2024/06/22 のログ
ご案内:「落第街 路地裏」にノーフェイスさんが現れました。
■ノーフェイス >
「ふー……」
一息。
筆を放ってバケツのなかへ。
薄暗い路地の壁面に、あらたなグラフィティアートが描かれる。
なかなか見栄えがある。記憶のなかにそれだけ鮮明に残っていた証。
耐水性の強力なアクリルで描きこまれたそれは壁が破壊されない限りは残り続ける。
――流石に表舞台でやっては問題だが、これくらいなら許されよう。
■ノーフェイス >
それは石のようでも。
それは棘のようでも。
それは愛のようでもある。
線をかさねて、つらねて、描きぬかれた、巨大な壁画。
赤黒い一色のみで、精緻に、艶かしく咲いた花。
■ノーフェイス >
そこに複雑怪奇に含まれた、暗号に。
仕込まれた、すこしだけ積極的になった勇気に。
「気づいてくれるかな……?」
路地裏の、細く切り取られた空を見上げて――
フフフ、といつものようにちいさく笑った。
バケツの中身をざばりと側溝に流すと、身を翻す。
リハーサルはこれから。新曲も引っ提げている。
最高を超えた最高を、常々示さねばならない。
ご案内:「落第街 路地裏」からノーフェイスさんが去りました。