2024/07/09 のログ
カエルム > 正直、大方の見当はついている。
落第街でも専らの噂になっている上に場所が場所だ。

"あの件"の関連だろう。

とはいえ自分が一人首を突っ込んだところでどうにかなるハナシではない。それこそあの火力馬鹿でも居れは別だが。

「…あー。頼まれ物はコレ、こっちはついでに持って行くオマケで…」

テキパキと仕分けが進む。

「ま、こんなもんデショ。余ったモノ持ってく? 大したもんじゃないkケド」

殆どは瓦礫に押しつぶされていたが幸運なことに以来の品は無事だった。
ついでに依頼人が欲しがりそうな物資もいくつか重くない程度にかき集めた。
つまり残ったものは重いものとガラクタがメイン。もちろん使えないモノばかり渡すほどがめつくはないが。

エルピス・シズメ >  
 エルピスは割と無心で進めていた。
 作業に没頭して思考を休めているのだろう。
  
「んー……必要なものは無いかな。」
 
 より分けた物資で、余った重量物とガラクタを見る。
 今欲しいものは瓦礫の中には無かった。

「必要になったら置いといて、後で取りに行けばいいしね。
 ……んじゃ、僕は行くよ。依頼の件、宜しくね。」

ご案内:「落第街 路地裏」からエルピス・シズメさんが去りました。
カエルム > 「はいはい、じゃ、"また"ね」

必要なモノを鞄に詰め込んで振り向く。
思ったよりも収穫が大きかった。その分面倒事も多いが。

「ま、面倒事は冒険者の常…かな」

本当に平穏を望むのならば元々冒険者なんてやってない。
百聞を一見にするために手を尽くしているのだ。

これからまた忙しくなる。
面倒ではあるが、それはきっと大きな一見になるだろう。

ご案内:「落第街 路地裏」からカエルムさんが去りました。
ご案内:「落第街 路地裏」にイーリス・ロッソルーナさんが現れました。
イーリス・ロッソルーナ > 全身に浮かび上がる紅き文様、所々体が溶けて剥き出しになっている機械部分。激しく動き回る事は出来ないが、それでもなんとか歩けるぐらいには回復した。
『信頼できる人と接触してきます』と数ある事務所の応接間に書き置きして、外に出る。

落第街の路地裏は、常世島でも特に危険な場所だと言えるだろうか。特に今のイーリスにとっては、その危険が膨れ上がる。
紅き屍骸にはもちろん見つかってはならないし、それ以外にも裏社会で生きてきたイーリスにはこの落第街でそれなりに敵がいる。
呪詛と通常の感染よりもゾンビに近いイーリスを時限爆弾が爆発する前に始末しようとする風紀委員や公安委員、祭祀局もいる事だろう。
それ等に対抗する手段があるならばいいが、今のイーリスに戦闘できるだけのメカはない。

時限爆弾が爆発する前にイーリスを抹殺しようとする考え自体は、批難するつもりもない。元より、イーリス自身が自害も選択肢に入れていたぐらいだ。呪いが爆発する前にイーリスを始末する一手は、一見合理的だ。
しかし、安易に命を絶つわけにはいかない。呪縛に縛られた今のイーリスが安易な考えで死を選べば、ゾンビと化するだけだろう。
ゾンビ化して“王”の“王女”になりたくないのはもちろんだが、ゾンビとなって他者を傷つけたくない……。

誰かと鉢合わせしないよう警戒しつつ、おぼつかない足取りで裏通りをふらふらと歩く。

「はぁ……はぁ…………」

呪いの苦痛で息が乱れている。
もしまともな病院で入院して治療を受けていたなら、こんなパンデミックを引き起こしかねない呪いの体では隔離病棟に閉じ込められて外出なんて出来なかっただろう。
そこは裏社会の住民。表と比べて無法であるが、代わりに自由でもあると言えるだろうか。

