2024/08/28 のログ
ナナ > 手出しをするか否か、その答えは意外とシンプルに片付いた
買い物の時間がかかればかかる程晩御飯が遅くなる
そんな事は許容できない

「という事で、人間砲弾作戦いきまぁす。」

廃墟とはいえ建物が崩れる様な相手なら間違いなく派手な異能持ちがいる
しゃがみ、力を貯めて一気に跳躍
斜め上から残ってまとまっている仮面の集団に飛び込み土煙を巻き上げる

ドラゴンの様な両手に変わり手近な1人の首を片方の手で掴む

(これで盾ゲット、無駄に仲間意識強いらしいしまとめてやんないでしょ。)

突然の乱入に慌てる相手を殴り倒す、ナナでなくとも楽な作業
これだけ乱せば彼ならどうとでもできるだ筈

【悪竜】 > ――【悪竜】に電撃走る!!あ、これは味方の予感!!…外れたらカッコ悪いなこれ!!

「…って、相変わらず派手だなぁ――もしかしてお迎えさんか?ナナ。」

仮面集団に飛び込んだ”何か”が派手に土煙を巻き上げた。
視界不良になるが、煙の向こうで何やら派手に立ち回っている…うん、ナナらしいというか。

「――ま、助かったけど……な!」

再び跳躍、同時に背後の廃屋がまた圧壊するがそろそろ別のネタが欲しい所だ――なので。

「――連続で仕掛けられるっつっても、やっぱどうしてもタイムラグはあんだろ。それに――」

細かい範囲指定が出来ないとみた。つまり、近すぎると味方ごと潰す事になる。
なので、圧壊の能力者らしき男の真ん前に着地――近くではナナが一人盾代わりにして大立ち回りしてた。

「――んじゃ、悪いけどチェックメイト…なんてな。」

咄嗟に能力を使おうとする男の懐に飛び込んでから、掌低で顎を打ち上げて脳を揺らす。
――すかさず、仰け反った男の胸倉をもう片方の手で掴んで引き戻し、駄目押しで頭突きをかましておこう。

「――あ、顔面が偉い事に…うん、今の整形って凄いらしいからさ?まぁ…頑張れ!!」

と、謎の応援をしつつ昏倒している男をぽいっと放り捨てた。一番厄介なのは潰した。

「…で、ナナは――」

まぁ心配するだけアレだけど一応様子を確認しておきたい。

ナナ > 派手で大きな力、便利ではあるが小回りは効かない
其れらしい相手に肉盾君を見せつけてやれば途端に動きが止まる
甘いなぁ、なんて思うけれどそれは普通の事

「こいつごと磨り潰す位は出来ないと少なくともあいつを捕まえるのは無理じゃない?」

と、主役の登場である
やっぱり多少崩せばこんな物かと倒れる男を見つつ用がなくなった肉盾君を放り投げる
他の連中も片付けは完了、倒れた男を中心とした小さめのグループなんだろうか

「チェックメイトって恰好つけすぎじゃない?

遅れる時は連絡ぐらいくれないとイーリスが心配するでしょ。」

目立った傷は無い、横槍を突いただけなのであたりまえと言えばそうかもしれない

【悪竜】 > 主役とかガラじゃないんで脇役がいいんですがね俺。
まぁ今は【悪竜】名乗って、ギフト持ちから見ればバリバリ悪役してますが。
まぁ、ナナの方は特に心配する必要も無かったようだ…改めてこいつとやり合いたくないと思いました。

「まぁ、でも結構強力な異能だったし油断は出来ねーけどなぁ。段々強い奴とそうでない奴も分かってきたし。」

篩に掛けられるみたいに、ギフトで強くなった力をきちんと使いこなしている奴。
ただ、増大した力に酔いしれて無作為に使ってる奴。その辺りは差別化されてきている気がする。
…どのみち、酔いしれてる連中は遠からず”淘汰”されそうな気もするが。

