2024/06/12 のログ
狭間在処 > 『…根源を潰さない限り埒が明かない、かといって放置しておけばじわじわ感染者が増える。面倒なのは間違いない。』

風紀の連中や、落第街に住む他の連中がどう動くか。
今回、己が遭遇したのは本当に運が悪かっただけだ。自ら渦中に飛び込むつもりはない、が。

(また遭遇しないとも言い切れない、か。)

それはそれとして、こちらの中々に難しい要望だが…彼女の語りからして、可能なのか?
スシーラの説明に、軽く顎に手を当てて考える。確かに傷口から感染しているならそうなるか。

『――分かった。じゃあ一か所だけ傷跡を残して他は除去という形で治療をお願いする。』

と、律義に頭をまた下げる辺りが青年の性格が滲み出ているかもしれない。
そして、癒しの光を全身に浴びてほぼ全ての傷と感染源が除去されていき。

「――…。」

軽く全身を確かめるように、腕や足を動かしたりしてみる。
…痛みは無いし動きもスムーズ。ついでにあの倦怠感も消えている。
一か所、右肩に食らっていた赤い刃の傷跡のみはそのままだが、それも注文通りだ。腕が良い。
改めて礼を述べながらも、無理は程々にという言葉に…。

『……結局意味のない事だとは分かってるんだけどな。』

珍しく、苦笑に近い表情を浮かべて頷いた。個人的な恨みつらみ。行き場のないそれをぶつけているだけ。
青年自身は、それをきちんと冷静な部分で理解はしているのだ。

『…ふぁっしょん、しょー……?』

まるで初めて聞く異国の言葉みたいな、少し間の抜けた反応が漏れた。
実際、そんなものと無縁の生活だからそうもなる。

(…まぁ、気になるといえば気になるが)

そのくらいの好奇心はある。ただ青年が自分なりの一線を引いて進んで表に紛れたりしないだけで。
とはいえ、何度か表側に出向いた事はあったりする。先の変装含めて。

『…まぁ、正直少し気にはなる。…流石に出て目立つのは抵抗あるが。』

そもそも青年にそんなセンスは無いし、仮に出ても不特定多数の目に触れるのは困る。

シャンティ > 「……もし、あった……ら、を……考え、て……おか、ない、と……か、しら、ねぇ……」

あまり遭遇したい手合ではない
会話が成り立たない、というならまだしも、そもそもそういうレベルの存在でないのは困りものだ

「ん……いい、感じ……の、よう、ねぇ……ふふ。
 治さ、ない……部分、も……怪我、は……治し、て……ある、か、ら……平気、だと、は……思う、けれ、どぉ
 感染、の……方、は……あと、は……あな、た……次第、ね?」

治療がうまくいっていそうなことに満足気に頷く
やれることはしたので、あとは相手次第
自分のできる分はすませた、とばかりに

「別、に……いい、の、じゃ……なく、て?
 すべ、て……意味、ある……行動、を……する、だけ、が……ヒト、では……ない、ものぉ?」

むしろ、無意味な行動こそがヒトの本質とも言えるかも知れない
そういう無駄こそが機械との相違点だ
そういうところこそが、愛おしい

「そう、ファッション、ショー……ふふ
 私、も……縁……は、ない、の……だ、けれ、どぉ……
 見る、分……に、は……面白、い……と、は……思う、わ、よぉ?」

そういう女本人は言うほど興味も関心も持っては居なかったのだが
他人が楽しむ分にはよいのではないか、とも思っている

「ふふ、気に、なる……な、ら……見に、いった、ら……いい、わぁ……?」

くすくす、と笑う
人の後押しは面白い

狭間在処 > 『…少なくとも、遭遇した場合の手段は考えておいて無駄ではないと思うが。』

その手札が逃走にしろ迎撃にしろ討伐にしろ、何かしら備えを用意しておくに越した事は無い。
行き当たりばったりで対応するには、特性を含めて色々厄介な怪異なのはおそらく間違いないから。

『――助かる。しかし、こう治療を受ける身としては自分でも何かしら回復手段を模索しないといけない気になるな。』

右肩の傷跡だけ念入りに確認しつつも、それも含めて問題ない事を確認。
矢張り腕が良いのだな、という思いと自分も回復手段を一つくらいは持つべきか?という懸念も沸く。
感染については、面倒な注文をした以上自己責任だし、そこは勿論承知している。
後は、”これ”を自分なりに上手く活用出来るかどうか。
少なくとも、スシーラにまた恩が出来てしまったな、と思う。
そのうち、ちゃんと何か返礼をしなければ流石に駄目な気がしてきたが。

『…そういうものかもしれないな。』

自分に照らし合わせてみたのか、やや間を置いてからゆっくりと頷いた。
意味のない行動も時には取るのがヒトであり、時にはそう見える行動そのものに意味が付随する事もある。
青年は中途半端な存在ではあるが、機械ではない…感情はきちんとあるのだから。

『……そうだな。検討はしてみよう。』

しかし、そうなると変装か…髪型や衣服は最低限いつもと変えるべきだろう。
まぁ、自分の面なんて殆ど表の人間に割れてはいないし、目立った事も無い。
いっそ変装無しでも服装だけもう少し溶け込めるものにすれば全然平気そうではある。

(…と、考えてる時点で実は乗り気なのか俺は?)

