2024/06/28 のログ
ご案内:「スラム」にイチゴウさんが現れました。
イチゴウ > 薄紅の空気...血の匂い...湿った熱気...。

「こちら、風紀委員会、ユートピア機構、チャリティーアーミー。
現在、非常事態を発令している。
当該区住民は住居から出ないようにお願いする。
尚、食糧配給は1時間後に実施する。」

スピーカーから雑音の混じったアラート音が繰り返し鳴る。
毒素で紅色に染まる大気の中、スラムのあちこちで
無機質な金属音と共に四つ足のロボットが行軍する。
その背中には6つもの銃身を持つミニガンユニットを装備。
赤い警告灯を点滅させ歩くそのマシンはさながら楽園を守る武装機だ。

「当該区住民に告ぐ。住居から出ないようにお願いする。
外出した場合、身の安全は保障しない。
また、武装機の巻き添えについても本機構は責任を負わない。」

ノイズ交じりの男の声で繰り返し警告放送が行われる。
その最中、紅い水溜まりを踏みしめ歩く3体の四足ロボット。
背中のミニガンユニットの銃身を回転させながら
赤いレーザーサイトを撫でるように向けながら警戒する。
その真ん中のマシン。見た目こそ左右のロボットと一緒だが
明らかな知性が宿っている。
そうユートピア機構の司令機。
自ら最前線に立ち怪異の追及に挑む。

イチゴウ > ユートピア機構は先日紅い怪異による汚染区域の除染を実施した。
染まった空気を燃やし、染まった敵性存在を燃やした。
しかし、その矢先にその光景。いくらなんでも再発生が早すぎる。

「仮説は正しいのかもしれない。」

ユートピア機構は紅い怪異対策として同怪異の探知に特化した
偵察ユニットを搭載した四足ロボットをつい最近あちこちに配備した。
その結果、スラムにおいては様々な観測数値が一時間以内に数回
規則的な変動を行う事が明らかとなった。
これはつまり、
”何かが定期的に移動している”という可能性を示唆している。

イチゴウ > つまり、これらの毒素自体が自然発生する怪異ではなく
本体のようなものが居て散布しているという事だ。
となれば幾ら除染活動をしようが所詮いたちごっこ。
それどころか人間が染まっていき結果的に被害が広がっていく。

警備を続ける武装ロボットの近くで物音。
姿を現したのは一人、いや二人の人間。
その男と女は目を紅く血走らせロボットを睨みつけるや否や
すぐさま逃亡しようとする。

「射撃開始。」

直後に鳴り響く轟音。
3基のミニガンが回転しながら火を噴く。
それは銃声と呼ぶには余りにも荒々しい。
1秒間に60発も放たれるライフル弾が
照準レーザーに照らされ逃げる男女を一瞬で血飛沫へと変える。

それだけではない。
武装ロボット達は周囲の処理されず転がっている死体にすら
執拗に銃撃を行う。人間としての原型が無くなるまで。

イチゴウ > 「残弾確認、残り230。」

イチゴウ司令機が状況を確認する。
怪異が何故人間に感染するかを考える。
その理由として最も考えられるのは
怪異因子を媒介するためにあると言えるだろう。
要はウイルスと同じだ。

イチゴウと二機の武装ロボットはなおもミニガンの銃身を
切れかかる街灯の光で反射させ赤色のレーザーサイトで
路地裏への道を睨む。

簡単な話だ。
感染し媒介要素となった人間及び媒介要素となる死体を
再利用できなくなるまで粉砕する。

つまり、紅の怪異に対する兵糧攻めだ。

イチゴウ > 「ここは可能性があったが、やはりダメか。」

スラム郊外の一角。
イチゴウは配下のロボットと共にミニガンを向ける。
観測数値から本体と思われるものを追跡する試みは当然行った。
ユートピア機構の武装ロボットを複数投入したものの
結果として成果は挙げられていない。
原因は二つある。

まず一つ。ロボットの足で捜査するにはスラムは広大だという事。
落第街の一部とはいえその面積は決して狭くない。
観測数値の変動頻度から考えても地を這う四足ロボットでは
間に合わない事が多かった。

