2024/08/18 のログ
ご案内:「落第街 路地裏」にギフタ―さんが現れました。
■ギフタ― > 路地裏の一角
そこは今不良達が少なくない数集まっていた
なぜ彼等彼女達はここに集まったのか
理由はだれも知らない、ただ全員何となくここへとやって来ていた
「お集りの諸君!!ご機嫌よう!!」
高らかに、盛大に仮面の男は声をあげる
不良達の見上げる空中
盤上に立つように男は何も無い場所を踏みしめた
■ギフタ― > 「ここに居る諸君に問う!君達はお互いの顔を見た事が無いか!?
近くに居る者達は仲間と呼べる存在ではないか!!」
不良達はここで改めてお互いを認識する
それは一定のグループ、組織での仲間、悪友達である事を
顔見知り、そんな気がする
今もまだゆらゆらとここへ到着する者達もまた、誰かと縁が繋がれている
「そして更に問う!今度は君達自身について!!
諸君は自身に何か誇れるものは有るか!
敢えて言わせてもらう!諸君はこの街での最底辺であろう!!」
大声でそんな言葉を吐く
最底辺、力もコネクションもなくただ雑兵として使われる物語で言うなればモブ
当然侮辱には罵詈雑言が返ってくる、なのに不良達は皆実力行使には出ない
ただ口汚く喚くのみ
■ギフタ― > 「あぁ…なんと!!なんと嘆かわしい!!
最たる能力も力も持ち合わせていない君達はそうして叫ぶ事しかできない!!
それはなぜか!!
諸君は既に気付いている、私の様な異質な存在には自分達は蹂躙されるだけなのだと!!」
言外の脅迫を受け、不平不満がピタリと止む
不良達は考えていた
目の前で大袈裟に声をあげる仮面の男には勝てないと
勝てるビジョンが浮かばないと
だからこんな事を言われているのに何もできないと!
「今感じているのは怒りか?悔しさか?それとも何も感じられない程躾をされているのかな?」
そんな訳ない
自分達にも思いが、願いが有る
それを一切合切無視されて何も感じない筈がない
■ギフタ― >
「この中に自分達の居場所を壊された者は?
この中に仲間を奪われた者は?
この中に己の想いと願いを踏みにじられた者は?」
それぞれが思い至る
風紀委員での取り締まり、組織の抗争、超常の力を持つ個人からの暴力
全員が思う、当然の想い
理不尽な現実への怒りを
「私はギフタ―、諸君の様な虐げられた者達に救いの手を差し伸べる者」
両手を掲げる
不良達全員にそれぞれビジョンを見せる
望む光景、かつて得ていた光景、反逆を果たした希望を
■ギフタ― > 「求めよ、ならば諸君達には希望が待っている!!」
子羊達が産声を上げる
今宵、落第街の一角で彼等は生まれた
ただの不良達は反逆する戦士へと変貌する
そしてそこかしこで新たな火種へと昇華する
「さぁ諸君、第一幕の開催である」
ご案内:「落第街 路地裏」からギフタ―さんが去りました。
ご案内:「落第街 路地裏」にDr.イーリスさんが現れました。
■Dr.イーリス > 夜。
鋼先生との進路相談を終えて、イーリスは『数ある事務所』に帰ろうとメカニカル・サイキッカーと共に落第街の路地裏を歩いていた。(つまり昨日の話)
そんな時にかかってくる通話。
イーリスはスマホを手に取る。
「なんでしょう? マフィアのお仕事で赤髪紅眼で四本の刀を持つ青年に負傷させられたフェイルド・スチューデントのメンバーが多数でございますか!? 全員生きてはいるのですね、良かったです。今から治療に向かいますね」
マフィアのお仕事……。危険な仕事だったのだろう。
赤髪紅眼の青年がどのような方かは存じないが、マフィアのお仕事だから不良集団達は悪い事をしているのだろう。赤髪紅眼の青年を責める事はできない。
■Dr.イーリス > 負傷している不良達が運び込まれたフェイルド・スチューデントの数あるアジトの一つにイーリスとメカニカル・サイキッカーは走って向かっていた。
そんな時に、四名の男達が道を塞ぐ。
「あなた達は……!?」
道を塞ぐ四名の前でイーリスは立ち止まる。
その四名は、イーリスもよく知る人物だった。
■ルビー山本 > 「よう、姐さん。かつては俺達の参謀として慕われていたあんたが裏切り者と罵られて大変だねぇ、ケヘ!」
