2024/09/26 のログ
ご案内:「違反部活群/違反組織群」にエルピス・シズメさんが現れました。
エルピス・シズメ >  
 一方その頃。

「異能があれば、魔術があれば、技能があれば勝てると思った?」

 白黒の仮面の仮面を付けた集団を尾行し、そのすべてを捻じ伏せた後。
 人数にして、おおよそ30人。

 その一人一人が、四肢の関節を外された上で、粉砕されている
 生身のまま、異能の片鱗を見せずに30人を叩き潰した。

「甘いんだよ。」

 激情による単独行動。
 枷が外れた少年は、自身の想い人を傷付けその上で怒りを買ったものの配下へと、八つ当たりをしていた。

 

エルピス・シズメ >   
「……とは言え、やっぱり八つ当たり。
 殺さないでおいたから……独りぐらいは伝わると良いのだけど。」

 エルピス・シズメは人の機微に聡い。
 他者の優れた所や良いものを見つける事は得意。

 今はその逆。やさしくないエルピス。
 
「ほら、僕自体がギフトの塊みたいなものだからさ。
 能力を授かった人間の弱点ぐらい、手を取る様に分かるよ。」

 想いを継ぐ。継いだ想いを力に変える。
 時にはあり方ごと変わる。

 そのようなものである故に、良く分かった。 
 

ご案内:「違反部活群/違反組織群」にシアさんが現れました。
シア > 「……」

前に見かけた妙な仮面集団。
アレが一体なんだったのか。そこが気になってまた改めてこの街に来た。
できるだけこない、という約束はしたが……一応、必要があったのだから問題はない……のではないだろうか。

「……ん」

人の気配が多いところを目指してやってきたところに、見知った顔を見つける。
その周りには、転がる人間。どれもこれも丁寧に四肢を破砕されていた。
そのどれもこれもに息がある。

「……すごい」

ぽつ、と言葉を漏らす

エルピス・シズメ >  
 念入りな四肢の破砕。
 獲物を仕留めるには過剰とすら思える、徹底した破壊。
 命のやりとりには、少しばかり余計な破砕。

 技巧以上の、執念と怒りのもとに成されたもの。
 どうすれば人を殺さずに壊せるか。そんな業。

 ……そんな事をした自分に自己嫌悪を覚えながら周囲を見渡した所で、シアに気付く。

「あ、シア。こんばんわ。これは、その、えっと……。
 ……と、とりあえず……シアは元気にしてた?」

 惨状をどう説明しよう。
 言葉に詰まり、誤魔化しながら会話を試みることにした。
 

シア > 「……ん」

つん、と転がるヒトガタをつつく。鈍いうめき声が上がった。
きちんと生きている。他の者もだいたい同じ感じであろう。

ついでに、腕に触れてみる。
綺麗に関節が外され、骨が砕かれている。
死にはしないが、復帰するのはだいぶ手間であろう。

それをまとめてこの人数……

「……やる」

とんでもない技巧である。

「ん、こんばんは。元気だよ、ボクは。
 エルピスは?」

転がる人々を気にするでもなく、平然とした様子で返事をする。

「ところで。エルピスがやったの、これは?」

首を傾げた

エルピス・シズメ >  
 他のヒトガタも、やっぱり同様。
 念入りな破壊に、仕掛人の人となりが垣間見える。

「元気……だけど、ちょっと落ち込んでる。
 最後にシアと会ってから、色々あってね。……この生身の義肢もそう。
 でも、シアが元気だったから少し元気が出たかも。」

 笑みを作って、軽く右手を挙げる。
 
 普段とは違い、機械ではなく生体に見える義肢。
 よくよく見れば造りものと分かる腕。

「この腕、大好きな人に作って貰った義肢なんだ。
 この白黒の仮面の集団の大ボスに、大好きな人を瀕死に追い込まれて大変な眼に遭って……
 あまつさえ、僕と大好きな人の関係を愚弄された。狗と飼い主なんてね。」
 
 苦い顔で、身の上を語る。
 問いへの答えとして、必要な理由(言い訳)

「……そう言う訳で僕がやった。
 ただの……八つ当たりでね。」
 
 

シア > 「ん……そういえば……」

以前見たのと、腕の様子が違う。
生身のようで、生身ではない腕。恐ろしいほどに精巧な作りの、それ。
一瞬、自分が騙されたのも驚きである。

「大好きな……ええ、と……聞いた人、この間?
 白黒仮面……ああ、これ」

以前にした会話で、愛する人というのを聞いた覚えがある。
見かけたのは、氷割り、だったかの出し物のとき、だった……はず
それを確認する

「ボス……どういう集まり、この仮面は?
 狗と飼い主……?」

純粋によく知らないので、素直に聞いてみる。
前はいなかったような気がするのだけれど、と。

「八つ当たり。
 確か……攻撃すること、関係ない相手に。
 でも、あるんじゃないの、関係は?」

大ボスとやらと仮面が関係あるのであれば、八つ当たりとはならないのでは?
小さく首を傾げる。

「悲しかったの? 怒ったの?
 ……復讐?」

自分では把握できない感情。思わず、聞いてみる

エルピス・シズメ >  
「この白黒の仮面は……少し前から、ギフト騒乱と言うものが起きていてね。
 その大ボス……怪人ギフターからギフトを貰って、暴れまわっている集団。
 怪人ギフターが、力を持たない他者に異能を与え秩序をしている、かな。」

