落第街の大通りから一筋外れた路地裏では学園都市の闇が燻っている。
事件が起きても闇から闇へ、よほど大規模なものでなければ判明することは難しいだろう。
路地裏は非常に危険な場所であり、危険な取引もここでなされる。健全な学生はまず近づくべきではない場所だ。
参加者(0):ROM(1)
Time:08:27:41 更新
ご案内:「落第街 路地裏」から大神 璃士さんが去りました。
ご案内:「落第街 路地裏」からルメルさんが去りました。
■大神 璃士 >
人魚からの謝礼の言葉には、振り向かぬまま軽く手を振り挨拶の代わりに。
そのまま、既に日も沈んで暗くなりつつある落第街の路地裏へ、黒いジャケットの風紀委員はその姿を消していく。
それから10分程して、現場に到着した風紀委員会の護送車に同乗する形で、怪我をしたメンバーと
人魚の風紀委員は帰還する事になるだろう。
その帰り道の事。黒いジャケットの風紀委員の事になれば、少しだがメンバー達から話が出て来る。
『――大神か。変な奴だよ。
あれだけの実力があれば、刑事課は勿論、特別攻撃課や特務広報部のような場所からも
引く手数多だろうに、雑用係みたいな立場に居続けているんだから。』
『何て言うか…無愛想っていうか、壁を作ってる感じがしますよね。
深く関わるのを避けがちっていうか。』
『あれ、でも暫く前に可愛い女の子とデートしてたって刑事課の女子が噂してましたよ?』
『嘘だろ!?』
――最後の噂話は兎も角として、変わり者だ、という認識は広いらしかった。
■ルメル >
「うーん……東山サンもそうだったみたいだけれど……
人間社会って、大変なのね。ままならない、って言うのかしら。」
腕を組んで思い返す。
ヘドロのような激情と、小難しく法と言う名のルールを弄繰り回す様子が印象に残っている先生が脳裏に浮かんだ。
厭な現実、の単語で真っ先に思い浮かぶものはそれだった。
「ええ。覚えておくわ。
楽しめなくなったら帰るのだろう、みたいに言われたこともあるわね。」
そんなことを想いながら、歩き出す素振りを察して取れば邪魔せぬ様に路を開ける。
「私は私でちゃんと書いて、大神サンのことも書いておけばいいのよね。
私も帰って書き物をしないといけないから、帰らないと。」
前線を張り、怪我したMemberは既に搬送されている。
なので一人で真っすぐ帰って書き物をしよう。心の中でそう決める。
「改めてありがと。大神サン。私も早く戻ることにするわ。」
■大神 璃士 >
「…楽しいだけで済む仕事が無いのが、世の中だ。
苦労もある。面倒もある。……反吐が出そうな、厭な現実というものを見せられる事も、ある。」
少しだけ、遠くを見るような雰囲気で、そんな事を口にする。
また、ちらりと目線を人魚へと動かし。
「…それでも、「楽しんで」やれるのは、才能のようなものだ。
その気持ちを大事にする事を忘れない方が良い。」
そう声をかけつつ、ふらりと歩き出す。
「――巡回に戻る。こちらの事は後で俺から報告書を出して置く。」
すれ違い際、そんな声をかけながら、この場を立ち去ろうとする。
■ルメル >
「それなり? 人間さんじゃないの?歳をとっているようには見えないけれど……
……あ、人間さんのそれなりはもっと短いのよね。それなり……。」
小首を傾げる。
彼女の換算でそれなりだと、咄嗟に出てくるものはざっと結構な年数になる。概ね50年。
「───?」
何を言い掛けたのかは分からない。
少しだけ不思議そうに言い掛けた視線を傾げた。
「報告書よね。ちゃんと書くわよ。
書類の書き方はしっかり小鳥遊サンに教わったもの!」
胸を張る。どことなく自信ありげだ。
「捕り物も書類の内勤、どっちも風紀委員の日常、なのよね。
風紀委員のお仕事は楽しいけど大変だわ。」
■大神 璃士 >
「所属年数で言うなら、それなりの年数は経っている。
特に所属先も決めていない、雑用係のようなものだが。」
雑用係、といえば聞こえは悪いが、風紀委員の仕事は荒事ばかりではない。
確かに荒事も目立つが、過去の資料の整理や防犯の為の周知活動など、地味な仕事も決して少なくない。
今回の巡回も、非常の事態にならなければ地味で目立たぬ仕事の一環である。
「――――」
何かを口にしようとして、一度口を閉じる。
僅かな思案の後、
「…帰還したら、今回の件の報告書も忘れずに纏めておいた方がいい。
特に今日は、深手ではないが班長が怪我をしている。お前に代理が回って来る可能性が高い。」
当たり障りのない、書類仕事へのアドバイス。
制圧しておしまいではないのも、風紀委員の仕事の一つだった。
■ルメル >
「はぁい。後で小鳥遊サンにでも聞いてみるわ。
ちゃんと使えないと大変だものね。」
こくんと頷く。メモを取る様子はないが、聞き分けは良いらしい。
通信機での救援要請での経験を経て、しっかり学習するのだろう。
「そうね。私は無事でもほかのみんなはそうでもないもの。」
今日の巡回の旨を告げられれば大きく伸びをする。
「今日のお仕事はこれで終わりみたい。
……大神サンはやっぱり風紀委員を続けて長いのかしら?