フェイルド・スチューデントの赤髪の不良、ルビー山本。
あまりヒエラルキーがないフェイルド・スチューデントにおいても、どちらかと言えば雑用とか下っ端と呼べる人物だ。
■Dr.イーリス > 「ルビー山本さん……。申し訳ございませんが、私は今急いでいます。お話があるなら後で伺います」
イーリスとメカニカル・サイキッカーは、ルビー山本達の脇を擦り抜けようとする。
だが男の一人がイーリスの行く先を阻んだ。
「どういうつもりですか……?」
■ルビー山本 > 「理不尽に反逆を、ギフトを得よ。」
不良三人「理不尽に反逆を、ギフトを得よ。」
ルビー山本達は突然、訳の分からない事を言い始めた。
■Dr.イーリス > 「……!? な、何を言っているのですか……」
突如訳の分からない事を言いだすルビー山本達に、イーリスは困惑していた。
何が何だかわからない……。
■ルビー山本 > 「あんたを殺して下剋上だよぉ! 既に、フェイルド・スチューデントを駒として使っているマフィア組織の一つはこの俺が下剋上して掌握してやったんだよねぇ! ケヘ! 俺達はもうフェイルド・スチューデントじゃないんだよぉ! あんなちいぃせぇ不良集団から離れ、《ネオ・フェイルド・スチューデント》を結成してやった!! ケヘ!!」
狂気に満ちた笑みを浮かべるルビー山本。
■Dr.イーリス > 「な、何を言って…………。あなた達にマフィアを掌握できるわけがないでしょう! それに《ネオ・フェイルド・スチューデント》とは何ですか! ふざけているのですか!」
もはや戸惑うしかなかった。
ルビー山本はかつてより随分と雰囲気が変わっている。
イーリスの知っているルビー山本とまるで別人だ。
■ルビー山本 > 「じゃあマフィアを掌握した力を見せてやるよぉ!」
なんとルビー山本の右腕が蛇に変わり、イーリスに巻き付こうとする。それは明らかに異能だった。
《常世フェイルド・スチューデント》はイーリスも含めて誰一人異能が使えないはずなのに。
ルビー山本は異能が使えている。
不良A「俺は魔術が使えんだよな! 俺達は不良集団の中でも雑用だったが……姐さんに反逆できる時を待ち侘びていた!」
不良の一人が右手をくいっと動かすと、イーリスの頭上に氷柱が出現して、降り注ぐ。
■Dr.イーリス > 「……あなた達、どうして異能や魔術を……!?」
イーリスに迫りくる蛇と氷柱。
だがメカニカル・サイキッカーが異能を発動し、イーリスの周囲に障壁を展開して蛇や氷柱を防いだ。
「どういう事情かは分かりませんが、私の知らないところで普通ではない事が起きているようですね……!」
イーリスは四人の不良を睨んだ。
何らかの理由で、眼前にいる不良四人の内の二人、いや口ぶりから四人全員が異能やら魔術やら得ていそうだ。
そして彼等はマフィア組織の一つを掌握して、イーリスに反逆を仕掛けている。
■ルビー山本 > 不良B「いくら姐さんの科学力が優れていても、四人掛かりではどうにもならないだろ!」
今度は、また別の不良Bが右手から炎を放つ。
不良C「死んでしまえ、姐さん!! 俺達は“あの方”に力や希望を授かった! これからは俺達《ネオ・フェイルド・スチューデント》が新しい時代をつくってやるよ!」
不良Cは異能や魔術こそ使わないが、イーリスに接近し、超人的な力を拳を突き出す。
■Dr.イーリス > 「オーバーリミット・キャルキュレイト!!」
それは、イーリスの成長に繋がったギフターさんの試練で習得するきっかけとなった技。
イーリスの発達した電子頭脳、その演算による未来予測。
炎がイーリスとメカニカル・サイキッカーへと向かう。不良Cがイーリスに拳をぶつけようとしている。
だが、イーリスには未来が見えていた。
異常な反射速度でメカニカル・サイキッカーはイーリスを左腕で抱え、炎をパンチで粉砕。
不良Cの突きは右膝で受け止めた。
「あなた達がどうしてそのような力を得たのか調査が必要ですね。その前に、ひとまず──」
どうやらかなり強力な力を彼等は得たようだ。そして人数において、ルビー山本が圧倒的優位。
リスクはあるけど、あの力を使うべきだろうか……。
