2024/07/08 のログ
ご案内:「数ある事務所(『」にエルピス・シズメさんが現れました。
ご案内:「数ある事務所(『」からエルピス・シズメさんが去りました。
ご案内:「数ある事務所」にエルピス・シズメさんが現れました。
■エルピス・シズメ >
落第街の裏通り。
その路地の一つに面している2階建ての建造物。
ここに『エルピス』の使っていた事務所がある。
『エルピス』が便利屋稼業を行っていた時の事務所。 今は活動していないため、知っている人は少ない。
その屋内の1階応接間にて、書類とスマートフォンを片手に寛いでいる少女のような少年が一人。
(1階の応接間と資料室も無事。給湯室と電気も稼働してる。)
(2階の私室と客室も問題なし。)
(地下の方も良し。鍵があるから、入れるのは今のところ僕とイーリスちゃんだけ。)
屋内の施設を思い返しつつ、
ある理由で匿っている少女のことも思い返す。
「玄関も同様。……こっちはこじ開けられるかもしれないけど。」
セキュリティを増やそうと思えば増やせるが、
手間になり、『どうせ破壊される時は破壊されると』地下以外は割り切っていた。
■エルピス・シズメ >
「……テストはお休みかな。」
状況を整理する。
"イーリスから偶然届いたSOSを受信し、"
"発信源で壊れかけのラボに居たイーリスちゃんを救出し、"
"彼女を匿い、回復に専念して貰っている。"
(ここまでは良しとする。けど)
思い出した──現実には目を背けていた事実の一つと向き合うこととなった。
「『エルピス』は公安に所属していたが辞職し、再入学までして落第街で便利屋稼業を行っていた。」
記憶の一つと向き合う。
それ以上考えると妙に頭が痛くなる。
芋づる式に違和感を引っ張り出してしまいそうになったから。
「やめよ。それよりも今後のことを考えないと。」
食糧と医療品は救出時に詰めてきたものと拠点に会った保存食が生きていたので、
切り詰めれば2人で2週間は食いつなげる。水も電気も問題ない。
イーリスに必要なアンプルも分割して大事に保管してある。
(資源は大丈夫。でも、何処かで調達には行きたいね。)
■エルピス・シズメ >
次に思案するのは状況。
一般生徒として振舞っていた為、目は付けていられなかったと思う。
救出まで妨害が無くて本当に良かった。
(でも、これからは。)
これからもそう上手く行くとは限らない。
委員会や彼女の"ファン"は探しているだろうから。
故にいずれここにたどり着いてもおかしくはない。
来訪者が紳士的か、排除できる手合いであることを願う。
願うことに甘えてもいけない、と気を引き締めた。
「ちょっと不安だけど、こればかりは頑張るしかないかな。
曖昧な灰色で、黄昏時をおっかなびっくり歩いていたエルピスでも。」
■エルピス・シズメ >
「休憩おわり。
セーフルームと私室客室の掃除は終わったし、イーリスちゃんに玄関と地下の合鍵を渡しておかなきゃ。」
残るタスクを思い出し、立ち上がる。
「それが終わったら、シャワーでも浴びようかな。
……自分のことはもう暫く、隅に置いておこう。」
ご案内:「数ある事務所」からエルピス・シズメさんが去りました。
ご案内:「数ある事務所」にイーリス・ロッソルーナさんが現れました。
■回想&夢:紅き月輪ノ王熊 > 「キミは弱い」
■イーリス・ロッソルーナ > 数ある事務所、客室にて。
イーリス・ロッソルーナは、ベッドで双眸を開けた。
左目は青く、そして右目が紅い。全身に刻まれた紅き文様。体の所々が溶けて、機械部分が剥き出し。
悪夢を見た。あの日、“王”が仲間の不良達を虐殺し、イーリスに忌まわしい呪いをかけた……。あの大敗の夢。
イーリスはベッドから動けない状態であった。
この建物で、イーリスはエルピスさんに匿ってもらっている。玄関と地下の鍵は、エルピスさんにいただいていた。
そのエルピスさんは今出掛けている。
呪詛の苦痛が凄いけど、それでも生命維持装置がなくても大丈夫なぐらいには回復した。
「はぁ……はぁ…………」
