2024/11/30 のログ
ご案内:「違反部活群/違反組織群」にルーフラットさんが現れました。
ルーフラット >  
20:10。路地裏の違反部活近くにて。

違反部活の娼婦を相手に刃物を突きつける。
ちょっと入り用だ。
カネを融通してもらおうか。

「カネだッ! カネを出せッ!!」
「さっき客取ったんだろ売女が!!」

「持ってるもの全部出せッ!!」

ナイフを突きつけてがなり立てる。
出さなければ、出るんだぞ。犠牲者がな!!

「早くしろッ!! 刺されたいのか!!」

相手は厚手のコートを着た女。
顔を歪めている。

ご案内:「違反部活群/違反組織群」に大神 璃士さんが現れました。
ルーフラット >  
「そうだ……良いことを思いついたぞ」

ナイフの刃先を少し上げて。

「カネを出さなきゃお前の顔をズタズタにしてやるッ!!」
疵面(スカーフェイス)になっちゃったら娼婦が続けられないだろ!!」

「それが嫌ならカネを出すんだよ!!」

響き渡る悲鳴。
こいつ……大きな声を出したな!!

お仕置きをしてやる!!

僕はナイフを握りしめて売女に向けて走った。

大神 璃士 >  
「――其処までだ。」

制止の声がひとつ。
同時に、然程離れていない場所に、忽然とひとつの人影。

夜の影に隠れていて、容姿がよく分からない。
身長は――凡そ170後半。180にギリギリ届かない位か。
だが、その中でも、やけに目につくものが。

顔。
正確には、目。
暗がりの中でも不気味な程に、暗い紺碧の眼が、凶刃を振るおうとする男に向けられる。

一歩。また一歩。
足音を立てぬ歩みで、影は歩みを進める。
灯りに入り、その姿が明らかになる。

黒にシルバーメッシュの入った、ウルフヘアの男。
黒いレザージャケットの下には、風紀委員の制服。
端正…だが、野性的といえるその風貌で、特に目を引くのは、狼の如き、暗い紺碧の瞳。

「……梶田勝、だな。
窃盗・強盗・風紀委員に対する傷害行為により、拘束の通達が出ている。
速やかに投降しろ。お前には黙秘権及び弁護士依頼権が存在する。」

定型文染みた投降勧告。
しかし――その声には、冷たい刃のような鋭さが見える。
 

ルーフラット >  
「!?」

僕の行動を止める声。
ただの声じゃない……冷たくて、何をするかわからない。
そんな声だ!!

「誰だ誰だ誰だ!!」

ナイフを向ける先を声の方向へと変える。
背が高い……その見上げた先にある眼光。

只者じゃない……!!

「僕はルーフラットだ!! 風紀の犬め、僕をその名で呼ぶんじゃない!!」

地団駄を踏んでナイフを構え直す。

「単騎駆なんてナメたことしちゃってさ!!」
「お前から先にズタズタにしてやるからな!!」

ナイフを腰だめに構えて突進!!

刺してやる! 刺してやる! 刺してやる!
刺してやる! 刺してやる! 刺してやる!

大神 璃士 >  
「………。」

犬。狗、か。
誰にも届かない声量で、己の口の中だけで聞こえる自嘲の声を、風紀の走狗は小さく呟く。

「投降の意志無しと確認。
――武力制圧に移行する。」

その声と、ナイフを構えて突進してくるクマネズミを名乗る男が到達するのはほぼ同時。
そして、男のナイフは――風紀委員の身体には届かなかった。

「……これより武力制圧を開始する。
以後、対象者の身の安全は――保障されない。」

ぎり、と、レザーグローブを着けた左手が、ナイフの刃の根本を掴み取るように止めている…!
当然、グローブは裂けて血が流れ出すが、レザージャケットの風紀委員は怯んだり苦痛に苦しむ様子を見せない!

「――そこの女!
今すぐこの場を離脱しろ!」

先程まで脅されていたと思しき女性にそう声をかけると、更に力を入れて
自身に向くナイフを持つ手を捩じり上げようと試みる。
最初こそ拮抗するだろうが――万力を締め上げるように、徐々に力が強まっていく。
人間とは思えぬ、胆力と膂力…!