七人、あっという間にのしちゃったわね……。」
きょろりと一瞥して、状況を改める。
瞬く間に七人を制圧した光景は人魚ながらにもすごいと感嘆したらしい。
■大神 璃士 >
「…大神。大神、璃士だ。」
名前を訊ねる声には、あまり愛想のよろしくない返答。
ぶっきらぼうというか、何と言うか。
「通信機の使い方は、後で覚え直しておく方が良い。
座標が伝わっても、あれでは用件が伝わらない。近場に運よく居合わせるチームがいるとは限らないからな。」
少し、耳に痛いかも知れない指摘。
とは言え、覚えていないと大変な事でもある。そういう意味では、厳しめだが覚えるべき事を指摘してはいる。
「軽いとは言っても、他の委員は怪我をしてる。
収容に来る連中と一緒に、今日は引き上げた方がいい。
あっちの班長にも、そう伝えてはおいた。」
班長からも、此処で収容に来る車両を待って委員会の本庁へ帰投する旨の言葉は伝えられているだろう。
人魚達の今日の巡回は、これで終了のようだ。
■ルメル > 「ふぅ……珍しく制圧できたわ。」
時間を掛けて制圧しきれば、銃を下ろす。
普段は時間が掛かり過ぎ、増援がなければ弾切れや状況判断で撤退することが多い。
本来のリーダーへの状況報告を済ませてから、名も知らぬ先輩の風紀委員の男──大神のもとへと戻る。
「ありがとうって言うのよね。おかげで何とかなったみたい。
改めてお礼を言うわ。……あ、私はルメルって言うの。あなたは?」
頭を下げる仕草と、お礼の言葉。
その後教科書通りの名乗りとともに、名前を尋ねる。
■大神 璃士 >
『クソッ、この、魚女……!』
『痛ぇ、いてぇ…。』
『だ、駄目だ、立ってられねぇ…。』
攪乱と、的確な場所を狙っての制圧射撃。
非致死性のゴム弾と言えども、何度も命中すれば当然ながらダメージは蓄積され、体力は削られる。
既にダメージを負っていた事も手伝い、3人の違反学生に既に抵抗するだけの余力は残っていない。
そうする間に――もう一方も、決着が着く。
黒いジャケットの風紀委員が向かった7人の方は、人魚の攻撃によって残りの3人が戦意を失っていく間に
完全に制圧がされていた。
最初の奇襲で一人が、混乱している間に更に二人が蹴りで。
三方向から襲い掛かった三人は、震脚のような動作に姿勢を崩した瞬間に次々と投げられ。
その様を目の当たりにした最後の一人は、震えながら両手を上げて抵抗を停止。
――黒いジャケットの風紀委員は、確かに一人で7人を完全に制圧してしまっていた。
震脚の動作の瞬間、鈍い振動音が聞こえた事に人魚に制圧されかかっていた3人も気がついたらしく、
僅かに視線を向けた事で自分達以外のほぼ全員が「落とされた」事に気が付いたようで。
大人しく両手を上げながら、その場にへたり込んでしまう。
「…そっちも制圧出来たか。」
少しの間を置いて、人魚に向けて声がかかる。
歩みを向ける黒いジャケットの風紀委員には、特に疲労や怪我の様子もなく。
その後ろでは、少しながら傷を負いつつも3人の風紀委員達が気絶した違反生徒の捕縛と、
囲まれていた女子の保護に入っていた。
■ルメル >
「うーん……あんまり分からないのよね?
