2024/12/07 のログ
ご案内:「落第街 路地裏」に大神 璃士さんが現れました。
ご案内:「落第街 路地裏」にハインケルさんが現れました。
■大神 璃士 >
日が落ちるのも早い時刻、落第街の路地裏。
其処を歩く影。黒いジャケットを着た、シルバーメッシュのウルフヘアの男。
普段との違いは、風紀委員の制服ではなく、黒いシャツにグレーのジーンズ姿という事。
つまり、完全にオフだ。
(……何処が何処に通じているか位、把握はしておいた方がいいからな。)
それがこんな場所に、仕事でもないのに足を運んでいる理由。
先日の逃走を許した件もあり、少しばかりはこの辺りの地理を頭に入れようか、という判断だった。
「…馬鹿馬鹿しい、とは思うが。」
思わずそんな自嘲が口から出て来る。
新月期なら兎も角、月が大きければそれこそ建造物を足場に追跡も無理ではない。
……それをやったらやったで、建造物破壊の始末書が来るのだが。
ともあれ、道…は兎も角、景色や特徴的な建物などを覚えつつ、レザージャケットの男は
日が既に落ち、夜になりつつある落第街の路地裏を行くのだった。
■ハインケル >
風を切る音
その場に誰かがいるなら、その者の耳に
その者の耳が良いなら、少しだけ速く
ひやりと冷えはじめた空気を裂くような音が届いていたか
そしてそれに気づけたか、否か
──ただ、どの道その数瞬後には……
「危なーい!!!」
けたたましい、少女の声と共に
流麗な黄金を棚引かせた紅い瞳の少女が…少年へと突っ込んできていた。
まさに風を切る…弾丸のようなスピードで
■大神 璃士 >
「……む。」
風を切る音。空気を裂く、鋭い音。
気のせい、にしてはやけにはっきりと聞こえた気がする。
(喧嘩か…また何か投げられたか?)
先日、痛い目を見た背後からの一撃を思い出し、ばかな、と頭を振る。
背後からナイフを投げられるなど、そうそうあるような事ではない筈。
第一、方向が違ったような。
と、まともに思考出来たのはそこまでだった。
「な……っ!?」
突然の叫び声、直後に、凄まじい速度の「音」。
視界に見えたのは、金色の長髪。
背丈と声からして、女か。
思考がやけに回るのは――単純に、少女の速度と距離からして、シルバーメッシュのウルフヘアの男に
「回避」という手段が間に合わない、という確信があったからだった。
思い切り、腹部に衝撃が走る。
幸いこの程度で吐き戻す程に軟弱な身体ではなかった、が、何分速度が速い。
衝突事故が起これば、速度はそのまま衝撃……「力」になって激突した者に襲い掛かる。
堪えられる衝撃ではない。このままでは、転倒は免れない。
(なら…!)
腹部に思い切り激突してきた少女がすっ飛ばないよう、掴むように抱き留めると、敢えて「身体の力を抜く」。
当然、勢いで身体がぐらりと傾ぐが…そのタイミングで地を思い切り蹴り、体重移動も加えて体勢を変化。
所謂、トンボ返り、バク宙と言える動きで勢いを殺しながら無事着地。
「――おい、怪我はないか?」
バク宙を行う時に吹っ飛んで何処かに激突しないよう、掴み止めていた少女にそう訊ねる。
■ハインケル >
いつものように落第街のパトロール…などと称して廃ビルから廃ビルへ、時には地面を蹴って、
文字通り風のように薄暗い街を駆けていると、何か匂いがした
落第街にも時折現れる串焼きの屋台で、値段は安く味はそこそこ、異世界由来の香辛料が売りというちょっとした話題の店
あー、いいなー、あんまりお腹へってない時に限ってそういうの見つけるよね…
なんて、その紅い視線を思わず奪われた
まぁ、我慢我慢。ああいうのはお腹が空いてる時に食べるから美味しいんだし
そう思って、一瞬のよそ見から進行方向へと視線を戻せば………
慌てて大声を出したけど、制動が間に合うわけもない
ぶつかる───
───……
…身体が、宙に浮く妙な感覚を覚える
視界が一転して…事態が飲み込めないままきょとんとして顔をあげると、自分よりは随分と上背のある少年の顔があった
「あ、わ。 ごめん!大丈夫だった…?うっかりよそ見しちゃって……」
まるで交通事故のような言い訳をしながらぱっと離れると、恥ずかしげに被っていた帽子を両手で目深く被り直して
■大神 璃士 >
うっかりよそ見。
とりあえず、何者かに追われていたり揉め事を運んできたり、という訳ではないらしい。
あたふたしながら離れて、帽子を深く被っている金髪の少女に、とりあえずは安心する男だった。
「鍛えているからな。これ位で潰れるような柔な腹じゃない。」
ぱん、と、軽く手を打ち払いながら、何事もなさそうにそう答える。
実際何事もなかったのだが。敢えて問題があるなら、接近に気付かなかった注意散漫だろう。
「身体強化系の能力か?
