2024/09/15 のログ
ご案内:「違反部活群/違反組織群」に九耀 湧梧さんが現れました。
■九耀 湧梧 >
ふぅ、と一息吐く声。
何となく、煙草が吸いたくなってコートの内側を探ったが、そもそも積極的な喫煙者と
いう訳でもなく、そんなものを常備してもいなかった事を思い出し、またため息。
「今日も、ここらは物騒なもんだ…。」
口に出したら少し憂鬱さが増した。
こんな時はどうにも、口寂しくなって仕方がない。
気晴らしになる物を何も持っていないのが、失敗だった、と、黒いコートの男はまたため息。
「穏やかに暮らしたい人間には、本当に辛い立地周りだよなぁ、此処は。」
そう言いながら、手近な窓から空を覗く。
生憎、夜の空の星は見えなかった。
残念、とまた小さくため息。
「我ながら、幸運が逃げて行きそうになってくる。
全く以て憂鬱な事だ。
お前さん達もそう思わないか?」
声を掛けて、辺りを見回す。
誰も返事をしない。寂しい事だ。
まあ、無理もない事だが。
――多数のゴロツキや、アウトローと見て分かるナリや雰囲気の者達が、一山いくらの野菜売り場の如く
ゴロゴロと転がり、呻き声すら満足に上げられない状況。
そんな有様の、違反組織のひとつの倉庫に、木箱の一つに腰かけた黒いコートの男が、独り黄昏ていた。
■九耀 湧梧 >
始まりは――確か、今日の寝床を探そうとした所だったと思う。
偶然選んだ廃倉庫だと思った場所が、違反組織と思しい連中の拠点の一つだったのだ。
しかも、一つの組織の集まりではなかったような気がする。
争いになっていたのか、密談でもしていたのか。
黒いコートの男には、どうでもいいことだったが。
何とかいう、半グレ集団だったろうか。
あるいは、最近悪い意味で評判のやたら長い横文字の異能者ギャング集団だったろうか。
いや、もしかしたら別の連中だったのかも知れない。
――それも、黒いコートの男には、割とどうでもいい事だった。
選んだ物件が悪かったのは認める。
其処は本当に申し訳ない。
だが、襲って来た以上、身を守るのは当然の行動。
――結果、現在の死屍累々の状況が出来上がっていた。
訂正、死人はなかった。ただ、大怪我で気絶している者は多数転がっているだけだ。
「……俺が言えた義理じゃあないが、誰彼構わず喧嘩を売るのはどうかと思うぜ。
それと、今後はもうちょっとまっとうな仕事で稼いだ方がいい。
……聞こえてるか?」
聞こえていないとは思うが、とりあえず忠告だけして置く事にした。
「お偉いさん方」がどう思うかは兎も角として。
此処で転がってる連中が少しはまっとうな仕事に転職する決意を持ってくれたら
良いのだが、と思わずにはおれない黒いコートの男だった。
ああ、口寂しい。
煙草はやはり健康に響くから、ガムでも買う事にしよう…。
■九耀 湧梧 >
「……っと、そうだ。」
ふと、気が付いた事がある。
こういった後ろ暗い真似に手を染めていそうな連中の、主だったお金稼ぎのやり方だ。
出なくても良いのだが、出たら出たでちょっと身の振りを考える必要がある。
気絶している連中をひょいひょいと避けて、のんびりと家探しの時間。
道中の監視カメラはしっかり潰して置く事も忘れない。用心第一。
そうして、幾らかの場所を探れば、まあ出て来る出て来る。
取引の用意があったのか、いい子は手を出してはいけない白い粉に、ちょっと力づくで開けた
金庫からはこれまたよろしくないお取引の帳簿やら何やら。
細かい所はあまり見て回りたくはないものだ。
欲に駆られた人間の業深さを知る事になる。
それはさて置き。
「これで、最後……っと!」
ちょっとそういった「表に出してはいけない」品々を堂々と「表に出して置く」事にして。
後は倒れている連中の懐を軽く探り、電話機能のついた携帯端末を取り出す。
「緊急連絡ダイヤルは……これ、これ、これ…と。」
躊躇いもなく、治安維持がお仕事の警察機構への緊急通報番号へ通話を回し、
表に出してはいけない品々の上に置き捨て。
「これでよし、と。」
――後は、これを聞きつけた治安維持担当の方々が、頑張ってお片づけをしてくれる筈。
無責任だが、後始末は然るべき所にお任せしてしまおう。
■九耀 湧梧 >
「…さて、通報も終わったし、改めて今夜の寝床でも探しに出るか。」
うーん、と背伸びをすると、黒いコートの男はふらりと夜の落第街へと歩き去っていく。
勿論、その後に残されるモノの事は知った事では無し。
通報を受けた風紀委員が駆けつける頃には、黒いコートに赤いマフラーの男の姿は、
既にどこにも見えなくなっていた。
ご案内:「違反部活群/違反組織群」から九耀 湧梧さんが去りました。