戦いの傷と呪詛で苦しみ、そして悪夢の目覚めにより荒れる息。右手で胸を押さえる。
呪詛の時限爆弾はまだ大丈夫。爆発しない。
もう爆発寸前の段階となれば当然、ここにいるべきではないのだが、時間の猶予はある。
イーリス自身、なんとか体内コンピューターで呪詛の解析を行い、出来る限り爆発を遅らせるよう妨害している。
しかし、解析にも限界があり、時限爆弾を送らせている演算がイーリスにさらなる負担を与える。遅らせると言っても、ささやかな抵抗。何より、非常に気に入らないけど、イーリスが時限爆弾に抵抗している様は呪いを掛けている大元たる“王”に間違いなく筒抜けだ。
もし地下ラボであのまま誰にも助けてもらえず一人ぼっちだったなら、死んでいたのは確実。
エルピスさんには凄く感謝したい。
■回想:まだ幼いイーリス > それは、昔の話。
落第街のワルA「お前、よくもぶつかってくれたな、おらぁ!!」
「痛ッ……! ごめんなさい……。痛いの嫌です……。ごめんなさい……。ごめんなさい……」
落第街のワルB「金置いていけば許してやるよ、らあぁ!!」
「ああぁっ!! 痛い……痛い……! ごめんなさい……。ごめんなさい……!! お金ないんです……。許してください……!」
落第街で、泣き叫ぶ幼い孤児たるイーリスに暴行を振るう男達。
無慈悲であった。
■イーリス・ロッソルーナ > 元々、イーリスは喧嘩のやり方すら知らないぐらい弱かったはずだ。不良であるにも関わらず……。
「……いつから私は、自分の事を弱くないと錯覚してしまったのでしょうね」
メカニカル・サイキッカーを始めとする、異能と魔術をも組み合わせた技術でメカを造って自在に扱えるようになったから?
喧嘩の強い不良達に慕われるようになったから?
少なくとも、“王”と戦ったあの日、嫌な予感はしていても勝てると確信して紅き屍骸に挑んだ。落第街やスラムの脅威となっていた紅き屍骸に勝利を確信する程には、自分の事を弱いとは思っていなかった事になるだろうか。
今、手元にはメカニカル・サイキッカーがいない。武器となるメカもほとんどなかった。
時限爆弾の呪いがあるので、不良達とも今は距離を置いている。
エルピスさんというとても心強いけど協力者がいるけど、それ以外は何もない、ただのイーリスに戻ってしまった。
メカや仲間で強さを取り繕っていただけ。
本質的にはイーリスが弱いままだった事を、未熟にも今思い出した。
■イーリス・ロッソルーナ > 「……ぐ……ああぁっ……」
急に呪いが活発化し、苦痛が増したので悶え、自身の体を抱く。
“王”がどこかで動いているのだろうか……。
「……“王”。もう……誰も……苦しめないで……」
どこか怯えたような声。
思い出すのは、仲間の不良達があっけなく“王”に殺され、ゾンビにされている光景。
「お願い……。もう……やめて……」
誰にも届いていない、そう思っていたイーリスの声……。
■紅き月輪ノ王熊の恋文 > 「愛しているよイーリス」
「王様はいつでも君を待っている」
「君が王女様になる気になったら…いつでもおいで」
■イーリス・ロッソルーナ > 「ひっ……!!」
イーリスに刻まれた紅き月様が輝き、呪いがイーリスを蝕む。
まるで恋文のような“王”の言葉が、イーリスの脳裏に響いた事で、顔が青冷める。
「嫌……。そんなの……嫌ぁ……。ならない……私は……あなたの王女になんてならない……」
ベッドで恐怖で全身を震わせながら小さく体を縮こめつつ、首を横に振った。
「……もうやめて…………。嫌……いや……です……。エルピスさん……お願い……早く……帰ってきて……」
双眸から流れ出た涙が、シーツを少し湿らせた。
一人でいる事の不安を覚えた。だがエルピスさんに助けを求めても、今はただ一人。
■イーリス・ロッソルーナ > エルピスさんが帰ってきて客室に来てくれたなら、イーリスは彼を求めるように、緩慢な仕草で、しかし恐怖が抜けきらず怯えた両腕でエルピスさんに抱き着き、黙して泣きつくだろう。
しばらく泣きつけばやがて落ち着くと思われる。
ご案内:「数ある事務所」からイーリス・ロッソルーナさんが去りました。