ルーフラット >  
「な!?」

刃物を掴んだ!?
バカかこいつ!!
そんなことしたら手が切れちゃうだろ!!

で、でも……こいつは怯まない。
万力のように掴んだ手はナイフから離れない!!

そして風紀は売女を逃がし、僕と向き合う。

力の流れが変わる。
腕を捻りあげられて僕は苦痛の呻きを上げる。

「う、お、あああ!!」

ナイフを落としてしまう。
こいつ……生意気だ!!

「……オーバータイラントぉ!!」

剛力の異能発動。
力任せに相手の手を引き剥がして下がる。

「オマエ……生意気だぞ…」
「オマエみたいな正義感が服を着てるようなヤツを!!」

「一度でいいから絞め殺してみたかったんだ!!」

拳を振り回して相手に向かう。
ただの素人の近接格闘。

でもな……僕の怪力があれば相手の肉を撹拌するくらいできちゃうんだぞ!!

大神 璃士 >  
凶器を手放させた、と思ったのも束の間。
突然、手配犯の力が異様に増大する。

確か、報告にあった。「当該容疑者は何者かに何かを乞うような叫びを上げた後、突如として腕力が異常増大。
手錠を引き千切る怪力を見せ、捕縛に当たった風紀委員複数名を吹き飛ばす力を見せた」、と。

さてはこれがその力か、と。小さく納得。
ナイフを蹴り飛ばして間合いの外に追い出すと、傷を負った左手を軽くスナップさせる。

「正義……正義、か。

くだらないな。」

腕を振り回しながら突進してくる小男に、そう嘯く。
単純だが、手錠を引き千切るレベルの怪力であれば…直撃すれば、場合によっては車両に
撥ね飛ばされるレベルの衝撃が来る事も予想される。

だが、それに対する手立てがない訳ではない。
ただ単純に拳を振り回すだけならば――――

「…俺は、自分が正義だと思った事など一度もない。」

その声と共に、振り回されながら迫り来る剛力の腕を――受け流すように、振るう相手「自身」に向かうよう、
技と「力」で以て両手を振るい、迎え撃つ!


「俺は、お前らのような身勝手な欲望塗れの人間が嫌いなだけだ。」

 

ルーフラット >  
風紀のヤツは逃げない!!
殺った!!

そう確信した直後。
僕の胴体に僕の拳がブチ当たっていた。

「ぶぐッ!!」

血を吐いて転がる。
その場で悶絶する。

「畜生……理合か…オマエ、僕を見下ろすな!!」
「僕を見下すな!!」

「畜生……お腹すいたなぁ…」

なんとか立ち上がって荒い息を吐く。
こいつには今のままじゃ勝てない。
だったら……!

「常世神ッ!! 力をよこせ!!」
「僕に新しい力を与えるんだよっ!!」

「早く早く早く早く早く!!」

《常世神》 >  
「それが至純の願いであるならば、そうしよう」

ルーフラットの脳内に歪んだ声が響いた。

ルーフラット >  
「うおおおおおおおおおおおおお!!」

その時、自分の異能を理解する。
そうか、こういう力か!!
へへ……最初から異能を持ってるヤツはズルいよな。

こんな“特別”を握って生きてきたんだからな!!

相手を睨みつける。
風紀が蹴り飛ばしたナイフが音もなく宙を浮き。

死角から背中を狙って飛来するだろう。
サイコキネシスの異能、『インビジブルアーム』だ!!

大神 璃士 >  
やはり、力任せで「技」が伴っていなかった。
ならば、「技と力」でベクトルを変えられるだろうと踏んでいたが…図に当たった、と言う所か。
悶絶する小男を見下ろしながら、小さく息を吐く。
これで暫しは動けないだろう――と思った矢先。

「常世神……?」

「常世神」。
聞いた事がある。
確か、「ある神社に詣でれば、「願いが叶う」」といった類の噂話、だった筈。
風紀委員のファイルの中にも、同様の記述がいくつかあった筈。

(ただの迷信の類だと思っていたが、こいつ、まさか――――っ!?)