「いやーたまにはこういうセリフもいいかなって。
…あーそりゃ心配するか。まぁ買い出しだけでもコレだしなぁ。」

懐を確認して一息。収納袋は余裕で無事でした。
ナナの口ぶりからして、二人に頼まれたというより自発的に迎えに来てくれたようだ。

「まぁ、悪かったよ。次からは外出時とか買い出し行くときは連絡入れる。」

そこはまぁ、自分の非でしかないので小さく笑みを浮かべて。

ナナ > 「狙われるよねぇ悪竜さん?」

笑みを浮かべつつそんな事を
茶化し半分皮肉が半分

「強力ねぇ…ふるいにかけてるみたいでやな感じ。にしてもよく見せしめに殺さないね?」

もうここまで来てしまうとそれでも止まらないかもしれない
ご丁寧に全員殺さず無力化にとどめている理性には素直に感心する
彼から聞いた内容を加味して、自分ならそろそろ何人か無事には帰していないだろうと

「男の子って好きだよね、チェックメイトとか詰みだ。とか?」

イーリスが心配する前に自分から声をかけて出てきていた
心配性な彼女の不安材料を事前に取り除く、できた居候なのだ

「まぁ一応私が押し付けたってのもあるからね。」

そう言う引け目もあるにはあった
何が有ろうとここでナナが謝る事はないのだけれど

「買い物終わってても終わってなくても、とりあえず行くわよ。
1人だとまた襲われるかもだし頭数揃えた方が安心でしょ?」

【悪竜】 > 「まぁ、ヘイト買ってるのは狙ってやってるところもあるからなぁ。」

とはいえ、中々”次”の動きがみえない。そろそろ何か動いても良い頃合だが…。
茶化しと皮肉を半々といった感じのナナに肩を竦めて苦笑を返しつつ。

「いや、別に殺す必要ねーじゃん。むしろ殺すとそれはそれで面倒になるって。」

甘い意見と言われればそうだが、実際の処、殺す必要性を感じていないというだけ。
甘ちゃんな所は否定はしないが、殺す時はきちんと殺すのが少年の処世術だ。

「それに、こういう連中は力を手に入れて調子乗ってるから、鼻っ面を圧し折ってやったほうが”効く”んだよ。」

ある意味で”見せしめ”…死ぬより残酷とも言えるかもしれない。連中の何人かにとっては。

「えー格好付けたいお年頃なんだから仕方ねーじゃん?」

等と軽口を叩きつつも、そろそろ退散するべきだろうか。
ナナが押し付けた云々は「いや、それくらい別に気にしねーというか、慣れてるし」とあっさり。
良くも悪くも、損な役回りなんて何度もこなすと慣れてきてしまうものだ。

「と、いうかナナが居る時点で普通に安全度高いしなぁ。んじゃ買い物は終わってるしさっさと引き上げるか。」

ナナに視線を向けて、何時もの陽気で軽い笑顔。

ナナ > 「物好きだよね…それで何を釣るつもりやら。」

必要がない、と言われれば首を傾げる

「そう?少なくとも殺せば二度と向かって来なくなるし脅しになるよ。
ま、悪竜様くらいまで狙われたら無理だけど。」

武器を抜かない状態でここまで来た彼なりの考えは有るのだろう
どこまでそれが続くのか、少しそこに期待している節もある
が、やはり甘く見える

「効く、ねぇ…だと良いけど。
そう言うの何だっけ…あぁ、厨二病って言うらしいよ。後々後悔するだろうしやめときな?」

なんて雑談と共に家路につく
流石に襲撃が失敗した後に数が増えた状態では襲われる事も無い筈
いつもに比べれば快適な帰り道で我が家へと帰っていく

ご案内:「違反部活群/違反組織群」からナナさんが去りました。
ご案内:「違反部活群/違反組織群」から【悪竜】さんが去りました。
ご案内:「《常世フェイルド・スチューデント》のアジト」にDr.イーリスさんが現れました。
ご案内:「《常世フェイルド・スチューデント》のアジト」に龍宮 鋼さんが現れました。
Dr.イーリス > 現在、《常世フェイルド・スチューデント》は生きるためとは言え、悪いマフィアに仕事をいただいて、悪の道へと進もうとしていた。
《ネオ・フェイルド・スチューデント》の面々を覗けば殺しこそしてないが、それでも随分と人々に迷惑をかけてしまっている……。
以下の三つの派閥に分かれてしまった不良集団。

