2024/07/13 のログ
落花彩晴 > …全く啖呵を切ってこのザマとは情けない。

――祭祀局の皆は相変わらずみんな凄いんだろうなぁ。

――そういえば、ぼっちの私にも友達が出来たんだ。

――頑丈さが割と取り柄だったんだけど、負けた…悔しいなぁ。

…これは走馬灯?……冗談じゃない、私はまだ死んでない。
意識は朦朧として、蟻人――バレッタと言ったか。奴が繰り出す最後の一撃が見える。

――あれ、まともに喰らったらまぁ死ぬよね……死にたくないなぁ…死にたくない…死にたくない…。

死にたくないから―――お前を殺さないと

半ば意識が飛んだまま、左目が淡く脈動する――落花の”呪い”の一端が垣間見える。
全身から赤黒い呪力のようなものが発せられ、それが右腕に纏わりつく。

ギシギシと、骨が軋む音を響かせて…死に体の少女が構えを取る。
既にもう最後の一撃が振り下ろされる――その刹那に。

落花彩晴 > 「お前が死ねよ、自称・上等種族(カス野郎)
落花彩晴 > 莫大な赤黒い呪力を纏った、右の拳が――蟻人のその拳へと向けて放たれた。
紅き弾丸ノ紬蟻人 > 「ウグッ…?!」
「ごふううううゥゥゥーーーッッッ!!!!?!」

あ、あれッ
なぜ

なぜ…?

なぜ

だ…?

何故、我は―――今、宙を、舞っている…?
今まさにとどめを、刺した―――はずではなかったのか?

ありえない。
ありえない。
ありえない。

拳が、何か云い知れない巨大な呪力に

弾き飛ばされて

その巨体ごと、ぐるんと宙返りさせた。
その一撃に受け身を取る事すらできず。
―――巨大な蟻人は…




地に伏した。

落花彩晴 > 「………。」

あぁ、…クソ、勝つにしても負けるにしても、最後まで自分の力だけで戦い抜きたかったのに。

…よりによって、私が一番嫌いな呪いに助けられた…!!
ああ、分かってる。手段なんか選んでられないし、あのままだったら死んでた。間違いなく。
だけど…だけど…!!

「……私は、私の価値は…私の力は…!!」

こんな呪いなんかじゃない…!!赤黒い呪力は直ぐに霧散した。
結果は…こちらの勝ちなのだろう。蟻人…バレッタの巨躯が宙を舞い、そのまま地面に叩き付けられて伏したまま。

「……でも、私が願ったから…私が、強く思ってしまったから…。」

ふらり、ふらり、倒れ伏した蟻人へと歩を進めて。
既に満身創痍も良い所。右腕に至っては、無理な呪いの強化でズタボロのボロ雑巾みたいだ。

それでも――勝負は勝負だ。反則勝ちみたいなのは納得できない。でも死にたくない…なんて、滑稽で無様だ。

「――バレッタ、だっけ。アンタは凄い強かったよ。
…でも、それはそれ、これはこれ。…アンタを倒しても終わりではないけど…さ。」

呪いでは無く、せめて最後のケリは自分自身の積み上げた力で。
右足に結界のリソースを全て委譲し、超硬質化させつつ質量を増大。コイツの頭を砕けるように。

「…悪いね、こんな下等な小娘が最後の相手なんてさ。
…けど、まぁ…こういう事もあるって事でさ。」

振り上げた右足は、まるで断頭台の刃のように。
一瞬、蟻人を見る目は何とも言えない乾いた色合いを帯びていて。

落花彩晴 > 「――悪いけど、ここできっちり死んでくれ。」
落花彩晴 > そして、少女の足が蟻人の頭へと全力で振り落とされた。
紅き弾丸ノ紬蟻人 > 「我が…下等種族(ゴミ)に…?」
「我が…敗れる…?ありえない。」
「我はバレッタ、蟻人拠点襲撃特殊部隊が四天王、バレッタですぞ……!!」
「こんな―――こんな……!!バカなことが……!!」
「畜生がァ…!!!…落花彩晴……!!」

今度は、こちらが。
戯言を吐き出す番だった。

ほどなくして。

紅き弾丸ノ紬蟻人 >  


    「落花彩晴ァァァァァーーーーーーーッッッッ!!!!!!!」
     バレッタは、死んだ。


 

紅き弾丸ノ紬蟻人 > ―――見事。

砕け散った頭
潰えた蟻人の残骸

紅色が抜けて怪異性がなくなったことを示すように
勝利の証を残そう

落花彩晴 > 「…そうだ、私は…落花彩晴だ。」

それが私の名前だ。この滑稽で無様でズタボロなのが私だ。
紅き巨躯の蟻人から紅が抜け落ちていくのをぼんやりと眺める。

…勝った。あくまで紅き屍骸の一角でしかないけれど。

「…まぁ、私みたいな小娘にしては…上出来…かなぁ。」

乾いた笑みを漏らす程度には、意識も戻ってきているようだ。
…それはそれとして。

「…ゲホッ、ケホッ……流石に、しんどいかなぁ…。」

右腕はちょっと見たくない状態になっているし、頭突きの激突で頭からも流血が酷い。
…頭蓋骨に流石に罅とか入っていそうだな、と他人事のように思う。
上半身も、衣服はもうズタボロでちょっとあまり人に見せたくない状態だ。

「…もっと鍛えないと…やっぱり駄目だね…。」

そもそも、頭とか特に原型が残っている時点で頑強さがおかしいのだけれど。
ふらり、と体が傾いだ…あぁ、やっぱり限界なのかもしれない。

倒れ込むように路地裏の壁に背中を預ける。…自力で帰れるかなこれ…。

ご案内:「落第街 路地裏」から紅き弾丸ノ紬蟻人さんが去りました。
落花彩晴 > 「…まぁ、自力で帰るしかないんだけどね…。」

…いや、帰る前に病院が先かな…特に、右腕なんてこのままだと切断とかなりそうだし。
…それはそれとして、お気に入りの眼鏡が砕けてしまった…新しいのを探さないといけない。
アレは別に呪いを緩和する為だとか封じる為のアイテムじゃない…単なる視力補正だ。

「…取り敢えず…誰かに見つかる前に…退散しよう…。」

そして気付いた。いけない、猫被りが完全に外れている。

「…んんっ…一先ず戻って…病院ですね…。」

今更猫被りをしても遅いのだけど、気分だ気分。一応は乙女なので。

そんな訳で――ズタボロの小娘は、ひっそりと蟻人の一角を滅して学生街へと戻るのであった。

ご案内:「落第街 路地裏」から落花彩晴さんが去りました。