「『理不尽に反逆を、ギフトを得よ。』が、フレーズだったかな。」

 少し前から、そういうものがいる。
 そう言うものが暴れまわり、その後ろに強大なものがいる。
 秩序の言葉は落第街にはふさわしくないかもしれないが、分かり易い言葉として選ぶ。

「で、その大ボスのギフターに僕と……そう、この前言った、大好きな人。Dr.イーリス。
 イーリスが死の淵まで追い込まれて、それこそ時を翔ける大変だった。」

 シアの疑問をほぐすよう、状況や背景の補足をする。
 考えてみれば、落第街にあまり顔を出さない(と認識している)シアには覚えのない騒動。

「狗と飼い主は……
 そうだね。僕がイーリスのために感情を抑えたり言動や状況に気を払う様子を、
 畜生に例えて愚弄した……と言うのかな。正直、とても腹が立つ。」

 其処まで言って怒りを思い出したのか、強く拳を握る。
 食い込んだ爪が、血を流した。

「なくはないけど……正義ではないから
 正義のために悪の組織を倒すヒーローや魔法少女じゃ、ないんだ。」

 言及された関係性を、その様に否定する。
 大義がなく、伝わるかどうかも分からない。

 故に個人の暴力として、伝わると信じきれないが故に八つ当たりに帰結する。
 だから大義を見出せず、心の何処かで関係性を認め切れないと。

「うん。悲しかったし、怒った……
 ……そうだね。復讐。復讐がしたかった。」
  
 シアから問われた感情は、エルピスにとって強く理解出来るもの。
 涙を数粒流しながら、震えた声で答えた。
 

シア > 「ギフト騒乱……異能を与える……
 そんなのが……」

少し調べたところ、異能は才能のようなものであり、なにかの拍子に目覚めたりするものである。
ただ、目覚めない場合は、一生目覚めないかもしれない。
そのようなものだと、学んだ。

実際、自分も一族も、目覚めることはなかった。

「理不尽に、反逆……理不尽?」

首を傾げた。いまいち、その感覚がわからない。
理不尽を嘆くことも、反逆することも。
あるものはある、ないものはない。それだけだと、少女は考えている。

「死……そう。助かったの?」

人は死んでしまえばそれまでだ。仕方ない。それがその存在の限界だったのだ。
けれど、なんであろうと生き残ったのなら、それは悪いことではない。
エルピスの大事な人なら、生きているといいかもしれない、と思う。

「……………」

狗と飼い主。それは愚弄……なのか。
いや、彼らの関係はその言葉にふさわしくないのだろう。
それであれば、許せなくなることもあるのだろう、か。

「? 正義は大事?
 ヒーローでも魔法少女?でもない、エルピスは。
 必要ある、正義である?」

首を傾げた。
シアの認識上、エルピスは正義のヒーローでも、魔法少女とやらでもない。
それなら、それに拘る必要はないのでは?
少女はそう、口にした。

「復讐したい、は……わからないけれど、ボクには。
 いいんじゃない、するなと命令されてないなら?
 自由にできるんでしょ、エルピスは」

自分で決めて、自分で行う。
そうできるのであれば、自由にすればいいのでは……
特に、そうしたい、と強い思いがあるのであれば。
少女は、淡々と言葉にした。

「まあ、あとは。八つ当たりにしないか……かな」

それでも気に病むなら、関係ある相手……つまりは、怒りの矛先そのものを相手取ればいい。
至極単純に少女は考えた。

エルピス・シズメ > 「僕も、よく分からない。
 そう言うフレーズで暴れまわってる、外付けの能力者が居る位の認識。」

 結局、エルピス自身も深く理解していない。
 理念を考察するつもりはなく、そう言う事象が起こっている、とだけだ。

「助かったよ。とっても大変だったけど……。」

 表情に笑みが浮かぶ。
 どうにも、大事な人の事となると感情が出易いらしい。

「…………とにかく、感情的に、嫌だったんだ。」

 沈黙の後、締めくくる。
 理性や論理では語り切れない大きな感情の、一旦。

正義があれば、大義がある。
 その通り、僕は正義ではないし、ヒーローでもなんでもないけど……
 色んな理由で、拘りたいんだ。」

 拘らなければ、気は楽だ。
 衝動と感情のままにやればいい。
 だけど……そうできない理由が色々ある。

「……こだわらないで好き勝手やると、道を外れそうになる。
 外道にはなりたくない。それに、大事な人も……そんな僕は望んでない。」

 落第街にも最低限の、常世島には大きな秩序がある。
 それを捨てきる事ができないから、正義や大義に拘る、
 外道を拒む言葉の裏には、その様に言いたい思惑がある。

 大切な想い人の意志(何といわれても)を支えたい。と言うのも大きな理由。

「自由だからこそ、僕はそう決めたんだ。
 ……そうでないと、自分が自分でなくなりそうで。
 いまやっていることも……決めたことに反しているから。」

 自由が故に、自分で決めたことへの悩み。
 今の様に何時でも破れてしまう罰の無い律だから、葛藤も強い。
 
「そうだね。八つ当たりしない……のが一番。
 ……ただ、そう言う人は隠れるのが得意で、どうにも……」

 そう否定しようとした所で、シアの瞳を見る。
 目の前のものは、どうやって育ってどうやって生きてきたのか。
 中々見つからない等の理由で、狩り獲物を諦めることはしない気がする。