・リーダーのエメラルド田村を中心とするマフィアから積極的に仕事をもらおうとする過激派。
・イーリスから差し伸べられた手を掴もうとする穏健派。
・ギフターさんからギフトを得て反逆する《ネオ・フェイルド・スチューデント》。

穏健派も現状は、マフィアの仕事をもらって悪い事をしているのには変わらない。ただし、現状をなんとかしないといけないと思っている人達が穏健派。
過激派はどちらかと言えばエメラルド田村を慕い、穏健派はどちらかと言えばイーリスを慕う側と、そこも綺麗に分かれる。
リーダーが属すエメラルド田村もいる事もあり、マフィアからお仕事をいただく現状を見てもわかる通り、過激派の方が圧倒的に影響力が強い。
《ネオ・フェイルド・スチューデント》はかつての仲間すら殺害しており、もはや落ちるところまで落ちたといえる連中だ。あまりにも邪悪に染まりすぎてしまっている。
だが、過激派と穏健派は追い詰められた末に生き延びるため、マフィアに頼る道を選んでしまった人達である。今ならまだ更生できる、まだ間に合う……とイーリスは信じている。


鋼先生によるフェイルド・スチューデントの鉄拳制裁が始まっていた。
既に末端のアジトのいくつかは制裁をくらった後。

「現在、エメラルド田村さんがいるアジトはここですね。実質、過激派の本丸です。かつて鋼先生がセーフハウスとして使っていた建物で恐縮ながら……」

穏健派の内の十数人が一緒についてきている。
結構な大所帯。

穏健派不良A「鋼パイセン! あいつ等の目を覚まさせてやってほしいっす!」
穏健派不良B「やっぱり、マフィアの連中からずっと仕事をもらい続けるわけにはいかないっすからね!」
穏健派不良達「鋼パイセン! 鋼パイセン! 鋼パイセン!!」

穏健派不良達による鋼先生コールが始まる。
少し前に鋼先生をお招きしたアジトは、イーリスがかつてメインで使っていたアジト。
鋼先生を招いた時、あのアジトにいた不良は、いわゆる現在の穏健派が多数占めていた。鋼先生を慕っていた側は全員現在の穏健派だ。
逆にエメラルド田村の指示で鋼先生に武器を構えた連中もいた。彼等は全員、現在の過激派である。
つまりは、穏健派の連中とは鋼先生を慕う連中でもあった。


そしてエメラルド田村がいるアジト。
奇しくもそこは、かつて鋼先生がセーフハウスに使っていたところだった。
それは、一度廃墟となった建物。そこからイーリスが大砲や機関銃、レーザー砲など物騒なものをつけたりで改造してしまったのである。
さらに、このアジトには秘密の仕掛けがある。
イーリスはメガホンを取り出した。

「エメラルド田村さん! 私達はスラム育ちの不良でしたが、出来る限り人様に迷惑をかけず最低限の盗みだけで済ませて生き延びるという掟があったはずです! 私は、“王”を倒したりして《紅き屍骸》に大打撃を与えており、対紅き屍骸同盟に属するマフィアへの義理は既に果たしました! スラムの不良集団がマフィアの手に堕ちていく、それはまさしくこの島の闇を突き進む行為に他なりません! 私達、ちゃんとやりなおしましょう……! 鋼先生が家庭訪問に来ていただいていますよ……! あと、そのアジトにあるメカは私が遠隔で機能停止して使えなくしているのであしからずです……! 建物を改造した際に取り付けた武装の類は、私からの遠隔操作で停止できない仕組みにはなってしまっておりますが……!」