思考に少し力を割き過ぎた。
後ろから、風切り音!

回避できる距離ではない。
だが――ナイフの風切り音を捉えられる程には「耳の良い」風紀委員の男には、
深手を負う事態を避けるだけの余裕は存在していた。

「っ―――――ぐ、う…!」

咄嗟に身体をずらし、命中箇所を外させる。
当たった先は、左肩。
少々深いが、致命傷とはならない。

「……成程、ただの噂話、迷信の類かと思っていたが…「常世神」の話は、ガセじゃなかったという訳か…。」

恐らく、何かを願って…この男は新しい異能を手にしたのだろう、と判断する。
後ろ肩に突き刺さったナイフを引き抜きながら、黒いレザージャケットを脱ぎ捨てる。

(……出し惜しみは、出来ないかもな。)

さて――今は夜、20時を超えた頃だった筈。

月は、出ているか――?
 

ルーフラット >  
「ハハハハハハハハハ!!」
「いいじゃないか、絶好調だ!!」

「お前みたいなヤツを僕の手を汚さずに切り裂けるんだからな!!」

月の下で高らかに笑うと手を横に向けた。
廃棄されていた軽車両を浮かせる。

「ぺちゃんこになっちゃえよ……風紀委員めッ!!」

それを風紀の男に向けて放つ。
最強だ、無敵だ、僕はもう誰にも負けない力を手に入れたんだ!!

大神 璃士 >  
「………。」

響き渡る哄笑。勝利を確信した、小男の叫び声。
そして、自身に迫り来る廃棄車両を目に――風紀委員の男は、ゆらりと両手を交差させる構え。
尚も無駄な足掻きを、と、小男ならず普通の者ならば思うかも知れない。

だが――男は浮いた廃棄車両の向こうに、確かに見た。
尋常の視力では見えぬであろう、しかし確かに光を放つ、細い、細い月を。

なれば――――――


「――ウウオォォオオオオオオオオオオオオオオオ――!!

男を叩き潰さんと放たれた車両は、

形容し難い音と共に、十文字に「引き裂かれて」四散する
 

大神 璃士 >  
そして――それを成した男の姿も、尋常ではなくなっていた。
否、「尋常でなくなっていった」という方が正しいのか。

切れかかっていたのか、周囲を照らす錆の目立つ街灯が数度点滅し、一度切れる。
その間に、男の「輪郭」がその有様を変えていく。

自動車を切り裂いた時、既に異常に伸びていた爪を備えた手は更に大きく、力強く。
輪郭も一回り大きさを増し、制服が裂ける音が響く。
そして、髪――否、「体毛」が瞬く間に伸び――――

再び街灯がその役目を果たし始めた時、其処に立っていたのは、「人間」ではなかった。
くすんだ銀の体毛、鋭い爪を備えた四肢、2mを超す体躯。

そして、ぎらりと光る瑠璃色の双眸。

――人はそれを見て、こう呼ぶ。
「人狼」、と。
 

ルーフラット >  
「な………!?」

咆哮と共に十文字に切り裂かれる車両。
あれだけの質量の金属を……!?
異能か、魔術か。
違う。

「なんだお前は」

怪物が、いた。

「クソっ!! 近づくな化け物!!」

破壊された車両から鉄パイプや鋭い金属片を浮かせ、
相手にぶつける。

こんなのじゃダメだ!
こんなのじゃダメだ!
こんなのじゃダメだ!
こんなのじゃダメだ!

あいつを殺す方法を考えろ!!

大神 璃士 >  
「Gu……rrrraaaAAAAAH!」

破壊された軽車両の残骸から襲い来る残骸。
鉄パイプ、金属片、あるいはガラスや鈍器になりそうなパーツも混じっているだろうか。

その全てを、灰銀の人狼は次々と拳や蹴り、あるいは爪での引き裂きで以て弾き、叩き落とし、解体する!
力任せの野性だけではない、「技」と融合した体捌き!