ひとまず、やってみることにするわ。」
ルメルは業務に於いて滅多に自身の能力を行使しない。
極力与えられた装備で遂行する様に努めている。
「って、貴方が7人をやるの? すごいわね……。
……でも、これなら私でも分かりそう。」
誰を相手にすべきなのか明確になれば後はするだけ。
左手の拳銃を振り回しながら、残る3人の間近に躍り出る。
「さあさあ! お縄につきなさい!」
人間の撃ち方ではない、人外所以の高い膂力と精密性を前提とした大雑把な構えからゴム弾を乱射する。
雑に構えて撃っても、補えるだけの力で照準を安定させ、吸い付く様に目や鼻を撃ち続ける。
それから少しが経ち──。
(人間さんの武器って凄いわよね……さて。)
飛んだり跳ねたりしながら非致死性の銃で撃ち続け、攪乱しながらの制圧射撃。
息切れも疲労もなく、弾込めの間も速度が落ちない。
ひたすら動き続け、じわりじわりと戦線を維持しながら状況を伺うことにした。
■大神 璃士 >
「後で手すきの巡回班が拾ってくれる。暫くは目を覚ましもしない。」
ちら、と目を出て来た路地の奥に向ければ、更に何人かが折り重なって気絶している姿が薄ら。
言葉通り、起きてくる気配はない。通信もしているので、恐らく後から手の空いている班が収容に来るのだろう。
「足が速いのは助かる。速度が第一だ。」
そう声をかけながら、黒いジャケットの風紀委員は殆ど上体を上下させぬまま、野を駆ける獣のような速度で
滑空する人魚の後をぴったりと追跡していく。近すぎず、離れ過ぎず。
人魚の言葉通り、見えて来たのは――人数差に圧されて、追い詰められつつあるメンバー達の姿。
所持していた非殺傷性の銃器が効果を出しはしたのか、3人程が離れた所で唸りながらも後を追おうとしている。
「……武器は持ってるな。手負いの奴らは分かるか?
一人では骨かもしれないが…これも訓練だと思え。」
既に手傷を負っている相手とはいえ、3人。一人での制圧は少々難しいかも知れない。
それでも、黒いジャケットの風紀委員は人魚にそれを任せると――残り7人程の、他メンバーを追い込んだ
集団へと、まるで獣の如き勢いで以て跳躍し、背後から奇襲をかける――!
■ルメル >
「これは良いの?」
放り投げられた大男を見遣りながら、大丈夫なのかと質問を投げかけ。
いずれにしても道を尋ねられれば得意げに胸を張り、滑空するような速度で道を往く。
「道は覚えているから、案内するわ!」
するりするする。
迷わずに入り組んだ道を進み、後すこしと判断すれば走りながら声を掛ける。
「──こっち!もうすぐ見えるわ!」
■大神 璃士 >
「ああ、そうだが……。」
短く答えながら、通信機を見る。
…成程とため息、位置情報だけ送信されており、内容が分からない状態。
恐らく、受信した他の巡回班もどうすればいいのか困ってる所だろう。
「臨時の巡回支援だ。今しがた、違反部活の活動を見つけたから鎮圧を済ませたが…。」
そう言いながら、引き摺っていた男を少し乱暴に地面に放る。
どす、と音を立てて地面に投げ出された男は、しかし白目を剥いたまま起きる気配もない。
その様を確かめる事もなく、僅かな思案の後に通信機を取り出し、
「――こちら大神。増援要請を受け取った。対応を開始する。」
それだけを告げると、通信を終えてしまう。そうして人魚の方を向き、
「…担当エリアと、どっちから来たかは覚えているか?
支援に入る。現場まで案内が必要だ。」
噛み砕けば、手助けに入るので案内して欲しい、との言葉。