「ぐッ……」

呪いがイーリスを蝕み、小さく悲鳴を上げてしまう。

「……昨日、エルピスさんに慰めていただきましたし……大丈夫です……。大丈夫……」

警戒を強めつつ、目的地へと向かう。

イーリス・ロッソルーナ > 路地裏のランデブーポイント。そこは人通りの少ない行き止まりだった。
事件の痕跡なのだろうか、地面に血が付着しており、所々荒れている。
ロクでもない事が起きているように思えるのに、特に取り沙汰される事はなく闇に埋もれた痕跡。
どちらにしても、それはイーリスには関係のない事件……。この路地裏ではよくある事件の一つ……。

呼び出したお相手を待とう。
イーリスは行き止まりの壊れた室外機に座ろうとした時、体内コンピューターのセンサーが反応して振り返る。
そこに、三人組のガラの悪い男がいて、イーリスは青と紅の双眸を見開く。

「……あなた達は、《リトルドラゴン》…………」

この落第街には、《リトルドラゴン》略してリトドラなる悪行の限りを尽くすロクでもない違法部活が活動している。

それは先日の事。
イーリスが属する不良集団《常世フェイルド・スチューデント》がリトドラの隙を突いて大金をせしめた。今は呪いの影響を出来る限り抑えるべくその不良集団と距離を置いているわけだが、それはさておき。
リトドラの構成員に追いかけられたところ、イーリスは手紙さんをも巻き込み、郵便ポスト型メカに乗って逃走したのだった。その後、紅き屍骸たる酸鮫と出くわして戦闘になったのだがそれはまた別の話。

リトドラ構成員A「よお、Dr.イーリス! あの時はよくも俺達の金を奪って、闇取引の邪魔をしてくれたなぁ!」
リトドラ構成員B「あの配信は見てたぜ? あれだけ大言壮語を吐いておいてあの無様なやられっぷりには爆笑したぜ! 今の弱ったてめぇなら、絞め殺すなんざわけねぇな!」
リトドラ構成員C「あの時の事は特別に許してやるよぉ! 改造人間たるお前の体、珍しいモン入ってるんだろ? お前をばらして中身売り払えば、金になるからよぉ! それでお前の罪を清算してやるっていうんだから、俺達って優しいよなぁ?」

つけられていた……。迂闊……。
落第街には敵が多い……。配信を見て、今のイーリスを狙う輩がいる事は想定できた……。
警戒して歩いていたつもりでいたけど、それでも尾行されていた……。

「……あっ…………あ……」

イーリスは顔を青ざめつつ、体を震わせながら後退る。後退ろうとしたけど、行き止まりの壁に背中がついてしまう。
今のイーリスに、戦う手段なんてない。身を守るメカなんてなかった。
この場を切り抜ける手段も思いつかない……。何も抵抗できない……。

「た……助け…………」

ご案内:「落第街 路地裏」に『単独捜査本部』さんが現れました。
『単独捜査本部』 >  
「はァい。坊やたち。女の子に寄ってたかって何やってンのかァ~?」

今にもイーリスに触れそうな男二人の肩に、それぞれ両手を乗っける。

「おれもさァ、マジで案件増やしたくないのよ、」

銜えた煙草。そのまま真ん中に、肩を組んでご相談する。


「――今なら見逃す。3秒あげるからやるかやらないか、決めな」

ふー、と紫煙を吐くのであった。

イーリス・ロッソルーナ > 「公安さん……!」

イーリスは、『単独捜査本部』の手紙さんの背後に隠れて、震えた手で後ろから彼の服を小さく掴んだ。
手紙さんが来てくれた事に安堵するように、だがまだ相手が三人いる不安が取り除かれないまま、まだ体の震えは止まらない。

リトドラ構成員 > リトドラ構成員A「なんだお前? 邪魔すんじゃねぇ!」
リトドラ構成員B「俺達は今、大切な話をしてるんだ! ぶっ飛ばすぞ、おらぁ!」

リトドラAさんは異能で拳に炎を発生させて、『単独捜査本部』さんに殴りかかる。
リトドラBさんは右手を凍り付かせて刃を作り、『単独捜査本部』さんを斬りつける。
リトドラCさんは雷を纏った足で、『単独捜査本部』さんの胴部に蹴りかかる。
どれも並みの異能といった程度であり、彼等の実力そのものは大した事がないように思える。