そして、混乱を伴った「思考」に入った事は――人狼にとっては絶好の隙。

「Gaaaahhhhh!」

咆哮を上げながら、まるでドリルのように回転しつつ小男目掛けて突進!
迫る残骸を弾きながら、鋭い爪を伴った掌の振り下ろしが襲い掛かる!

当然、死なぬよう手加減はされているだろうが…それでも、直撃を受ければ失神どころか
大怪我すらあり得る、人外の膂力からの一撃――!

ルーフラット >  
「ひ……っ」

人の技と埒外の膂力ッ!!
その気になれば人を一人数秒で解体できるはずの存在が!!

お前も“特別”か!!

「オーバータイラントッ!!」

剛力の異能で筋肉を締める。
両腕を交差させてガード。
今はフルパワーで防御だ!!

そして受ける一撃。
それは異能がどうとか。
人間の技術がどうとか。

そんなことを凌駕した異形の一撃だった。

「ぎゃああああああああああああぁ!?」

今度は僕の悲鳴が響き渡る。
両手が手首の部分でプランと垂れ下がり。

折れている、完全に。

負けるのか!?
僕はこのまま!!

嫌だ!! 嫌だ!! 嫌だ!!
嫌だ!! 嫌だ!! 嫌だ!!
嫌だ!! 嫌だ!! 嫌だ!!

吹き飛んだままさらに後退。

「と………常世神ッ!!」
「なんとかしてくれよぉ!!」

《常世神》 >  
「いいだろう、代償はもらい受ける」

ルーフラット >  
「ちょ……超再生能力ッ! 『リジェネレイト・フォース』ッ!!」

手首の骨を再生し、後方に下がる。

「化け物め、オマエみたいなのに付き合ってられるか!!」

そのまま背を向けて逃げ出す。
直線上の壁を突き破ると建造物の屋根に登り。

闇を掘るようにがむしゃらに逃げ出していった。

大神 璃士 >  
剛力の異能による守り。
常の者ならば想定したダメージを与えられず、弾かれる事もあり得るであろう。
だが、人知を超えた人狼の膂力には、その守りでも足りず。

骨を砕く、確かな手応え。
このまま失神させれば捕獲できる――と踏んだ所で、小男が更なる「求め」を「常世神」に叫んだ。

「―――ッ!」

次の瞬間、その詳細が分かる。
砕いた筈の両の腕が、宣言と共にまるで何事もなかったかのように動いている。
そのまま、負け惜しみ染みた罵倒の言葉を残しながら、名乗った名の如き俊敏さで、小男は遁走していった。

――追跡は不可能。
そう結論すれば、後は簡単。

「――――フゥゥ……。」

気を抜くような深呼吸と共に、灰銀の人狼の体格が見る間に縮んでいく。
否、人の身体へと戻っていく。

完全に戻れば、其処に立っているのは上半身裸、下半身に辛うじてズボンの残骸が残っている男の姿。

「……逃がしたか。
しかし、これではっきりしたな。

奴は……神かどうかは分からないが、超常の存在に「異能」を求めている。」

それが、どれだけ続いてどれだけの異能が増えるのか。
そこに、どれだけの代償が付き纏うのか。
それは男には分からなかった。

唯一分かる事は、

「――物体操作の異能と、自己再生の異能か。
後で「常世神」とやらと一緒に、報告書を作らないといけないな…。」

苦い顔で、そうぼやく。
他の風紀委員達には気の毒だが、奴は確実にその脅威度を上昇させている。
それだけは、確実といえる事実だ。

「……まずは帰投と報告…それと新しい制服だな。」

レザージャケットは脱ぎ捨てていたので無事だった。
それを素肌の上から羽織りつつ、まずは急ぎの報告を。

「――こちら大神。ルーフラットを名乗る窃盗犯・梶田勝について、至急の連絡事項あり――」

携帯端末で直通の報告を出しながら、風紀委員の走狗たる男もまた、この場を去っていく。
 

ご案内:「違反部活群/違反組織群」から大神 璃士さんが去りました。
ご案内:「違反部活群/違反組織群」からルーフラットさんが去りました。