2024/08/03 のログ
ご案内:「《常世フェイルド・スチューデント》のアジト」にDr.イーリスさんが現れました。
Dr.イーリス > “王”により掛けられた悲惨にして強力な呪い。
イーリスに掛かる呪いを弱めてくれた人達がいる。
まずイーリスの呪いを異能《七つ目ダイス》で弱めてくれたのは手紙さんだった。
“王”の殺害欲を埋め込まれた時には、エルピスさんがその殺害欲……つまり呪いの一部を受け継ぐ力で引き継いでくれた。
昨日、破壊の邪神である蒼さんが呪いの一部を壊してくれた。

そうして呪いはだんだん弱まっていき、“王”が呪いに干渉してくる事を利用して、呪いの繋がりから“王”にウイルスを流し込む。“王”がウイルスの対処に苦戦している間に呪いのプロテクトを解除した。
ロッソルーナ状態にも滅多にならないどころか、呪いの主導権を得てこちらがある程度コントロールできるようにもなっている。

「ありがとうございます……。皆さんのお陰で、私はかなり呪いを克服できました」

ぽつりと呟く。
そんなイーリスは今、メカニカル・サイキッカーを連れてスラムを歩いている。

Dr.イーリス > やがてやってきたのは、イーリスにとっては見慣れた廃屋。
不良集団《常世フェイルド・スチューデント》のアジトだった。

「呪縛の爆弾で感染が広まる心配はなくなりました。もう、《常世フェイルド・スチューデント》の皆さんとも距離を置いておく必要はありません」

再び、このアジトに訪れる事ができた。
少し懐かしくも感じる。

エメラルド田村 > アジトに歩み寄ると、中の不良達がイーリスに気づいたか、扉が開いた。

不良達「姐さん!!」
不良達「ご無事でよかったっす!」

不良達がイーリスに駆け寄り、帰りを歓迎してくれた。
そして不良達に続いて、リーダーのエメラルド田村も出てくる。

「おい、イーリス。今までどこほっつき回ってた?」

エメラルド田村だけは、どこか不機嫌そうだった。
そして、不良集団はエメラルド田村も含めて所々ガーゼが貼られたり包帯が巻かれている。

Dr.イーリス > 「……連絡した通り、呪いの爆弾を抱えていました。爆弾が爆発しないよう工夫していましたが、アジトのような人が多く集まる場所で帰るわけにはいかなかったのです」

イーリスは視線を下に向ける。

「私が不甲斐ないばかりに……多くの仲間を死なせてしまいました……。申し訳ございません……」

多くの不良達が“王”に殺害された。さらに、その仲間達が今、ゾンビとなって苦しんでいる……。

エメラルド田村 > 「言いたい事はそれだけか? てめぇはよく頑張った。だが、勝手に俺達から離れて心配掛けた落とし前はつけねぇとなぁ! アァ!!」

不良A「兄貴! せっかく姐さん帰ってきたばかりなんで、落ち着いてくださいっす」
不良B「皆辛かったんっすよ。兄貴だけではなく、姐さんも」
不良C「今は帰ってきてくれた事を歓迎しやしょう」

今にもイーリスに殴りかかろうとするエメラルド田村を不良数人掛かりで押さえつける。

Dr.イーリス > エメラルド田村が落ち着くまで、イーリスは申し訳なさそうにその場で佇んでいた。
やがて、不良達に抑えられていたエメラルド田村がクールダウン。
イーリスとエメラルド田村、不良達はアジトに入り、再会を分かち合った。エメラルド田村もなんだかんだで喜んでくれた。

そしてイーリスが話を切り出す。

「私には今別の拠点があり、そこでこいび……こほん、恩人や友人と共に過ごしています。これからも、拠点として過ごします……。呪いが弱まったのでアジトにも訪れはしますし、ラボも使ったりしますが、私の過ごす場所はその拠点になりますね」

