2024/07/08 のログ
ご案内:「落第街 路地裏」にエルピス・シズメさんが現れました。
エルピス・シズメ >   
 事務所から出て、
 外の空気を吸いに路地裏に出る。

「ふぅ……」

 彼女の回復が進めばともかく、
 そうでない昨日の今日では大きく離れ難い。

 ので、辺りを歩く事にした。

(この辺に拘ってた理由もわかっちゃったな。)

 以前、勘を頼りこの辺で店探しをした記憶がある。
 たぶんそれは、思い出してしまった記憶に引っ張られていたからだ。
 

エルピス・シズメ >  
 瓦礫に腰を預け、休憩の形。

 暇つぶしに愛用のスマートフォンを取り出し、眺める。
 オモイカネ8とはまた別のそこそこ優れたスマートフォンだ。

(あ、そういえばアスモディスさんが身分欲しがってたっけ。
 思い出しちゃったからにはできちゃうし、連絡しておこ。)

 暇つぶしにぽちぽちしてメールを打ち、送信。

(これでよし、と。他にやることはなさそうかな……)
 

ご案内:「落第街 路地裏」にカエルムさんが現れました。
カエルム > 先日の戦闘により破壊された家屋に埋もれたモノのサルベージ。
それが今日の仕事。…そういうのはもっと力のあるヤツに頼めばいいのに。

とはいえ現在このあたりが危険地帯であるのも事実。
だったらあまり荒事は得意ではないにせよ冒険者の己が適任であるのもある程度は事実だろう。

「依頼者の言ってたポイントはこのあた…うん?」

人影。危険人物かもしれないので一度身を隠す。
…いや、剣呑な空気は漂っていない。とはいえ危険である可能性は低くない。

ゆっくりとその人物に向かって距離を詰めていく。左手の袖に仕込まれた鞭を相手に向けて打ちつけそのまま絡め捕る。

「こんなトコロで何してんの」

危険人物であればそのまま蹴り飛ばせる姿勢。

エルピス・シズメ >  
 一瞬だけ、張り詰めた視線を向けた。
 誰かを理解すれば直ぐに緩める。

「あ、この前の不服そうな感じで屋台の店番の子。
 うーん……お友達の見守りと、休憩?」
 
 "彼の顔には覚えがある。"
 瓦礫から降りて、会話のしやすい距離まで近づく。

「そうそう、こんなものを見つけたよ。お土産。
 キミ、この前は結構活字読むって聞いたから。」 

 2077年の英語雑誌を投げて渡そうとする。
 中身は『核戦争が起こった時のハウトゥー100選』。

 この世界の話には思えない。
 架空の雑誌か、そうでなければ異世界の話だ。

カエルム > 「……誰?」

他人に興味が無い。故に記憶にも残ってない。
何時出会った人間だろうか。

近寄ってくる所作に不審なところは無い。
…だったら。

「"こんなトコロ"で?」

右手で二本の指を折り曲げ、彼に伸ばした鞭を仕舞う。
周囲の警戒に意識を割いた方が幾分マシだ。
何より相手は足が届く範囲にノコノコと歩いて来た。何かあれば即対処出来る。

「は? …あぁ、そう」
ぱたりと地に落ちた雑誌にちらりと目をやる。
………チョイスが謎なんだケド?
屈んで受け取るのはそれはそれで隙を晒すことになる。とはいえ鞭を出すのも一手遅れる。さてどうしたものか。

エルピス・シズメ >  
 雑誌は空ぶった。
 適当な場所に落ちる。
 
「あ、完全に忘れられてる。
 屋台で色々頼んだんだけど、覚えてないならいっか。」

 露骨に肩を落とす。
 友達が少ないと思っているため、冷たい反応には凹みやすい。

 彼の内心はさておき。

「この辺に便利屋としての事務所を開いていてね。その関係で『こんなトコロ』に居るよ。」

「僕は【数ある事務所】のエルピス。キミは誰?」

 

カエルム > …屋台?

