2024/07/29 のログ
■狭間在処 > 実際、単純に鉄面皮を保っている…顔にかなり出難いだけで、感情はそれこそ人並にある。
ただ、こういう時にその鉄面皮ぶりが役に立つ…相手に情報を悟らせにくいから。
…一方で、表情が乏しいとコミュニケーション的には少々マイナスにもなりがちだが。
(軽い警戒…そして、観察力もおそらくある。物色も手慣れていた…ふむ。)
改めて、頭の中で彼が何者なのかと思考を緩く巡らせる。一方で視線は少年から一瞬も外さない。
『…何か入用だったか?大まかに言って貰えれば俺が先に”回収”した物を提供してもいいが。』
そう、口にするが青年はどう見ても手ぶらだ。その回収品を持っているようには見えない。
『…それなりに長く続いている組織だったから、手慣れたものなのだろうな。……イーリス?』
聞いた事の無い名前だ。おそらくこの少年の知己か仲間、あるいは友人なのだろう。
相手の様子から、幸いここで一戦交えるなんて事は無さそうでそこは気が楽だ。
戦闘に躊躇は無いが、そういうのは出来るだけ最小限に留める方が色々と楽だから。
■エルピス・シズメ >
「明確な何かは探してないから、大丈夫。
ううん……お兄さんに借りを作ると上下関係になっちゃいそう。"お友達"でいたいから、遠慮するね。」
視線を合わせながら思考を巡らす。
人となりが分からないが、実力者であることだけは確かだ。
ついでに譲ってくれようとする辺り、頓着はなさそうだ。
とはいえ"対等"を直接口に出来るほど、強気には出れない。
お友達──そんな言葉でごまかして、角を立てないように遠回しに伝えた。
つもりらしい。
「それはいやな組織だね。何をしていたのかは分からないけれど……あ、うん。イーリス。えーと……」
妙な表情で言い淀む。
悪意のない、この場に似つかわしくない空気が流れ込んだ。
「機械と分析に長けていてね。ちょっとした廃材からでも優秀な機械を作れる子なんだ。」
「その子に任せれば、これだってメカに化けるかも。」
先程引き剥がしたラジエーターを取り出して見せる。
宝物を見せびらかす子供のようにも見えるが、最低限の気は払い続けている。
■狭間在処 > 『……貸し借りのつもりは全く無いんだが…了解した。』
お友達?首を傾げる。初対面というか遭遇したばかりでそう直ぐに友人になれるものなのか?
等と生真面目に考えつつ。ちなみに貸し借りにそこまで頓着はしていない。特定の場合を除いて、だが。
「……。」
そこで一度沈黙して何かを考える仕草。警戒は当然としても、一歩引いた態度が気になる。
とはいえ、遭遇したばかりで互いに初対面、背景や素性すら知らないなら当然の態度か。
『…つまり”対等”の関係がいいという事か?』
そういう結論を導き出したのか、小さく小首を傾げて問い掛けつつ。
もし彼がそれを尊重しているなら、そちらの流儀に合わせるつもりだが…
そもそも、青年も上下関係とかそういうのは正直どうでもいいというか興味が無い。
『――人身売買がメインだな。人体実験の非合法組織や人を”食料”とする種族に提供しているようだ。』
そこだけ、殊更に表情を消して淡々と説明する。だからこそ青年はここを潰そうとしていたのだから。
それよりも、彼の知己らしい人物の情報に生真面目に頷きながら。
『…機械工学に優れているという事か。優秀だな…俺もそういう知り合いが居たら助かるものだが。』
そもそも仲間や友人がほぼ皆無の単独行動な青年である。
彼の説明するイーリスという人物の背景に、素直に感心したような言葉を漏らし。
『…真鍮製ラジエーターか…そう考えると、確かにこういう場所は宝の山かもしれないな。』
■エルピス・シズメ >
(……直接的な言い回しの方がよさそう?)
