2024/09/26 のログ
ご案内:「違反部活群/違反組織群」にエルピス・シズメさんが現れました。
■エルピス・シズメ >
一方その頃。
「異能があれば、魔術があれば、技能があれば勝てると思った?」
白黒の仮面の仮面を付けた集団を尾行し、そのすべてを捻じ伏せた後。
人数にして、おおよそ30人。
その一人一人が、四肢の関節を外された上で、粉砕されている。
生身のまま、異能の片鱗を見せずに30人を叩き潰した。
「甘いんだよ。」
激情による単独行動。
枷が外れた少年は、自身の想い人を傷付けその上で怒りを買ったものの配下へと、八つ当たりをしていた。
■エルピス・シズメ >
「……とは言え、やっぱり八つ当たり。
殺さないでおいたから……独りぐらいは伝わると良いのだけど。」
エルピス・シズメは人の機微に聡い。
他者の優れた所や良いものを見つける事は得意。
今はその逆。やさしくないエルピス。
「ほら、僕自体がギフトの塊みたいなものだからさ。
能力を授かった人間の弱点ぐらい、手を取る様に分かるよ。」
想いを継ぐ。継いだ想いを力に変える。
時にはあり方ごと変わる。
そのようなものである故に、良く分かった。
ご案内:「違反部活群/違反組織群」にシアさんが現れました。
■シア > 「……」
前に見かけた妙な仮面集団。
アレが一体なんだったのか。そこが気になってまた改めてこの街に来た。
できるだけこない、という約束はしたが……一応、必要があったのだから問題はない……のではないだろうか。
「……ん」
人の気配が多いところを目指してやってきたところに、見知った顔を見つける。
その周りには、転がる人間。どれもこれも丁寧に四肢を破砕されていた。
そのどれもこれもに息がある。
「……すごい」
ぽつ、と言葉を漏らす
■エルピス・シズメ >
念入りな四肢の破砕。
獲物を仕留めるには過剰とすら思える、徹底した破壊。
命のやりとりには、少しばかり余計な破砕。
技巧以上の、執念と怒りのもとに成されたもの。
どうすれば人を殺さずに壊せるか。そんな業。
……そんな事をした自分に自己嫌悪を覚えながら周囲を見渡した所で、シアに気付く。
「あ、シア。こんばんわ。これは、その、えっと……。
……と、とりあえず……シアは元気にしてた?」
惨状をどう説明しよう。
言葉に詰まり、誤魔化しながら会話を試みることにした。
■シア > 「……ん」
つん、と転がるヒトガタをつつく。鈍いうめき声が上がった。
きちんと生きている。他の者もだいたい同じ感じであろう。
ついでに、腕に触れてみる。
綺麗に関節が外され、骨が砕かれている。
死にはしないが、復帰するのはだいぶ手間であろう。
それをまとめてこの人数……
「……やる」
とんでもない技巧である。
「ん、こんばんは。元気だよ、ボクは。
エルピスは?」
転がる人々を気にするでもなく、平然とした様子で返事をする。
「ところで。エルピスがやったの、これは?」
首を傾げた
■エルピス・シズメ >
他のヒトガタも、やっぱり同様。
念入りな破壊に、仕掛人の人となりが垣間見える。
「元気……だけど、ちょっと落ち込んでる。
最後にシアと会ってから、色々あってね。……この生身の義肢もそう。
でも、シアが元気だったから少し元気が出たかも。」
笑みを作って、軽く右手を挙げる。
普段とは違い、機械ではなく生体に見える義肢。
よくよく見れば造りものと分かる腕。
「この腕、大好きな人に作って貰った義肢なんだ。
この白黒の仮面の集団の大ボスに、大好きな人を瀕死に追い込まれて大変な眼に遭って……
あまつさえ、僕と大好きな人の関係を愚弄された。狗と飼い主なんてね。」
苦い顔で、身の上を語る。
問いへの答えとして、必要な理由。
「……そう言う訳で僕がやった。
ただの……八つ当たりでね。」
■シア > 「ん……そういえば……」
以前見たのと、腕の様子が違う。
生身のようで、生身ではない腕。恐ろしいほどに精巧な作りの、それ。
一瞬、自分が騙されたのも驚きである。
「大好きな……ええ、と……聞いた人、この間?
白黒仮面……ああ、これ」
以前にした会話で、愛する人というのを聞いた覚えがある。
見かけたのは、氷割り、だったかの出し物のとき、だった……はず
それを確認する
「ボス……どういう集まり、この仮面は?
狗と飼い主……?」
純粋によく知らないので、素直に聞いてみる。
前はいなかったような気がするのだけれど、と。
「八つ当たり。
確か……攻撃すること、関係ない相手に。
でも、あるんじゃないの、関係は?」
大ボスとやらと仮面が関係あるのであれば、八つ当たりとはならないのでは?
小さく首を傾げる。
「悲しかったの? 怒ったの?
