2024/09/15 のログ
橘壱 >  
『本当に真摯に向き合っているなら、
 こんな事になっちゃいない。お前はただの、悪党。』

『理不尽をばら撒くだけの、悪党だ──────!』

コイツ(ギフター)が結局何を生んだ。
きっかけはコイツか、或いは家庭にコレがいる。
誰一人、幸せそうになったやつがいるのか。
自分の知る限り、きっといない。
あの子(マリア)だって、多分そうだ。
心にもないことを口にする狂言回し。

コイツは、野放しにさせてはいけない

腰にマウントされた黒いライフル。
非殺傷性のパルスライフルを抜き取り、構える。
まるで号令だ。怪人(ギフター)の一声で、
何処からともなく現れる疑似異能者(ギフテッド)達。

『今まで何処にいたのやら……いや、関係ない。
 押し通る。今の僕は機嫌が悪いんだ。』

『怪我をしても、文句を言うなよッ!!』

背面のバーニアが青白い炎を拭き上げ、
路地裏に雷鳴の如き閃光が迸る。


──────結局、怪人を取り逃すことにはなった。


無傷とはいかないが、戦果としては
多くの疑似異能者(ギフテッド)を捕縛することになった。
それでも尚、気が晴れることはない。
黒幕(ギフター)を捉えるその時まで、
まだ暗雲は晴れることはないのだ。

ご案内:「落第街 路地裏」から橘壱さんが去りました。
ご案内:「落第街 路地裏」からギフタ―さんが去りました。
ご案内:「落第街 路地裏」にDr.イーリスさんが現れました。
Dr.イーリス > 緋月さんのご活躍により、ちゆきさんは助かった。
二人がこれからも一緒に居続けられる、その事がとても嬉しい。

二人の決着の後、イーリスは法より人情で風紀を正す風紀委員として処理を進めた。
緋月さんとちゆきさんは、イーリス率いるゴミ処理係《フェイルド・スチューデント組》により安全に禁書図書館を出られた事だろう。

薬で苦痛を押さえていたとは言え、《紅き機械ノ女王》を長時間維持し続けた反動が重くのしかかり、丸一日体が動かなくなってしまう。
落第街の《数ある事務所》まで帰る事もできず、入学手続きのためにエルピスさんが手配してくれたアパートへと《フェイルド・スチューデント組》若頭エメラルド田村にバイクで送ってもらって、一日寝込んで過ごした。

そして帰り道。
落第街の路地裏は危険なので、《試作型メカニカル・サイキッカーMk-Ⅲ》を連れて歩いている。体長三メートルの屈強そうな漆黒のアンドロイドを連れている人を狙おうとする人なんてそうそういない……事もないのが恐ろしい落第街。

ルビー山本 > 「随分とご機嫌そうなんだよねぇ、Drイーリス!! 」

建物の屋根に寝転んでいたルビー山本が体だけを起こし、つけていた白黒の仮面を取ってイーリスに声をかけた。
ルビー山本、かつてイーリスと一緒の不良集団に属し、今はギフターさんよりギフトを得て《ネオ・フェイルド・スチューデント》の総帥となっている人物。

Dr.イーリス > 「ルビー山本さん。ふふ、残念でしたね。あなたの言い分では、私が誰も救えないですか? 現実を見ろ、ですか? 私一人では全然救えなかったですけど、とても強き心を持った素敵な剣士さんが絶望を希望に塗り替えてくださいましたよ」

イーリスはルビー山本さんを見上げ、微笑みながらそう返した。

ルビー山本 > 「ケヘ! そうか救えてしまったかぁ! そいつは結構……! 反逆する相手がただの泣き虫だと張り合いがなかったんだよねぇ!」

どこか楽し気なルビー山本が、どこか不気味だ。

「ところで《常世フェイルド・スチューデント》が《伝説の不良》龍宮鋼に壊滅させられたと思ったら、《フェイルド・スチューデント組》に生まれ変わって今は風紀委員なんだってな。あんた、何やったんだよ……。龍宮鋼もあんたの差し金だろ、多分。俺達《ネオ・フェイルド・スチューデント》に吸収されないよう先に手を打ったってところか?」

Dr.イーリス > (確かに、不良集団《常世フェイルド・スチューデント》を解散して、風紀委員にした事でルビー山本さん達に吸収されないようにできましたね……。フェイルド・スチューデントの更生が主な目的なので、本当にただの副次効果です)

「わ、私の策にお気づきとは、さすがだと褒めておきましょう(……そ、そういう事にしましょう。ルビー山本さんの事は眼中になかったとか言ってしまうと可哀想ですし……)」