エメラルド田村 > メガホンによる音声で、エメラルド田村の返事が返ってくる。

「いや、ふざけんなよ! マフィアと手を切って、全員で飢えて死ねって事か? てめぇはいいよな、イーリス! その技術力でどうにでもなるもんな? なあ、イーリス、てめぇが“王”に敗れた後、俺達がどんな目に遭ってきたか分かんねぇよなぁ? マフィアに縋る思いで、必死に生き延びてんだよ、アァ!! 上等だ、かかってこいや!!」

龍宮 鋼 >  
「あーやめとけイーリス。
 時間の無駄だ」

後頭部をバリバリと掻き、彼女の持つメガホンを押しやる。
言葉でどうにかなるのなら、もうとっくに解決しているのだから。

「来いっつってんならお望み通り行ってやるよ。
 オマエら、後始末任せたぞ」

声を掛けたのははしゃいでいる学生に、ではない。
自身が連れて来た、十数人の者たちだ。
スーツを着ている者、アロハシャツにハーフパンツの者、Tシャツにジーンズの者と、見た目や印象に共通点は見当たらない――否。
一つだけ共通していることがある。
常世フェイルド・スチューデントの様に浮足立っても居なければ、必要以上に身構えたりもしていない、と言うこと。
言ってしまえば、慣れている。
そのうちの一人、オールバックにスーツ姿の男が「姐さん、よろしくス!」と叫べば、彼らもそれに倣う。

「オウ、言ってくんわ」

それだけ答え、メカメカしい要塞と化した元我が家へと歩いていく。
ポケットに手を突っ込んだまま。

Dr.イーリス > 言葉でどうにかなるならとっくに解決している、それはその通りすぎて、説得は今更。
鋼先生が制裁にきた、その最後通告という意味合いが近い。

「鋼先生なら大丈夫ではあると思いますが、あのアジトの武装は危険ですので気を付けてください」

鋼先生がつれてきた人達。
その人達は、荒事に慣れ切った集団のようであった。フェイルド・スチューデントとはまるで違う。

「この度は、お手間お掛けしますね。ありがとうございます」

鋼先生がつれてきた人達に、イーリスはぺこぺこと頭をあげている。

エメラルド田村 > 元は廃墟のような建物がとてもメカっぽく改造されている。
メガホンより、エメラルド田村の声が発せられる。

「くそっ……本当にメカは一切動かねぇな! メカは使えねぇが、このアジトの武装はすげぇぞ! 殺しはしたくねぇ……。先公なら、耐えてくれよ! すげぇ痛ぇだろうけどなぁ!」

アジトの壁から機関銃は十機現れる。それらが一斉に火を噴き、鋼先生へとぶっ放された。

龍宮 鋼 >  
「耐えてくれだァ?
 随分とお優しいこったなァ!」

機関銃がぶっ放される寸前。
前髪をかき上げる様に腕を動かす。
瞬間、右目の周りと両拳が鈍色の鋼に覆われる。
その両腕の甲殻を盾にするように身体の前に構え、低い姿勢で大砲のような速度で突っ込んだ。
放たれる銃弾は悉くが甲高い金属音と共にその両拳に撃ち落とされる。

「人ひとりも殺せねェ様な覚悟でこの世界生きていけると思ってんのかァ!!」

その勢いのまま建物の扉まで突っ込み、踏み込みと同時にその扉へ鋼の拳を叩き付けた。
大砲でもぶっ放したのかと思わせるほどの轟音。
拳は扉を螺旋状に巻き込み、周りの壁ごとはじけ飛ぶ。

