2024/09/27 のログ
エルピス・シズメ >   
「痛くもないし、苦しくもない。
 罪を贖い続ける必要もないし、奴隷にもならなくていい。
 困難なそのあとに悩まなくていい。だから……救い。」

 故に、エルピスは殺す事よりも生かす事を選ぶ。
 当然、そうできないことも、ないと言えば嘘になる。

(……一線を超えない為の誤魔化しかもしれない、けど。)

「そうだね。選択の連続なのかも。
 ……後悔しない様に、しなきゃね。」

 自己嫌悪を超えて、取返しの付かない後悔だけは避けよう。
 内心でそう決意する。

「うん。もしかしたら外している可能性もあるけど、だいたいこう。
 そうだね……無力化できたら、それがベストかな。出来そうならお願い。
 信徒が多かったりした時は、様子を見た方が良いのかな……。」

 思案を変えて、無力化にも頷く。
 集団の頭であることを踏まえて、多勢で在る時は無理しない様にも伝えた。

「探偵……ううん? 
 この辺で、数ある事務所は経営しているけど……」

 記憶を探るが、紐づくものを思い出せなかったらしい。
 不思議そうに首を傾げた。
  

シア > 「……ん」

そう考えれば、生かしたことはただの慈悲、ともいえないかもしれない。
けれど、その善悪、などということを論じることも、考えることもない。
それは、そういうものなのだ、と少女は受け止める。

「多くあるはず、上手くいかないことも。
 やるだけ、できることを。後悔の果てでも」

やるだけやって、ダメだったらそれまで。
選んでみて、ダメだったらそれまで。
思い通りにならないことなど、無数に味わってきた。
無限のそれまで、の中で精一杯やるしかない。そう、少女は考える。

「ああ……一杯いるね、こういうの。
 面倒そう、確かに」

実際、たまたま追い回されたこともある。
相手にはしなかったけれど、相手取るなら面倒くさそうではある。

「……痕跡、動機……そういうの。
 探偵の仕事と記憶してた、警察じゃなければ。
 違った……」

どうやら、どこかで学んだらしい単語を口にしたようである。

「……えっと……うん。探すね、これ」

ともあれ、ギフター、なるものの似顔絵を指してみせた

エルピス・シズメ >  
「そうだね。……うん、今日はシアにとても元気付けられた。
 上手くいかなくても、出来ることを……やれるところまで(後悔の果てでも)、頑張らなきゃ。」

 エルピスにとっては、激励と映ったらしい。
 上手くいかなくても頑張る。思い通りにならないことが当然。

 そう激励してくれるものは少なく、
 そう言っていられる状況はもっと少なかった

 でも、今は違う。
 思い通りにならなくても危機にはならないし、
 試行し続けられるだけの余裕はある。

 平静と余裕を取り戻すには、十分な言葉だった。

「探偵さんや警察さん、あるいはヒーローのお仕事だけど、これは僕の我儘だからね。
 ……残念ながら、お仕事じゃない、かな。」

 苦笑い。
 誰かの為ではなく、自分の為のささやかな復讐。
 だから探偵や警察とは違うかな、と、思っての言葉。

「たしか、連絡先も交換していたよね。
 一応、あとでちゃんとした似顔絵と画像データも送るよ。シア。」

 襤褸紙に血で描いた資料では少し心許ない。
 なので、後でデータを送ると伝えた。
 

シア > 「……そう?」

白か黒か。生か死か。
少女の世界は明瞭であり、だからこそ選べるものが少なかった。
言えることが、ほとんどない。

世間ズレしていることは流石にわかってきている。
その自分の考えで、相手を元気づけられたのであれば、それは実に珍しいことだ。
少しはピントが合ってきたのだろうか、と少し考えるが……油断は禁物であろう。

「ああ……なるほど」

仕事ではない。そう、エルピスはいう。
ただ、己の想いのために。

それなら、選べるのだろう。

「ん。交換した、連絡先。わかった、よろしく。
 最近覚えたし、使い方も」

知り合った女子から色々学んだ。今ではそれなりに使える。

「……うまくいくと、いい」

エルピス・シズメ >   
「うん。……少なくとも、僕にとっては。」

 受け取り方や想いにズレがあれど、
 エルピスは、シアの言葉に希望を見出した。

 エルピスが勝手に見出した側面もあるが、希望は希望。
 こうして少しずつ、ピントが合っていくのかもしれない。

「あんまり我儘を出すことは、少なかったんだけどね。
 ……少し位は出しても、いいかなって。」
 
 これまでは、伺うばかりで択ぶ事をしなかった。
 心境の変化で我を出す様になったのは最近のこと。

「ありがとう。シア。
 上手くいくつもりでやるけど……上手くいかなくても、頑張るよ。」

 少なくとも、択べる内は大丈夫。
 色々やってみて、考える事にする。 

「僕はそろそろ行くけど、シアなら帰り道は……は大丈夫だよね。」
 

シア > 「そう。よかったんだね、じゃあ」

頷く。
言葉によるやり取りは、やりづらい。
ただ少なくとも、今回はよかった……のだろう。

「いいんだと思う、エルピスには。
 我儘も」

是非、ということは少女にはわからない。
けれど、心の平穏を保てるのなら、我儘もいいのだろう、と思う。
人それぞれ、だろうし。

「ん。手伝う、上手くいかないなら」

それこそ、今の話だ。
必要であれば、我儘を言えばいい。
それくらいは、してもいいのだろうと思うし。

「うん。平気、帰れる。
 気をつけて、エルピスも」

エルピス・シズメ >  
    
「ありがとう。……じゃあ、またね。シア。」

 嬉しそうな声色で、挨拶を交わしてこの場を立ち去った。
 ……ヒトガタは、当然放置。
 
 

ご案内:「違反部活群/違反組織群」からエルピス・シズメさんが去りました。
シア > 「ん、じゃあ……また」

去っていくエルピスを見送った。
そして

「……ああ」

辺りを見回す。
うめき声を上げる影がいくつもあった。

「……ん」

放置されたヒトガタをどこかにまとめて、少女もその場を去った。

ご案内:「違反部活群/違反組織群」からシアさんが去りました。