“王”の呪いを克服して得た力……。
■紅き機械ノ女王 > イーリスの体に紅き文様が浮かび、右目が紅く光った。
メカニカル・サイキッカーのボディも紅く染まっていく。
「──力に溺れたあなた達には少し痛い目に遭ってもらいますね」
その姿はイーリス・ロッソルーナだった。だが今のイーリスは、《紅き機械ノ女王》と呼ばれる存在だ。
そしてしばらく紅き機械ノ女王とルビー山本達の戦いが繰り広げられる。
■ルビー山本 > しばらく戦った後──。
「ぐわああああぁぁっ!! どうして《月輪の王》の呪縛から解放されたはずのあんたが、《紅き屍骸》になってるんだよぉ! 聞いてないんだよねぇ、そういうの! どうやら俺達も力をまだ使いこなせていねぇ……。い、今は退くぞ、お前等!!」
戦いの終わり。
ルビー山本と他三名の不良達は血塗れになりながら、ゆらゆらとおぼつかない足取りで逃げていく。
■紅き機械ノ女王 > 「……うぅ……ああぁぁっ!!」
イーリスは逃げる彼等を追わず、いや追えず、両膝を地面につけて自身の体を抱き、悲鳴をあげる。
紅き機械ノ女王になれば、イーリスに苦痛が襲い掛かる。強烈な紅き呪いを自分で自分にかけているようなものであり、呪いがイーリスを蝕んでいた。
彼等も逃げていったので、イーリスは紅き機械ノ女王の姿を解く。イーリスの体から紅き文様が消えていき、右目も元の青色に戻る。
■Dr.イーリス > 「はぁ……はぁ…………」
イーリスは大量の汗をかきながら、肩で息をする。
そして、その場で倒れ込んでしまった。
紅き呪いに蝕まれたイーリスは、その場で意識を失った。
メカニカル・サイキッカーもイーリスが倒れると同時に、その場で停止して動かなくなった。
その後は通りすがりが助けてくれたかなんだかんだあって、少なくとも『数ある事務所』には帰れた。
ご案内:「落第街 路地裏」からDr.イーリスさんが去りました。
ご案内:「落第街 路地裏」にエルピス・シズメさんが現れました。
■エルピス・シズメ >
(重高さんがナナへのお礼を兼ねていっぱいご飯作ってくれたし、悪くなる前にみんなで食べたいけど……)
昨日の夜の話。
偶々、ではなく何だかんだ──
──用もなく帰りが遅いことに不安を覚え、周囲を捜索していた。
「イーリス……?」
結果として、安静に出来る場所で倒れ込んでいるイーリスを発見する。
通りすがりのものが、たまたま安全な場所に移したのだろう。ただ。
■エルピス・シズメ >
「……サイキッカーが見張りになったのかな。スマホと機械は取られていない。
吸血痕は……見えない。考えられるのは……」
"ごめんね"、と言いつつイーリスの財布を確認する。
エルピスが普段の共同生活用に持たせている財布かもしれないし、
あるいはイーリスの個人的な財布かもしれない。
「だよね。紙幣と小銭は抜かれてる。」
「大量には持って行ってないみたいだけど。」
たまたま通りすがった誰かが安静な場所に置いてくれたことは確かだ。
でも、『タダではない』──ヘイトを買わず、足の付かない範囲で財布から金銭を抜いている。
「運搬代かな……しょうがない、か。」
ひっそりと生きる通りすがりの誰かの生存術だろう。
金銭目的で襲ったにしては外傷が少ない。ということは──。
■エルピス・シズメ >
「なんかやったか、やられたのかな。」
性格的に単純な物取りなら抵抗するか差し出している。
ボロボロになっている訳ではないからその線は除外する。
「……ちょっと失礼。」
身をかがめ、イーリスから離れて異能を行使する。
"想いを継いで"──場に残された意思を自分のものとして継ぐ異能。
何か共感覚で引っかかる感情でも残ってないかと、サイコメトリーとして方向性で、異能を行う。
「こう言う使い方は久しぶり。
……でもあんまりわかんないや。わかんないってことは死者と重傷者はたぶんゼロ。」
読み取れるものは少ない。
誰かが燃やしたルビーのような激情の残滓は受け取ったけど、死ぬ程ではない。
仄かに香る赤いものも、"自分がするようなそれ"で、凶兆ではないと判断した。
「激情、よくある不良との揉め事?急に強く?呪いの残滓?
