2024/06/11 のログ
ご案内:「スラム」に虞淵さんが現れました。
虞淵 >  
「光を収束する異能、か…。
 それなりには楽しめたが、ソレ(異能)に頼りっきりじゃ片手落ちだな」

スラムの路地の一角。
まるで重機が暴走したかのように壁が崩れ、地面が抉れていた。
そんな破壊跡の中心にいるのは、腰を落とししゃがみこんだ大男。

そしてその男の眼前…正確には眼下には、赤黒い血に塗れた少年の姿が在る。
赤い制服により赤黒い染みを拡げピクリとも動かず倒れ伏した……そしてその腕に巻かれた腕章を、男は無造作に千切り取った。

落第街(この街)でデカいツラするにはまだ早ェってことだ」

立ち上がり、ぐしゃりと握りつぶした風紀委員の腕章を、白目を剥いた少年の顔を隠すように、叩きつける。

虞淵 >  
一目見れば怪物が見境なく暴れたかのような惨状。
しかし事実は大柄なこの男が一撃を加えたのみ。
抉れた地面は男の踏み込みによる陥没。
そして大きく崩れた壁は、その一撃を受けた風紀委員の少年が激突した痕跡である。

男のシャツ、襟元に僅か焦げた小さな穴を穿った…。それだけが、少年の出来た唯一の抵抗だった。

「…初手で急所を狙う根性は良かったがな」

取り出した煙草に火をつけ、背を向ける。
どうせ鼠のように群れ集まる風紀共のことだ。
すぐに他の風紀委員が保護に現れる。放っておいても死にはしないだろう。

…無論、運が悪ければ死ぬだろうが。
それはこの街に在る者全てに言えることだ。