「………………………あぁ。あの時のお人好し」

だいたいああいった店番依頼の時に来る相手も知った顔が多い。そういえば珍しくあの辺の空気に対しては浮いた人間だった。

…浮いているのは今も変わりがないが。
なら眼の前の相手に対する警戒はいったん不要だろう。周囲から何かされる分には如何様にも対処のしようがある。

「…この辺りを拠点にしてるには空気も服装も身綺麗に見えるケド?」

わざとらしく隙を見せて雑誌を拾い砂埃を落とす。思う意のほか状態は良さそうだ。

「は? 同業者?」
あんなにも歩き慣れていなさそうだったのに?
いや、空気がややここらの雰囲気に対して浮いているのは事実。だが以前のような不慣れな人間の所作とは違う。この差はなんだ。

いや、眼の前の人間が発する空気。見覚えが無くは無い。…深入りすると面倒なヤツ。

「……別に。教えるのは構わないケド」
懐からカードを取り出し渡す。面倒なので全ての情報を圧縮してそこに詰め込んである。

エルピス・シズメ >  
(この肩書、名乗ると苦しいな。……でもそれはそれ。僕はエルピスだから。)

「良かった。思い出してくれた。」
 
 口元を緩める。嬉しそうだ。
 隙を見せて拾う素振りにも何もしないで見届ける。

 所作が以前と今と違う。
 その理由は、彼の口から語られる。

「"最近思い出した"んだ。……向き合いたくない記憶だった、みたいでね。
 っと、ありがと。えーと、紙のカードにQRコード、で良いのかな。」

 カードを受け取り、スマホで読み取る。
 紙に印字された模様。多分QRだろうと判断。
 紙でなかったら恐らく分からなかった。

「なるほど、大体わかった。」

 情報を読み取ってから何かを考え、
 思いついたように口を開く。

「報酬に電子クレジットを渡すから、僕の事務所に一通りの電子機材を搬入してくれないかな。
 パソコン2台と周辺機器。予算は15万。報酬は……経費とは別で電子クレジット5万。
 質は用意できる範囲で大丈夫。ちょっと動きづらくてね……」

「ダメなら大丈夫。キミも色々仕事があるだろうし……」

カエルム > …あぁ。うん。こういう流れになるよね。知ってた。
彼のハナシを黙って聞く。やっぱり。あの時のボクと同じ顔。

「……知りたくなかった"真実"なんてありふれてるよ」

…例えば、自分が生きている世界がゲームの中だっただとか。自分はその中に生み出されたAIだったとか。追い続けた"消えた英雄"はゲームのプレイヤーだった、とか。色々。