……揉め事に対抗するために、イーリスが何か試したのかな……。」
■エルピス・シズメ >
「……考えるのは後かな。
もうちょっと気を抜いていたいけど、ここだとやっぱり難しいや。」
「三人で日のあたる場所へ、って言う訳にも、まだまだいかないし。」
息を吐き出して気を取り直し、イーリスをお姫様抱っこで抱える。
「とりあえず、帰ろう。
メカニカル・サイキッカー。僕がイーリスを運ぶから、ついてきて。」
避難と処置をし、その上で財布から端金を抜き取った通りすがりの誰かに小心者の落第街の住人に感謝をし、
改めて事務所へと戻ることにした。
ご案内:「落第街 路地裏」からエルピス・シズメさんが去りました。
ご案内:「落第街 路地裏」にエルピス・シズメさんが現れました。
ご案内:「落第街 路地裏」からエルピス・シズメさんが去りました。
ご案内:「落第街 路地裏」にナナさんが現れました。
■ナナ > 人や物が風に舞う木の葉の様に飛んでいく
壁に叩きつけられそのまま倒れる者、受け身を取りまた立ち向かう者
その場で食らいつき、耐える者
一切合切を二度目の攻撃で薙ぎ払う
伸びた竜の剛腕は圧倒的な暴力をもって蹂躙を行う
「魔術が上手くてぇ、異能が増えてぇ…ついでに戦い慣れしたんだってねぇ?
で、それがどうしたのさ?」
虎の尾を踏まれた怪物は極めて理不尽に、暴力的に個人的な鬱憤を晴らしていた
■ナナ > 事の発端は至ってシンプル
大事な友人がかつての仲間から騙し討ちにあった
ただそれだけ
「どんどん来てよ、仲間も呼んで助けてって叫べよ。
そいつらも全員すり潰していけばその内会えるでしょ。」
落第街で起きている変化
突然力が増えたり新たに強くなったとかいう連中が一気に増えた
変な薬でも流行り出したかと思ったけれどそうでもないらしい
実際、今ここで手傷は受けている
一応ドラゴンの鱗を抜ける位には強力な攻撃がてんやわんや
成程これならいくつか勢力図が入れ替わったりひっくり返ったりもするだろう
「強くなった気になるのも良いけどさぁ。
小賢しく強くなっても手加減の仕方が分かんなくなるだけなんだよねぇ。
優しく相手してもらえると思うなよ。」
多少強くなった、大いに結構
不良達の木が大きくなる、どうでもいい
だが、それで大事な人に危害を加えられるのなら丁寧に落第街のやり方でやり返す
傷を受けてもすぐに回復し異形の姿で襲い来る怪物
そんなものを相手に心を折らず戦える人間がどれ位居る?
少なくともここには力に酔っていただけの連中ばかりだったらしい
容赦なく骨を折り、砕き、物理的に動けなくしていく
■ナナ > 「さぁぁて?君らに楽しい楽しい質問タイムだよ。よぉく考えて速やかに正確に答えを出してね?」
一通り、目に付く敵は蹂躙した
そこかしこでうめき声や怨嗟の声が鈍く響く
「安心しなよ、どうやってその妙な力を得たとかはどうでもいいから。
君らが強くなったってこの程度なんだからそれは興味ないんだ。」
ある意味で一番心を逆撫でする言葉かもしれない
目に見えて倒れている者達の目の色が変わる
「特定のグループにしか用は無いよ、ネオ・フェイルド・スチューデントだっけ。
こいつらの事知っているなら全部話して、知らないならそいつらに伝わるよう今日の話を広めてね。
化け物がお前等を狙っているって。」
『…誰がお前のいう事なんっ…!』
元気な男の頭を掴む
意外と鈍い頭蓋の軋む音が男の頭の中に響く
「お願いじゃなくて命令だよぉ?
