常世学園も学園都市という一つの都市であるために、闇の部分も生まれていった。
その代表がこの落第街であり、このスラムであった。
落第街の路地に形成された貧民街では、学園都市から見捨てられた落第生が二級学生、不法入島者などが集合住宅やバラックに居住している。
ここはそう言った場所であり、そういう境遇の人間が何かの事件や実験に巻き込まれたところで、よほどのことがない限り表に出ることはない。
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ご案内:「スラム」から緋月さんが去りました。
■緋月 >
「――――太陽が昇る東、とこしえの葦原。
島連なり、藺草繁る野、我らが主の治める、黄金のアアル。
憐れなる幼子らよ。
せめて、汝らが少しでもその地に近づけるように――――」
……スラムの一角に、幽けき鎮魂の旋律。
書生服姿の少女が、己の喉のみで奏でる、霊鎮めの歌。
その旋律は、どこかで聞いたようでいて、どの国の音楽にも似ていない。
静かに旋律が奏でられ、死した子供らの魂の嘆きが少しなりと収まるのを確かめてから。
書生服姿の少女は懐から携帯端末を取り出し、少し拙い手つきで風紀委員会へと通報を行う。
「――もしもし。
突然すみません、スラム…に、迷い込んでいたら、子供達の……はい、遺体が。
ひどく痛ましい有様でして…お手数でなければ、何とかできないかと――」
今は眠らせている盟友の口調を出来る限り真似て、現場の状況を報せる。
幸い、手の空いている者が処置に来てくれる、との事だった。
感謝を伝え、通話を終える。
「……せめて、人らしく弔われるように。
我には、これ位しか出来ぬが。」
そうして暫く待ちながら髪と眼の色を変えて置き、手の空いた風紀委員がやってくれば、
遺骸が収容される様子を見守り、事情聴取を受ける為に自身も同道する事に。
去り際、振り向いた時には、もう子供らの霊の姿は見えなくなっていた。
■緋月 >
「――――」
死者観測の力で以て確認すれば、其処には互いに身を寄せ合い、すすり泣く、半透明の子供らの姿。
その思念も、己の耳に届いて来る。
『おなかすいた』
『ひもじい』
『なにかたべたい』
『いたい いたい』
『どうして こんなこと』
『ここまで されることなの』
「……なるほど。」
子供らの霊の言葉から、凡その状況は把握できた。
凡そ、空腹をしのぐ為に誰かに――恐らくは手を出してはならない性質の者に手を出して、
結果、八つ当たりか気晴らしか…そんな動機で、バラバラにされたのだろう。
――非道だが、「よくある」事、なのかも知れない。
盟友の知識を引き出してみると…どうもこの地はこういった「事件」が起こり易く、
しかも余程でなければ表沙汰にもならない…言ってみれば「光と共に出来る影」の、より濃い部分らしい。
「……済まぬな。」
そう一言だけ、謝罪の言葉。
今の己は、かつての力の大半を失っている。
出来るのはこうして死者の姿を見たりする事位。
――安らぎの地へ、この子等の御魂を招く力は、今の己には存在しない。
「本当に……済まぬ。」
■緋月 >
「――――――。」
部屋に引き籠っていては、人間、精神が気鬱に傾く。
……「己」に限ってはそうではないのだが、流石に部屋に閉じこもったまま、何日も過ごすのには無理がある。
そう考え、多少の気を晴らす目的で、少し外に出てみたが、道を間違えたのか
随分と暗い雰囲気の街並みへと出てしまった。
さて何処を歩けば戻るだろう、と考えながら歩いている合間に、ふと感じたのは「よく知れた」気配。
――「死」の匂い、だ。
引き付けられるように歩みを進めれば…凄惨なバラバラ死体の数々。
「……子供、か。」
辛うじて分かる「残骸」から、そのどれもが子供のものと分かる。
おまけに、バラバラの屍骸はどこも随分と発育が悪い。
食うにも困るような事情だったのだろう。
「どの時代にも、似たような出来事はあるものだ。」
少しばかりの憂鬱と憐みが混じった言葉。
ふ、と右手を顔に当て、双眸に青白い炎を宿す。
ご案内:「スラム」に緋月さんが現れました。
ご案内:「スラム」から海藤 宗次さんが去りました。
■海藤 宗次 > 残ったのは10人程の飢えた子供達の屍骸。
哀れでどれもこれもあばらが浮いた栄養失調寸前の子供達だ。
その子供たちは宗次の正当な捌きを受けて全員バラバラになって死んだ。
死因は拳による一撃だろう。
■海藤 宗次 >
「俺の焼き鳥ぃぃぃぃ!うおおん!」
涙をボロボロこぼしながら拳を振るう。
宗次は悲しい。
こんな飢えて惨めな連中に自分の楽しみを奪われたことに。
腹が立って、悲しくて、自分が可哀そうで仕方ないのだ
それ故の悲しみの涙、そして悲しみとは対照的に唸る拳は彼らに対する正当な怒りと罰である。
罪状でいえば皆殺しを10回くらいやらないと釣り合わないが…
「今日はこの辺で許してやるわ…次やったらマジぶち殺すからな」
まあ残りの焼き鳥もあるので1回皆殺しで許すことに決めた宗次。
そのまま踵を返す
■海藤 宗次 >
「悲しみの拳!」
まず手始めに下手人である少年に接敵。
10mはあった距離も1秒足らずで詰め寄る。
拳は音速を容易く超えており音が響くころには終わってた。
拳を撃ち抜かれた下手人の少年は上半身が丸ごと消し飛んでいた。
言うまでもなく即死。
「ひい、ふう、みい……全部で10人くらいか?」
下手人以外にもストリートチルドレンの数を数える。
この薄汚い巣には10人前後住んでいた。
「全員処刑だ!」
その彼らに処刑宣告を下す。
焼き鳥串4本盗んだ罪は下手人は勿論、その関係者全て皆殺しにも足りない位だ。
■海藤 宗次 >
「俺は悲しい悲しすぎるでほんまぁ」
ストリートチルドレンの溜まり場を見るやいなや宗次は大粒の涙を流し始めた。
それはストリートチルドレンの生活の貧しさを見たから?同情したからか?