『単独捜査本部』 >  
「イーリスちゃんさァ、派手にやらかしたねェ」

話を始める。一斉に飛び掛かって来る男が三人。

「おれも、」

まず至近。肩を組んでいた男二人の頭をそれぞれ掴んで、シンバルのように叩いて鳴らす

「この子に、」

その後、昏倒した男二人を蹴ってくる最後の男に被せるように押し出す。

「用があンのよ」

最後にまとめて後ろ回し蹴り。三人の悪漢を路地裏の行き止まりに放り込んだ。

「……で、どこまで話したっけ。いや何にも初めてなかったか。イーリスちゃんは無事かなァ?」

そして、星を回しながら積み上がる男どもを椅子にして、座って煙草を吹かす、公安さんの姿が出来上がるのであった。

イーリス・ロッソルーナ > 「……物の見事に……やらかしてしまいました……。手酷く……」

その派手にやらかした戦いをまた思い返しながら、
俯きつつ、こくんと頷く。
『単独捜査本部』 として駆けつけにきてくれたのなら、リトドラ構成員の前であまり手紙さんと名前を出すべきではないと判断し、咄嗟に呼んだ名が公安さん。

リトドラ構成員 > リトドラ構成員A&B「ぶぎゃあああぁ!!」

ゴーン!

男二人、シンバルのように叩かれてふらふらとなる。
さらにそれに追い打ちをかけるように繰り出される稲妻キック。

リトドラ構成員A&B「あぼあああぁ!!」

雷の蹴りで、二人の男が電気を帯びて真っ黒こげ。

リトドラ構成員三人「ぐぎゃあああぁっ!!」

そうして三人とも手紙さんに蹴られて、壁にぶち当たり、そして気絶した。
あとは、公安さんに椅子にされるのみの三人組。

イーリス・ロッソルーナ > 「お見事です、手紙さん。助かりました……もうここで彼等にばらされてしまうと思いました……。ありがとうございます」

安堵して、それにより一気に安心して崩れ落ちるようにその場にぺたんと座り込む。
男達が気絶して二人きりになれた事で、公安さんではなく手紙さんと呼ぶ。

「お陰様で無事です。そうですね、生存報告も兼ねるなら、命は無事でした……。手紙さんに送ったあの動画でも述べていたと思いますが、一時期は危篤状態でした……」

“王”との戦い後、イーリスが死亡あるいは危篤状態になった時に手紙さんに自動で送信されるようプログラムされた動画。その動画は、戦いの直前に撮られたもの。

『単独捜査本部』 >  
「さ、て」
ぱんぱん、と手を払ってイーリスを見る。

「あーね。観たよ。あのさ、イーリスちゃん」

頭をがしがしと掻く。

「あんなダイイングメッセージビデオ送ってくるンじゃあないよ。フラグっぽいだろ。しかもしっかりとまあ回収しちまってるようだし?」

イーリスの痛ましい赤色を見る。

「……ふーっ。で、君が危険を冒してまで出てきて、おれが此処に来た理由。今日は、それを話に来たンだよ」

イーリス・ロッソルーナ > 最初に「やらかした」、という言葉から戦いの配信は見ていたのだと察する事が出来ていた。

「う……。あんなものを用意する時点でフラグと言えばフラグのような気が……してきます……。いえ……戦いの前にも嫌な予感は過っていたのです……。私にもしもの時があればと思い……」

手紙さんの正論に一瞬言葉が詰まってしまった。
もしもの時があったなら、手紙さんに伝えたい事があったか……。

「……“王”に刻まれた呪いは時限式で感染を振りまく爆弾。だから私は今、感染拡大させないよう《常世フェイルド・スチューデント》に戻るわけにはいきません……。今の私には大したメカも手元になく……。今は、この人達にすら対抗できる力が私にはありません……」