こんな単純な事も理解できないなら頭砕いて刺激的なスイカ割りにしてあげようか?」
声も出ない程の激痛に男の意識は離れる
周りでこちらの様子を伺っている者も倒れていた者達にも分かりやすくこちらの誠意は伝わったはず
恐怖とはこんなに便利なのかと薄ら笑う
■ナナ > 「これだけ暴れても君らだれも死んでないのはそうやってるからだよ。
多分他でもそう、皆ちゃんとブレーキを意識して相手してくれてるんだよ。」
勿論そうではない場合もある
以前に増して彼等が強くなったのは確かだ
しかも、きちんと危険な力ばかりで相手が死んでもおかしくない魔術や異能が多い
だから、ここで体と共に心もへし折る必要がある
「でも、私は別にそういうの気にしない。
必要があればしっかり殺して人間から肉に変えてあげる。
許してとかごめんなさいとか言っても関係なく殺す。」
体が異形に変わる化け物がそう告げる
ただの脅しと受け取るかは彼等次第
「分かったらここに居る全員私の言った事をしっかり守って今まで通りお利口に暮らせ。」
分かったならとっとと消えろと完全に気絶した足元の男を蹴り飛ばす
仲間かどうかは知らないが、まだ動ける連中は倒れる者達を運んでいくだろう
妙にこいつら仲間意識みたいな物が濃い気がする
変な白黒の仮面マークのせいだろうか
何なんだろうあのへんなマーク
■ナナ > 周りから全員消えれば一息つく
やはり誰も捨て置かれていない
我先に逃げ出して何なら囮に数人捨てられるかと思ったのに
「落第街の不良がちゃんと仲間を回収ねぇ…変なの。」
情が薄いとか仲間意識が低いとかが多いが、その逆だってきちんとある
仲間意識が有る奴等だったんだろう
そう言い切るには少し違和感みたいなものは感じるけれど
「ま、お使いちゃんとするならどうでもいっか。」
傷の回復が多かったせいでいつもより疲れが残る
お腹もすいたし用は済んだ、後は帰ってのんびりしよう
ついでに何か甘いものでも買って帰ろう
ご案内:「落第街 路地裏」からナナさんが去りました。
ご案内:「落第街 路地裏」に橘壱さんが現れました。
■橘壱 >
落第街の路地裏に、光が走る。
破裂音と共に夜の宵闇を暴く閃光弾。
即座に迸るスパーク音の正体は鎮圧用の電磁棒。
大気を焼く青白い炎が地を滑り、すれ違うように違反者が倒れた。
蒼白の鋼人。青白い一つ目を光らせる鋼の肉体だ。
『……此方、Fluegel。
違反生徒の鎮圧完了。此れより、哨戒任務へと戻る。』
鋼鉄の中、モニターのネオンライトに照らさせる少年が通信を入れる。
通信終了と共に、腕部に装着された電磁棒を収納。
倒れ伏した違反者にバックパックに装着された機械を巻きつける。
ぽふっ、と軽い音と共に無数の気球が展開され、夜空へと浮上。
フルトン回収と呼ばれるものだ。今頃空の上で、他の風紀委員のヘリにご招待だ。
かなり旧時代のシステムだが、今の最新機器を使えば回収対象の安全は保証される。
『それにしても……あの違反生徒は"異能なんて持っていなかったはず"……。』
それらしいものは過去の情報で確認できていなかった。
だが、交戦時に何の変哲もない空間を爆発させてみせた。
魔術、或いは何かしらの異能とも言える奇蹟の所業だ。
モニターに表示される景色を神妙な顔つきで睨む。
『「理不尽に反逆を、ギフトを得よ」……か……。
多分、アイツだけじゃなさそうだけどな……。』
倒れ際に呟いていた言葉を漏らした。
何かを信奉するような物言い。
そう言えば妙に落第街も騒がしい気もする。
『"ギフト"……与えられた力……?』
非異能者である少年には、やけに引っかかる物言いだった。
■橘壱 >
少年には、あらゆる才能がなかった。
異能への覚醒、魔術への敵性、特殊な能力の基礎。