全く違う全くもって違う。そんなもんはどうでもいい。
問題は
「32本あったうちの焼き鳥が4本も取られおった…分かるか!?学無しども、4本だぞ! 1/8も盗まれたんやぞ!!…俺の楽しみがこんなにも…こないなドブネズミ共のせいで…うっ、うぅぅぅ!」
自分の楽しみを4本も取られたという悲しみ。
それには宗次も大粒の涙を流し悲しみに明け暮れるしかなかった。
そして同時に彼らに対する怒りと
「こないなネズミ共には過ぎた一品やて。ああ、こうしてるうちにも時間は過ぎとる、時間を無駄に過ごすっちゅうんわ俺の楽しみの時間もなくなるっちゅうんや。ほんまに…ほんまに…どう責任取ってくれるん?ああ?」
ネチネチと嫌味も無限に出てくる。
焼き鳥串たった数本?
いや、それこそが致命的なのだ。食べ物を粗末にするやつには厳しい
■30分前 >
「あ、せやせや…報告もまだやったな…電話一本いれときゃええか」
右手に焼き鳥の袋を持ったまま左手で端末を操作して電話する。
内容は軽い日課報告。
別になんてことはない。
だが…これこそが彼にとっての致命的なミスだった。
『今だ…!』
集中を切らした宗次を狙って近寄ったのはやせ細った子供たち。
ストリートチルドレンともいう。
彼らの生活は非常に貧しく、身を寄せ合って盗みを働くことで飢えを凌いでいる。
彼らも勿論盗みには罪悪感はある。
だからすべては盗まない。
宗次が目を離した隙に焼き鳥串30本のうちほんの3~4本…
たったそれだけをかすめ取った。
目を話している隙に下手人らしき少年は走る。彼が駆け込むのはそこで共に暮らしている家族たち。
血の繋がりはないが極限の飢えを共に超えようとしている仲間だ。
彼の盗みは成功した、誰もがそう思った時だ。
「32本の焼き鳥のはずが…28本しかない…おどれらか?」
なんと宗次が追ってきた。
たったの焼き鳥4本。
それは彼らを皆殺しにするには十分な罪状だ。
■30分前 >
「焼き鳥~俺のホクホク焼き鳥~♪」
それは30分ほど前、宗次はこの近くの焼き鳥店にて沢山の焼き鳥を買っていた。
この付近は確かに治安は悪いものの、Bグルメが集まるのか知らないがやたらと食い物は美味しい。
そして特に気に入っているのはボロい店舗ながらも長い事やっている焼き鳥店。
この店はかなり気に入っているのでもはや常連客だ。
そんな宗次も仕事終わりにこの焼き鳥をたくさん買うのは日課だ。
焼きたてのホクホクの焼き鳥…今食べればちょっと舌を火傷しかねないものの、家に着くころには良い感じの食べごろになっている。
考えただけでよだれが止まらない。
だからなのか…油断した宗次は背後から忍び寄る気配に気づけなかった。
■海藤 宗次 >
「アンタらよくもやってくれたなぁ…こないな事しでかしといて覚悟はできてはるんやろうな?」
現在、半グレ幹部である海藤宗次はスラムにて激怒していた。
相手方はそのスラムにて貧しいながらも身を寄せ合って助け合って生きているストリートチルドレン多数。
本来はこんな木っ端など見向きもしないはずなのだがどうしてこんな事態になったのかそれは少し前に遡る
ご案内:「スラム」に海藤 宗次さんが現れました。
ご案内:「スラム」から夜見河 劫さんが去りました。