(融通の利かない堅物さんじゃなさそうだけど……)
疑問を覚えている男を見て、少しずつ認識を改める。
この少年が一挙一動を観察していることは、嫌でも伝わるかもしれない。
沈黙が流れる。
互いが互いを計る。落第街ではよくあることだ。
「うん。おこがましいかもしれないど……お兄さんと対等って、ちょっと言い辛かったから。」
表面的な人となりが分かってきた所で、真意を吐露する。
どうやら、感情のない人間ではないと判断できたらしい。
「うぇ……最悪なとこ。最近は良い人とばっかり出会えていたけれど、
結局ここは『落第街』であることには、変わらないね……当たり前かも、しれないけど。」
この組織が『何をしていたのか』を知らされた瞬間、露骨に顔を顰めた。
落第街の非日常な日常を理解はすれど、無感動ではいられなかった。
「宝の山だけど、お兄さんの話を聞いていると漁りすぎると目を付けられる気もしてきたからやめとく。
……あと、僕はエルピス・シズメ。この辺で事務所を開いていたけど、今は開店休業状態。
優秀な知り合いにはなれないかもしれないけど……名前だけでも覚えてくれると嬉しいな。」
素性が分からない以上気軽に"紹介するよ"などとは言えないが、自分が顔見知りになる分には好い。
そんな思惑の下、名前と落第街での身分を名乗った。
■狭間在処 > 実際、直接的に言われた方が青年としては分かり易いし何より話が早い。
婉曲だったり遠回しなものは苦手…とは言い切れないが、面倒と感じる事も多いから。
さて、こちらも観察”されている”側であるのは間違いない。
一番特徴的なのは、矢張り青年の右肩に佇む三本足の鴉だろうか。
そもそも、先ほどから青年の”声”はその鴉から発せられている。
『…別に俺にそういう気遣いは不要だ。変に気を使われるより、ストレートに言ってくれた方がお互い話が早いだろう?』
肩を軽く竦めてみせる。そういう仕草も矢張りきちんと感情が無ければやらない仕草だろう。
『――清濁併せ持つのがこの島でありこの街だからな。
良い人間も多いだろうが、それと同じだけそういう人間も居る。』
もっとも、それはこの島や街に限らず、それこそ世界の何処でも…かもしれないが。
こちらの説明に、顔を顰める少年の様子に…成程、と彼の性格の理解を少し深めた。
『…まぁ、様子見に斥候を出してきてもおかしくはない…というか当然だろうからな。
まだそういう類が来るまで間はあるだろうが、程々で切り上げて別の場所を物色する方が安全だ。』
事務所?と、首を傾げる。探偵事務所か何かだろうか?と、思いつつ彼の自己紹介にこちらも口を開き。
『狭間在処――アリカでいい。個人的な恨み、というか八つ当たりで人身売買や人体実験の組織を潰して回ってる。
…ついでに言えば、俺自身は無職というべきなのだろうな。』
ついでで口にするのが無職、というのは少し情けないが…事実なので。
何せ店を構えてもいなければ、特定の組織に所属している訳でもない。
『…優秀かどうかより、その相手が信用、あるいは信頼出来るかどうかだな。
…勿論、何かに秀でている方が個人的には有難いが。』
口調は淡々としているが、要するに彼が優秀であってもなくてもそれは大した問題ではない、という事だ。
何せ、こっちだって別に優秀とは程遠いのだから。
■エルピス・シズメ > 「うん。これからはそうするね。」
(にしても、八咫烏? 喋っているのもよく考えるとこっち。)
認識を改める。
会話が成立してるから気に留めていなかったが、声の主はあの三本足の鴉だ。
『何故』そうなっているかは分からないが、深くは追求しないことにした。
声そのものから暴かれたくない身分が暴かれることもなくはない。警戒の一策でもおかしくない。
「そうだよね。だからこんなものがあっても、ここを嫌いになれないや。」
「うん。だからそろそろ引き上げるつもり……」
自分に言い聞かせる様に呟いた。思う所があるのだろう。
「個人で活動しているアリカお兄さんだね。覚えたよ。」
「信頼や信頼は……流石にゼロからだよね。」
無職はそれとなく言い換える事が出来る。
信頼や信用に関してもないことを前提とした軽口を叩ける。だが、
「『個人的な恨み』で、わるい組織を……。」
続く言葉は、そうもいかない。
怨恨、復讐。報復。怨讐。きっとそんな簡単なものではない。
どれほどの感情が詰まっているかなど、安易に推し量って良いものでない。
故に、言葉に詰まってしまった。
「……」
■狭間在処 > 『…悪いな、こっちのわがままみたいなものだが。』