あらゆる非凡から外れたこの時代におけるある意味稀有な若者。
特に若者を中心に異能者が増える昨今において、酷く心を苛むものだ。
身体能力だって、一般人の中では動ける範疇だ。
或いは、時間を掛ければ所謂"超人"の域に達する可能性はあるかもしれない。
しかし、どれほどの月日が掛かるか、想像もつかない。
『…………。』
故に、本当にそういったものが存在するのであれば
それは、そう。非常に複雑な感情が綯い交ぜに成った。
とてもじゃないが、この歪んだ表情は人に見せれるものじゃない。
『ギフト、か……異能、超常現象……どんな感覚なんだろうな……。』
目に見えない、当たり前のように持ち得る凶器の感覚は。
ご案内:「落第街 路地裏」にメアさんが現れました。
メア > 唐突に響く男女織り交ぜた悲鳴のような声
路地の先、離れた場所から声が響く
そこには黒い布に首から下を簀巻きにされた不良少年少女達が転がっている
その内の1人にさらに幼げな少女、メアは声をかける
「え、と……こんばんは……」
挨拶も返してもらえずに襲われた少女は改めて挨拶から始めようと試みている
■橘壱 >
隣人、ルームメイト、知り合い、友人。
彼等も詰まる所は何かしらの異能者、或いは超常的な何かだった。
時にはそれに満たさないような存在であっただろう。
だが、初めから非異能者であった少年にとって、どれほど羨ましいことか。
妬み、嫉み。どれだけそういったものと向き合おうとも、その感情だけ消えることはない。
何時だって、心の奥底に押し殺しているだけだ。
『……そうでもしなきゃ……。』
生きづらくて、仕方ない。
だいぶ前よりは前向きにはなったつもりだ。
けどきっと、何かが変わらない限りはこの感情は変わらない。
その何かとは──────…。
『────…! 悲鳴……?あっちか……!』
その思考を遮ったのは悲鳴だ。
周囲の索敵センサーが複数の生体反応を確認。
バーニアに火を灯し、急いで現場に急行する。
余計な考え事をしてる場合じゃなかった。今は仕事をしなければ。
そうして砂埃を巻き上げ、着地した先には複数の簀巻きにされた不良生徒。
鋼人の一つ目には、その中央に立つ幼い少女を捉えた。
『……子ども、と……何だこれは……。』
余りにも妙な光景だ。
何か簀巻きにされてるのに挨拶してるし、何だこれは。
鉄仮面の奥で訝しげな顔をしつつも、気を取り直して咳払い。
それに合わせるように、バーニアノズルから白煙が吹き出した。
排熱作用によって吹き出した白煙だ。
『どうも……えっと、この状況は、キミがやったのか?』
鋼鎧が、少女に尋ねる。
メア > 「こんばん、は……!」
返事をしてもらえないのでほほを強めに指先でぐりぐり
挨拶をしてお話をしたいだけなのに
襲われたけどちゃんと無力化したのに
これでもまだ対応してもらえない事に若干お怒り
「ん……?…!!!!」
新しい物音
エンジン音か何かが近くで聞こえて振り返る
そこに居たのは鋼鉄の戦士
「ロボット……!」
暗い瞳に好奇心の炎がともる
アニメや漫画に出てくるようなロボが目の前にいる
「私が、やった…!ロボさん……!!」
■橘壱 >
それは全体的に暗いと言った印象が目立つ。
配色、雰囲気、少女然とした姿だが油断はできない。
この世界において、見た目は当てに成らないのだ。
『ロ、ロボさん?……ああ、まぁ、そ、そうだね。
生憎と、完全自律型じゃなくて有人機だけどね。』
物凄い好奇心の目だ。
わかるぞ、カッコいいよな。
幾つになってもいいものはいいんだ。
キラキラ輝く好奇心の目に戸惑いながらも悪い気はしなかった。
なにせ、自分だってコイツをカッコいいと思っているんだから。
鉄仮面の向こうで、少年の口元も自然と緩んだ。
『それで、キミがやったというけど、何があったんだ?