エメラルド田村 > 「げええぇ!? な、なんだと……!!?」

田村の持つメガホンから発せられる声は、とても驚いていた。
十機の機関銃は防がれ、さらに瞬時に接近されて一瞬で扉が突き破られた。

「ば、ばかな……!? イーリスの改造により、砲弾をも耐えられるようになっている頑丈な扉だぞ!? それも壁事……!?」

扉の先、そこはバーのようになっていて、三十数人の不良がライフルやらマシンガン、レーザー銃などを持って待ち構えていた。
待ち構えていたのだが、今の鋼先生の突入を見て顔を青くしている。

過激派不良A「え、えげつねぇ……」
過激派不良B「ひ、怯むんじゃねぇ……」
過激派不良C「撃てえぇ!」

突入してきた鋼先生に、不良達が一斉に持っている武器を射出した。
ライフルやマシンガンの銃弾、レーザー銃のレーザーが一斉に鋼先生へと迫っていく。

龍宮 鋼 >  
「おっせェんだよォァ!!」

ライフルやマシンガンなど避けるまでもない。
レーザーはあまり喰らいたくはないのでそれだけ避けて、不良の群れに突っ込む。
銃弾は自身の身体に当たったそばからガキンガキンと金属音と火花を散らして弾かれていく。
とりあえず一番近い不良の横っ腹に勢いを乗せたミドルキックをぶち込み、そのままそいつの脚を引っ掴む。
その不良を武器に、固まっている不良たちを薙ぎ払う様に振り抜く。

「足りねェなァ!
 覚悟も火力も勢いもなんっもかも全ッ然足りゃァしねェぞォ!!」

目に映る不良たちを片っ端からなぎ倒していく。
殴り、蹴り、掴み、振り回し、ぶっ飛ばす。
叩きのめされた不良たちは全員もれなくどこかの骨が折れているだろう。
脚か腕か、殺してこそいないものの、逆に言えば命に関わらない程度の大怪我を負わされている。
立ち上がろうとする者がいれば、わざわざ脚を踏み抜いて脚を折る。
それでも尚銃に手を伸ばすのならば腕も折る。
歩みは遅いが、その進撃はまさに破壊の化身と言った様相。

Dr.イーリス > 穏健派不良C「鋼パイセン、かっけぇっす!!」
穏健派不良D「このアジト、防衛力高いのにものともしないっすね!」
穏健派不良達「鋼パイセン! 鋼パイセン!」

アジトの外では、穏健派不良達による鋼パイセンコールが響いていた。

エメラルド田村 > 一方過激派不良。
鋼先生に物凄くびびっている。

過激派不良C「ひいいいいぃぃぃ!!」
過激派不良B「ば、ばけものおおおおぉぉ!!!」

そして、不良達が次々と鋼先生に薙ぎ倒されていく。

過激派不良「ぐはっ!! い、痛い……!!」
過激派不良「ごほおおぉっ!! たすけ……!」
過激派不良「げへえあぁ!」
過激派不良「ぎひいいぃ!! ゆ、ゆるして……」
過激派不良「がはああぁ!! ぐ、ぐるじい……」

このフロアにいる不良三十数名、その全員がどこかしら骨を折られ、倒れ込んでしまった。辺りは血だらけ。
立ち上がれる不良はもはやいない。


エメラルド田村は上の階にいる。
監視カメラ越しに、鋼先生が不良達を蹂躙する様子を眺めていたのだ。
フロアにあるスピーカーからエメラルド田村が声を発した。

「く……ぐぐぐ……!! よ、よくもやりやがったなぁ、鋼ぇ!! もう容赦しねぇぞ!! こうなったら奥の手だ!」

鋼先生がいるフロアが突然、九十度傾きだす。
なんと、建物が変形しているのだ。
この建物は三階建て。一階の部分が二足歩行する脚になり、二階と三階が胴体。三階の屋根から頭が生え、胴体部分からは二本の腕が伸びる。