うーん、と腕を組んでしまうが直ぐに我に返る。

『何はともあれ改めて助かった。ありがとうスシーラ。』

シャンティ > 「……そう、ね。」

確かに、在処の言う通りではあろう、と女は思う
そうであれば……場合によっては、闘い、だろうか。
あまり気は進まない、とまた思う

「回復、手段、ねぇ……あな、たの……場合……
 闇、医者……あた、り……で、も……厳し、い……の、かし、らぁ……?
 自分、で……は、結構……大変、よぉ……?」

いくらスラムじみた場所でも、そういう手合はいる
問題は依頼するのが色々と厄介なことではあるが

それ以前の問題として、みられたくない、ということもあるかもしれない

が、なまじまともに回復手段を身につけるとするとだいぶ手間だとは思う

「そう……よぉ?
 意志を、持って……生き、て、いる……な、ら……
 無駄、でも……なん、でも……して、み、るの、も……大事、だ、し……ね?」

そういうものかもしれない、と語る相手に続けて語る
ヒトは、効率だけで生きていけない
無駄も、不合理も、受け入れてこそ、である

その先にこそ、得難いものがある、はずである

「ふふ……どう、いた、し……まし、てぇ
 ひさ、し……ぶり、に……こっち、に……き、て……よか、った、わぁ……
 あな、たに……あえ、た……の、だし」

狭間在処 > 『――どういう生物のタイプや攻撃手段かにもよるが、正直討伐を仮にしてもこちらに利はあまり無い。
なら、逃げる、避ける、相手の動きを止める、その辺りを重視するのも良いと思う。』

何より、おそらくかすり傷でも攻撃を食らうと感染してしまう。
彼女のように除去が可能なレベルの回復が使えるならまだしも。

『…闇医者には昔、世話になった事はあるが…。
まぁ、俺の体がやや珍しい弄られ方をしていたから、人体実験されそうになってな…。』

はぁ、と声は出ないが溜息は青年自身の口から洩れる。
スシーラからの問いかけにさっき少し沈黙したのも、それを思い出したからだ。
別に彼女はそんな事気にも留めない、というのが分かっていたとしても。
しかし、自前だと色々と難しいか。方法はゼロではないだろうが、確かに手間暇はかなり掛かりそうだな、と。

『…なら、俺も少しは前向きに行かないといけないな。』

別にうつむいて生きているつもりはないが、自分の中で線を引いてしまっている自覚はある。
それを直ぐに解消する、のは難しいがもう少し柔軟に考えていくべきかもしれない。
なら、表を自分の意志で見に行くのもいいかもしれない。…ファッションショーはやっぱりよく分からないが。

『…そうか。俺も知り合いがそんなに居ないから、スシーラとまた会えて良かった。
…まぁ、再会するなら普通に五体満足の状態だったら尚良かったが。』

そこで、忘れられていたヤタが青年のこめかみを突いた。
襲われたとはいえ、怪我したのは主の自己責任だろうと。
返す言葉も無い、とばかりに鴉の嘴攻撃をやんわりと手でガードしつつ。

『…どうせならもうちょっと世間話くらいはしたい処だが…俺はそろそろ立ち去ろう。
…貴女には色々と世話になりっぱなしだから、そのうちちゃんと返礼はさせて貰えたらと思う。』

と、そんな所は矢張り真面目だが、シンパシー、とはまたおそらく別の何か通じるもの。
それは青年の方も、言葉に出来ないものだが彼女には勝手ながら感じている。

シャンティ > 「あ、ぁ……」

相手の言葉だけでいろいろな事情を察した
先ほど、みたことでわかった相手の体の特殊性
あれを見たら、良くない意味で興味を持つ者が出てきてもおかしくはない

難儀なことである

「そう、ねぇ……ふふ。
 あな、た……は、あなた。好き、に……生き、れば……いい、わ、よぉ?」

くすくす、と笑う
結局のところ、前向きでも後ろ向きでも
自分の思うように生きるのが最善だ、と女は考える

結果として良くないことがおきたとしても、だ

「ふふ……それ、は……あり、がとう、ね?」

女は軽く会釈する
互いに良い再会だと思うのであれば、ある種、この再会は運命だったのかも知れない

「そう、ね。
 あなた、にも……都合、はある、でしょう、し。
 ふふ、では……また、ね?」

何か、通じるものを感じる相手
それでも、引き止めることはない
また、二人の道は別々に分かれていく
それがいずれまたすれ違うこともあるだろう

狭間在処 > 例え失敗作だとしても…サンプルとしての価値はある、という事なのだろう。
無論、そんなのは御免なので体の事は自発的にはあまり打ち明けないようにしている。
それこそ、直接体内を”見て”彼女のようにおおよそ察するならまだしも。

『…一応、好きに生きているつもりではあるんだが。』

それでも、自分で自分の行動を縛っている所はあって、そこは言葉に反しているな、と思う。
本当に好きに生きているなら、もう少し色々と違ったかもしれない、が。
スシーラのくすくす笑う様子に、バツが悪そうに軽く頭を掻いて。

そもそも、青年はスシーラという女に最初から悪印象も何もない。
むしろ、世話になったり彼女の言葉に気付かされる事もあったり。
だからこそ、運命、というのは彼にはピンと来ないが良い再会だった、というのは間違いなく。

『――あぁ、いずれ何処かでまた。』

別れの言葉は簡潔に。道は交差してまた互いに離れる。
案外、また何処かで直ぐに会う事もあるかもしれない。
それが運命なのか偶然なのかは――きっと些細な事だ。

カァ!と、挨拶代わりに無くヤタと共に青年は一度静かに彼女へと会釈を。
そのまま、後は彼らしく、かは分からないが振り向かずに路地裏の闇へと立ち去るだろう。

――では、またいずれ。何か通ずる物を感じる人よ。

ご案内:「落第街 路地裏」から狭間在処さんが去りました。
ご案内:「落第街 路地裏」からシャンティさんが去りました。