ちらり、手紙さんの椅子となっている男達を一瞥。
今のイーリスに力がない……。男達に脅えるだけしか出来なくて、改めて実感してしまう……。

「……無力です。本当に……。それでも、危険を冒してでも……紅き屍骸に対抗したいと思いで、手紙さんと会いたいと思いました」

凛と、手紙さんに視線を向けた。
手紙さんとは一緒に紅き鮫と戦った。紅き屍骸に対抗する上でも、そしてその人間性も含めて、信頼できる人。
だから、なんとしても接触したかった。

「そうですね。話さなければいけない事は多くあると思います」

こくん、と手紙さんに頷く。

『単独捜査本部』 >  
「まァ……いまノしたコイツらみたいに、君を叱りに来たわけじゃあ、ないンだ」

よっと、と人間椅子から飛び降りる。

「それに、怪異の神秘性を剥ぐという意味ではイイ仕事したと思うぜ。あのクマ公にしたって、本来あんなじゃあなかったろうし。で、君は君の『家族』を大勢喪った。何を言っても慰めになっちまうンだろうが……」

近づく。

「『上』からのお達しも来てる。「さっさと片づけて本来の落第街を構築しなおせ」っていう、さ。おれはさァ、正味の話、表側のニンゲンだろ?それを棚上げしてでも、さっさと終わらせたいワケ。……ひどいメイクだな、まったく」

少女のカタチをした存在の、その頬に手を伸ばす。

「……差し当たって、おれから言えるのは二つ。ひとつは君のソレをおれがどうにかできること。ふたつ、君の為に動いてくれる悪党が一人いる。おれじゃなくてね」

沢山のモノを喪ったであろう彼女に、そっと告げる。

「それから、君の意思が折れてないかの確認に来た。「もう嫌だ」っていうンなら、どんだけ後味悪くても、おれともう一人でぜーんぶ片づけて終いにしちまう。君が私はまだだって言うンなら、その一人とおれは、最大限君を助ける。今日はそれを言いに来たンだよねェ。…………なんにせよ、生きててくれて、良かったよ」

ご案内:「落第街 路地裏」に先生 手紙さんが現れました。
ご案内:「落第街 路地裏」から先生 手紙さんが去りました。
ご案内:「落第街 路地裏」に『単独捜査本部』さんが現れました。
イーリス・ロッソルーナ > 手紙さんが叱りにきたわけじゃない、というのは分かるのでこくんと頷いた。

「神秘性を剥ぐ……。感染を押さえる方法の一つは人々の“気持ちの強さ”にあるのは、手紙さんは身を持って経験していましたね。しかし、“気持ちの強さ”を持つには希望を抱く必要があります。確かに、その神秘性を剥ぐ目的で配信しましたが……あんな配信では裏目に出てしまってます……」

イーリスは自信の右手で紅き右目を覆った。
結局、あの配信は紅き“王”の絶望を広めてしまったのではないか、“王”という神秘性を強めてしまっただけではないか……。

「……“家族”。今はもう……紅き屍骸となっていますね。あのままゾンビとして永遠に操られるなんて可哀想です。半数以上は、あの場でちゃんと眠らせました。全員、ちゃんと、眠らせます……」

どこか虚ろな目で、そう口にする。
家族を多く喪ったけど、まだ終わってない……。
今はゾンビと化した家族に対抗する手段はないけど、いずれにちゃんと眠らせてあげないと……。

「手紙さんの『上』の方も、この件を積極的に解決させるよう考えてくれているのは助かります。裏側の私からすれば、表側の手を差しのべてくださる人は救世主でございますよ」

ほんのり微笑んだ。
イーリスは救世主になれなかったから、手紙さんのその言葉がとても心強い。
呪縛がどうにかできると聞けば、イーリスは希望を抱くように左の青い目を輝かせる。