鋼先生がいるのは、アジトが変形したロボットの右脚部分である。

「どうやら、アジトの変形機能はイーリスの遠隔操作で止められるようにはしていなかったようだな!」

Dr.イーリス > 「わ、わわ!? へ、変形機能を使われてしまいました……!? もしもの時のためと思って備えていた機能がこのような形で使用されてしまうなんて……!? あと、うっかり変形機能を遠隔で停止できるようにするのを忘れていました……!」

イーリスは顔を青ざめつつ、冷や汗をかいている。
鋼先生のかつてのセーフハウス、滅茶苦茶な改造を施されていた。

ご案内:「《常世フェイルド・スチューデント》のアジト」から龍宮 鋼さんが去りました。
ご案内:「《常世フェイルド・スチューデント》のアジト」に龍宮 鋼さんが現れました。
龍宮 鋼 >  
傾く足場。
とは言えそのぐらい屁でもないのでこのまま上り続けてもいいのだが、そうすればなぎ倒した不良たちがセーフハウスロボの動きに巻き込まれてタダでは済まないだろう。
窓から不良たちを外に投げ捨て、自身も外へ。
その不良たちは自身が連れて来た男たちが回収していった。

「――はァ」

そしてセーフハウスロボを見上げて溜息。
ポケットから煙草を取り出し、火を付ける。

「テメェよ。
 そんなもんでこの俺に敵うとでも思ってんのか」

睨みつける。
サイズ差はネズミと象ぐらいあるだろう。
それでも尚、自分の方が強い、とはっきり言ってのける。

エメラルド田村 > 頭に血が上った田村ではあるが、変形の際には傾いた後にバーとなっているフロアの床となる部分に分厚いやわらかマットが現れる機能を起動はしていた。その後、マットに着地した者達を安全に外に吐き出す機能も有していた。元来、鋼先生もその外に吐き出す機能でロボの外に吐き出してやろうというのが一応エメラルド田村の腹積もりではあった。
一階に人がいても緊急で起動させられるようイーリスが設計した機能である。
ただ、骨が折れた不良達では、分厚いやわらかマットがあっても痛そうではあるが……。

その不良達は、鋼先生により外に投げ捨てられたので、やわらかマットに着地する事はなかった。鋼先生の仲間達に、過激派不良達が保護されていく。
変形したアジトのロボが、外に出た鋼先生を見下ろす。
田村は、屋根から出現した顔の部分にいる。

「舐めるなよ。こいつをそんらそこらのロボットと一緒にするなよ? 奥の手だったがよぉ、俺にこいつを使わせた事を後悔させてやるぜ! 鋼ぇ!」

アジトロボットの巨大な拳が振り上げられ、そして鋼先生に振り下ろされた。
振り下ろされた腕は地面をも砕き、大きなクレーターを形成するような威力。

Dr.イーリス > 「……み、皆さん。あ、安静に……」

鋼先生の仲間に保護していただいた過激派不良達をイーリスは応急処置を施していた。

「皆さんも、私の指示に従って応急処置お願いしますね」

穏健派不良達にも応急処置の指示を飛ばす。

龍宮 鋼 >  
「舐めてんのァどっちだ。
 オモチャがねェとなんも出来ねェクソガキのくせによォ」

煙草を投げ捨てる。
ついで上着を脱ぎ、それも投げて。
投げられた上着はスーツの男が回収した。

「たかがバケモン一人にオタオタしてよ。
 マフィアに縋る?
 だったら腕や脚の一本や二本折れた程度で無様に床ァ転がってんじゃねェよ」

バギン、と金属音。
拳を覆っていた甲殻が、腕全体に生えた音。
巨大な鋼の翼と丸太のような太く長い尾も生やして。

「折れた腕でぶん殴って、砕けた脚で蹴り飛ばして、俺ァそうやって生きて来た。
 それが裏で生きてくって事だろうが――」

振り下ろされる巨大な拳。
それを真正面から自身の拳で迎え撃ち、同時に地面を砕かんばかりに踏み付ける。

「今更ガタガタ抜かしてんじゃァねェぞ三下ァ!!」

踏み抜いた地面に魔力を放ち、地面の質量を一時的に奪う。
ロボの腕よりも遥かに巨大な質量を乗せた拳の威力は、それを粉微塵に砕いて尚有り余る威力を持つだろう。
当然、こちらの腕もそれに耐えられるわけもない。
人より頑丈とは言え、それでも鋼の甲殻は割れ、骨にも亀裂が入る。
甲殻の割れ目から真っ赤な血が噴き出し、しかし表情は微塵も揺るがない。