……復讐?」
自分では把握できない感情。思わず、聞いてみる
■エルピス・シズメ >
「この白黒の仮面は……少し前から、ギフト騒乱と言うものが起きていてね。
その大ボス……怪人ギフターからギフトを貰って、暴れまわっている集団。
怪人ギフターが、力を持たない他者に異能を与え秩序をしている、かな。」
「『理不尽に反逆を、ギフトを得よ。』が、フレーズだったかな。」
少し前から、そういうものがいる。
そう言うものが暴れまわり、その後ろに強大なものがいる。
秩序の言葉は落第街にはふさわしくないかもしれないが、分かり易い言葉として選ぶ。
「で、その大ボスのギフターに僕と……そう、この前言った、大好きな人。Dr.イーリス。
イーリスが死の淵まで追い込まれて、それこそ時を翔ける大変だった。」
シアの疑問をほぐすよう、状況や背景の補足をする。
考えてみれば、落第街にあまり顔を出さない(と認識している)シアには覚えのない騒動。
「狗と飼い主は……
そうだね。僕がイーリスのために感情を抑えたり言動や状況に気を払う様子を、
畜生に例えて愚弄した……と言うのかな。正直、とても腹が立つ。」
其処まで言って怒りを思い出したのか、強く拳を握る。
食い込んだ爪が、血を流した。
「なくはないけど……正義ではないから。
正義のために悪の組織を倒すヒーローや魔法少女じゃ、ないんだ。」
言及された関係性を、その様に否定する。
大義がなく、伝わるかどうかも分からない。
故に個人の暴力として、伝わると信じきれないが故に八つ当たりに帰結する。
だから大義を見出せず、心の何処かで関係性を認め切れないと。
「うん。悲しかったし、怒った……
……そうだね。復讐。復讐がしたかった。」
シアから問われた感情は、エルピスにとって強く理解出来るもの。
涙を数粒流しながら、震えた声で答えた。
■シア > 「ギフト騒乱……異能を与える……
そんなのが……」
少し調べたところ、異能は才能のようなものであり、なにかの拍子に目覚めたりするものである。
ただ、目覚めない場合は、一生目覚めないかもしれない。
そのようなものだと、学んだ。
実際、自分も一族も、目覚めることはなかった。
「理不尽に、反逆……理不尽?」
首を傾げた。いまいち、その感覚がわからない。
理不尽を嘆くことも、反逆することも。
あるものはある、ないものはない。それだけだと、少女は考えている。
「死……そう。助かったの?」
人は死んでしまえばそれまでだ。仕方ない。それがその存在の限界だったのだ。
けれど、なんであろうと生き残ったのなら、それは悪いことではない。
エルピスの大事な人なら、生きているといいかもしれない、と思う。
「……………」
狗と飼い主。それは愚弄……なのか。
いや、彼らの関係はその言葉にふさわしくないのだろう。
それであれば、許せなくなることもあるのだろう、か。
「? 正義は大事?
ヒーローでも魔法少女?でもない、エルピスは。
必要ある、正義である?」
首を傾げた。
シアの認識上、エルピスは正義のヒーローでも、魔法少女とやらでもない。
それなら、それに拘る必要はないのでは?
少女はそう、口にした。
「復讐したい、は……わからないけれど、ボクには。
いいんじゃない、するなと命令されてないなら?
自由にできるんでしょ、エルピスは」
自分で決めて、自分で行う。
そうできるのであれば、自由にすればいいのでは……
特に、そうしたい、と強い思いがあるのであれば。
少女は、淡々と言葉にした。
「まあ、あとは。八つ当たりにしないか……かな」
それでも気に病むなら、関係ある相手……つまりは、怒りの矛先そのものを相手取ればいい。
至極単純に少女は考えた。
■エルピス・シズメ > 「僕も、よく分からない。
そう言うフレーズで暴れまわってる、外付けの能力者が居る位の認識。」
結局、エルピス自身も深く理解していない。
理念を考察するつもりはなく、そう言う事象が起こっている、とだけだ。
「助かったよ。とっても大変だったけど……。」
表情に笑みが浮かぶ。
どうにも、大事な人の事となると感情が出易いらしい。
「…………とにかく、感情的に、嫌だったんだ。」
沈黙の後、締めくくる。
理性や論理では語り切れない大きな感情の、一旦。
「正義があれば、大義がある。
その通り、僕は正義ではないし、ヒーローでもなんでもないけど……
色んな理由で、拘りたいんだ。」
拘らなければ、気は楽だ。
衝動と感情のままにやればいい。
だけど……そうできない理由が色々ある。
「……こだわらないで好き勝手やると、道を外れそうになる。
外道にはなりたくない。それに、大事な人も……そんな僕は望んでない。」
落第街にも最低限の、常世島には大きな秩序がある。
それを捨てきる事ができないから、正義や大義に拘る、
外道を拒む言葉の裏には、その様に言いたい思惑がある。
大切な想い人の意志を支えたい。と言うのも大きな理由。