明かしたくないならどうでもいいが、人通りには気を付けてな。」
普段ならもう少し適当にあしらって終わり、だったが、不思議とあまり厭忌の勘は働かない。
温いな、と自嘲しながら、思わず交通部の人間のような言葉を口に出してしまう。
俊足系の異能の事故は、速度次第だが割と大変なことになる。
今回はぶつかった相手が壁ではなく自分で良かった、と思う男だった。
■ハインケル >
「あはは…このへんこの時間帯からあんまり人通りないからさ…ごめんねー?」
てへぺろ、笑って誤魔化せ感がつよい表情を浮かべる少女
普通の少女がウロウロするような場所でもない、今しがた突っ込んだ速度を鑑みても異能者であることを疑われるのはまあ自然なこと
「いやー、ぶつかった相手が鍛えてる男の子で良かった!いや良くはないんだけど…スイマセン」
にしてもあの勢いを殺し切るなんて凄い身体能力と反射速度
こう…肩幅が自分の3倍ぐらいありそうな筋肉ダルマというわけでもないのに
「んふふ、生まれつき☆
キミのほーこそ、すごいね? ほんとに怪我ない?」
紅い瞳を丸くして見上げる形で、自分がぶつかった被害者の姿をまじまじ…
■大神 璃士 >
「――確かにそうだった。」
普通、このような場所をこんな時間に歩いている人間などそうそういない。
そう考えれば、自分の方がイレギュラーだったか、とシルバーメッシュの男は額に手をやる。
真新しい黒のレザーグローブが、軽く音を立てた。
前に使っていたものは廃棄…とはいかないが、しっかりした修繕に
時間がかかるので、新しい予備を使っていたのだった。
「人通りの多い場所でやらかさないなら、俺としては十分だ。」
謝られれば、軽く返して後はおしまい。
本人も反省しているようだし、それで充分だ。
何より今はオフだし、いちいち口うるさく注意など柄でもない。
「鍛えているのと……「生まれつき」丈夫でな。
少し衝撃が残っている位だ。これ位なら、直ぐに何ともなくなる。」
何と言うか、表情の変化が激しいタイプだという感じだった。
さっきまで顔を隠していたかと思えば、今度は興味でもあるようにまじまじと見返してくる少女。
視線については、何か顔についていたかと軽く考え込む男だった。
■ハインケル >
「なんだ、おそろいだね?」
にひ、と歯を見せて笑う少女
八重歯…というか尖った三角牙が目立つ
走り…というか飛び回っていた割に急いでいたわけでもないのか、
しばらく少年を見上げていたが、近くにあったリンゴ箱のような木箱によいしょっと飛び乗ると
「暇だったらお話しよーよ♪ 私ハインケル!貴方の名前は?」
■大神 璃士 >
「お揃い……?」
全く以て予想外の言葉に、少々間の抜けた声を出しながら首を傾げるシルバーメッシュの男。
(外見……全然違う。髪も、目の色も、大違いだ。
背丈も違ってる。共通点と言えば…"生まれつき"…生まれ……ッ…!?)
まさか、という思い。
思わず少しだけ、驚愕の表情が出てしまう。
何と言うか、何かを誤魔化すのが下手くそな雰囲気が丸出し。
「……。」
少女からかけられた話の誘いに、何とか表情を取り繕いつつ、何故か放置されていた
古びたビールケースを重ねて腰を下ろす男。
丈夫そうなので、壊れる心配はないだろう。
「――璃士。大神、璃士だ。」
ちょっとだけ掠れたような声で、名前を答える。
■ハインケル >
「そうそう、お揃い♪
ふふ、案外そういう人って出会わないから、うんめー感じちゃうナー?♡」
木箱に腰掛けた少女はくすくすと愉しげな笑みを浮かべる
片膝を抱え、華奢な身体を折りたたむような姿勢で、紅い視線を少年へと送る
…あれ、なんか驚いてる?
一瞬だけど表情が変わったように見えた
真っ赤な瞳は、そんな様子を見逃さなかった
なんでそうなったのかはわかってないけれど
「大神璃士。いい名前だね☆」
「リヒトはなんでこんなとこウロウロしてたの?危ないよ?
このへん危ないヤツがいーっぱいいるんだから。…あ、それとも強いから平気とか?」
いーっぱい、という声に合わせて大きな輪をつくるように両手を広げて見せながら
■大神 璃士 >
「…………運命、か。」
その言葉に、昔の事を思い出すような声。
病床の父親が遺した、「道標」の言葉。
あれは、紛れもなく自分の運命を「変えた」言葉と言えるだろう。
(……それはさて置き…この女、まさか本当に…?)
ハッタリかも知れない、という疑念はある。
同時に…「もしかしたら」という気持ちも。
「…自惚れる程じゃないが、強いという自覚は、ある。
暇な時は鍛えてるからな。鍛錬の時間は、いい。
煩わしい人間関係の事を、考えなくて済む。」
最も、そのせいで出席日数と授業態度の問題で留年してしまったのだが。
それについては別に悪いとも思わない。
寧ろ退学でないだけ有難い位だ。
「ここらを歩いていたのは……まあ、色々とあってな。
もし「何か」あった時…ここらの地理を頭に入れておけば、後々助かる事もあるかと思って、だ。」
特に嘘はいっていないので、すらりと言葉が出て来た。
誤魔化した所はあるが…そこは、突っ込まれない事を願うばかり。
「――――ハインケル、だったな。
俺も、お前に聞きたい事がひとつ、ある。」
小さく呼吸を整え――左手のレザーグローブを右手で軽く握る。
■ハインケル >
「あ、運命ってのは軽口。ジョーダンだかんね?」
色々真に受けるタイプかしら
それはそれで、なんか面白いけど
「くすくす…どーしたの? 何か気になる…?」
まるで疑念を向けられているような
野生の勘が働く少女は鋭くそう推察し、問いかけてみる
「いっぱい鍛えてるって言うよね。鍛えるのが趣味?
それとも、"もともと強いこと"の匂い隠し?
おおー、一匹狼なわけだー。そういう男の子、カッコいいよね☆」
人間関係が、なんて口にすればぱちぱちと袖の余った両手を叩いてみせる、別にバカにしているわけではない
「色々かー色々ねー、まあ"人間なら"色々あるよねー」
ふわふわとした問答、さておき───
「何かな?」
問いたい、という言葉を向けられれば、抱えていた膝を解いてぴょんと木箱から飛び降りる