エメラルド田村 > 「うるせぇ……!! イーリスが改造したすげぇ強力なアジトだぞ! 俺が何もできねぇ? このアジトロボでてめぇを倒せる!」

他人に造ってもらったロボである。
そのロボが味方側であるならともかく、造った当人であるイーリスはアジトロボを見て憐みの瞳を向けていた。

「俺達はなァ! 《紅き屍骸》の“王”に敗れた事をきっかけに、落第街の様々な敵対組織にシマやアジトを制圧され、無様に没落しちまった……。もう、食いものも満足に得る手段すらまともに確保できなくなって……。そんな俺達を雇ってくれたのが《常世島サクセス・アンダービジネス》を中心としたマフィアだ! 必死に生きてんだよぉ、こっちもなぁ!!」

変形するのはアジトだけではない。
鋼先生もまた、体が変化していく。
そしてアジトロボが振り下ろした巨大なる拳は、真正面から鋼先生の拳に突かれて止められた。

「な、なに……!? 巨大な拳を止めただと……!? ぐわああぁっ!?」

鋼先生の強烈なる拳、その反動でアジトロボの巨体がよろめいている。
だが、すぐにがっしりと両足で立ち、態勢を整える。

「てめぇ、相当なバケモノだなぁ! なら、これならどうだ!!」

アジトロボの三階部分の窓が一斉に開くと、その各所からミサイルが発射される。ミサイルの数は五発。追尾機能も備えたミサイルが鋼先生へと迫っていく。

Dr.イーリス > エメラルド田村は追い詰められて、随分と余裕がなくなっているようだ……。

「……エメラルド田村さん」

アジトロボを見上げるイーリスは、どこか憐みの目。
そもそもアジトロボは、イーリスが設計したもの。
ロボを道具として有効活用するのはとても良い事ではあるけど、イーリスの造ったものを自分の力だと思い込んでその力に溺れる……。
彼はそれ程に道を踏み外してしまったという事なのだろう……。

イーリスは、暗く視線を落とした。
過激派不良達の応急処置をしながら、双眸が潤んだ。

龍宮 鋼 >  
「テメェの言う任侠っつーのァ、つまんねェもんなんだな」

ぶん、と右腕を振る。
改めて甲殻で覆い、亀裂の入った骨を固定。
放たれるミサイル、それを一瞥し、

「――しゃらくせェァ!!」

眼前に魔力を集中。
極限まで圧縮された高密度のエネルギーは、自身が顔を右から左に振ることで解放される。
物理的な破壊力を持つまでに圧縮された魔力の奔流――ドラゴンブレス。
薙ぎ払ったドラゴンブレスで五発のミサイルをまとめて爆散させた。

「なァにが生きるのに必死だ!
 寝るトコと食うモン欲しいんなら裏でグズグズやってねェで表出てくりゃいいだろォが!
 それを任侠だヤクザだと理由付けて、結局テメェが好きな事してェだけだろォがよ!!」

地面を蹴り、翼で空気を叩き伏せ、飛ぶ。
真っ直ぐ、ロボの顔部分まで最短距離を突き抜け、

「一人で何も出来ねェクソガキが!
 いっちょ前に自分で何でも出来るなんて勘違いしてんじゃねェぞ!!」

その顔面をぶん殴る。
砲弾のような速度を、折れた右腕に全て乗せて。