小さく頭を下げる。そういう所は律義と言うか生真面目な性分が滲み出ていた。
ちなみに、彼は追及しないようにしてくれるようだが、肝心の鴉が「カァ!」と青年に向けて鳴いていた。
意思の疎通が出来るらしく、鴉に視線を向ければ青年が小さく吐息を零して。
『…ヤタ…あぁ、この鴉の名前だが。…コイツが騒ぐから一応説明しておく。
この鴉は知り合いから貰った使い魔でな。俺は自前で喋れないから、代わりにコイツが俺の声を代替してくれている。
…奇妙かもしれないが、まぁそこは大目に見てくれると助かる。』
隠す事では無いし、むしろ何度か初対面の相手に説明もしているので気軽な様子で口にして。
…まぁ、矢張り喋っているのは鴉の方なのだけど。青年はずっと口を閉じたままだ、
――この街に思う所がある様子を察すれば、そこは深く追及も尋ねもしない。それは青年も少なからず同じだ。
『――少なくともエルピスは信用は出来ると俺は踏んだが。
…俺の方を信用して貰う方がむしろ難しそうだな。』
何せ、今も口にしたが単独で違反組織を黙々と潰して回っているとか、タダの狂人か危険人物だろう。
信用や信頼は積み重ねるもので、ゼロからなのは勿論だとしても、下手すればマイナスになりかねない。
『…あぁ、悪いな。気を使わせてしまった。別に隠す事でも無いし、この街では珍しくも無いだろう。
単純に、俺自身が非合法の人体実験の被験者だったから、という単純明快なものだ。』
青年自身は悲壮感も暗い様子も無く、淡々とあっさり口にする。
己の過去についてはもう過ぎたもの、事実として割り切っている。
だが、人の感情というものはそんな単純ではない。だから八つ当たりと称して潰し回っている。
――それが、終わらない徒労だとしてもだ。
(…とはいえ、エルピスに気遣わせてしまったのは悪かったな…フォローはどうすればいいか…)
と、真面目に考えてしまうのが青年の性分でもあった。
■エルピス・シズメ >
「ううん。大丈夫。気にしないよ。」
人は見かけによらない。
もとい、少し見ただけで分かることは少ない。
「つまり、『ヤタさんに言葉を託している』んだ。素敵な使い魔さんだね。」
彼──エルピス・シズメにとってそれは好い関係に思えたのだろう。
屈託のない笑みを浮かべて、受け容れた。
「アリカお兄さんは強そうだから、信用は出来ると思う。
……強さがあれば、少なくても拷問や脅迫は、簡単に跳ね返せる。
自分で確立した意思でもって行動できる超人さんだと、思ったから。」
「僕はきっとそこまで強くないから、"そういう事があった時"にどれだけ跳ね返せるかは分からない。」
「状況に対応したり、上手く立ち回ることは出来る。でも、アリカさんほど強くはないと思う。」
「それでも頑張るけどね。」
『信用』に対し正直な所感を吐露し、笑って濁す。
この落第街で『信用』を作ることは、彼にとって容易ではないらしい。
「そっか、それなら……僕も似たようなものかな。ただ……」
周囲を見る。
今の所安全だが、立ち話には向いてない。
「この話はまた今度かな。ここで活動してるなら、また会うだろうし……またね、アリカお兄さん。」
■狭間在処 > 『――そうか、助かる。』
とはいえ、小さく目を伏せて律義にまた頭を下げる青年である。
基本的に生真面目な性分なのだろう。やっている事が割と過激だとしても。
『――お調子者で余計なトラブルを招く事も偶にあるがな。
…まぁ、俺にとっては欠かせない”相棒”ではある。』
貰い物の使い魔であるが、信頼関係は何だかんだで十分だ。
そして、喋れない自分の代わりを務めてくれるこの鴉は青年にとっては生命線だ。
主に円滑な人とのコミュニケーションという意味合いで…ヤタが居ないと手話か筆談しか出来ない。
『――強いに越した事は無いが、それはそれで余計なトラブルを招いたりもするがな。
…あと、超人は言い過ぎだ。俺はただの”失敗作”に過ぎないからな。』
人体実験の――怪異の”出来損ない”でしかない。どんなに強力な力を与えられたとしても。
肉体は欠陥が多く、力も扱いきれているとは言えない。何より…人のままが良かった。
どんなに弱くても、どんなに脆くても、人のまま生きて死にたかった…なんて。
(…そんな情けない言葉を初対面の相手に言える筈も無い)
――だから、エルピスが口にする超人というソレには及ばない。
少なくとも、その心や精神は人の頃とさほど変わってはいないから。
だが、エルピスなりの信用の”基準”みたいなものは大まかには理解したのか、小さく頷いて。