詳しく状況を教えてくれないかな?まさか、自分から襲ったりはしてないよね?』
モニターに映るレーダーを確認しながら周囲を確認。
他に仲間はいなさそうだ。とりあえずまずは、状況確認だ。
メア > 子供にとってロボとは無条件で引き付けられるものの1つ
男の子に多いそういう現象、メアにはぐっと心に来るものがあったらしい
「中に、人……凄い…!」
アマ―スーツの様なものだろうがロボに見えるのでメアの中ではロボさんらしい
人が中で動かせるなんてそれはそれでもっと凄かった
「ん…聞きたい事、あって…ご挨拶したら……怒られた、から…」
一応襲われたのを返り討ちにした状態ではある
黒い布はよく見れば全てメアの足元の陰に繋がっている
「落第街で、みんな…強くなったって……なんで、そうなったのか…教えてほしかった……」
今回はそういうカリキュラム
鞄からタブレットを取り出し落第街の秘密を探ろう!と書かれた画面を見せた
そこにはチェックリストらしき項目が並んでいる
どれも落第街で起きている騒動について調べる意図のもの
■橘壱 >
少女にとっては結構心くすぐるものが有るらしい。
わかるぞ、ロボはいいよな。カッコいい。
子どもながらに感性の同志だ。
内心うんうん頷きながら凄いだろう、とご満悦。
『そう、着込むタイプ。パワードスーツってカテゴリではあるけど、マシンに違いはない。
……挨拶したら怒られたって、まぁ場所が場所だから有り得なくもないか……。』
特に今は随分と騒がしい。
元々物騒な場所が一時的に嫌に活性化している印象だ。
にしても、そんなに凶暴化している違反者もいると来たか。
此れはまた、一波乱ありそうな予感がする。
神妙な顔つきでモニターに並ぶ周辺スキャン結果を眺めながら、少女の足元を一瞥した。
『……黒い布はキミの異能かい?』
まるで影から編み込まれたような布だ。
人一人を簡単に拘束できるような代物だ。
影と繋がってるし、そういう類のものなんだろう。
こういうのがさも当たり前に有る世の中だ。何気なしに訪ねてみる。
一応、不良生徒の健康状態もスキャンしておこう。
身体的影響を及ぼしていたらそれはそれで困るからだ。
そうして、少女が見せてきたタブレットにはまるで自由研究のようなチェックリスト。
夏休みの自由研究感覚で落第街に来たのか。
或いは、此処に済んでいる住民なのだろうか。
なんとも言えない面持ちのまま、一つ目が少女を見下ろす。
『……キミは、落第街に住んでたりするのか?
何にせよ、危ない場所ではあるんだ。今回はなんとかなったみたいだけど
あんまり一人で出歩くのは感心しないな。何が起きても、不思議じゃなかったんだぞ。』
それこそひどい目にあってた可能性だってある。
優しい声音で、諭すように少女に告げる。
メア > 「パワード…ん…!」
パワードスーツという単語と共にしっかりと覚えた
ここまで目の前の人物が敵だったらどうするのかとか結構油断が多い
簀巻きにされた不良達もこんなスーツを着ていたら結果が違ったかもしれない
「ん、私の異能……
危ない、から…縛ってる……」
不規則にきつく締めあげ魔法や異能で暴れない様にしている
布の様な触手の様な、少なくとも便利な拘束具になっている
偶に抵抗しようとするくらいには元気な不良達
重傷もなくただ簀巻きにされて文字通り絞られている
「すんで、ない…
けど、大丈夫……異能、あるから……」
諭される、やっぱり言われた…と少しだけ不満そう
何度も足を運んでいるし大丈夫だと言い張る
「先生の、カリキュラム……沢山、調べたい…」
タブレットに記された通りにカリキュラムをこなしたかった
特に悪意があったというわけではないけれど今の落第街の事を詳しくは把握していないらしい
課題を出されたからこなしにきた、位の感覚だった
■橘壱 >
ガコン、と頭部に切れ目が入る。
それを境目にまるで全身が溶けるように消えていく。
程なくして中から出てきたのは白衣の少年。
懐から取り出した黒縁眼鏡を装着し、膝をついて目線を合わせた。
碧色の視線が真っ直ぐと暗い瞳を見据えている。
「ごめんごめん。別にキミが子どもだからとか、そういう事を言ってるんじゃない。
確かに便利そうな異能ではあるけど、それは別に特別なわけじゃない。
……この島どころか、此の世界には似たようなモノを持ってる人は結構いる…と、思う。」
「キミの事を弱いとか侮ってるわけじゃない。
同じ条件なら、キミより強い悪いやつだっているかもしれないだろ?」
「だから、"危ない"のさ。気を悪くしたならごめんね?」
此の世界において、異能があるから、魔術が使えるから。
その手のものは理由としてはハッキリ言って弱いと思っている。
特に此の島は時代の最先端。あらゆる異能者や超人が集まる魔窟だ。