「自由だからこそ、僕はそう決めたんだ。
……そうでないと、自分が自分でなくなりそうで。
いまやっていることも……決めたことに反しているから。」
自由が故に、自分で決めたことへの悩み。
今の様に何時でも破れてしまう罰の無い律だから、葛藤も強い。
「そうだね。八つ当たりしない……のが一番。
……ただ、そう言う人は隠れるのが得意で、どうにも……」
そう否定しようとした所で、シアの瞳を見る。
目の前のものは、どうやって育ってどうやって生きてきたのか。
中々見つからない等の理由で、狩り獲物を諦めることはしない気がする。
「……ううん。それはしない理由にはならないかな。
辛抱強く待つのも、大事な技術……だよね。」
シアの瞳から何かを見出して、態度を変えた。
自省するように、シアの言葉に素直に頷いた。
■シア > 「必要だったのかな、そんなに」
首を傾げる。エルピスにもよくわからないらしい。
となれば、自分にもわからないだろう。何しろ、そういう感性は鈍い。
前にあった彼もそうだが、"特別"はそんなに尊いのか。
「ん。よかったね、それは」
死について思うことはないが、そうはいっても死が不要ならない方がいい、くらいの感性はある。
イーリスの無事を祝いだ。
「そう。拘りなんだ、エルピスの。
なるほど……」
改めて、周りに転がるヒトガタを見る。
四肢を砕かれているため、逃げることもままならない彼らを。
ただ、間違いなく生きているし、治療をすればそれなりに生活を取り戻せるだろう。
「わからないけれど、ボクには。
でも。生きてるじゃない、これ。
十分だと思うけれど。」
エルピス的には、己の敷いた矩を破ってしまった、ということなのだろう。
それでも、最後の一線は守りきっている。それなら、十分耐えたのではないか、と思う。
……気休めにもならないだろうが、そもそも少女も気休めのためにいったわけでもない。
単純に、そう思ったから……である。
「まあ……わかったところはある、エルピスが大事にしてること少しだけ。」
自分として、守りたい一線。それだけは守っておきたいこと。
それだけは、よくわかる。
「得意なんだ、隠れるのが。そう」
お山でも、隠れるのが得意な生き物や、隠れたじいさまなどを相手に探し回ることはよくやった。
その大変さはよくわかる。
「手伝う?ボクも。ギフター、だっけ?」
いくらか恩があるので、それは返したほうがいいか、と聞いてみる。
「これくらいでいいなら」
そして、周りを見て付け加える。
四肢を砕かれた仮面たちを見ながら
■エルピス・シズメ >
「ありがとう。大好きな人が、生きたから、よかった。」
頷く。エルピスの死生観もほんの少しずれているが、
それでも祝いやねぎらいは素直に喜ばしい。
「こだわり……。
……うん、生かした。死んだら救われちゃうから、生かした。
でも、殺さなくて良かったとも、思う。自分で決めたものって、曖昧。」
エルピス自身にも、そこが最後の一線かどうかはあやふやだ。
己の敷いた矩だからこその曖昧さはあれど、この場に於いては安堵の材料足り得た。
「うん。大事にしたいものがある。
ありがとう。協力してくれるなら……そうだね。
もしも顔を見掛けたら、後で教えてくれるぐらいで大丈夫。」
「後は見掛けた時、どんなことをしていたか、ぐらいかな……
ギフターだって生き物で人間だから、『動機』があるって、僕は思ってる。」
協力を提案されると、嬉しそうに頷く。
遭遇地点の連絡と『何をしていたか』が知りたいらしい。
その辺の棚から紙を取り出して、強く握った時に出た血を使って器用にギフターの似顔絵を描く。
「痕跡と動機が見えれば、追いやすくはなると思うから。……でも、危なくなったら逃げてね。」
■シア > 「死んだら救われる…… あるんだ、そういう考えも。」
しかし、考えてみれば死は終点。
行き着くところまで行ってしまったとするならーーそれはよいことなのかもしれない。
なるほど
「難しそう、いろんなことがあるし。
決めるしかないんじゃないかな、その都度に」
はっきりしないこと、その時になってみないと気づかないこと、わからないこと。
定まらないことは、気持ち悪い。それに……なんともむずかゆいし、どうしていいか困る。
よくわかる。わかるので、わかることから固めていくしかない、のだと思っている。
固めきった先に残るものは……その時に考えるしかない。
「……ああ。仮面なんだね、ボスも。
いらない、無力化は? するよそれくらいなら。無理だけど、殺すのは。」
見かけた場所を、何をしていたかを知りたい。
それだけで、本当にいいのだろうか。
捕まえるなり、なんなりしたほうが効率的ではないのだろうか。
「ん。逃げるよ、危なければ」
無理をするつもりはない。死は、避けなければいけない。
必要な時まで。
「あ。探偵……だっけ?」
ふと、なにかの言葉を思い出した