『――そちらの考えは分かった。俺はそれに口を出す気は無い。ただ尊重する。』
信用や信頼なんて基準も何もかも人それぞれ。青年には青年の、彼には彼の基準がある。
それは言葉通り尊重するし、だからこそ余計な言葉を投げかけたりもしたくない。
『――そうだな、立ち話には向いていない。…またいずれだな。
…余計なお世話かと思うが、道中気をつけてな、エルピス。』
なんて、気遣いを普通にする辺りはやっぱりこの青年の性根が滲み出ている。
彼が立ち去るならば、会釈を一度してから見送りつつ。青年も別の方向へと静かに立ち去ろうと。
■エルピス・シズメ >
「うん。アリカお兄さんも気を付けて。」
気になることや、会話の中で産まれた違和感はある。
ただそれらを脇に置いて、"頼りになりそう"──
──そんな第一印象を抱き、真鍮製のラジエーターを抱えて立ち去った。
ご案内:「違反部活群/違反組織群」からエルピス・シズメさんが去りました。
ご案内:「違反部活群/違反組織群」から狭間在処さんが去りました。
ご案内:「数ある事務所」にDr.イーリスさんが現れました。
ご案内:「数ある事務所」にナナさんが現れました。
ご案内:「数ある事務所」にエルピス・シズメさんが現れました。
■Dr.イーリス > ナナさんは非道な実験を受けた研究所から逃げ出した方だった。
落第街の路地裏まで逃げ延びたナナさんとイーリスが邂逅し、行き場のないナナさんを保護して事務所にお連れしたのが現在。
「ここが私の住んでいる拠点でございますね」
そうナナさんに話し、ナナさんにも渡している合鍵で玄関の扉を開けた。
「ただいまです、エルピスさん。ナナさんも、遠慮せずおあがりください」
そうして事務所に入っていく。
「エルピスさん、この子ナナさんというのですが、研究施設で非道な実験を受けて逃げてきた子みたいです……。行く宛もないようなので、連れてきました」
ナナさんの両肩を掴み、そう説明して。
■ナナ > イーリスに連れられてやってきた建物
今更ながら目の前の彼女はよくこんな怪しい自分を連れてきたなと冷静に考え始めていた
「お邪魔しま~す。」
遠慮するなと言われたので言われた通り着いていく
きょろきょろと中を見回し、両肩を掴まれたときはビクリ!と反応してしまう
■エルピス・シズメ > 数ある事務所。
落第街裏通りの路地に面した建造物の一つ。
外見は相応に汚れているが、そこそこ手入れされているため廃墟ではない。
「おや、イーリス。おかえり。お友達かな。キミも遠慮しないで。」
帰宅したイーリスを出迎え、ナナの姿も認めて出迎える。
今の所、そのまま襲ったら通りそうな位には無防備だ。
イーリスが合鍵で簡単な施錠で戸を開けば、外観通りの2階建て……と地下室の階段。
多少の生活感があるが、概ね綺麗。
「"わけあり"の子なんだね。僕も"わけあり"みたいなものだから……ううん、僕のことはいいや。
ひとまず、応接間にソファーがあるから一回そこに行こう。」
「まずは一息つこっか、食べ物と飲み物持ってくるね。」
そう言って背を向け、奥へと入っていく。
■Dr.イーリス > 「ふふ、びっくりさせてしまいましたね」
両肩を掴んだ時に、びくりとしたナナさんに微笑んでみせる。
「そうですね。ナナさんだけではありません。ここにいるエルピスさんも私も、“わけあり”です」
イーリスも“わけあり”で、ここに住む。
「エルピスさん、ありがとうございます。ナナさん、応接間はこちらです」
笑みを浮かべつつ、ナナさんの手をそっと引き、そうして応接間に案内しようとする。
応接間につけばナナさんにソファーへと座るよう促しつつ、イーリスもソファーに腰を下ろした。
応接間にはソファーの他に、PCも置いてある。
■ナナ > 「えっと、初めまして。」
可愛らしい顔と、仰々しい義手と義足
機械繋がり?なんて2人の関係を考えつつ促されるままソファへ
奇麗に掃除されている室内は路地裏と比べるべくもなく奇麗なで…
「これ脱いどいたほうがいいかな…」
自分が纏っていたぼろきれを見つめる
これを着たままでは逆に汚すことにならないか、と
「出会ってすぐもっとビックリさせたし、これ位良いよ。」
驚いたが危害は無い
しっかり危害を加えた事はちゃんと覚えていて反省もしていた
わけあり、と言われればそれはそうかと納得する
片や体がほぼ機械、片や片腕片足、もしかしたらもっと機械化されている
訳がない方が怪しい
応接間に連れられつつ、1つ要望を
「あ、えっと…何か余ってる服とかある?