「私のこの呪縛……どうにかできるのでございますか……!? この呪いは、とても強力なもの……。とても……。私を蝕んで……苦しめて……」

自分の体を両手で抱きしめる。
今も、呪いが蝕んでイーリスに苦痛を与えていた。

「……普通の解呪はおそらく弾かれます。“王”の力が弱まれば……あるいは解呪が弾かれ辛くはなる希望もありますが……」

とても強烈な呪い。
世の中絶対に解けないというものは早々ないだろうから解き方自体はあるのだろうけど、普通のやり方では解けない呪いである事をイーリスは把握していた。

「私のために動いてくださる方がいらっしゃるのですね。嬉しいです。ならば、なんとかその方とも接触したいところですね」

イーリスのために動いてくれる優しい人がいる。それが嬉しくて、イーリスは目を細めた。
手紙さんの確認に、イーリスは凛とした表情をする。

「……私はこれからも、抗い続けます。呪いを受けたこの体で、今は時々挫ける事もあると思いますが……必ず立ち上がってみせます。今は非力でも……メカを造る知識と技術は失ったわけではありません。手紙さん……ありがとうございます。あなたが後押ししてくれるなら、私はまだやれます! それでも今は……少しだけ……」

“生きててくれて、良かったよ”、そう口にしてくれた時には、凛とした形相が崩れて、手紙さんの体に手を回した。
手紙さんを抱きしめるその両手は酷く震えていた。嗚咽が辺りに響き渡る。

「ひぐっ……。少しだけ……弱音を吐かせてください……。怖かった……です。辛かったです……。正直、『もう嫌だ』と一瞬でも思わなかったかと言えば、嘘になります……。それでも、手紙さんと生きて再会できて……よかった……。本当に……よかったです……」

『単独捜査本部』 >  
「はは。魔術の大原則の一つだよ。あの配信で君は負け、甚大な被害が出て。同時にあの怪異は衆目を浴び過ぎた。タネの割れた手品と同じでね――あァ、授業は、君は嫌いだったな」

――回される腕。安心させるように、小さな背をぽんぽんと叩いた。

この娘の身体は機械のそれだが、きちんと血の通ったニンゲンだ。少なくとも先生手紙はそう判断している。

「さァて、ね。何が救いになるかはおれは断じれない。此処の連中の日常を味わってないし。せいぜいが、尊厳を踏みにじらずに歩くくらいかなァ」

救世主、と言われてもだ。どれだけ飢えても施しは受けない――そう、掃き溜めに居る人々の、少なくない数は考えてるだろう。

「ん、ん。そうだね、怖かったね。よしよし。あのクマは君にご執心だったけども。全てをへし折りたいなら、まず何としてでも『おれ』を仕留めてから始めるべきだった」

自負心でも自意識過剰でもなく。そういう異能を有していると、あの怪異は理解ができなかったのだ。

病理のように身体を蝕む、かつて自分も食らった感染。経路も解り、どんな概念かも理解している。

――ならば。概念を弱めるという先生手紙の『七つ目ダイス(イカサマ)』は、特効薬……もとい、『天敵』に等しいものである。

「……ん。諒解した。えーと、そうそう。君と同じ裏側の人材でねえ。恥ずかしがり屋だから本名は教えてくれなかったンだけども。あ、おれの今回の協力者ね。『ブラックウルフ』っていうヤツ。今回だけの呼称。なんでも君に恩があるンだってさ。やるじゃンか」

笑う。

さて。目下のところの不安の種を、取り除くとしよう――

『単独捜査本部』 > 対象に触れる。これはもう出来ている。なにせ抱き合ってる最中だ。

希釈する概念は決まっている。彼女を冒す、時限式の病原菌。本当にありがたい。わざわざべらべらと仕様を口にしてくれたことで、より的確に指定できる。『七つ目ダイス』は――


「――『誰もが真実を見ることはできない。しかし真実であることはできる(Not everyone can see the truth, but he can be it.)』」

その凶悪なる神秘を、ペテンにかける。木の根の成長を逆再生するように末端から。その『紅』はするすると一つの点へと収束していくことだろう――