレコルタ > 『まあ組み付くのは意外だったよねい。
だからこそ踏みやすかったのは、あるでい?』
同じく、ふ、と笑いながら魔導書を手にしたまま。
木箱を影で受け取り、その中に入れる。
彼女は普段から窺えないその近接格闘への理解と知識。
そしてそれを行える【フィジカル】。
だからこそ踏めせしめた場面である。
『後処理は風紀に任せるとするかねい。
…俺達は図書館に1回戻って────ドーナツを買いに行くかねい?』
ふ、と木箱を影で大事に抱えたまま。
勿論約束を忘れてもいないのが、この男だ。
■紫明 一彩 >
ぱっと伸ばされた紫明の腕。
その腕の先――指は、三本立てられていた。
「3つね、ジェントル・ドーナツで好きなドーナツ3つ選びたい放題で。
というわけで、リョーガ君、よろしく~っ」
指を三本立てていた右手を、すっと軽い敬礼の形にして頭上へと運び、
ウィンクする紫明。
「……あ~。飲み物は私が奢るよ。こっちも世話になったしね。
いい雰囲気の良い店があるんだよ~」
こうして、図書委員2名による魔導書回収は、幕を閉じたのであった。
■リョーガ・パレコルタ > 『はいはい。
んじゃ行くかねい。』
彼女はいつもこうだ。
ドーナツが好きだからこうして仕事を持ちかけたりはよくある話だ。
『お、いいねい。
んじゃ案内よろしく頼むでい、かずさん?』
今日も図書委員の仕事が、終わりを告げた。
ご案内:「違反部活群/違反組織群」からリョーガ・パレコルタさんが去りました。
ご案内:「違反部活群/違反組織群」から紫明 一彩さんが去りました。