このままだと色々汚れそうだし、別に裸でも良いんだけど。」
■エルピス・シズメ >
「お待たせ。そして初めましてかな。僕はエルピス。キミは?」
奥から戻って、ペットボトルの水3本と容器入りの夏みかんのムース3個、
それと使い捨てのスプーン3本を応接間のテーブルに置く。
座っても歩いても嫌な反応を見せない。
目の前の半機の彼は汚れを気にしてはなさそうだ。
「服は、そうだね。僕の私服が少しと、空ける予定の倉庫に私服でないのが……
……いや、僕のよりイーリスのがあればいいかな。ありそう?」
少し悩んで、イーリスに振ることにした。
■Dr.イーリス > 「私も、その節はナナさんを驚かせてしまいましたからね」
ナナさんをびっくりさせてしまったメカニカル・サイキッカーは、廊下の比較的邪魔にならない位置に待機していた。
「エルピスさんがここの家主さんです。あの時の凄く美味しかった夏みかんのムースではありませんか。凄く嬉しいです」
先日、エルピスさんに買ってきていただいた夏みかんのムース。
とても美味しかったので、イーリスはまた食べれるのだと、瞳を輝かせている。
「お着替えですね。この事務所に、とても可愛らしいお洋服ありましたよね。そうですね、倉庫にありました。持ってきますね。少し待っていてください」
イーリスは、とある事情でこの事務所のものを色々調べていた事がある。その時に、可愛らしいお洋服を見つけていた。
そうして、イーリスはお部屋を出ていくのだった。
■ナナ > 「名前はナナ。貴方がエルピスね。
イーリスに拾われて暫くお世話になるつもり。」
運ばれるムースに目が釣られる
お菓子なんていつ以来だろうか
相手が気にしていなくても、汚すのは流石にあれなのでイーリスの方を見る
「あ、可愛らしいのじゃなくて動きやすい方が…」
出て行ってしまった
とても可愛らしい、という単語に不安を覚えつつ戻ってくるのを待つことにする
意図せず2人きり、気になったことを聞いてみる
「えっと、今更だけどこんなに怪しいのをすんなり受け入れても良いの?」
■エルピス・シズメ >
「気に入ったから『学園』の方のカフェで買い足しちゃった。季節ものはすぐなくなっちゃうし。
……あ、えっと、イーリス? その、せめて動きやすいので……」
隠していた趣味の──"私服でない"方を見つけられていたらしい。
いやな予感、と言うよりは爆弾のカウントダウン。
諦めたのか、ペットボトルの蓋を空けて自分で飲んでみせる。
「毒はないから、安心して。……僕の方をのむ?」
それはそれとして、倉庫の奥には色々と可愛らしいものは多い。袖のあるものは少なく、サイズは大きい。
その中でもサイズを気にせずに着せられそうなものは、
ノースリーブの白黒調のワンピースドレスと、同じくノースリーブの赤黒調のワンピースドレスだ。
白黒の方は『薄手で軽く』、赤黒の方は『やたらと丈夫』だ。
「とりあえず、お湯と毛布はあるよ。
洗濯は……簡単なのは手洗いで済ませてたから、そろそろ洗濯機が必要になりそうだね。」
■エルピス・シズメ >
「いいよ。なんとなくほっておけないのは、僕も一緒だし。」
大事な質問には、当たり前の様に答えた。
そこに嘘偽りはなく、反射の様にすら思える。
■Dr.イーリス > 既にお部屋を出て行ってしまっていた。
ナナさんやエルピスさんの声は、イーリスに届く事はなかった……。
そうして階段を上がって倉庫に辿り着く。
そして倉庫の奥。
「この辺りで可愛らしいお洋服見つけたんですよね。エルピスさんの趣味ですね。ナナさん、とても整っているお顔ですし、似合いそうですよね。ありました」
