2024/09/06 のログ
■伊都波 凛霞 >
怨霊、悪霊、怪異に亡霊。
そういったものに対しては、正直手が出ない。
小さく肩を竦めて、その様子を見守る。
「こんな場所までこなきゃなんて、正直大変通り越してる気がするけど…」
此処は外れの廃倉庫。普段は現地の人間も無用に近寄らない。
何かしら、そういった感知の手立てでもあるのだろうか。
オカルト研究会とかに引っ張りだこになりそう。
なんて、やや緊張感のないことを思いながら。
■黒面の剣士 >
「――それが、私の役目ですゆえ。
例えささやかであろうが、放っておいて良い道理にはならぬ。」
すぅ、と、男たちの霊に右手の刀を向け、振り上げる。
その気配に、怒りはなく、逆に哀しみもない。
敢えて言うなら、「私心」というものが存在しない、と言えばいいのか。
感じられるモノは――慈悲。
――かけまくも 畏き 黒き御神――
――畏み 畏みも 白す――
――諸々の 禍事・禍魂・禍人 有らんをば――
――祓え給へ 清め給へと 白す事を――
――聞こし食せと 畏み畏みも 白す――
――我 黒き御神の 使徒なれば――
■黒面の剣士 >
耳に慣れぬ祝詞が唱えられ、白刃が一閃、更に一閃。
――振り抜かれた刃に断ち切られた男たちの霊は、吹き消える蝋燭の火のように掻き消える。
その最期の瞬間にあった、男たちの表情は――解放される、安らぎが、僅かながらに浮かんでいただろう。
■伊都波 凛霞 >
彼女の帯びた役目か、使命か。
それを自分に推し量ることは出来ない。
ただ、そういうものも必要なのだろう。
浄化、成仏。言い方は色々だろうか。
そういったものには少々疎くもある。
「えっと…」
「お疲れ様?」
見た感じは、終わったのだろうか。
おずおず、と剣士へと声をかける。
■黒面の剣士 >
「――いえ、こちらこそ巡回と警備の邪魔をしてしまい、申し訳ない。」
すらりと刀を鞘に収めると、静かに一礼。
顔を上げると、ぱちん、と指を鳴らせば、風紀委員の少女の目に灯っていた蒼い炎は
吹き消すように消えるだろう。
そうすれば、再び元の視界が帰って来る。
「――紅き屍人を探していたのですが、生憎…否、幸いにも、
この周辺には居なかった模様。
以前、此処より暫し離れた場所で、多数の紅き屍人を見ました。
この一帯を巡回されるなら、くれぐれも気を付けられませ。」
かつ、かつ、と、ブーツの音を鳴らし、倉庫の出口へと向かう。
「――言いたき事もありましょう。
訊ねたき事もございましょう。されど――
――人よ、我が名を問われるな。
今、この身は死に切れぬモノを死出へと送る者。
黒き御神の使徒たる身なれば。」
その言葉に、狼の仮面の蒼い炎の双眸が揺らめく。
――言いたい事があるのは分かるが、訊ねてはくれるな、と。
あるいは、懇願するかのような言葉。
■伊都波 凛霞 >
「それは、いいんだけど──」
ふっ、と視界が普通に戻る。
…少し変な気分。夢から覚めたようでもある。
なぜこんなことを?
以前、落第街には近寄らないほうが良い、と伝えた身としては。
聞きたいことも勿論あったが───。
それは言葉にて、静止される。
……彼女にも彼女の事情があるのだろう。
「聞けなくても、私はいいんだけども」
小さく頬を書く。
こんなことをどう報告書に書いたものだろうか。
彼女を正体不明とぼかしつつ、あったことをそのまま書くしかないか…。
■黒面の剣士 >
「――何時の日にか、互いの立場が邪魔をせぬ時。
斯様な時が来たならば――その時に。
然らば――御免。」
その言葉を残し、たん、と黒面の剣士は地面を蹴る。
まるで野を駆ける狼のように、黒い風となった黒面の剣士は
たちまちのうちに落第街の中に紛れ込み――見えなくなっていく。
果たして、そのような時が来るのか――それは天のみぞ知る、という所か。
■伊都波 凛霞 >
言葉を残し、跳び去る黒面の剣士。
その様を眺めながら、廃倉庫の外で凛霞はしばし佇む。
人には言えぬ事情も在るもの。
いずれ必要な時が来れば、話してくれるだろう。
…口調とか、そのままの味が出ちゃってたけども。
くす、と小さな笑みを浮かべてしまう───。
「──と、しまった定時の連絡の時間…」
手帳を取り出して、秘匿通信。
「──伊都波凛霞です。廃倉庫の中の確認を終えました。
急ぐ事案はありませんでしたので帰投後にまとめ、報告を上げます。
何事もなく……とはいかなかったですけど。ええ…」
雲間から覗く月が僅かな光を運ぶ。
そんな落第街の外れ、風紀委員の少女の通信への声だけが響いていた。
ご案内:「違反部活群/違反組織群」から黒面の剣士さんが去りました。
ご案内:「違反部活群/違反組織群」から伊都波 凛霞さんが去りました。