そして問題なのが二つ目。
その”何か”は明らかに本機構の四足ロボットを
避けるように移動しているのではないかという可能性だ。

イチゴウ > 紅の怪異を数値として観測しているが
正確な位置まで特定できるわけではない。
だからこうしてロボット達が歩き回っている。
確かに無作為に歩き回らせてはいる。
しかし、ランダムに移動するのならば
鉢合わせる可能性は高くなる筈だ。

もし、怪異が高い知性を持った上で
この感染拡大力を持っているならば。

「これは、極めて深刻な事例と言えるだろう。」

だからこそのこの警備だ。
例え、姿が見えなくとも感染を伝えるための物を潰してしまえば
物理的に影響は与えられなくなる。
理屈の上ではそうだ。

だが、現実はそう甘くない。
スラムの人間の数は多い。見捨てられた人間だ。
感染者だって陰に紛れ無数にいるだろう。
それに生命体は人間だけではない。獣は?虫は?
死体だって道に転がっているものばかりではない。

あの怪異の拡大力は強大だ。
紅の怪異にすぐさま致命的な影響は与えられないだろう。
しかしそれでいいい。首をじわじわと絞めつける。それでいい。
これは紅の怪異と機械群の泥に沼った根競べだ。

イチゴウ > 歩き回る武装機の傍ら人影が飛び出してくる。
皮膚に紅く血管を浮き出て眼球も同色に染まっている青年。
しかし正気はかろうじて残っていたのだろう。
武装したロボット達を見て足を竦ませ
その場で尻もちをつくように倒れる。

3基のレーザーサイトが彼に向けられた。

「心配しなくていい。痛みは感じない。一瞬だ。」

熱気とハエが群がるスラム街の一角。
ミニガンの叫び声が響き渡った。

ご案内:「スラム」からイチゴウさんが去りました。
ご案内:「スラム」に紅き死ノ花さんが現れました。
紅き死ノ花 > …スラムに紅い花が咲く。
紅き死ノ花 > ―――なるほど?

なるほど。なるほど。なるほど。

"そういう事"か。
随分邪魔して回ってくれるヤツがいる。

厄介者は女だけではないようだ。

紅き死ノ花 > "機械"

これは紅き屍骸にとっては最も厄介で―――
殺す価値が薄く―――
だからと言って避けては通れぬ課題―――

紅き死ノ花 > この"機械"がいる限りは。

この街の平和は守られ続け。
紅き屍骸はいつまでも食い止められ。
封鎖を破る事も出来ず。
秤量攻めによって数を減らすしかないだろう―――

紅き死ノ花 >  
いつまでも、いつまでも、いつまでも、
紅き屍骸は"機械"によって食い止められ続ける。
ジリ貧に追い込まれ続けるのだ―――本当に…

ご案内:「スラム」に九耀 湧梧さんが現れました。
紅き死ノ花 >  


    本 当 に そ う 思 う か ?



 

九耀 湧梧 > かつ、とブーツが地面を蹴る音。
赤いマフラーと黒いロングコートと軽く靡かせて、一人の男がスラムを歩く。

「……文明の程度は、凡そ現代あるいはそれよりやや上水準。
見た所、学生のような雰囲気の連中が多い。大規模な教育機関、あるいはそれに準ずる施設が存在する。

此処のように、少々治安の悪い所もあるようだが。
ま、こればかりは世間の闇、って奴か…。」

ここ数日歩き回って、理解した事を口に出して纏める。
そのまま歩き去ろうとして、

「――――――。」

奇妙な気配を感じる。
少しばかり気にかかったのか、男はブーツの音を鳴らしながら、気配を感じた方へと足を向ける。

紅き死ノ花 >  
今日の怪異は人で言えばことさらに機嫌が悪い。

機械を連れた女に妨害され。
機械の群れにも妨害され。

挙句の果てにはハエ一匹すら残さぬという兵糧攻めすら喰らったのだ。

何かが――誰かがこちらに近づいてくるようだ。
これは紛れもない生命。

"であれば殺そう"。

即断即決。

向かってきた貴殿の背後。
そこに咲き誇る大輪の紅花。

空気が変わる。
ピリピリとした緊張感が示すのは―――

毒、痺れ、そして紛れもない―――

紅き死ノ花 >  

   殺 害 欲 。