ノースリーブの白黒調ワンピースドレス、赤黒調でノースリーブのワンピースドレス。
イーリスが手に取ったのは、こっちだった。
1、ノースリーブの白黒調ワンピースドレス
2、赤黒調でノースリーブのワンピースドレス [1d2→1=1]
■Dr.イーリス > ノースリーブの白黒調ワンピースドレスを手に取り、応接間に戻ろうとしている。
■ナナ > 「別に、そんなこと気にしないよ。
毒なんてもう人生何回分も飲んでるんだから。」
未開封のペットボトルを開け、中身を飲む
水分自体は摂取していたが奇麗な水は比べるべくもなく…美味しい
「なら、ちょっとお湯で流させてもらおうかな。
血とかならともかく汚れはいつまでもついてるとばっちいし。
これは適当に取ってきた奴だから捨てとくね。」
纏っていたぼろきれを指さす
思い入れもないし今となっては薄汚い布である
洗濯してもボロボロの布が出来上がる
「2人とも、お人好しだね。
甘えてる私としてはありがたいけど。」
と、戻ってきたイーリスの手にはシンプルなワンピース
普通でよかったと内心ほっとする
「じゃぁ、ちょっとお湯で流してくるね。
汚れたまま奇麗な服着るのはあれだから。」
イーリスに場所を尋ね、一旦部屋を離れる
■エルピス・シズメ >
「そっか。ナナちゃんも色々あったんだね。
お人よしだけれど、いい子じゃないよ。そうじゃなきゃ、ここでは暮らせない。」
(同情みたいなところが無いとは言わないけど。……ううん、言わなくても察されてるかな。)
警戒もほどほどお人よしと言われる位だ。
善意の理由ぐらいは察し取られているかもしれない、などと考えながら見送る。
「それならまだ……サイズ的にも少しオーバーだけど、大丈夫そうだし。
シャワーは1階かな。行ってらっしゃい。」
戻ってきたイーリスを認め、ナナを見送った。
食べ物や飲み物はいつ手を付けても良いし、持って行ってもいいだろう。
「おかえりイーリス。後で倉庫をナナちゃんの仮部屋にするから空けるの、手伝ってね。」
「そうだよね。ばれてたよね……」
■Dr.イーリス > やがて戻って来る。
「お待たせしました。可愛らしいお洋服です。ナナさん、シャワー室ですね。こちらですね」
持ってきたワンピースを抱えつつ、ナナさんをシャワー室に案内した。
「ワンピース、ここに置いておきますね」
お着替えのワンピースを丁寧に脱衣所に置いて、応接間に戻ってくる。
「ただいまです、エルピスさん。今、私が使っているお部屋をナナさんに使わせてあげてください。私の寝る場所は、倉庫で大丈夫です。ふふ、可愛らしいお洋服がある、と思っていたのですよ」
可愛らしいワンピースの話で、イーリスは微笑んでみせる。
「後で、私のお部屋に置いてあるメカも移動させないとですね。これを機に、洗濯機でも作りましょうか。ちょうど、洗濯機を造れそうなパーツが揃っているのですよね」
■ナナ > 「大きい分には大丈夫、面白いもの見れるよ。」
そう言ってイーリスと共にシャワールームへ
ワンピースを横目に、さっそくシャワーを浴び始める
温かいシャワー、これもいつ以来だったか
研究所での事を思い出し拳を握る手に力がこもる
呼吸を落ち着け、首を振る
今そんな事を考えても無駄なのだから、今考えるべきは2人と友好な関係を築く事
「折角丁度いい物も有るんだし、最大限使わないとね。」
シャワーを止め、体を拭く
髪についた分は髪が水分を吸収しキューティクル不足を補う
ドレスを体に合わせ、少しボディラインとサイズそのものを調整する
準備はこんな物か
「ただいま、どうかな?似合ってる?