彼女の実力の程を知っているわけじゃないけど、同じ条件ならより強いものに食い物にされる。
特に落第街はそういう場所だ。だから、"危険"だと言った。
……なら、それを持たない自分はなんなのか。
なんて、今は考えるべきじゃない。
はにかみ笑顔のまま、彼女に優しくそう告げた。
「僕は壱。橘壱、風紀委員だ。
今は哨戒……えっと、パトロール中だ。その、先生っていうのは、学園の?」
「キミの名前とかも、聞いてもいいかな?」
メア > 「溶けた……!」
人が入っているとは聞いていたけれど脱ぎ方が思ったよりも凄かった
眼鏡越しに視線がぶつかる
「特別じゃ、ない……」
あまり言われた事が無い言葉に首をかしげる
ただ、自分より強い相手が居る可能性については考慮していなかったわけではない
それでも素直に心配されているのは分かる
まっすぐ心配されている、なら大人しく従うべき
カリカリと音がする…気にしない、このロボの人は良い人だから
「ん、風紀委員の人……私はメア…
先生は、須崎先生…学園の先生……」
こくりと頷き素直に自分の名前、そしてカリキュラムを出した先生の名前をこたえる
■橘壱 >
「どんな能力かは知らないけど、漫画やアニメみたいな力はごまんとあるしね。」
それこそ今や空想が現実になっているし
幻想だと思われていたものは今や種族の一つに成り下がっているような時代だ。
ある意味夢のない話ではあるけど、だからこそ慢心するべきじゃない。
彼女にはひとまず伝わったようだし、大丈夫だろう。
はにかみ笑顔を浮かべて、足元にある重厚な金属トランクを持ち上げて立ち上がる。
溶けたマシンの先が此れだ。こういった漫画みたいな技術さえ、現実にあるのだ。
「メア、か。色々言ったけど、こうやって複数人倒してるし
キミが強いのは確かだから、そこは自信を持っていいとは思うよ。
けど、危ないから……えっと、そうだな。その須崎先生って人か、信用できる人。」
「まぁ、或いはせめて……僕とか?かな。」
先ず普通の風紀委員に言ったって一緒には来てくれない。
此処はアングラ、本来は地理的に存在し得ない場所なのだ。
一般生徒が立ち寄ることすら本来はあってはいけない。
推奨すべきではないが、飽くまで折衷案としてのものだ。
何かしらの保護者と一緒なら、万一の事もないだろう。
「にして、本当に学園の教師が此処を調べるようにって言ったのか?
……それが本当なら結構な問題ではあると思うけどな……。」
此処がどういう場所か、学園の教師なら知らないはずがない。
知らなければ進めようがないし、知っていたのは違いない。
なんとも言えない苦い顔をしたまま、はぁ、と深い溜め息を吐いた。
「まぁ、その件に関しては此処で言っても仕方ないか。
とりあえず、そこで転がってる不良は、風紀委員が回収しても構わないかな?」
メア > 「ん、橘さん……?
分かった……カリキュラム、手伝ってね…」
保護者、その発想はあまりなかった
カリキュラムをこなすのはあくまで自分の力で
なら自分が知り合った相手の手を借りるのは自分の力と言えなくもないのではないか
幸い知り合いは居る
それに目の前の提案の主は知り合った上に自分からそういう条件を出したのだ
まさか断ったりしないよね?
そう言っている様な確信めいた目で見つめる
「カリキュラム、楽しい……黄泉の穴も、調べた……」
強制されたわけではない
ただ、カリキュラムを申し出たら渡される
それにカリキュラムをこなせば色んなリターンも有る
「別に、いいけど……回収、するの……?」
カブトムシみたいに集めた所でどうするのか理解していない顔
回収、そう聞いて途端に暴れ出す不良達
簀巻きにしていなければ一目散に逃げていたかもしれない
まだまだ元気が有り余っていた様子
■橘壱 >
「壱でいいよ。……え、あ、う、うん。僕で良ければ……?」
まさかの一番槍。壱だけに(なんだって???)。
ちょっと戸惑いながらも頬を掻いて軽く頷いた。
普通はその須崎先生が先じゃないのかと思ったが
一度言った以上は仕方ない。風紀委員として、放って置く事はできないし。
「……黄泉の穴まで?それ、全部その先生が出した課題……?」
まさか落第街どころか有名危険スポットまで来たか。
そのカリキュラムとやらも、先程の教師が出したものなのか。
それほどまでに彼女の力を信頼しているのかもしれない。
ただ、教師が生徒に危険地帯に、しかも一人ときた。
あんまりよろしい雰囲気には見えない。
良識はある方である。少年も少し気難しそうな顔をした。
「流石にこのままってわけにはいかないしね。
それに、腐っても不良、違反者ではあるだろうしね。
……それって、一応切り離せたりする?」
一応これはトランクとしても機能する。
トランクを開きながら、影と繋がる布を見て訪ねた。