そんな話に、不良達は惜しみながらも、納得してくれた。
これからも『数ある事務所』で過ごす事は変わらないけど、ひとまず《常世フェイルド・スチューデント》と再会する事は叶った。

エメラルド田村 > 「俺達はあれから随分と没落しちまってな……。アジトはいくつか敵対勢力の襲撃で滅ぼされて、スラムのシマもいくつか分捕られた。そういったいざこざで、またうちの者からも多く死傷者が出た……。隙を見せちまったら命取りになるからな……この街はよ」

リーダーの口から語られるのは、不良集団が没落していく様……。
イーリスが死の淵から復活する間にも、《常世フェイルド・スチューデント》もかなり苦労があった。エメラルド田村や不良達に傷が見られるのも、そうした闘争によるもの……。
不良達は表情は暗くなり、エメラルド田村も眉を顰めている。

敵対してしまった違法部活とぶつかってしまう事はあるものだが、今回は被害が大きい……。

Dr.イーリス > イーリスは悲し気に視線を落とす。
“王”の敗北は配信されてしまっていた。あの敗北が大きな隙をつくり、敵対勢力に付け入る隙を与えてしまったという事になるのだろう。
アジトの監視カメラなどを統括しているのはイーリスの体内コンピューターではあるので、状況は大方把握していたし、またアジトにあるメカを遠隔で動かしてアジト防衛の援護をしたりはした。

「……大変でしたね…………」

“王”に敗れた後は、みんな何らかの形で苦労してきたのだ……。
色んなものを失ってきたのだ……。

エメラルド田村 > 「……だがそう悪い話ばかりでもない。紅き屍骸に対抗するため違法部活で同盟を組んでいただろう? その同盟でいくつか俺達に気を掛けてくれる違法部活があってな。違法であるが、ある程度仕事をもらえている。勢力が落ちて前よりは小回りが利くようになったってのは皮肉だがよ……」

同盟自体は、“王”に敗北した《常世フェイルド・スチューデント》への非難、一定の成果を評価する擁護が対立してそのまま空中分解。《常世フェイルド・スチューデント》を非難した違法組織はそのまま敵対組織と化した。
一方で、擁護に回った側が《常世フェイルド・スチューデント》を気にかけているという事になる。

「仕事の内容自体は褒められた内容でもないんだが、“殺し”はない。とりあえず、食い扶持をを得るために表でかつあげなどして盗む必要がなくなったわけだ」

Dr.イーリス > 「……それは」

悪い話である。ストリートチルドレンの不良集団が没落して、頼る先がマフィアという事だ。
確かに表で仕事を得られずとも、裏の仕事はスラムのストリートチルドレンや二等学生という立場でも雇ってくれる場合があるかもしれない……。
表での盗みをしなくなったのは良い事だが、状況が好転しているとは言い難い。

この島の闇の部分、その闇の道を一直線に進んでしまっている。闇に堕ちてしまっている……。
ただし、今すぐに彼等を止める事はできない。マフィア相手でも食い扶持だ……。

不良達に教養はない……。なんだかんだ言って、イーリスが参謀として支えていたから組織が安定していた事を実感した。
今は、不良集団がマフィアに頼るとしても、いずれはなんとかしなければ……。

「……私はあまり協力できません、申し訳ございません。アジトに置いてあるメカは、私が使っていいと言ったものは引き続きマフィアの仕事でも必要になれば使っていただいても構いませんが」

そう返してしまう。

色んな方々の優しさ、温かさに触れて、闇から這い上がろうとしているイーリス。
それとは対照的に、色んな人々の思惑や悪意に触れてエメラルド田村はさらに闇へと堕ちていた。

そうして、不良集団《常世フェイルド・スチューデント》とイーリスは少しずつ亀裂が生じる事になっていく……。

ご案内:「《常世フェイルド・スチューデント》のアジト」からDr.イーリスさんが去りました。