こほん、とわざとらしく咳をする。

「そういう《ネオ・フェイルド・スチューデント》はこの短期間で多くのギフト保持者を取り込み、様々な違法部活を傘下に置いて、落第街の支配力を高めて組織力を大幅に拡大させているらしいではないですか。ギフトを随分と有効に活用なされているのですね」

《ネオ・フェイルド・スチューデント》結成当初と比べて、随分と厄介な組織になっている……。

ルビー山本 > 「水面下で理不尽への反逆に成功しているんだよねぇ! 異業者が表立って暴れてもらっている分、俺達《ネオ・フェイルド・スチューデント》が動きやすいってことだよ! ケヘ!」

ギフト保持者の中には表立って騒ぎを起こす者がいる一方で、目立つ事はせずに力を蓄える者もいる。
ルビー山本は、今のところ後者だった。
ただ暴れるだけが反逆ではない。
ルビー山本が今のところやっている行為は、落第街でよく行われている裏社会の勢力闘争でしかない。
派手に暴れて風紀委員にも被害を出している他のギフト保持者に比べれば、まだ風紀委員にマークされ辛い。全くマークされないという事もないが。

「そういえば、異業者の一角が落ちたらしいな。マリアだっけか。あの《魔法少女》を倒すとは、大した奴がいるものだ」

Dr.イーリス > マリアさんを落とした《数ある事務所》メンバーの一人だが、マリアさんは今事務所で匿っている事もあり黙っておく。

「異業者……。報告によると、弟切夏輝さんとエリザベトさんがいるのでしたか。異業者の一角が落ち、ギフト保持者自体も捕まったり、殺害されたりしています。今余裕ぶっているあなたもいずれ追い詰められるのではないでしょうか? 捕まったり死んでしまう前に、早くごめんなさいして私達のもとに帰ってきた方がいいと思いますよ? あなたに仲間を殺された我が《フェイルド・スチューデント組》メンバーがどれぐらいあなたを許すかは分かりませんが」

きょとんと小首を傾げる。

ルビー山本 > 「俺の心配とは、あんたも随分と余裕なんだよねぇ! 風紀委員となった《フェイルド・スチューデント組》に今は手出ししないが、いずれは我が《ネオ・フェイルド・スチューデント》が吸収してやるよぉ! かつての仲間なら、うちに下っ端として入ってくるのは大歓迎だからよぉ!」

ルビー山本は軽くお腹を押さえながらおもむろに立ち上がる。

「腹ぁ減ったなぁ。ちょうどいい。おい、飯行こうぜ、Dr.イーリス。異邦人街のオレンジストリートに《麺処たな香》という塩ラーメンが美味しい店がある」

Dr.イーリス > 「はい……?」

素っ頓狂な声をあげてしまう。

「いや、何当たり前のようにお食事に誘っているのですか。私はあなたに仲間を殺された上に、私自身あなたに殺されかけているのですが……。私を散々敵視していたのに、何を企んでいますか。むしろ、私としては今すぐにでもあなたを捕えたいと思っていますよ」

訝し気な瞳で、ルビー山本さんを睨む。

ルビー山本 > 山本がイーリスの傍らに跳び下りる。

「硬ぇ事言うなよ。俺達、元々不良集団《常世フェイルド・スチューデント》の仲間だっただろう?」

Dr.イーリス > 「いや、その仲間をあなたは物の見事に裏切ったわけなのですが……」

裏切った相手に、反省の態度も一切見せないのに慣れ慣れ過ぎるのではなかろうか……。
……だが、今すぐ捕らえたいと言うが、《紅き機械ノ女王》になり続けていた反動があるので、メカニカル・サイキッカーがいるとは言え今は戦闘を避けたいのも確か……。

「……ギフト騒動の渦中であるギフターさんの事を教えてくださり、さらにあなたのおごりであるならお食事ご一緒していいですよ」

ルビー山本 > 「はあ? 誰がギフター様の事を教えるかよ。そんな重要な情報をわざわざ律儀に教えてやるバカがどこにいるんだよ。バカか、あんた?」

蔑むような眼でイーリスを見下ろす。

「おごりに関しては別にいいぜ。スラムの不良やってた頃と比べ物にならない程、金はたんまりあるんだよねぇ!」

Dr.イーリス > イラ……。

「む……。し、しかしながら、おごってくださるならご一緒してあげましょう」

そうして二人は《麺処たな香》に向かっていった。
《麺処たな香》では別段険悪な雰囲気になる事もなく、普通に昔を懐かしむような会話しつつ塩ラーメンを食べた。

ご案内:「落第街 路地裏」からDr.イーリスさんが去りました。