「……ううん。それはしない理由にはならないかな。
 辛抱強く待つのも、大事な技術……だよね。」

 シアの瞳から何かを見出して、態度を変えた。
 自省するように、シアの言葉に素直に頷いた。

シア > 「必要だったのかな、そんなに」

首を傾げる。エルピスにもよくわからないらしい。
となれば、自分にもわからないだろう。何しろ、そういう感性は鈍い。
前にあった彼もそうだが、"特別"はそんなに尊いのか。

「ん。よかったね、それは」

死について思うことはないが、そうはいっても死が不要ならない方がいい、くらいの感性はある。
イーリスの無事を祝いだ。

「そう。拘りなんだ、エルピスの。
 なるほど……」

改めて、周りに転がるヒトガタを見る。
四肢を砕かれているため、逃げることもままならない彼らを。
ただ、間違いなく生きているし、治療をすればそれなりに生活を取り戻せるだろう。

「わからないけれど、ボクには。
 でも。生きてるじゃない、これ。
 十分だと思うけれど。」

エルピス的には、己の敷いた矩を破ってしまった、ということなのだろう。
それでも、最後の一線は守りきっている。それなら、十分耐えたのではないか、と思う。
……気休めにもならないだろうが、そもそも少女も気休めのためにいったわけでもない。
単純に、そう思ったから……である。

「まあ……わかったところはある、エルピスが大事にしてること少しだけ。」

自分として、守りたい一線。それだけは守っておきたいこと。
それだけは、よくわかる。

「得意なんだ、隠れるのが。そう」

お山でも、隠れるのが得意な生き物や、隠れたじいさまなどを相手に探し回ることはよくやった。
その大変さはよくわかる。

「手伝う?ボクも。ギフター、だっけ?」

いくらか恩があるので、それは返したほうがいいか、と聞いてみる。

「これくらいでいいなら」

そして、周りを見て付け加える。
四肢を砕かれた仮面たちを見ながら

エルピス・シズメ >  
「ありがとう。大好きな人が、生きたから、よかった。」

 頷く。エルピスの死生観もほんの少しずれているが、
 それでも祝いやねぎらいは素直に喜ばしい。

「こだわり……。
 ……うん、生かした。死んだら救われちゃうから、生かした。
 でも、殺さなくて良かったとも、思う。自分で決めたものって、曖昧。」

 エルピス自身にも、そこが最後の一線かどうかはあやふやだ。
 己の敷いた矩だからこその曖昧さはあれど、この場に於いては安堵の材料足り得た。
 
「うん。大事にしたいものがある。
 ありがとう。協力してくれるなら……そうだね。
 もしも顔を見掛けたら、後で教えてくれるぐらいで大丈夫。」
 
「後は見掛けた時、どんなことをしていたか、ぐらいかな……
 ギフターだって生き物で人間だから、『動機(何故)』があるって、僕は思ってる。」

 協力を提案されると、嬉しそうに頷く。
 遭遇地点(痕跡)の連絡と『何をしていたか』が知りたいらしい。
 その辺の棚から紙を取り出して、強く握った時に出た血を使って器用にギフターの似顔絵を描く。

「痕跡と動機が見えれば、追いやすくはなると思うから。……でも、危なくなったら逃げてね。」
 

シア > 「死んだら救われる…… あるんだ、そういう考えも。」

しかし、考えてみれば死は終点。
行き着くところまで行ってしまったとするならーーそれはよいことなのかもしれない。
なるほど

「難しそう、いろんなことがあるし。
 決めるしかないんじゃないかな、その都度に」

はっきりしないこと、その時になってみないと気づかないこと、わからないこと。
定まらないことは、気持ち悪い。それに……なんともむずかゆいし、どうしていいか困る。
よくわかる。わかるので、わかることから固めていくしかない、のだと思っている。

固めきった先に残るものは……その時に考えるしかない。

「……ああ。仮面なんだね、ボスも。
 いらない、無力化は? するよそれくらいなら。無理だけど、殺すのは。」

見かけた場所を、何をしていたかを知りたい。
それだけで、本当にいいのだろうか。
捕まえるなり、なんなりしたほうが効率的ではないのだろうか。

「ん。逃げるよ、危なければ」

無理をするつもりはない。死は、避けなければいけない。
必要な時まで。

「あ。探偵……だっけ?」

ふと、なにかの言葉を思い出した