自信はあるけど他人の評価が大切だからさ。」
部屋に戻れば細かな汚れは無くなり光沢の出来た髪と丁度のサイズでワンピースドレスを着こなしたナナの姿が
12歳程だった体はおおよそ15歳程に変わっていた
■エルピス・シズメ >
「洗濯機は嬉しいけど、イーリスを倉庫に寝かせるのは……
……とりあえず、ナナちゃんがイーリスのところを使うのは了解したから、細かい所は後にしよう。」
一旦、寝る場所については話題を切り上げる。
ナナが戻ってきたからだ。
『面白いものが見れると』告げ、身体を変化したナナをみると……
(あ、やばい。これもっと派手な方も着れるやつだ。)
(夏場の炎天下の外出には向かないけど……いや、うん。)
選択肢が増えてしまった。
それはそれとして。
「びっくりする位似合ってる。サイズもぴったしだから、良い所のお嬢さんにも見える。
でも、見せてよかったの? 結構な『伏せ札』だと思うんだけど……。」
原理は分からないが、身体を調整する能力。
言われなければ気付かれない類の、隠密や変装などに長けた能力。
ナナがそれを明かしたことを、少しばかり重く見た。
■Dr.イーリス > 「では、洗濯機を造っておきますね」
寝る場所についての話題に、イーリスはこくんと頷く。
やがてナナさんがシャワーを浴びて戻ってくる。
倉庫で見つけたワンピースドレス、ナナさんならとても似合うと予想していた。
「ナナさん、とても綺麗になられて可愛らしいです。やはり、あのドレスはナナさんによく似合うと思っていました。心なしか、随分と大人になったように見えますね」
そう口にして、イーリスは笑みを浮かべている。
ナナさん、背も伸びている事だろう。
だがエルピスさんと違って、イーリスはちょっと鈍かった。
シャワーを浴びて汚れを落として綺麗になり、そしてワンピースドレスを着こなしているものと思っている。
綺麗になってワンピースドレスを着こなし、なんだか大人に見える、という感覚。
それはそれとして、ナナさんが自分の体を変化させられる能力がある事についてイーリスは先日目にしているので把握していた。
その上で、ちょっと気づけていない。
■ナナ > 「別に良いよこれ位、私の能力はイーリスはもう知ってるし。
知られた所でどうともならないしね。」
体の変化についてはイーリスの方がもっと派手なやり方を既に見ている
加えて、暫くお世話になる相手にそこまで警戒剥き出しで過ごす気もない
どうせバレるなら分かりやすくお披露目にしたほうが面白い
「私が体を自由にできるって分かっても、特に何も変わらないでしょ。
私を探してる奴等なんかもっと色々知ってるし、エルピス達も私の能力を把握しといたほうが色々便利じゃない?」
…イーリスは、そのまま素直でいてね。」
さっきまで同じか少し見下ろすぐらいの相手が少しだけ見上げる大きさになったのを勘違いで済ますイーリスの頭を撫でる
優しいうえに少し鈍いとなるとなぜか年上なのに小動物に見えてきてしまった
そして改めて席に着く
■エルピス・シズメ >
「分かった。信用の証だね。……あ、これを渡しておかないと。」
お披露目の意図を汲み、二つの鍵を渡す。
一つは簡単な形で、金属製の玄関の鍵。
もう一つは複雑な形状で、妙な材質の地下室の鍵。
「うん。それならばどんな服でも着れると思うから、倉庫にある服は好きに使っていいよ。
……外出向きのは少ないかもしれないけど……。」
何故か複雑な心境にあるらしく、眼を逸らしている。
その視線もすぐに戻し。
「後はそうだね、望むのならば『学園』とか、落第街の外のお話も出来るけど……
……暫くは好きに過ごして、身を落ち着かせると良いよ。冷蔵庫と倉庫の備蓄も食べて平気。」
「あと、もしもがあって避難するときは地下室を使ってね。頑丈なはずだから。」
■Dr.イーリス > 「……体を自由に」
目をぱちぱちさせて、はっ、とようやく気付く。
「そ、そういう事でしたか……!? なんだか、とても大人びたように見えたわけです……!」
実際に体の年齢を変化させてワンピースドレスを着こなしていたのだから、大人びて見えるはずである。
「ナナさんの方が、お姉さんみたいです。うぅ、た、たまたま気づかなかったのです……」
イーリスの方が年上だと思っていただけに、頭を撫でられて恥ずかしさを覚え少し頬を染めてしまった。さらに、見っともない言い訳を始めてしまう。
イーリスも席に座り直して。
「電子関連のセキュリティは万全です。追っ手も、早々ここを嗅ぎ付けられないでしょう。そうですね、この島には学園があります。場合によっては正規で入学できるかもしれませんし、出来ずとも希望とあらば私なら生徒証の偽造ができますね」