「それでも、ボクは生きてる。今、ココで」

ある意味、自分に言い聞かせるように。それが、ボクにとっての真実。

「…もしかして"機械音痴"ってヤツ?」

ふーん、と勝ち誇ったような笑み。周囲への警戒は解いていないが、少しだけ空気が緩む。

「この辺りが拠点、ボクへの依頼、安くはない予算と依頼料。…ワケアリなのは分かるケド」

その入手経路って足着いたらマズいヤツ?と視線で問う。

「ま、ハナシ聞くくらいなら別にいいよ、そのかわりボクの仕事もちょっと手伝ってもらうケド」

といって瓦礫を崩し始める。簡単に今日の仕事の説明もしつつ。

エルピス・シズメ >   
「そうなんだけど、当人からしたらこれはこれだから。
 繕える範囲だけど、結構気落ちしちゃうよ。」
 
 "僕は誰だ、って。"絞り出すように零した。

 その通り、こんなことなどありふれていると思う。
 ……連想しないように思考を抑える。

「そうだね。キミも僕も生きている。」

 カエルムの言葉に呼応して、前を向く。
 少しだけ元気になった。

 機械音痴と言われれば"むむ"、と、唸った。
 違うのだけど、それはそれとしてなんか悔しい。

「機械音痴……そ、そんなことはないけど……
 あんま時間を掛けたくなくて、餅は餅屋かなって。
 腕のメンテナンス費用に回す分だったのと、安すぎるのは怖いし。」

 視線を受ければ、緩い感じで横に振る。
 経路はバレてもいいらしい。

 QRコード経由で入手したカエルムのアドレスに
 そこそこ詳細な依頼書と自分の事務所の地図を送った。

「おっけ。キミの仕事を手伝うよ。
 気分転換にもちょうどいいしね。任せて。」

カエルム > 「別に繕う必要ないデショ」

助けて欲しいと他人に声を出せるのはそれはそれで強みだ、と思う。…もし自分がそうなったら絶対に嫌だが。

「その腕のメンテナンス費用とやらを吐き出すほどのコトってワケ?」

お人好しが憔悴している。嫌なことを思い出したことも理由の一つではあろうが…
大方、困っている人を助けようとしている。手弁当で。しかもおそらくはその相手もかなりマズい状況。

「はぁ。まぁ。その位ならすぐ手配できるんじゃない?」

瓦礫漁りの依頼人にメールを送信。こんなトコロに物資を置いていた人間故にあまり期待は出来ないが。手っ取り早いツテの一つだ。

探し物のついでに多少他の物資でも引っ張り出して追加で渡せばこの仕事の足しにはなるだろう。

エルピス・シズメ >  
「そうかなあ。」

 ううんと唸る。少し悩んで、判断を見送った。
 
「あー……普通のお金はちゃんと口座にあるよ。
 依頼用に準備したものが一旦浮いたから、丁度良いかなって。」

 見透かされそうと自覚しつつも、タテマエは付けるらしい。
 実際に浮いたクレジットであることもは確かだ。

「とりあえず、受けてくれるなら渡しておくね。
 合鍵も渡しておくから、家の中に適当に置いちゃって。」

 カエルムの仕事を手伝う準備をしつつ、
 10万の電子クレジット2枚と合鍵を投げ渡す。

カエルム > 「アンタは繕わなきゃ生きていけないようには見えないケド?」

弱味を見せられないほど敵が多いようにも、虚勢を張らないと生きていけない程プライドが高いようにも見えない。
仲間に聞かれたら自覚があったんだ等と言われかねない発言。自覚くらいはある。治す気がないだけで。

「ふ~ん。別にいいケド」

お人好しなのは構わないが自身が潰れてしまっては世話ないだろうに。…なんて言ったら同類扱いでもされるだろうか。

「はいはい。承りました。…この仕事終わってからだケドね」

クレジットと合鍵を最低限の動作で受け取りつつ適当にガラガラと瓦礫を崩し進む。

エルピス・シズメ >  
「今はカッコつけておきたいお友達がいるの。」

 "不安にさせたくないお友達がいる。"
 それがあるので、軽く意地を張るように口を尖らせた。

「ありがと。それじゃあカエルム君のお仕事を手伝おうか。
 使えそうなものがあったら分けて、邪魔な瓦礫もどかすよ。」

 瓦礫の山に向かい、両手と第3の腕でゴリゴリ崩して仕分ける。
 だいぶパワフルだ。

カエルム > 「あ、そ」

それが助けたい相手なのだろうな、とは察しつつも藪の蛇をつつく気はない。
こういうのは言わなくても向こうからやって来るのが経験則だ。
正直ヤメて欲しい。そういうヒロイックなのはガラじゃない。

「…じゃあ仕分けはボクがやるよ」

パワフルに瓦礫を崩す腕を見てつい思い出す仲間。
アイツは元気…だろうな。どうせ。馬鹿は風邪引かないっていうし。

エルピス・シズメ >  
「うん。」
 
 余計な言葉は呑み込み、作業を続ける。
 慣れてきたのか、段々と処理速度が早くなる。

「……こっちは一息ついたよ。そっちはどう?」

 瓦礫の山を均し、振り向く。