2024/07/05 のログ
紅き流離蟻人 > 「ああ。」
「そうだ―――ビビっているよ。」
「どうやら貴様からは一撃も貰いたくないように感じている。」
「直観、かねえ…ッ!」

なるほど―――毒弾を火炎で打ち消したか。
こいつは完全に火属性―――。
それも、強烈に火に特化しているらしい。
炎か…

下等種族(ゴミ)が?我に?思い知らせる?
…ククッ!ハーッハッハッハッハ!!!」

嗤う。

肉薄。
互いに至近距離で刃を交え合おう。

片や怒りに燃え盛る火炎の剣。
片や卑劣な不意打ちを得意とする斬裂。

「ぬぐうぉぉ―――ッッッ!!!!」

それは、
互いに"近距離にて撃ち合う"事を―――意味する。

寄るだけで身体が焼け焦げそうな程の熱量…ッ!
これが貴様の殺意か…ッ!
それをこの身で浴び、叫ぶ。

だが…ッ!
こちらだけ黙って焼かれるだけでは済まさぬ…!!

"殺意"―――
"殺意"だと…!!?
"殺意"の強さで

"我"に、

"紅き屍骸"に、

"殺戮を行動理念とする怪異に"

勝てると思うのか…!!?

紅き流離蟻人 > 「驕るなァァァァァァァァアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!」
「舐め腐るなよ、下等種族(ゴミ)がァァァァァァ!!!!!!」
「死ねェェェェェェ、死ね…!!死ね…!!死ね…!!死ね!死ね!死ね!死ね!」

紅き流離蟻人 > 黒き斬閃が殺戮を目的として幾重にも振りぬかれる―――!!!!
"死ね"の言葉に乗せて打ち出そう…ッッ!!!
貴様の体をゴミにしてやる…!!

緋夜鳥 子音 >  
薄暗い路地裏に剣戟の音が響き、二つの影が火花に照らされながら駆け巡る。
片や怒りを炎と燃やし、片や純然たる殺意を以てそれに応じる。
互いに一歩も引かない戦いであったが、次第に大勢は決しつつあった。

「(ッ……あかん、このままやと打ち負ける……!)」

ただでさえ初撃と応急処置のダメージが著しく、既に気力だけで立っているような状態なのだ。
いくら異能と礼装を備えていても、人間の少女が怪異に持久力で遅れを取るのは道理と言えよう。
そもそも、普段の任務では味方の支援が主であり、単独行動などまったく柄ではない。
それでも此処へ赴いたのは驕りであると同時に、彼女の譲れない信念からくる行動でもあった。

「悔しいけど、認めたるわ……お前は確かに、うちより強い!
 けどな、うちかてタダでやられるわけにいかへんねん……ッ!」

ここで自分が死ねば、屍骸と化して人々の脅威へと成り果てるだけではなく……
初めて出来たただの友達を悲しませてしまうことになる。
それだけは、それだけは絶対に防がなくては!

「いくで蟻ンこ、次で(しま)いや―――」

いったん横薙ぎで距離を取り、残る式神を総動員して時間を稼ぎながら構えを取る。
その過程で狐面は割れ、端正な顔立ちと燃えるような緋色の瞳が露わになった。
いざ放つは、普段は周囲に味方がいるため使用を控えていた、今の子音に出せる最大の剣技。
持てる力の全てを込めた炎を全身に纏い、小さな太陽が夜の街を真昼のように明るく照らす。
もはや接近も妨害をも寄せ付けない、全てを呑み込む火焔の渦。
たとえ炎が苦手でなくとも、まともに貰えば無事では済まないと確信できるほどの熱量を、ただの一振りに乗せて撃ち放つ。

その技の名は―――

緋夜鳥 子音 > 「―――"彼岸花(ひがんばな)"ッッッ!!!!!!」
紅き流離蟻人 > 「我が名はワンデリィ…拠点襲撃部隊四天王の頂点ぞ…!!」
「たかが下等種族(ゴミ)が我を侮るな―――ッッッ!!!!」

打ち合う。
確信する…このままなら…―――勝てるッッ!!
こいつは確かに炎を扱う
熱量は大したものだ。
だが甘いところが多々見られる…!!
傷も負わせている…ッ!

―――ッッ!?

「なッ…」

横なぎ、一発。
僅かな間隙。
小細工の通用せぬ純然たる炎の塊…ッ…!
小さな日が昇るかのような熱量…!!

確信する。
"攻撃範囲の誤魔化し等と言う小細工で"
"この攻撃を対処することは出来ぬ…!"

致し方ない…。
切り札を、切る…!

「ふッッッ…ざけるなよ下等種族がァァァァァァ!!!!!」

撃ち返すは、深紅の濁流。
"炸裂する弾丸"なんてセコい量じゃない。

紅毒の洪水。

路地裏を苦悶の猛毒に沈め、鎮火してやるゥゥゥ!!!!

「この……ッッ!!」
「畜生がァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!」

だが…それでも…!
その火焔の勢いを殺し切れぬ…ッ!

渦を纏った剣の一撃は、毒をぶちまける蟻を捉え―――!!!
火炎に包んで吹き飛ばした…!

「あ、熱い……!!熱いぃ…!」
「貴ィィィ様ァァァァァァ―――!!!!!!!!!!」

大炎上する、蟻人。

紅き流離蟻人 > 「覚えて、おれェェェ…!」
下等種族(ゴミ)がこの我を退けた事ッ!!」
「未来永劫後悔することになるだろう―――!!!」

紅き流離蟻人 > ―――見事。
火だるまになりながら、蟻人はその場を何度も跳躍を繰り返して逃げていく。
その言葉は、負け惜しみに聞こえようか。

ご案内:「落第街 路地裏」から紅き流離蟻人さんが去りました。
緋夜鳥 子音 >  
落第街の片隅に巨大な炎の柱が立ち上る。
濁流は圧倒的な熱によって蒸発し、後には染みひとつ残さない。
文字通り必殺のつもりで放った一撃であったが……怪異を滅するには至らなかった。
《祓使》(はらえのつかい)としては、事実上の敗北とも言える。
捨て台詞を残して去っていく姿を見送る暇もなく、子音はその場に倒れ伏した。

「はぁ、はぁッ……くっそぉ……」

装束はボロボロ、全身は火傷と裂傷まみれで、もはや指一本動かすことすらできない。
幸いなのは、身に受けた毒が全て焼却殺菌されたおかげで感染の深刻化を免れたことだろうか。
むしろ、あれだけの相手と対峙して生きているだけでも御の字だ。
それでも悔しさに涙を流し、己の未熟さを痛感する。

「こっちの台詞や、あん畜生……次は、絶対…………」

"ワンデリィ"―――討つべき仇敵の名は覚えた。
いつかのリベンジを誓いながら、糸が切れたように意識を失い……
夜が明けたころ、たまたま巡回に通りがかった他の祭祀局員か風紀委員に発見・保護された。


その際、対穢装束の破損状況に対し、身体の方は傷一つ無かったという。

ご案内:「落第街 路地裏」から緋夜鳥 子音さんが去りました。