■ナナ > 「そういう事、これは…合鍵?」
有り難いが渡すのが早くはないのか、そう聞きたくなるがやめておく
これもエルピスからの信頼の証なのだと受け取る
「服なのに外向きのじゃないの?」
首をかしげる
さっき言ってたとても可愛い服、の単語を思い出す
もしやとても可愛いのとてもとは自分の予想よりすごいものなのかもしれない
「そういう話は色々聞いときたいかな。
こっちでも色々調べるけど実際に学園に通ってる人の話は参考になるし。
ま、どこかに隠れないといけない時は流石にどこかに逃げるよ。事務所が壊されたら大変だし?」
自分がどこかに避難しなければならない時はいっそ学園とやらにでも逃げてやろうかと考える
「そういう事、イーリスも気づいてくれてよかった。」
気が付いたイーリスに笑みを浮かべる
小汚さがなくなり身なりを整えればナナの顔はかなりの美形に位置している
作り物の様な奇麗な顔だが不信感や嫌悪感はあまり感じない筈
「別に学園に通いたくはないかなぁ。
正直、今すぐにでもこんな島出ていきたい。
けど、あいつらだってそれが最悪の結果だって分かってるだろうから普通には難しいだろうね。
今頃海岸線に色々張り付いててもおかしくないし。」
島の外にさえ出さなければ自分を捕獲する可能性はある
それに気づかない程の無能達ではないと嗤った
■エルピス・シズメ > 「合鍵。地下はともかく、そもそも表玄関は破られるの前提。
地下もセーフハウスの意味合いが強いから、ナナが持つ分には問題ないよ。」
あっさりと告げる。
入口のセキュリティが緩いのは、わざとである。
「電子関係はイーリスが言った通りかな。上手くやってくれてるから、助かってるんだ。」
ちらりとイーリスを見る。
割とノーガードな部分があったので心強い。
「で……情報はそうだね。その通りだ。」
「丁度"お義姉ちゃん"を編入させた時に取り寄せた常世島のパンフレットがあるから、それを見るといいよ。」
「表の情報はそれを見ればみんなが知っていることは書いてあると思う。」
「確かPCが置いてるデスクの中に……あったあった。」
パンフレットを取り出してナナに渡す。
モノ自体はあたらしい為、情報が古いこともなさそうだ。
「島を出るのは……出た先のことを考えてからの方が良いと思う。外は外で大変だから。」
"外"は"外"で、《大変容》の混乱が残っていると聞く。
"外"の何処に出るかでも、待遇は変わる。
パンフレットを渡し終えた所で、軽く座り直した。
「後は気になる事とか、ある?」
■Dr.イーリス > 「エルピスさんが、あまりこういったお洋服を着て出歩く姿は見ないですからね」
エルピスさんが実は男性というのもあるだろう。
可愛らしいお洋服の話題で恥ずかしがっているエルピスさんを思い出していた。
「……島外脱出は、追っ手なら真っ先に警戒しそうではありますね。下手に脱出するのは、確かに危険かもしれません……」
ナナさんの仰る通り、島から逃さないようには追っ手も手を施している可能性が高いように思える……。
追っ手の正体を正確に把握しているわけではないけど、難しいだろう……。
「島の外は、それはそれで安全とも言い切れない場所なのですね。私、この島しか知らないもので……」
島の外の安全性は、何気にイーリスにとっては盲点だった。
ナナさんが島の外に出るなら、脱出方法だけではなくて、島の外の安全性も色々と考えなくてはいけないという事になってしまう、という事……。
■ナナ > 「破られる前提とか、ほんと物騒な街だね。
電子…その辺りは私さっぱり、イーリスは凄いね。」
ロボットまで自作するのはただ事ではない
年もそこまで変わらないのに脳の出来が元から違うのだろうと少し羨ましかったりする
「お義姉ちゃん?その人はここに住んでないの?」
パンフレットを受け取り、ぱらぱらと捲る
異能だ魔術だと色々書いてあるがそこはまぁ普通の内容
学園生活というのに憧れがないかと言われれば違うけれど、自分の安全が何より
「一応、今は出られないのが殆どだから無理に突破する気は無いけどね。
あいつらが諦めるか、関係者を皆殺しにしてからゆっくり出るしかないかな。
聞いておきたい事…まぁ、その体とかエルピス達の稼業はとか色々有るけど、話せない事も考慮したら今は無いかな。
私みたいな変なのを拾ってくれるくらいには優しいんだし、私はその優しさに甘えるだけだよ。
2人は私に聞いておきたい事とかある?」